御手洗ジャンクはハートフルシナリオを書きたい 作:ヤングコーン
前書きってこんなテンションを続ける暗黙の了解とかあんの!?
とか思いつつ今作について特に紹介できる事はないからここを読むぐらいなら
本文を読んじゃって!それじゃ!
ジャンクの家に泊まる時は、美穂ちゃんと一緒の部屋で寝る事になる。前の様にきょどる事は少なくなったけど、彼女の一緒にいるとやっぱり落ち着かない。変な寝言を言ったり、何かしでかして嫌われてしまわないか不安になる。彼女はすぐに深い眠りにつくのでそこまで苦ではないのだが。
今日も美穂ちゃんが先に眠った。だから、もうすぐ私も眠りにつける。ぼんやりと瞼を開けたり閉じたりしながら眠りの時を待つ。
しばらくして、段々と意識が落ちく…。
………。
「イソフラボンさん…」
声で起きた。美穂ちゃんだ。ベッドの前でぼんやりと立っている。一瞬驚いたが、冷静になる。
「どうしたの?」
「一緒に寝てもいいですか?」
「うん…いいけど」
美穂ちゃんはベッドに入って来る。
「何かあったの?」
「怖い夢を見ちゃって…。家族が何故か私の葬儀をしてるの。棺桶の中に私の死体があって…。でも私は確かにそこにいて、皆に『私はここにいるよ』っていうのに聞こえないの。父さんも、母さんも、兄さんも、隆盛も…。皆棺桶の私を見るばかりで私の方を向いてくれなくて…辛くて…」
嫌な夢だ。美穂ちゃんは鼻をすすって泣く。荒唐無稽な夢なのに、起きた時その夢の事を思い出すと胸が苦しくなる…そんな経験をしたことがある。だから彼女の見る夢の辛さもなんとなくわかる。私は彼女の頭を撫でた。
まだ気持ちの整理がつかず泣き止まないので、私は彼女を抱きしめて頭を撫でる。彼女も私に甘えるように抱き着いて泣く。
「イソフラボンさんって優しい。こんな私を笑わないでくれる」
「誰も笑ったりしないよ」
次第にすすり泣きの声もやむと、静かに眠ってしまった。この体制じゃ私もちょっと眠りづらいけど…。しょうがない。美穂ちゃんのためだ。私も頑張って寝る事にした。
朝になった。思いのほかスッキリ眠れて驚いている。時間を見たいけど美穂ちゃんを起こさない様にスマホを取るのは至難の業だ。そう思っていたが、美穂ちゃんは案外と先に起きていたようだ。私の視線に対してパチリと目を開けてこちらを見るとにっこりと笑う。可愛い。
彼女はギュッと抱き着くとそのまま動かなくなる。
「美穂ちゃん、今日学校でしょ?」
「…休もうかなぁ」
「ダメでしょ」
ぴしゃりというと、彼女は不満げに口を膨らませてからスマホの時間を確認する。ちょうどこの角度からは時間が見えなかった。
「まだ登校時間までいっぱいあるよ」
「美穂ちゃんってば不良なんだー。忘れ物がないようにちゃんと時間に余裕をもってじゅん…」
言い終える前にキスされた。え??
「え???」
「じゃあ、私今から不良になるから」
え????え??????
