※この作品はR-18です。

どことなく壊れていて、どことなく甘い生活   作:MC RAT

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第103話 口移し

「んんっ⁉︎」

 てっきりチョコを食べるかと思っていた雛罌粟さんが、突然僕の唇を自分の唇で塞いできた。

 は⁉︎どうなってんの⁉︎

 混乱する僕に雛罌粟さんからの動きは止まらない。

 いつとする時のように、僕の口腔内に雛罌粟さんの舌が入り込んでくる。

 しかし今日はそれだけではなかった。何かの塊のようなものまで入ってきた。

 その塊は僕の口腔内に入ると、僕の舌の上に乗せられた。覚えのある甘さが広がる。

 あ………これ、チョコか。

 口移しで食べるチョコは、さっきよりもずっと甘くてゾクゾクッとするような感覚がある。

 あぁ………美味しい。

 しかしそれだけでは終わらない。雛罌粟さんは僕の首に腕を回すと、ギュッと抱きついてきた。

 そして僕の舌にあるチョコを挟むようにして、自分の舌をにゅるっと絡めてきた。

「んっ!くちゅ、ぢゅるっ!んふぅっ…んんっ!」

 僕達は自分達の舌でチョコを溶かすようにして味わった。溶けたチョコが僕達の唾液と混ざって流れてくる。

「ぐちゅ、ちゅむっ……じゅぷっ……んぐっ!…んくぁっ!、あむっ…んんっ、くちゅ、ぢゅ〜ッ!ふぅっ、んんっ……んっ、んあっ……んふぅっ…ぐちゅぐちゅっ、ちゅるるッ!」

 僕達はいつも以上にねっとりと唇を重ねながらチョコを味わった。

 お互い強く抱きしめあっていて、体を押し付ける。身体の擦れ合うところが気持ちいい。

 僕は雛罌粟さんの舌にチョコを押し付けるようにして、溶けた部分を吸い取る。すると今度は雛罌粟さんが同じことをしてきた。

 チョコが溶けきって無くなっても、僕達は唇を重ねていた。チョコを味わっていた時のように、今度は舌を味わう。

 もうチョコと舌の判別もあやふやになり、僕達は貪るようにして味わう。

 やがて満足すると、僕達は唇を離した。お互いの唇が唾液によって繋がる。

「ぷぁっ!」

 僕達は唇を離すと、お互いに見つめあった。顔がさっきよりも赤くなり、息も弾んでいる。

「はぁ、はぁ………ど、どう?」

「すごい、美味しいです………」

 それ以外に返す言葉がなかった。あんなに美味しいものを口移しで食べて、それが美味しくないわけない。

「そ、そう………よかった」

 雛罌粟さんは嬉しそうに笑った。本当に綺麗な人だ。僕達の距離は近いままだ。

 僕は『また雛罌粟さんに食べさせて欲しい』という欲求を抑え込むかのように、雛罌粟さんの淹れてくれたコーヒーを飲んだ。

 何か食べさせてもらうのは甘えてるようで、自分で頼むのはな。

 いい苦さのコーヒーが、甘ったるくて理性の飛びかけた僕の中を落ち着かせてくれる。

 はぁ、落ち着くなぁ。けどそれ以上にさっきの味を、もう一度味わいたいという思いもある。

 雛罌粟さんも顔を赤くしてコーヒーを飲んでいた。何か可愛いな。頭撫でたい。

 そんな思いを抑えて僕も目を逸らしながらコーヒーを飲む。この前お酒が入ってたから良かったけど、今はね。

 しかし緊張してしまったからか、コーヒーもあっという間に飲み終わってしまった。

 

 

 

 それからしばらく何とも言えない空気が漂っていたが、雛罌粟さんはハッと何か決めたように顔を上げると、その場に立ち上がる。

「ひ、雛罌粟さん?」

「竜胆君も………立ってよ」

「は?は、はい」

 よく分からないが僕もその場に立ち上がる。

 

 

 すると雛罌粟さんが身体を前に倒して抱きついてきた。僕はそれを反射的に受け止める。

 

 

「え⁉︎な、何ですか?」

 僕はわけが分からずに混乱した。どうしたんだ?

「あ、あの………ちゃんと、伝わった、かな?」

「えっと………何が、ですか?」

 雛罌粟さんは赤い顔を、僕の胸板に押し付けている。

 こういうのは察してあげるべきかもしれないけど、僕には難しい。

「そ、その………わ、私ね………す、好きな人にこういうの…贈るの、は、初めてで!……き、気持ち、ちゃんと伝わったかな……って」

 雛罌粟さんは必死に縋るように抱きついてくる。

 気持ち、ねぇ………そんな事聞かれても困るんだが。

「その………すごい一生懸命だったのは、分かりました」

 わざわざ手作りチョコまで作ってくれて、こんな事されて分からないほど、僕は鈍くない。

 たぶん、こう言えばいいのかな?

 

 

「ありがとうございます、こんなに頑張ってくださって。すごいですね」

 

 

 そう言って僕は抱きしめる力を強くした。ここでよしよしする………のはやめとくか。それじゃあ完全に子供扱いだ。

 ダメだな。どうしても東風と扱いが同じになりそうになる。

 ただこの言い方で良かったかどうかと言われると………どうかな?

