第107話 修学旅行
バレンタインも終われば、二月も後半となる。
そしてただでさえうるさいウチのクラスは、最近はよりうるさく感じる。
まぁ理由は割と明確で、おそらく修学旅行があるからだろう。
この時期に?なんて思うかもしれないけど、そもそも文化祭の時点で行事の日程がズレてるからな。
行き先は沖縄。僕からするとうーんと唸りたくなるような場所だ。
アニメとかの聖地がない事もないんだけど………それなら京都の方が嬉しかったな。
中学の時京都だったんだけど、その時の先生が映画村行くの禁止にしたんだよね。だからまた行きたかったんだけどなぁ。
自分の世界に引きこもりがちな人にとって、修学旅行ってほぼほぼ聖地巡礼だし。
「りん兄、修学旅行の班一緒にどうですか?」
東風にそう誘われたのは割と最近だった。水曜日の体育の授業での事。
「う、うぅ………」
「りん兄、大丈夫ですか?」
体操服姿の東風が、僕の目の前で屈んで聞いてくる。指で突くな突くな。
「ん、んなわけ、あるかぁ………」
僕はぜぇぜぇ息を切らしながら倒れている。この季節の体育って本当嫌い。主に持久走が。
何とか二十分間走を走り終えた僕は、運動場の傍に倒れ込んでいた。つ、疲れたぁ………。
二十分自分のペース守れって言いながら、十五周はしろって矛盾してるだろ。どっちかにしろ。二十分で十五周難しい人はどうするんだ。
「おい……ちょ、教室まで、は、運んでくれ………」
「私一人で出来るわけないでしょう」
僕の隣で東風が呆れている。本当にキツいんだからな。しかも次の体育でタイムトライアルとか、気が萎える。
普通体育は男女別なんだが、持久走は基本的に外でやるので必然的に一緒になる。
「りん兄本当に体力無いですね。まぁ私も疲れましたけど、倒れるほどじゃ」
「うるさい………つーかさっき何か言ってなかったか?」
悪いが息が切れてるせいかよく聞こえなかった。
「あぁはい。修学旅行の班です。ウチの班に入りませんか?」
「班ねぇ。そういや、まだ決めてなかったな」
「だと思いました。だから私のいる班に入りませんか?ちょうど一人空いてるんですよ」
なるほど。それはたしかにありがたい話だ。
ぶっちゃけ周りが何と言おうと、僕は僕なりに修学旅行を楽しませてもらうつもりだ。だから班なんてどうでもいい。
中学の時だって、最後の最後までどこにも入らないで、余ったところに入ったし。
それじゃあ修学旅行行くなよとか言われそうだけど、それはそれで面倒なんだよな。
けどこのままグダグダしてても、先生にせっつかれるのは目に見えてる。入れるところがあるならそれがベストか。
「そうだな。それじゃあ入らせてもらうよ」
「はい!分かりました」
となれば………
「班内での僕のコミュニケーションは全部お前持ちな」
「………少しは自分でも努力してください」
嫌だよ、せっかく丸投げ出来るんだもん。その方がいいに決まってる。
これが東風の班に入る一番のメリットだ。
「あ、そうだ。放課後、ウチ来れる?」
「え?いいですけど………りん兄から誘うなんて珍しいですね」
というか誘わなくても東風は自然とウチにいるんだろ。本当何となくね。
「今ウチ誰もいないからさ………」
「え⁉︎そ、それは………どういう意味で………」
どういう意味って………そんなの決まってる。
「修学旅行の荷物纏めるの手伝えよ。荷物の整理、得意だろ?」
「………あーはいはい、そんな事だと思いましたよ」
何だその残念そうな返事は。
他に誘う意味なんて無いだろ。適材適所、何なら全部任せるのもアリか。
「あ、りん兄、授業終わりますよ」
「………起こして」
「………はぁ、しっかりしてください」
そう言いながら東風は僕の後ろに回って起こしてくれた。
なんて事もありつつ、荷造りも終えて修学旅行まで残り数日となった。
