人生照る日曇る日、山あり谷あり、七転び八起き──色々な表現があるが、今も昔も「人生、上手い事いく時だけじゃねーぞ」ってのは当たり前だ。
ちょっとした行き違い、見落とし、書き間違い、失敗の種は至るところに有るし、それに気付かず失敗したならそれは気付かなかった者が悪い。これも当たり前。
当たり前ではあるのだが──
「……ヘコむのは、ヘコむよなぁ」
自宅のリビング、チェアにぐったりと身体を任せつつ俺は呟いた。
実際つまらないミスをしたと思う。マズかったのは当初、自分のミスだと俺自身が信じられなかった事だ。結果、余計な手間をかけさせた上で俺の部署のミスだと発覚し、俺は周囲に土下座する事になった。
まあ一度のミスで今までの評価が消し飛ぶ程でなかったのは不幸中の幸いだが──それでも「やらかした」という事実は俺の心と体に
「行こうかなぁ……どうしよ」
今日も今日とて「電燈二次三次」に行きたい気持ちはあった。だが今のこのメンタルでは思い切り愉しむのは難しそうだった。それは俺自身だけでなく、相手をしてくれる嬢も満足しない結果になる。それは申し訳なかった。
「うぅん……『あの人』が居たら入る、居なければ帰る。それでいくか」
自分の中でとりあえずの方向を定め、チェアから立ち上がるとVRスーツに着替える。コードを繋げ、バイザーを下ろし、いつものロビーに降り立つ。
この店の常連となってそこそこになるが、俺は基本的に誰かのヘビーユーザーという訳ではない。むしろ相手をした事がない嬢が出勤してきたら積極的に挑んでみるし、まあそれでハズレを引く事もある。るるとかはその中でもお気に入りと言えるかもしれない。
ただ──「こんな時には彼女」という相手も何人かいる。都合よく出勤してくれていると良いのだが。
「ええっと……」
俺はカウンターに浮かぶホロモニターに視線を走らせた。この前
「……おっ」
目当ての名前を見つけ、俺は予約を入れた。
『ありがとうございます。ルーム指定はどうされますか?』
「夜の居酒屋、座敷席。オプションでVRビールを中瓶で6本と、VRつまみを幾つか適当に」
『承知しました。10秒後に転送致します』
ナビゲーターの声と共に足元にサークルが出現し、光が俺を包む。
直後、俺は居酒屋の座敷席にいた。事を始められるようにか、座布団と互いの後ろの壁の間には十分な隙間が作られている。机の上には俺が指定した通りに何本かの瓶ビールと、皿に盛られた枝豆やさきイカ、刺身の盛り合わせなどが既に用意されていた。
「おー! 兄ちゃん、久しぶりやなあ!」
そして俺の側と逆の席から元気な声。
黄色のパーカーに黒のスポーツブラ、長い黒髪を左上で結わえた女性。VTuber、早瀬走──に酷似した彼女、「早瀬」が手を振るのに俺は同じように返す。
「ご無沙汰してます、
「ホンマよ~! また何か、仕事で嫌な事でもあったん?」
「……分かります?」
「ハハッ、兄ちゃんが私を指名するの、大体何かリアルでやらかした時やからね」
笑いながら早瀬は慣れた手つきでビール瓶の栓を開けた。
「まあまあ、とりあえず乾杯しよか」
「あ、どうも」
彼女の前に座り直し、俺は素直にグラスを差し出した。現実のビールと変わらない泡立ちと冷たさを感じる。
これはVRビールというデータチップの一種だ。アルコールを摂取した時のような軽い酩酊感を使用者に与えるが、当然ながらアセトアルデヒド等は発生しないからあくまでその席だけで悪酔いが残る事もなく、習慣性も薄いため近年ではバーチャル飲み会などでの人気ツールとなっている。
「それじゃ、今度は俺から……」
「ありがとさん。ととっ……」
入れ替わり、早瀬のグラスに俺がビールを注ぐ。
「えっと、何に乾杯します?」
「久々の兄ちゃんの予約にで、ええんやない?」
「はは……じゃあ、それで」
俺は苦笑しつつ瓶を置き、グラスを持った。早瀬が大きな声で言う。
「んじゃ、兄ちゃんの一か月と十三日ぶりの予約に、かんぱーい!」
「乾杯!」
互いのグラスを当て、一気にビールを傾ける。ちゃんとのど越しまで再現されているんだから驚いたものだ。
「プっ……ハァーっ! VRビールも久々に飲むと美味いもんやねー!」
「相変わらずいい飲みっぷりですね。って、俺が前に予約した日を覚えてたんですか?」
「そらそうよ~。兄ちゃんのアレ結構立派やったし、それに兄ちゃん、最近は私らの間でたまに話題になっとるもん」
