御手洗ジャンクはハートフルシナリオを書きたい 作:ヤングコーン
この物語を書いてる作者が病みすぎて鬱な内容になってるから
心が病んでるなら絶対に見ない事をお勧めするぜ!
「デート?」
「行って断ってくるだけだ」
「でも向こうもおしゃれして来るかもしれないんでしょ?」
「幻滅してくれるなら大いに結構。俺も付き合う気ないんでね」
俺は美穂の言葉を適当に流して靴を履いて家を出た。最初からちゃんと連絡先を聞いててくれればわざわざこうして待ち合わせ場所に赴くこともなかったんだ。小言を言いたい気持ちを喉の奥に押し込んだ。
早速と待ち合わせ場所に到着する。少し早かった気がするが…。目印は何て言ってたっけか。俺はメモ用紙を探す。しまった、テーブルの上だ。美穂か隆盛はまだ家にいないかな。
「あの、檜木さんですか?」
声をかけられた。振り返ると、少女趣味の服装の女性がいた。
「沙織さん…ですか?」
苗字を聞かされてないので名前で呼ばざるを得なかったが、本人は何も言わずうなずいてくれた。
「その…ごめんなさい!母が勝手に話を進めちゃって…。私、恋人がいるんです」
何も話をする前にフラれた。まぁ願ったりかなったりではあるが。とりあえず話せそうなタイプだったので、近くの公園で話をすることにした。こちらも話を勝手に進められた事とか。凛々解脱の会に入ればいい子は沢山いるという話だったが、当の俺は入る気がない事をオブラートに包んで申し上げた。
どちらも話す事がなくなったのでお互いに早くこの場を離れたいのだが、別れの言葉をどう切り出していいか分からずしどろもどろになる。
「すみません、人と話すの苦手なんです」
「俺もそんな感じです」
少しして散歩しようという話になった。途中で沙織さんの恋人の話になった。かなり独占欲が強く束縛が厳しいとの事だった。
「スマホの履歴を覗いてくるって…さすがに普通じゃなくないですか??」
「いえ、そんなじゃないんです。ただちょっと愛情が強いだけで…」
あまり首を突っ込むつもりはないが、さすがに人のスマホのあれこれを覗くなんて非常識極まりなくないか??彼女は自身の恋人に対する不満を言いながらも、そのたびにフォローを入れている。
あまり恋人の事を言うと「恋人の事を悪く言わないでください」と怒られそうな感じだし、この話はどうしたものか…。しかし、ついさっき知り合ったばかりの人の恋人事情を聞いて別れた方がいいというのはどうなんだろう。
ふと、学校前についた。
「…私、自分が大した人間じゃないってわかってるんです。でも、誰かにとって安心できる存在でありたいというか…。誰かを助けたい、救いたいって思うんです」
彼女は学校の方を眺める。
「そうでないと自分の存在が赦されない気がして…。この学校で昔、自殺未遂をした人がいたんです。その人を助けた時、少しだけ自分の事を赦せた気がしました」
「自殺未遂?」
「はい、木に引っかかってたので下ろしてあげたんです。そしたらとても感謝してくれて…。でも、今思うとどうなんだろうって思うんです。生きる事の方が死ぬより辛いなら、私がしたのはやっぱり自己満足だったのかなって思ったりも…」
「すみません、ちょっと話を遮る様で悪いんですがちょっとここで待っててもらえますか?」
「は、はあ…わかりました」
俺は自宅に走って戻り、自分の部屋からハンカチを持って行った。そして校門で学校をぼんやり眺めている沙織さんにハンカチを見せた。彼女はギョッと驚く。
しばらくハンカチと俺を見比べていた。
「え…?」
「それ、たぶん俺です」
少し困惑していた様子だったが、ハンカチは受け取ってくれた。
未だに辛く苦しい事も多かったけど、今は生きててよかったと思っていると話すと彼女はホッと安心してくれたようだ。まさかこんな所で出会うことになるだなんて…。
ちゃんとお礼も言えたし良かった。キリがいい所になったのでいい感じの締め言葉を考えていると、ふと彼女は言った。
「…あの、未だに死にたくなる事ってありますか?」
「まあ…はい。決行はしませんが」
「たまらなく死にたくなった時って…どうやってその気持ちを抑えていますか?」
