俺は自殺屋を始めた。誰か死にたがってる奴に助言をするのが仕事だ。自殺のことなら俺は何でも知ってる。やり方も痛みも。なぜそんなことを知ってるのかって?
俺はな、死ねないんだよ。厳密に言うと死ぬと人生を1からやり直させられるんだ。全く迷惑なことだ。
まずそのループに気づいたのは30年くらい前のことだ。俺が大学生ぐらいのときにすべてが嫌になって自殺した。それが初めての自殺だ。首つりだったんだが苦しかった。初めてのことは何でも下手なもんだ。苦しくなくなったあと俺は目を覚ました。見覚えのある部屋。少し若いお袋。俺は悟った。赤ん坊に戻っていると。驚いたね、そして残念だった。死にたかったのに死ねなかった。でもこれはチャンスだと思った。俺のクソッタレの人生をやり直すチャンスだと。だが2周目ってのは何もかもが面倒だった。ゲームで例えたらレベルがそのままでまたストーリーをさせられるような感じだ。だから俺は孤立した。つまんねぇ奴らと一緒いるのが嫌だったからな。2回目の自殺は早かった。5歳の頃だ。終わらしたかった。でも終わらない。ループは続いた。それから俺は何回も何回も自殺を繰り返した。できるだけ苦しまないやり方を考えて。そして俺は諦めた。無駄だと悟った。そして考えた。寿命で死ねばどうなるのかと。俺は試したくなった。しかし20歳頃になって金の問題で餓死しそうになった。親から金は貰えない。餓死するのも悪くないと思ったが俺は寿命で死ぬという目標一つで生きてきた。曲げたくはなかった。そこで思いついた。俺が稼げる唯一の方法。自殺のやり方を教えて金を稼ごうと。それで俺は自殺屋を始めたんだ。
全財産を俺によこす代わりに苦しまずに、迷惑をかけずに死ぬ方法を教える、後処理は俺がやるとネットでサイトを作った。殺し屋みたいなもんだな。証拠を残さず自殺させる。本当にこんなんで金が稼げるのか不安だった。だが思ったよりもこの世の中には死にたいやつが多かったようだ。
初めての客は男子高校生だった。なんでも学校でも家庭でもいじめられて生きるのが嫌になったんだと。俺は教えてやった。苦しまずに死ぬ方法を。迷惑をかけなくて済む死に方を。でもこいつは信じられないと言った。
「本当にそんなんで苦しまずに死ねるんですか?後処理も本当にしてくれるんですか?」
「あぁ。俺は何度もこの方法で自殺させたからな。」まぁ自殺したのは俺なんだがな。
「そんなの信じられません。」全く、こっちは何回自殺したと思ってるんだ。俺は証拠を見せる方法を考えた。そうだ。こいつを雇えばいい。そして仕事の現場を見せて最終的に自殺させればいい。人手が増えて一石二鳥じゃないか。
「じゃあ証拠を見せてやる。だから俺の手伝いをしろ。」
「えぇ…いきなりそんなこと言われても…」
「方法を教えちまったからな。こっちは死んでもらわないと困るんだよ。」
「そうですか…じゃあ少し考える時間がほしいので一度帰っても」
「ダメだ。逃げるかもしれないからな。一緒に来てもらおう。」半ば強引に俺は従業員を雇った。今思えば誘拐だな。
そして俺は、いや俺達は自殺屋を初めた。
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