言いながら早瀬は皿の上のさきイカを摘まむ。俺は枝豆の皮を剥きつつ聞いた。
「俺が……ですか?」
「うん。リゼちゃんの初勤務の話とか、笹木に勝った話とか……特に最近やと、詩子ちゃんをヒイヒイ言わせたやろ? 『あの詩子が!?』って、みんな驚いたもん」
「いや、まあ、アレは……」
「分かっとる分かっとる。詩子ちゃん、たまに暴走するからなぁ。私も似たような趣味持っとるから、気持ちは分かるんやけど……」
そこまで言って早瀬はぐびりとビールを飲んだ。よくよく堂々とした飲みっぷりである。
「え!? 姐さんも少年好きだったんですか?」
「いやいや、そっちやのうてBL……男同士がなんやかんやする方。言っとくけど、あくまで二次元の話やから誤解せんといてね?」
「え、ええ。でもなんか意外ですね……」
驚く俺のグラスにビールを足しながら彼女は言う。マグロの刺身に箸を向けつつ、俺はそれに返す。
最初は、何となく選んだだけだった。
その日の俺は今日のように仕事の方でやらかし、その気分を晴らそうを思って来たのだ。しかしながらプレイ中もそのヘマを思い起こし、今ひとつ入り込めなかった。
ただ、そういう後ろ向きな楽しみ方が彼女の勘に障ったのだろう。
『あー、あかんあかん! 兄ちゃん、ちょっとストップ! 一回飲も!』
そう言うと彼女は自分の方から仕切り直しを指示してルームを自宅っぽい部屋に変え、VRビール等を用意すると宅飲みを始めたのだ。
そして勢いに押されるままに飲みを始めた俺に、早瀬はビール片手に聞いてきた。
『そんで、何があったん? ちょっと聞かせてみ?』
思い返してみれば、酷くつまらない話を彼女にしたと思う。しかし早瀬はそんな話を丁度よい相槌を挟みつつ全て受け止めて聞き切ってくれた。話終えた時、随分と胸の重みが軽くなったのを覚えている。
『少しはスッキリしたみたいやな……ほんなら続き、やろか?』
俺の顔を見てそれが分かったのだろう。そう言って早瀬は笑った。
何かしらでヘコんだ日、気持ちが塞いでいる時──そんな時、俺は早瀬を指名する。それは仕事の同僚にも吐き出せない事を話せる、おそらくは飲み友達を求める感覚に近いのだろう。
「はっはっはっ! そりゃまた偉く派手にやらかしたなァ!」
そして、そんな愚痴めいた話を彼女は豪快に笑い飛ばす。それが下手な同情や共感より俺には効く。
「いや、やっぱどこでも有るって! 私らの方でも毎日よ、そういうの。この前とか『リオン』がお客さんぶん殴っちゃって」
「殴った!?」
「ご新規さんのボンボンで、どーもリオンの事をよく分かってなかったんね。『金積めばNG解除できる』と思ったんかスカトロ要求して」
「うわ……」
「そしたらもうリオンがキレてなぁ……お客さんの顔をグーで殴ってからルーム消してロビーで更にもう二発、そっから蹴りまで出てきて」
そんな話を早瀬はジェスチャーを交えて話す。緩く笑いつつ、俺はビールを傾ける。
どれだけ話をしただろうか、気付けばビールはあらかた飲み干し、テーブル上のおつまみもバタピーが少し残ってるくらいだ。
「はぁ~……今はそんな風になってんのね」
「逆に効率化できた感じですね。無駄に会議が脱線することも減りましたし」
「なるほどねぇ……おっと」
ふと、早瀬が壁に掛けられた時計を見た。
「あ~、もうこんな時間か! 兄ちゃん、そろそろ始めよ?」
「え?」
「ただ飲みに来たって訳でもないやろ? 私も兄ちゃんの、久々に味わいたいし」
そう言いつつ早瀬は俺の方に回り込んできた。パーカーを脱ぎ、上半身がスポブラだけになる彼女。この店の嬢のバストサイズはいわゆる無~爆まで一通りの大きさが揃っているが、早瀬の胸は「巨」と「爆」の中間あたりと言えるだろうか。厚手の布地に窮屈そうに収められた乳房の深い谷間からも、その大きさは十分に窺い知れる。
彼女のストレートな物言いに、俺は素直に答えた。
「姐さん、お願いします」
「よっしゃ! そんじゃ兄ちゃんは、そのまま寝とって?」
俺の身体をゆっくりと押しつつ、早瀬は俺の下半身に身を寄せる。
「服、消します?」
「ええよええよ、こういうのは雰囲気やろ?」
彼女は俺のスラックスのベルトを外し、それを引き下げる。俺は足を上げて早瀬が脱がせるのを補助する。続けてトランクスも。
「うわぁ……これこれ、ホント立派やわぁ」
「いや、姐さんの胸には負けますよ」
「お?
