御手洗ジャンクはハートフルシナリオを書きたい 作:ヤングコーン
日常生活が忙しくて中々書けないが、必ず完走してみせるぜ!
後は特に言う事ないぜ!
美穂ちゃんの加虐心旺盛なその目が見える。私の中の被虐的な心が煽られ、思わず唾を飲む。彼女は笑顔を浮かべると、その手を離した。
「せっかく憧れのイソフラボンさんと会えたのに、リビングルームに行っちゃうなんて寂しいよ。寝よ?」
私は頷いた。私はベッドに潜り込み、壁側に向いて寝た。美穂ちゃんは隣のベッドに潜り込み、そう経たないうちに寝息を立てて寝付いた。このドキドキの残り火…。安心したような、少し残念だった様な。
モヤモヤする気持ちはあったものの、眠気はそんな事お構いなしに私の意識を奪って行った。
「離せ、離さんか京間!」
俺はひっついて離さない京間を引き剥がす。俺は小説を書かねばならないのだ。寝ている京間はお構いなしに俺に抱きついている。起きもしないし。
くそう、何という粘着力。意地でも離さないつもりか。スマホでも掛けん事はないが、何しろタイプスピードがまるで違う。だから俺はパソコン。このまま体をねじって一緒にベッドから落ちればこいつを起こす事は可能だろうか。
そう思って体を捩ってみるも上手く行かない。俺の体がこいつの腕の中でぐるぐる回る程度だ。
いや、それならいっそこのままこいつを引きずってでも動けばいいか。俺は何とか京間をひっつけたまま床に足をつけ立ち上がる事に成功する。非常に重い。
俺はパソコンを立ち上げてパスワードを入力した。飲み物が欲しいな。俺は京間を引きずって下の階に降りる。階段に足をぶつけてるが、俺も気にしないし寝ている京間も気にしない。
湯沸し器に水を入れてスイッチを押した。待っている時間は暇だったが、まだ寝ぼけている俺にはぼーっと待つぐらい何と言う事はない。しかしアレだ。尿意が催してきた。連れションぐらい学生時代によくしていたが、トイレの個室に誰かと入るなんて事にはなりたくない。
ここに来てもう一度こいつを起こす必要性にぶちあたった。
「おい、起きろって」
「zzz…」
頬をぺちぺちと平手で叩くが起きない。
しょうがない。俺は京間をぶら下げながら用を足した。洗面所で手を洗い終えるころには台所から湯沸し器の水が沸騰する音が聞こえてくる。俺はコップにインスタントコーヒーを入れて湯を入れて京間を引きずりながら二階に上がった。
ガチャリとドアが開く音が聞こえた。美穂だ。目をぐしぐしと擦ると俺と目が合う。
「おはよ」
「おはよ」
少し遅れて京間が目に入って驚いてる様子だったが、質問には答える気がないのでそのまま部屋に入って行った。パソコンの前に座るとようやく京間が大きなあくびをして起きた。
「おはよう貞夫」
「イソフラボンがいる時はジャンクと呼んでくれ」
「貞夫…」
抱きしめる腕の力を強くしてすりすりと頬釣りをする。
「いい加減どいてくれ。朝からどんだけお前を引きずったと思ってるんだ。お前の事は今度からコンダラと呼ぶぞ」
いい加減に離れた京間はもう一度ベッドで寝なおす。寝るにあたってベストポーズが見つからないのかうねうねしていたが、やがて俺の方を向いたままぐうぐう寝始めた。いかん、こいつを見てると俺まで眠くなってきた。俺は大きくあくびをしてから小説の続きを書く事にした。
えっと小説ファイルは…これだな。
†
主人公2を手にかけ、寝床で目覚める男の子。死にさえ見放され、もう何も感じる事を諦めたくなっていた。そこに何かが現れる。一糸もまとわない、半透明の男の子。やがて見上げるとすでに消去されたはずの1号がいた。男の子は驚く。
『ニューモデルが完成しつつある。君もそろそろ廃棄処分されるかもしれん』
『戦わずに済むなら、それがいい』
1号は首を横に振った。彼は男の子の首元に触れた。
『何を??』
『3号、君を檻から出してあげよう。情報体となった俺にできる最後の事だ』
