※この作品はR-18です。

御手洗ジャンクはハートフルシナリオを書きたい   作:ヤングコーン

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よう!俺の名前は御手洗ジャンク!
最近書いた新作が全然反応がない!どうしてだ!
という事でイソフラボンに読んでもらって批評を聞く事にした。

一体何が駄目なんだ!どこが駄目なんだ!教えてくれイソフラボン!


26話 反省会

「まずこれどういう物語にしたかったの??」

 

「ロ〇コンの主人公が、自分の性癖に悩みながらも前向きに生きていけるようになる物語」

 

「で、最終回は?」

 

「……前向きになれたと思う」

 

「だったらあの最後のあの超展開は絶っっ対にいらなかった。普通にクエリが消えて、自分の在り方について考えたり、あるいは困ってた同じ境遇の人を助けて終わりで良かったと思う。クエリの登場は序盤で考えてた?」

 

俺は隆盛が黒いイクラ2で言っていた事を参考にした事を伝えた。今のままでは話の内容が重すぎる事とか、タイトル詐欺になりつつあるからテコ入れしたかったとか、読みに来たロ〇コンに楽しんでもらえるような内容にしたかったとか。

 

イソフラボンは髪の毛を書き上げて腕を組み、指をトントンさせながら次の言葉を考える。

 

「まぁ元々、次の小説のネタがなかったからとにかくライブ感で書いてしまって大きなプロットも組んでなかったから、クエリが登場するまでの話が冗長だったとかテコ入れがあった事まではまだいい。でも最後に思いっきりタイトル詐欺してるじゃん??」

 

いやそれはその…。まあ確かにそうだ。よくありがちな見た目はロ〇だが実年齢は数百歳というアレだが、少なくとも読者はこのキャラの中身なんてあるとは思っていなかったはずだ。それが最終回でまさか知らないおっさんになってしまったのだ。詐欺と言えば詐欺かもしれない。

 

だがしかし…伏線はそことなくばら撒いたし許容範囲なんでは…。

 

「まあ俺はその…、ただのロ〇との恋愛小説に留まりたくなかったというか…」

 

「いやそこは留まれよ…」

 

「例え中身はおっさんであっても、確かに主人公はおっさんとはプラトニックな面で惹かれ合ったんだ!だから最後は何となく別れも辛そうだし…」

 

「いや、主人公おもっくそ葛藤してなかった?ちょっと待って考え直してみ、今私が頭をパカーンと割って中身は実はエイリアンでしたとか言われてもお前絶対に困惑するだろ?」

 

しばらく考えたが、うなずいた。確かにイソフラボンが本当はエイリアンだったら困惑する。

 

…この小説のラスト、本当にイソフラボンがエイリアンになって終わったりしないよね?????

 

「それは確かに困惑するかもしれないが…。それはその…俺の内面に潜むルッキズムが…」

 

「まんま黒いイクラ2と同じ轍踏んでんだよいい加減分かれ!!!!」

 

「ぐわああああああああっ!!」

 

イソフラボンがツッコミを入れると、凄まじい風が吹いて俺は吹き飛ばされる。壁に激突すると床に膝をついた。うぐぐ…。今のは効いた…。そうだ…確かにそうだ…。弟のあの辛そうな顔が思い出される。俺は同じことをやってしまったのだ。

 

焼き肉店に、牛や鳥や豚の写真が並べられ『もっと生きたかった』いうメッセージがあって美味しく焼き肉を楽しむ事ができるだろうか。手に取る野菜の隣に『この野菜は人間で言うこの部位を食べる事になります』と書かれてて美味しく食べる事ができるだろうか。

 

買い物のレジで『あなたの支払う金と同じ分だけあれば暮らしが豊かになる』と飢餓に苦しむ子供の写真が大きく張られて買い物を楽しめるだろうか。新しく買った自動車のハンドルに『電気自動車だったなら、僕達の住処はまだあったかもしれない』と氷塊の上でしがみつく白熊の写真が貼って合って嬉しいだろうか。

 

人間は美醜を併せ持っている。厳しく倫理や道徳について考えたり、自身を律する事もある。いずれの社会問題に対しても各々が意識して向き合っていかなければならない。それを訴えかける方法について考えたり、その機会を設けるのはいい事だと思う。