といっても荷造りはほとんど東風に任せて、僕はお昼寝してたけど。
そしてその修学旅行の事を知らせないといけない人がもう一人いる。
まぁ分かると思うけど雛罌粟さんだ。
「というわけで、その日から数日はお弁当いらなくなりますので」
「うん、分かったよ」
僕はコーヒーを飲みながら、雛罌粟さんに話した。
『Cafe Red Poppy』のカウンター席で、僕は雛罌粟さんと話していた。
いつもお弁当作ってくれるから、こういう日程は知らせておかないと。
「それにしても修学旅行かぁ。懐かしいなぁ」
「そんな懐かしむような事ですかね」
僕としては気分転換としてプラスなところはあっても、学校のメンツといなければならないという苦痛でプラマイゼロだ。
「竜胆君はそういうのどうでもよさそうだもんね」
「というより、内容によりきりって感じです」
楽しそうなものがあったらそれはそれでいいんだけど、今のところそういうのが無いからな。
「せっかくなんだから楽しんできなよ。こういうのって学生だからこそ出来る事ってあるからさ」
「そうですねぇ」
それは分かってるんだけどさ、やっぱりそういうのは学生だと分からないもんだ。
「まぁ東風もいるんで、面倒事にはならないと思うんですけどね」
人間関係はアイツに丸投げよ。その方が楽だし確実だ。
「東風ちゃんか………最近どうなの?」
「? どう、とは?」
「その………関係、というか………距離感、というか」
雛罌粟さんはモジモジして言いにくそうになって言った。
は?何言ってんだ?
「別に、前と変わりませんが………」
大体そんな変わるような関係でも無いしな。昔と変わらずだ。
何かぶつぶつ独り言言うことは増えたけど。関係無いだろうし、気にしないでいいな。
「そう、なんだ………」
「え?どうかしたんですか?」
雛罌粟さんは難しい顔をして考え込んでいる。アイツ何か馬鹿なことしたのか?
「修学旅行、一緒に行動するの?」
「はぁ、そうですね」
ちょうど今日の話だ。
「ねぇ、前から聞きたかったんだけど、何で竜胆君は東風ちゃんと仲良くなったの?」
「え?………何となく、ですね」
「何となくで仲良くなった子の事をあんなに心配する?」
まぁそうだよな。何でだっけ?どうでも良かったからよく覚えてないんだよなぁ。
「そうですね………まぁ一緒にいて落ち着くし、後細かいとこ気配り出来るんで、とにかく楽なんですよ。あんまり気負わずに付き合えるんですよ」
出会った時は今にも消えてしまいそうなほどに、弱々しい子だった。だからこそ、僕の邪魔にはならないと感じた。
他にも色々とあるんだけど、とにかく一緒にいて邪魔にならないからな。楽でいい。
すると目の前で雛罌粟さんが不機嫌そうに頬を膨らませている。
「むぅ………」
って自分から聞いておいて、何で不機嫌になってんだよ。
「どうしたんですか?」
「何か………悔しい」
は?僕変なこと言ったか?って、たまにある事か。いいや。
「あ、そういえばお土産何か欲しいものありますか?」
「お土産ねぇ………竜胆君に任せるよ」
「それなら、あんまり期待しないでくださいよ」
人にお土産買うとか初めてだからな。その辺のセンスとか礼儀とかは持ち合わせて無い。
そんな会話をして、僕は『Cafe Red Poppy』を出た。あぁ、コーヒー美味しかった。
家に着いて、僕はゲームをするためにコタツに潜った。暖まるなぁ。
僕はコタツを見下ろした。
何で仲良くなったのか………本当に何だっけ?出会った時の事は………うっすらと覚えてるんだけど。
まぁ気にする必要も無いか。面倒だし。
すると視界の端に修学旅行の荷物が見えた。何だかんだでちゃんとやってくれたんだな。相変わらずだな。
っと、これは暖まるのに時間がかかる。先にお風呂に入るか。もう汲んであるし。
僕はパジャマの準備をした。あれ?下着が一枚無いな。