どう答えたらいいんだろう…。正直な所を言うと、本当に死にたくなった時は死にたくなくなるまでは着実に準備に取り掛かるタイプなのでストレートには答えられない。かといってあまりにきれいごとを並べてもいかなものか…。
色々と考えたけど、無難そうな言葉を選んだ。
「心が癒えるまで部屋に引きこもります」
「そうですか…」
彼女は少し悲し気な笑顔を浮かべた。そうして、どちらからともなく別れの言葉を切り出すとそのままこの場を去った。
彼女は命の恩人だ。何かしてやれることがあったならとは思ったが、何も思い浮かばない。もう二度と会う事もないんだろうなと思うと例えようのない虚無感だけが残った。もう忘れよう。ただ幸せを祈ろう。
自分が手を広げた範囲にいる誰かを幸せにしよう。
最新作のネタが思い浮かばない。深刻なネタの枯渇に悩みつつも、俺はゲームをしていた。弟が忙しいもんでゲームの素材集めとかそんなのを補填してあげている。イソフラボンは俺の描いた小説を見ていた。
彼女はスマホを置いた。
「やっぱりハートフルじゃなかったじゃない」
「だめぽ…」
一緒にゲームの協力プレイをする。最近バイトをやめたらしく、次のバイトが決まるまで暇してるらしい。彼女も最近はスランプ気味らしく続編が出ていない。
「怪文書のスランプってなんだよ」
「うるさい。この間はなんとなしに意味を込めた文章にしちゃった挙句に解読に成功されたよ」
あの解読班、まだ頑張ってるんだなぁ。この間の小説に関しての解読した投降に関して、その認識で合ってると返信していた。解読班の喜びようも凄いが、代わりにイソフラボンのアカウントは凄い落ち込みようだ。
意味不明な文章を書く事へのこだわりは分からないが、リアルでの生気のない表情だ。
「ファンが新作待ってるみたいだぞ」
「駄作を投稿する事になれるぐらいなら筆を折る」
彼女はスマホを弄ってこちらに最新作を見せてきた。
『タンパク質、焦げ目のついた卵の袋閉じが油にのって揚げられる。塩コショウの罵声がPOPと音を立て蓋を叩き、豆腐のタレが肉に染み付いて憚る』
と書いてあった。いや、いつもの怪文書だと思うが…。彼女の思うにはこれではダメらしい。
ゲーム内のアイテムももそろってやる事がなくなった。お互いにフロアに横になって沈黙する。
「暇の潰し方の1つぐらい教えてくださいよぉ先輩ぃ」
「何もしないという暇つぶしがあんだろぉ」
暇をすることに慣れている俺と、暇だと損した気分になるイソフラボン。やがてイソフラボンがホラー映画の様に這って起き上がる。そしてソファに座ってスマホをぽちぽちと操作している。あのタップ回数は小説だろう。俺も何か書かねば。
そう思って俺も起き上がりパソコンに向かって座り起動する。頭の中では没案だったがもうここまで書くネタがないとそれを書くしかない。パスワードを入力したのちに文章ファイルを開いた。
「毎回思うんだけど、ジャンクの小説って昔からジャンルに関わらずよく死人がでるよね」
「ふとした時には死んでいる」
ある時書いてた小説、元から死人が多かったが特にテンションが高かった日に書いた7割の登場人物が1話で死んだ。あれからテンションが高い日は書かない事にしている。俺は早速とカタカタと新作を書き出した。
「で、今回はどんなネタなの?」
「二次元ロ○を愛するロ○コンの話」
「どうやってハートフル路線につなげる?」
「今作は無理じゃないかなぁ」
本作の主人公は二次元のロ○にしか興味ないので、パソコンの中のキャラがヒロインになる。と言っても主人公と会話したりしないし結ばれもしない。
ハートフルストーリーにはできないと判断したので諦めたが、最終回でこの主人公をどうするかだけが悩みだ。書いている最中にいい案が思いつけばいいが…。そして、投稿サイトのジャンル指定が思い浮かばない事を考えると、また俺はフロアに寝転がった。
今日はもう何やってもうまくいく気がしない。
この作品のジャンルがコメディだった事を今更思い出して自分で驚くこの頃。
話がやけに重く鬱になってしまった気がする。困ったなぁ。
書いているうちに明るい話になる事を期待して書き続けようと思う。