御手洗ジャンクはハートフルシナリオを書きたい 作:ヤングコーン
脚本家がイメージした最近の若い人って多分こんな感じっていう独断と偏見ががありありと出たおそらく全然違う世代の人が書いたキャラを見てると何とも言えない気分になる事たまにあるよね!
私はスマホを閉じた。そしてため息をつく。
「駄目か…」
エロサイトを覗くとき、いつも大海原を大航海したりジャングルを大冒険したりする様な気分になる。男性向けが主流だからなのか性癖に合った良い物が見つからない。趣味の合うネッ友と情報を交換し合っていい物を探したりするが、最近は趣味趣向が合わなくなってきた気がする。
ついさっき見ていた不倫モノ、割と本番前までのシチュがかなり凝ってたので期待値高めだったが…いざとなると女優の喘ぎ声のうるささと男優の裸姿が色々と生理的に無理でしょうがなくて見るのをやめた。
喘ぎ声を出すあれ、相手の興奮度を高めたり喜ばせるのにやるやつかと思ったら素で大きい人もいるらしい。実践したことがないので分からないが、プレイに応じて積極的に声を出していくとむしろ感度が高くなるとかいう噂も聞くが…ガセ?マジ?
あまり言いたくないが…実はイソフラボンさんも割と声が大きい方だ。ドストレート好みでちょっかいをかけたら割と向こうもノリノリだったのであれから時折スキンシップを試みているのだが…隆盛や兄さんの所まで声が届きそうなのを思うと躊躇ってしまう。(自分でも大概だとは思ってるものの、さすがに『声を抑えて』って頼む度胸がない…)
後、男優のムダ毛はマジで何とかして欲しい。ムードが盛り上がって来る最中にドアップになる毛で萎える。というか剃りたくならないのだろうか。たまにクラスで調子に乗って髭とか生やしてるやついるけどアレ内心はイケてるとか思ってる系??
確かに有名人で髭が似合ってる人もいるけど…。似合ってるかどうかは鏡を見ればわかんじゃん…。兄さんはその辺り気を付けてるけど、隆盛は頼むからあのままでいて欲しい。
「ダストシューッ!!!」
隣の部屋から隆盛の声が聞こえてくる。うるせえ。どうせまた新しいクソゲーやってんだろう。私は隣の部屋の壁に向かって蹴りを入れた。
私はまたスマホを取り出してニュースを確認する。げ、私の好きな歌手が不倫したって報道があってる。皆、本当にスキャンダル好きだよなぁ…。こういうの気にする人いるけど、言ってもプライベートだかんな。他人が口出しする事じゃなくね??
「俺は他の男の精〇を飲んだ口から出す歌を聞いてたのか…」なんてコメントしてる奴いる。定期的にこんな事を書いてるやついるけど、そもそもお前らも半分は精〇から生まれたんだろうがって思う。というか、オーラル〇ックスがデフォルトなプレイだと思ってるバカ多過ぎる。普通やらないって。…やらないよね??