まぁ家の中で落としたんだろ。気にしないでいいか。
「んんっ!はぁんッ!…ひゃうっ!……あぁっ!………あっ、んあっ!……んくぁ!……ひゃっ!」
私の中に小さな水音と、普段聞かないような嬌声が響く。
その声の主は、もちろん私、橡 東風だ。
私は学生服のままベッドに寝転んでいる。学生服をはだけさせて、下着を捲り秘所と胸を露わにしている。
右手は自分の秘所に添えて、くちゅくちゅとイジっている。既に指は秘所から垂れた愛液で濡れている。
そして左手には黒い布が握られている。これはりん兄の下着だ。私はそれを鼻に近づけている。
私に修学旅行の荷造りを
それでりん兄の服を用意してる時にこの下着を見つけて、つい持って来ちゃった。
りん兄が起きなかったのと、たぶん無くなったのがバレてもりん兄なら気にしないと思ったから、つい魔がさしてしまった。
荷造りを終えてりん兄が起きたタイミングで、逃げるように帰ってきた私は、着替える事もしないで自慰に耽ってしまっている。
お母さんはまだ帰ってこない。たぶん深夜になると思う。
私だって年頃の女子、こうやって自分を慰める事はたまにある。その時に思い浮かべるのはいつも………
「ひゃんっ!はぁっ!………りん兄ッ!………りん兄ッ!そこ………ッ!あぁッ!」
イケナイ事だと思っても、つい頭に浮かんでくる。
りん兄が褒めてくれて、頭を撫でてくれて、たまにコタツで寝ていたり。この前のバレンタインの時はそれで抱きしめてくれた。
りん兄に対する自分の想いは気がついてる。でも、それを伝えてしまったら、きっとりん兄は苦しむ事になる。
りん兄には好きな人がいて、それは私じゃない。私よりもずっと綺麗で、女性としての魅力がある大人だ。
それでも私が告白したら、りん兄は悩むだろう。昔から少しでも考えると、深く重く捉える人だった。
それにりん兄は私を妹としか見ていない。だからこその距離感なんだ。
再開する前はそれで良かった。たとえ妹でも、昔のように近くにいてくれるなら。
でも………今は。
「あんっ!ひゃうッ!……はぁんッ!………りん兄ッ!……ひゃっ!あぁッ‼︎あんっ!あんっ!はぁッ‼︎………りん兄ッ‼︎」
誰もいないという安心感からか、私の指の動きはどんどん激しくなっていく。それに伴って響く嬌声も自然と大きくなる。
秘所の入り口に擦るようにイジり、息を大きく吸い込む。
りん兄の下着から、りん兄の匂いがしてくるような気がして、背中がゾクゾクッと震える。
大好きな人から盗んできた下着で、快感を得ている事に背徳感を感じる。溜まった快感が今にも爆ぜそうだ。
りん兄はこんな私を見たらどう思うかな?想像出来ないし、したくない。
私はりん兄の下着をベッドに置いて、その上に顔を押し付ける。りん兄の匂いが強くなる。
余った手で胸をイジる。いつからか大きくなって、それが今でも少し恥ずかしい。
強く胸を揉んで、力んだあまり秘所の中に指が入ってしまう。
「ひゃっ!あぁっ!はぁっ!………んんっ!はぅんッ!……あっ、あっ、あっ、あんっ‼︎……りん兄ッ!………好きぃッ!………んあぁッ‼︎イ、イッ…〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ‼︎‼︎」
新しい快感が加わって、私はすぐに果てた。自分でも知らないような甲高い声が出てくる。
全身に快感が巡り渡り、身体を強張らせて脚をピンと伸ばす。
秘所からは膣内の愛液がプシュッと噴き出た。それは私の手とシーツにかかる。
全身に襲いかかってきた快感が過ぎ去り、私は脱力した。そのまま絶頂の余韻に浸る。
「んあっ!………はぁ………はぁ……んっ」
違う。こんな事をしたいんじゃない。
私がこの身体を捧げたいのは………りん兄一人だ。
「りん兄………」
最後まで読んでいただきありがとうございました。