露出した肉棒に息を吹きかけるように言う早瀬。俺の言葉に何か察したのか、スポーツブラの襟元に指をかけ、そこを引っ張って空間を作る。
「ちょっと待ってや? んっ……ん、むぅ……あぁ……」
口を閉じ、中で舌を転がして唾液を溜めているようだ。やがて彼女は口を開け自らの巨乳の谷間に唾液を垂らした。襟を戻し、今度はブラの下側を引っ張る。
「疲れとるやろ? 今日は私が全部したげるからな……よっ」
「うっ……!」
もう片方の手が肉棒に添えられ、早瀬の下乳の谷間に導かれてゆく。次第に竿を包む温もりと唾液の滑りに俺は声を漏らす。
すっぽりと彼女の乳房の谷間に肉棒が呑み込まれたのを確かめ、早瀬は両手を自身の胸の左右に回すと更に乳房を肉棒に押し付けた。
「うっはぁ……兄ちゃんのチンポ、凄い熱くなっとるわ……ほら、動くで?」
「お、お願いしまっ……うおっ!」
返事を言い終える前に肉棒を締め付けと快感が襲い、俺は思わず声をあげた。
スポーツブラで十分な乳圧が生まれている早瀬の谷間。膣や尻穴とはまた異なる締め付けと弾力。「パイズリは言う程気持ちよくない」とはよく言われるが、ここまでの極上の乳であれば話は別だ。
「んっ、はあっ……ど、どない、兄ちゃん?」
「さ、最高、です、姐さんっ……!」
時折、ローション代わりの唾液を更に垂らす。彼女も感じてきているのか、その熱さが増してきているように思える。
そして何より、先ほどまで酒の席で盛り上がっていた相手が、その場で献身的なパイズリをしてくれている。それが何よりの興奮を俺の中から湧き上がらせる。
完全に勃起した肉棒は窮屈そうに乳房の谷間で暴れ始めた。時折、彼女が体を下げた時に唾液に濡れた亀頭が覗く。
「んはっ、や、やっぱめっちゃええわ、このチンポ……ホント、挟み甲斐があるっ……あふっ、ちゅ……」
「くうっ、ね、姐さん、それ、効くっ……!」
顔を出す亀頭に早瀬が舌を伸ばし、鈴口をつつく。それでいて両手は絶えず動き、乳房の動きを一定にせず俺の肉棒を締め付け、射精を促してくる。
「ふふっ、今のがええのん? それ、なら……はむっ」
「うぐっ!」
乳房の動きを根元から絞るようなものに変え、早瀬は大きく口を開けると亀頭を咥えた。彼女の熱い舌が亀頭を舐め回す。
早瀬の奇襲に俺の腰が跳ね、急速に射精感がこみ上げてきた。
「ね、姐さんっ! そろそろ、射精るっ……!」
「んぱっ……みたいやね。ええよ……このまま兄ちゃんの精液出るとこ、見せて」
先ほどまでの豪快な物言いとは一変した囁くような甘い声、同時に乳房を挟む手の動きを速め、ぐにぐにと形を変える乳房が俺の肉棒を強く挟む。
俺は堪らず、抑えていた射精感を解き放った。
「あっ、おっ、ああぁっ!」
「ンンッ……うわ、凄っ……!」
噴水のように亀頭から精液が迸る。白く濁った液体が早瀬の顔を、唇を、スポーツブラを汚してゆく。
「うっわ~……谷間、水たまりできとるわ……ふっ、んふっ……」
「ぐっ!? ちょ、搾られっ……」
彼女の言う通り、深くつくられた谷間には精液が溜まって水たまりのようになっていた。下から上へ、捏ね上げるような乳房の動きは竿に残った精液まで絞り出し、それを早瀬は丁寧に舐め取ってゆく。
やがて完全に射精が治まり、ようやく早瀬は谷間から俺の肉棒を開放した。
「あ~、ベタベタ……ちょっと脱がせてな」
身を起こし、彼女は精液塗れのスポーツブラに手をかけるとそれを脱いだ。
巨大な乳房が重そうに揺れつつ現れる。手に余るサイズながらそれは重力に負けることなく張りを維持しており、濃い桃色の乳首がその先端で揺れている。先ほど谷間に溜まっていた精液が零れ、彼女のやや日焼けした肌を濡らす。その強烈な存在感に俺は息を呑んだ。