私の好きなフォローワーさんまでファンやめるって言いだした。どうしてだよ…アイドルが本当に辛い時ほど応援してこそのファンだろ…。私はいくつかその記事にコメントをしてネットを閉じた。皆薄情過ぎる。〇〇に救われたとか言いながら、その人の窮地にはあっさりと見捨てて責める側になる。
大体、他人の非を責めるほどおめーは清廉潔白なんですかってやつ。ありえん。
もう今日は無理矢理寝てしまおう。私は一度下の階に降りて牛乳を飲みに行く。下の階では兄さんがDVDを見ていた。
「何観てるの?」
「ホラー映画」
私も席に座って一緒に見る。今、今作の怪物が主人公らに襲い掛かっている所だ。面白いぐらいのスピードで次々と登場人物が死んでいく。ものの数分で3人が死んだ再生時間はまだ30分ぐらい。見た感じB級映画だから、全体で1時間30分前後といった所か。
しかし、開始30分でこれだけ減るのか…。これはあれか、とりあえず怪物の紹介がてらに一度は全滅するパーティーか。大体、このあたりで生き残りが1人できて次の主人公へのバトンパスで…。
そう思っているうちに最後の生き残りが殺されてしまった。死ぬのかお前…。
「はぁ…」
兄さんがため息をついた。
「どうしたの?」
「いや、何でもないよ」
「生活費の事?」
「いや、そっちは大丈夫。…まぁちょっと小説の事で」
今書いてる小説をどう展開させればいいか分からないという内容だった。具体的な小説の内容は教えてもらえないが…。イソフラボンさんに相談したらどうか、と聞いても拒否されたんだそうだ。彼女が読みたがらない小説何てどんなものなんだろう。
読ませて欲しいと言ったが駄目だった。それじゃ悩みの聞きようがない。私は諦めてDVDに集中することにした。
しばらく見ていると、映画内でカップル同士の性交が始まった。この手の映画のエロシーンって下手なAVより凝ってるよね。兄さんはDVDを止めた。
「さて、夜も遅いし美穂はもう寝る時間だ」
「いつまでも子供扱いしないでよ。何さ〇ックスぐらい」
「いいからもう寝なさい。それと、兄さんの前で〇ックスとか言わない」
私は置かれたリモコンを取って再生した。それからベッドシーンだけ飛ばして本編を再生する。兄さんは何も言わずに本編を見る。もう私に寝ろとは言わないようだ。全く、スプラッターシーンは見ても何も言わないのにちょっとベッドの上で跳ねるだけのシーンを見るなというんだから…。
「こういうスラッシャー映画におけるお約束のベッドシーンは、映画としての尺が足りないから補完として作られたのが始まりらしい」
「そうなの」
「そう聞いた」
へー。単純に監督の好みだと思ってた。
確かにさっきも物凄い勢いで死んでたし、スラッシャー映画のシナリオ進行って思いのほか考えるの難しいのかもしれない。今は怪物が主人公らの近くにおらず、対策を練っている所だ。実際に不老不死の怪力の怪物に襲われたときってどう対処したもんだろう。
そういえば隆盛が海外にはゾンビの倒し方マニュアルって言う愉快な本が販売されていたと言っていた。こっちに和訳されたその本が流れ来ないかなぁ…。
途中で登場人物の1人が行方不目になったと喚いていたペットのポメラニアンがテコテコと走っている場面が映った。そこに怪物の影が現れる。
「ぎゃーっ!逃げて!超逃げて―っ!!」
私は叫んだ。
「いや…無理じゃないかこれ」
怪物はゆらゆらとポメラニアンに近づく。やばいよやばいよやばいよ!頼む監督、人間はいいから犬は殺さないでくれ。私は祈る思いでその続きを眺める。その時、鐘の音がゴーンと鳴る。怪物はその音に気を取られ、ポメラニアンは逃げおおせた。良かった…。
怪物の攻略として鐘がキーになりそうなのだが、これはメタ的に私達に示唆されるだけであって登場人物が知ってるわけじゃない。このワンシーンが今後どう活かされるのか…。いよいよわくわくしてきた。
いよいよ、決戦の時だ。人間サイドは脆弱なりに無敵の敵に備えてあらゆる準備を完了させている。これはどうなるか…。そう思っていると兄さんがもたれ掛かってきた。
「兄さん??」
すーっ、すーっと寝息を立てている。もう、今いいとこなのに…。1人で見てもこの話ができる相手がいないのは辛い。続きは気になるが今日はもう寝よう。その前に兄さんだ。
「ほら、兄さん起きて。こんな所で寝たら風邪ひいちゃうよ」
兄さんは声をかけても揺さぶっても起きない。全くもう、世話が焼けるんだから。
私は兄さんを抱きかかえて2階に連れていく。兄さんを抱えたまま足で何とかドアノブを捻って中に入り、ベッドの上に寝かせた。枕を頭の下に敷いて敷布団を乗せる。パソコンはつけっぱなしだ。こっちもスリープモードにしておこう。
そう思って覗き込むと書きかけの小説が映っていた。こっちにはサイトもある。兄さん私が使ってる小説サイトにいたのか、知らなかった。兄さんが寝てるのを確認すると、スマホで兄さんのアカウントを見つけた上でそのままにして部屋を出た。
ちなみにジャンクの体重は65㎏ぐらい。
年は取りたくないなぁ…。(ジェネレーションギャップって)やっぱ辛ぇわ…。