3号は自分の体にプログラムされたいくつかのシステムが解除されたのを感じた。この研究所の扉を開くためのレベル4の権限と命令違反防止のプログラム解除だ。彼は驚いた。今見えている1号はただの妄想だと思っていたからだ。
しかし、違う。実際に彼の言うような『情報体』としてそこにいて3号を助けるために処置をした。彼は足元から砂が舞う様にして徐々に消えていく。
『俺の役割はここまでだ。3号、後は自分の好きなように生きていけ」』
『でも俺、もう生きる目的も何も…』
1号は消えていった。残された3号はただ茫然としている。3号は近くのコンピューターを操作して現状を確認する。タナトスラスターは4号が操作しているようだ。3号達のデータを得ているが、体とのリンクがまだ完全ではない様でうまく戦えていない。
しかし、それはイロスゲインも同じようだった。操作しているのは主人公。主人公2の親友だ。彼もまた万全とは言えない状態で出撃しているため被ダメージは大きい。
3号は急いで戦闘機格納庫に向かった。そして2号の緊急コードを入力して解除を確認すると、無理矢理カタパルトからの射出の準備をする。そしてすぐに小型戦闘機を操縦して外へ飛び出た。
博士から通信が入る。3号は通信を切った。
タナトスラスターとイロスゲインの戦いが見える。ミサイルを3発発射してタナトスラスターを爆撃した。完全に狙いがこちらに移る。3号は簡易的な自動操縦に切り替えると、緊急脱出装置を起動してイロスゲインに向かって落ちる。
彼は通信をイロスゲインにつないだ。
『主人公!コクピットを開け!今すぐ!』
『誰だてめぇは!』
『イロスゲインはもっと強くなる!使い方を教えてやる!』
『はあ!?』
『犬死するかコクピットを開くか選べ!』
タナトスラスターの放ったビームで小型戦闘機が撃墜された。3号は減速装置を使って慎重にイロスゲインのコクピットの真上に狙いを定める。主人公はようやく3号が落ちてきているのに気付いたようでコクピットを開いた。
充分に勢いを殺してコクピットに着地すると、減速装置を外に投げ捨てた。そしてイロスゲインのコクピットは閉じた。タナトスラスターのアームによるパンチを食らって大きくよろめくイロスゲイン。
『お前、いつぞや見た事あるぞ!タナトスラスターのパイロットだろうが!』
『今は違う!…やはり兄弟機だ。何故…まあいい、これなら…』
1号が3号に託したインストールデータにある操作方法を行うと、操縦席が二つに分かれ2人目の席ができた。
『うおっ!お前、何をした!!』
『イロスゲインもタナトスラスターも本当は2人乗りの機体なんだ!お前は操縦に専念しろ!』
3号は2つ目の操縦席に座った。ヘルメットのようなものを被ると体が固定される。
『おい、ちゃんと説明しろ!!』
言ってる間にまたタナトスラスターの攻撃を受けた。修復するために快感が走るはずが、主人公には特に何も感じない。代わりに3号がその快楽を一身に受けているようだった。
『これで説明はいらないな?俺に構わずタナトスラスターをやっつけるんだ!』
『ちっ、わかったよ!遠慮はしないからな!!』
既に3号は不死ではない。絶頂を迎えれば死ぬ。主人公はそれをまだ知らないから、本当に遠慮のない操縦でタナトスラスターに襲い掛かる。まるで獣のように縦横無尽にアームを振り回し、よろめけば胸部からビームを放ち、ありったけの殺意をぶつける。
あと少しでトドメという所を、イロスゲインの出力が落ちた。タナトスラスターの反撃を受けて転倒してしまう。
『おい、どうした!!』
『ま、待って…頭の中…、白い波がなだれ込んできて…んっ』
『後ちょっとなんだ!堪えてくれ!』
主人公は出力を上げる。3号の体が大きくビクンと飛び跳ねた。ひいひいと喘ぎながら口からだらしなく涎を垂らしている。
しかし、あと一歩という所で敵機は撤退を決断し逃げて行った。主人公は追撃をしようとしたが、3号の状態を見て諦めた。