 

一方で羽を伸ばして自由でありたい事もある。そんな時に求める物こそが娯楽だ。その娯楽に毒を盛る様な行為…。プライベートにさえパブリックを求める行為。あってよい物だろうか。果たしてその宣伝は本当に効果があるのだろうか。

 

とにもかくにも、フィクションは詰まる所は娯楽だ。例え作品を通して訴えかけたいものがあるとしても、それは見る人間がどんな形であれ面白いと思える事が大前提だ。俺は読者への配慮を覚えていただろうか…。

 

「私の感性では理解できない事も多かったけれど、クエリとの恋愛描写はそれほど悪くなかった。少しおっさんくさい所もあるけれど、人一倍優しくて不器用な天使。まともに読んでいる読者がいればそんな独特な彼女と主人公の物語を気に入ってたかもしれない。しかしトドメがあれだ!!」

 

おっさんぽかったのではない。中身が本当におっさんだったのだ。

 

最初から大筋さえ立てていなかった本作でのタイトルは明らかにロ〇との恋愛を謳ったモノだった。しかし、蓋を開けてみれば長々とその事で葛藤する主人公の話が続く。やっとの事で会ったロ〇天使のクエリとの物語が始まったかと思えば実は中身はおっさん。挙句に生まれた直後から本体は既に神様のとしての生活をしていたため何者か最後まで不明な母に育てられ、自身は最終的にロ〇天使になってロ〇コンを救う事になる。読者は一体どんなテンションで読めばいいのか…。

 

現時点で感想を告げてくれる読者はイソフラボンしかいない。しかし、このタイトルで来てくれたのはきっとそういう趣味の人に違いない。その人が求めた内容は飽くまでロ〇少女との恋愛物語だったはずだった。それが最後に「実はおっさんでした!えへ!」という内容なのだ。これは激怒されても仕方がない。

 

「例えどんなにクオリティが高くても、純愛と銘打ってNTRを描けば叩かれる。この作品もブレるべきでない軸は確かにあったはずなんだ。お前はそれを誤った。だからなるべくして誰にも響かない作品になった」

 

「うぐぐぐぐ…返す言葉もない…」

 

こうして謎は解けた。だが、次はこれを生かして必ずいい物語を書いて見せる。

 

「次こそはイソフラボンの望んだ新作を書く。そこで必ずイソフラボンの面白いと思う作品を書いて、この汚名を挽回する!」

 

「いや、汚名は返上しなさいよ…」

 

 

 

 

あの事があってから、俺は今度から新作はもう少し慎重に考えるため少し期間を置いていた。その間にやっているのが、あの小説を書くための資料として購入していたエロゲーである。俺は声を聴きながらポチポチとエンターキーを押して読み進めていた。

 

後ろで最近出た漫画を見ているイソフラボンは俺を見てため息をついた。

 

「やっぱりジャンクってロ〇コンなんだね…」

 

「クリアしないんじゃもったいないだろ。それに面白いし」

 

「ふうん」

 

まさか自分の守備範囲外の作品にこれだけ面白いものがあるとは思わなかった。もはやミドルプライスのクオリティじゃない。作画が非常に力が入っているのはもちろん、バックグラウンドストーリーや設定の作り込み方も半端ない。

 

知らない知識がポンポンと出て来ては、それも無駄なく作品に溶け込んで活かされている。何と言ってもBGMだ。自己主張が激し過ぎず、からと言って空気じゃない。

 

イソフラボンが後ろで読み終わった漫画を置いて、ベッドからはみ出した足をぶらぶらとさせている。俺はパソコンを閉じると立ち上がった。

 

「よし、ちょっと一緒に出掛けないか」

 

「何さ急に」

 

「本当はどっかに出かけたかったんだろ?」

 

「そんな事ねーし」

 

出かけたかったんだな…。俺は財布を持って部屋を出ると焦って一緒に出てくる。普段は使わないが自宅には車がある。それに乗って俺達は地元から少し離れた場所までドライブしに出かけた。曲を流そうと思って機器を設定していると、自分が曲を流したいと言い出した。

 

俺はイソフラボンのスマホで接続してあげると、彼女は曲を流す。ケルト音楽だ。俺とイソフラボンは顔を見合わせると少し笑う。どこへ行こうかな…。

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