「そんじゃ、次は……
テーブルに残っていたお手拭きで精液を拭い、早瀬は腰を上げると下を脱いだ。全裸になり、俺の上に跨る。
「ほら兄ちゃん、早く起きんと」
「くっ!」
精液と唾液に塗れた肉棒が彼女の手に包まれ、しこしこと扱かれる。射精の余韻を残して半勃起状態だった肉棒は瞬く間に再度の勃起を取り戻し、寝ている俺に対し垂直に屹立した。
「兄ちゃんのパイズリしとった時に、割と私の方も『来とった』から……」
早瀬は肉棒に手を添えたまま自身の秘唇に亀頭を押し当てた。
「あふっ、ンッ、あぁっ!」
「お、おおっ! 姐さん、熱っ……!」
そのまま腰を落とし肉棒を呑み込む。VRビールの効果もあるのだろうか、やけに熱い。
「くっ、うぅ~……兄ちゃんのチンポ、効くぅ! オメコ、悦んどるわぁ……!」
「姐さんこそ、凄い……気持ち、いい……!」
「今度は一緒にイこ? ちょっと、頑張ってなっ……んっ、あふっ、ああっ……!」
そう言うと早瀬は俺の胸板に手を置き、自ら騎乗位で腰を振り始めた。俺もそれに応えるようにタイミングを合わせて腰を突き上げる。
「んひっ! すご、奥っ! に、兄ちゃん、前より大きくなったんちゃう? あぅんっ!」
「姐さん、こそ、前より鍛えて、ます、よねっ! 締め付け、凄くなって、ますっ!」
「ああんっ! そんな、胸、揉んだらあかんってぇっ!」
腰の動きに合わせてゆさゆさと揺れる早瀬の乳房に俺は手を伸ばし、下から揉み上げる。興奮によって更に張りを増した彼女の豊満な乳房は俺の指に確かな弾力を返してくる。激しい二人の動きにテーブルのビール瓶が揺れる。俺は夢中で早瀬の巨乳を揉みつつ、更に腰を突き上げた。
「あんっあっあぁっ! ま、負けへん、よっ……んあぁっ!」
「ぐっ、おおっ!」
早瀬が腰の動きにくねりを加え始めた。抜けない程度まで腰を上げ、うねりつつ再び肉棒を包み、締め付けてくる。
彼女の動きに肉棒は快感を覚え膣内で跳ねる。次第に強まる射精感を堪えつつ、俺は彼女の乳房の感触を、膣内の強い締め付けを、そして汗を浮かべつつ俺の上で踊る健康的な肢体を堪能する。
「ヤ、ヤバっ、私、そろそろ、イクかもっ……!」
「俺も、ですっ! スパート、いきますっ!」
「ンンッ! あ、はうぅっ!」
ぱんぱんと肉を打ち付け合う音が無人の居酒屋に響く。
「あ、あっ、ああっ! イク、イクぅっ!」
「で、出ます、姐さんっ!」
「出してっ、全部出してぇっ!」
「うおっ、お、おおぉっ!」
早瀬が背を反らし、一際大きく体を震わせる。俺は彼女が絶頂に達したのを確かめ、射精感を解く。
「あ、あ、ああぁっ! 出とる……兄ちゃんのザーメン、一杯ぃ……!」
「あぁ……姐、さん、出る、凄い出るっ……!」
二度目だというのに大量の精液が彼女の膣内に注ぎ込まれる。ごぽりと結合部から精液が溢れ、力が抜けた早瀬が繋がったまま俺に覆い被さる。
「あふぅ……やっぱ兄ちゃん、私と相性ええわ……マジイキしたの、久しぶりや……」
「それは、どうも……姐さんも凄く、良かったです……」
「ははっ、光栄やね……どう、明日もこれで頑張れるか?」
そう言うと早瀬は笑った。俺はそれに微笑みで返す。
「ええ、お陰様で」
俺と早瀬が絶頂に達したのは、延長にかかる直前だった。
「延長したいんやけど、ごめんな! この後に配し、じゃなかった、用事があってなぁ……」
「いいですよ、それじゃ、また」
簡潔な別れを交わし、俺はロビーに戻る。来た時と同じ景色。しかしそれが少し違って見える。
「『明日も頑張れる』って答えたからには……頑張らないとな」
俺は肩を回し、現実に戻る。
今日の失敗談を次の成功談に変えて、今度会う時には彼女に話そう。そんな事を思いつつ。