頭の理解の追いつかないうちに両手を抑えられてまたキスされる。唇が離れてからしばらくして、現実で何が起きているのかようやく理解できた。彼女の綺麗な瞳が私を離さない。あれはまるで捕食者の様な目だ。
先ほどまで小動物の様に小さくなっていた子が、獰猛な肉食動物に変わっている。保護する立場から、捕食される立場に変わった。いけない状況なのは分かっているのに、こんな状況なのに…不覚にも心はドキドキとしてしまっている。
紅潮した顔。加虐心をむき出しにした笑顔。私はごくりと唾をのんだ。
「ねぇ…知ってるよ。京間さんから聞いてさ。イソフラボンさんって凄い腕力なんだって。こうしてマウントを取ってるけど、本当は抵抗できるんでしょ?ねぇ…」
ドキ、ドキ、ドキドキドキドキドキ…。
「不良になった私を叱ってくれるんじゃないの?今すぐにさ、『こんな事やめよう』って。私を押しのけて…」
耳元で小声で囁く。分かってる。彼女の言う通り、今すぐにこの行為をやめさせる事ができる。できてしまう。分かっているのに抵抗できない。しない。したくない。こんな事、ダメなのに…分かっているのに…。彼女は私の返事を待ってただ笑顔を浮かべる。
私の背中に、罪悪感と背徳感と、伴う被虐心がせりあがって来る。彼女は私の顎を掴んで近づいてくる。私の顎を掴む手に力はほとんど入っていない。不意打ちじゃない。今度は避ける事ができる。分かっているけど動かない。動きたくない。
彼女は私の目の前でピタリと止まる。ただ瞳が私を見据えている。ゾゾ、ゾゾゾ…。見えない黒い手が私の心臓を掴んだ。感じる。逆らえない。逆らいたくない。虐められたい。私は自分から進んで彼女に口づけをした。
彼女は体重をかけながら私に覆いかぶさって何度も何度も唇を重ねる。
「可愛い…」
「美穂ちゃん、私…」
体が火照って、頭が沸騰しそう。彼女の細くしなやかな指が私の服のボタンの1つ1つを外し行く。そして下腹部にピタリと人差し指を置くと、つつつ…とゆっくりと降りていく。やがてズボン…下着へと指を滑り込ませていく。焦らしに焦らされ、私は次の刺激に期待を高ぶらせていく。
「おーい、そろそろ起きないと遅刻するぞー」
ジャンクの声だ。彼女はニヤニヤしたまま私を見つめる。美穂ちゃんのスマホからアラームが鳴った。起きる時間をちゃんとセットしていたらしい。私の胸の高鳴りはまだ冷めないままだ。彼女は突っ込んでいた手をススス…と引き上げる。
彼女はその手の人差し指で自身の唇に押し当てて小悪魔な笑みを浮かべると、その指を私の口元に当てる。
「…続きはまた今度ね、イソフラボンさん」
彼女はクスクスと笑いながら、支度を済ませて外へ出て行った。
…ピピピッ。
「よし、今度こそ大丈夫だ」
体温36.2度。今度こそ平熱だ。俺は元気に体操をする。昨日は京間にベッドから落とされたりして大変だったが、朝はとても気持ちよく起きる事が出来た。京間は仕事に、弟妹は共に学校へ登校した。珍しくイソフラボンが起きないな。既に9時を回っているのに。
朝食を食べていた美穂からは「今しばらくはそっとしてあげて」と言われたので安否の確認を取ったりはしなかったが、一体何なのだろう。
そう思っているうちにイソフラボンが2階から降りてきた。髪はぼさぼさで、変な服のシワを作っている。それにどこか熱っぽい。
「おはよう、イソフラボン。今日は起きるの遅かったな」
「まぁ…ちょっとね」
どこかぼんやりしてる様子でソファに腰かける。俺は体温計を渡すと拒否される。
「いいって…」
「いや、何か顔が赤いんだよ。もしかしたら俺の風邪をうつしてしまったかもしれないし…」
イソフラボンはため息をつくと体温計を脇に挟んで熱を測った。しばらくするとビープ音が鳴った。彼女はそれを取り出して見ると驚く。37.3度だ。やっぱり微熱なんじゃないか。
「いや、これはちが…」
「何が違うんだよ。今日はイソフラボンにゆっくりしてもらうからな」
「だから、これは違うんだってば!熱じゃなくてその…」
「?」
あれこれと言葉を選んでる様子だったが、次第に諦めてた様子でうなずいた。
「はい、熱です。すみませんでした」
何だ急に。俺はイソフラボンに上着を渡すとイソフラボンに朝食を作る。朝ご飯は既に作っていたのだが、弟妹そろってよく食べるので新たに作る必要があるのだ。どのみち俺の分も作らなきゃいけない。俺はその前にハニーホットミルクを作って彼女に出した。
彼女はスゥーッと匂いを吸い込んでから、ふーふーと冷まして飲む。一息つくとこちらを向いた。
「ジャンク、私のお母さんになって」
「嫌です…」