 僕は雛罌粟さんの顔を覗き込んだ。

 その顔は真っ赤なままで、目をいっぱい見開き口をムニムニさせている。

 見てて可愛いけど、大丈夫か?

 

 

「そ、それじゃあさ!」

 

 

 すると雛罌粟さんが耳元で大きな声を出した。うるさッ!僕は思わず飛び上がる。

 雛罌粟さんは大声を出した事に気がついたのか、音量を下げて言った。

「それじゃあ、さ………バレンタインの日………どこか出かけない?」

「え?それは今日、ですよ………?」

 これから出かけるの?別にいいけど特にやる事もないと思うんだが。

 

 

「あ、今じゃなくて………ら、来年の、バレンタイン」

 

 

 僕はしばらくの間ポカンとした。

 来年?また遠い予約だなぁ。思わず顔が引き攣る。

「ちょっと気が早くないですか?一年後ですよ?」

「だって………今日、ずっと一緒には、いれなかったし。本当は、どこに行くとかも、考えてた、から」

 あ………そうなんだ。そこまで………

「それなら言ってくれれば………そっち優先しましたよ?」

「それは………何かワガママ言ってるみたいで嫌だったし」

 はぁ、相変わらず真面目なこって。それくらいワガママでも何でも無いのに。

「けど、その時まで一緒にいるかどうか分かりませんよ?何せ一年後ですから」

 僕がそう言うと、雛罌粟さんは顔を上げた。上目遣いで僕を見てくる。

 

 

「そ、それじゃあ………来年も一緒にいたら………バレンタイン、一緒に過ごしてくれる?」

 

 

 その表情は怯えているようにも期待しているようにも見える。それが難しいのは、ちゃんと分かってるはずなのに。

 ズルいなぁ。こんな頼み方されたら答えは一つだ。

「そうですね。来年も一緒にいれたら、一日どこか行きますか」

「………ッ‼︎うん‼︎」

 雛罌粟さんは破顔して身体を揺らしている。

 たとえ難しいとしても、この人の今の気持ちを大切にしたい。

「えへへ………来年、楽しみだなぁ………」

 こんな僕といる事を、ここまで望んでくれる人なんだし。面白いじゃないか。

 それにしても、来年かぁ………こりゃ、ちゃんと約束守らないとな。

「竜胆君」

 すると雛罌粟さんは僕の目の前に顔を出して、僕の唇に自分の唇を押し付ける。そして僕の口腔内に舌を這わせる。

 雛罌粟さんとのキス、どんどん夢中になる。僕も激しく舌を絡めた。

「んっ、くちゅ……んんっ、ちゅるるッ!んあっ、はむっ!んぐっ……はぁっ、ぐちゅぐちゅッ!」

 チョコが無くても、雛罌粟さんの唾液は甘く感じた。もっと求めてしまう。

 短い間キスを堪能すると、雛罌粟さんは唇を離す。

「約束、ね?」

「………は、はい」

 僕が返事をすると、僕達は軽くキスをした。そして固く抱き合う。雛罌粟さんの身体、暖かくて気持ちいい。

 もう一度キスしていいかな?そう思った時だった。

 

 

「んんっ!」

 

 

 雛罌粟さんが艶やかな嬌声をあげた。その声に僕は驚いた。

「雛罌粟さん、どうかしました………」

 僕が気になって目線を下げると、思わず目を張った。僕の目の先には豊満な雛罌粟さんの胸がパジャマに包まれていた。

 

 

 その胸の先は何かに濡れたようにシミになっている。

 

 

「雛罌粟さん、これ………」

 僕はつい目線を外さずに聞いた。

「あ………これは、その………ぼ、母乳出てきちゃったのかな。上、し、下着、つけてないから」

 そう言われると、たしかに胸の先の突起がパジャマの上に浮き出ている。それで濡れたのか………

「その………さ、最近、搾ってなかったから、かな?あ、あはは………や、やっちゃったなぁ」

 そう言って笑う雛罌粟さんは、どこか白々しい。マメな雛罌粟さんがそんな事あるのかな?

 こんな状況でも雛罌粟さんは僕から離れようとせず、何かに迷ったようにオロオロしている。

 僕は抱きしめたままジッと雛罌粟さんを見た。よく分からないけど、何か怪しい。

 僕が見ると、雛罌粟さんはバツが悪そうに目線を泳がせた。それでも時折僕の目を見る。

「えっと………僕に何か求めてる、でいいんですか?」

 そう尋ねると、雛罌粟さんはビクッと身体を反応させて何か言いたそうにした。

「あ、あの、僕そこまで察しのいい人間じゃないんで。何かあるなら正直に言ってください」

「そ、それは………はぅぅ」

 雛罌粟さんは今にも頭から湯気が立ちそうだった。それでも黙ってしまっている。

 う〜ん、非常にツッコミにくいんだけど聞くしかないか。

「あの、何で………わざわざ搾らなかったんですか?」

「う、うぅ………気づいてよぉ」

 雛罌粟さんは弱々しい声で呟いた。いや、無理だって。

 いよいよ観念したのか、雛罌粟さんは僕の耳に口元を近づけると、そっと呟いた。

 

 

「き、今日君に、母乳搾って欲しくて………わざと、そのままにしてたの!………だ、だから、搾って、くれる?」




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