「んっ………竜胆君♡」
僕達は家族風呂の近くの廊下で抱き合っていた。罔象の温かさが僕に染み込んできて心地よい。
罔象の綺麗な浴衣姿に我慢が出来ずに抱き締めてしまったが、罔象は受け入れてくれた。手を繋いでお互い密着する。
それでも心の中でもっと、もっとと罔象を求める声が上がってくる。
僕は自然と罔象と顔を近づけていた。罔象はそれに少しだけピクッとする。
「キス、したいの?………ここで?」
「嫌、かな?」
「………人来たら、ちゃんと止めてよ、ね」
罔象はそう言って、僕と唇を重ねた。
「んっ♡………くちゅ、んくっ、ふぁ………あむっ、んちゅっ、んんっ♡………んぁ、はぅ、ちゅるっ、れろっ、んっ♡」
僕は罔象の柔らかい唇を求めるように舌を蠢かせた。罔象もそれに応えるように攻めてくる。
ほんの少しするだけのつもりだったが、我慢が出来なくなり段々と激しく求め合うようになる。
冷めてきた身体はまた火照り始めて、どんどんキスが激しくなっていった。
お互いの唾液が混ざり合い、粘着質な水音が僕の間で響いている。
「んんっ!ちゅるっ!れろっ、んくっ、んはぁっ♡!んちゅっ、ふぁ、んっ♡!ぐちゅ、れろっ、んぁ、じゅるるるッ♡!」
すると廊下の曲がり角の方から人の足音が聞こえてきた。
「今温泉人いるかな?」
「どうだろう?少し遅めだからいないと思うけどね」
そして女性の声が二つ、明らかにこっちに近づいてきている。おそらく温泉目的だろう。
それが聞こえたのか、罔象はそっと唇を離した。
「ぷぁっ♡………ここまで、かな」
混ざり合ったお互いの唾液が糸を引いて、赤く上気している罔象の口の端に垂れた。
罔象はそれを指で拭ってから舌で舐めとった。その様子を見て、抑えなければいけない欲望が溢れ出す。
僕は罔象を壁に追い詰めると、再び唇を押しつけた。
「んんッ⁉︎むぅ─────ッ‼︎んんっ!ぐちゅっ、じゅるるるッ♡‼︎んちゅっ、んぁっ♡!ちょ、竜胆君⁉︎人が来て、ふみゅっ⁉︎んっ、ちゅるっ、んんっ♡!んくっ、んはぁ、はぅっ♡!」
人の声はどんどん近くなっているが、僕の興奮は止まることなくヒートアップしていった。
罔象も気持ちよくなっているのか、抵抗する力が抜けていっている。さらに身体が密着してるからか、時折ビクッと身体を跳ねさせた。
向こうにいる人達は僕達のことを気がつく様子もなく、楽しそうに話しながらやってくる。曲がり角に彼女達の影が見えた。
「んちゅっ、じゅるるるッ♡‼︎んぁっ、んんっ!だ、ダメぇ♡見られちゃ、んんっ!れろっ、ぐちゅっ、んくっ、んあッ♡‼︎ほんとに、来ちゃ、ぐちゅ、んんっ♡!れろっ、んちゅっ、ちゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ♡♡♡‼︎」
罔象の嬌声が口移しで流し込まれたその瞬間、角にいた人達は曲がって僕達の方にやってきた。
「あ、ねぇあの人達………」
「え?あぁ、カップルかぁ。イチャついてるなぁ、羨ましいなぁ」
彼女達の視線の先には、僕達が身を寄せ合って………窓の外を眺めていた。
見つかる直前に離れてなんとか誤魔化した。彼女達には背を向けていて、表情は見えていない。
「アツいねぇ、静かに行こうか」
「そうだね」
小さな声で話しながら女性二人は去っていった。
僕の隣では蕩けた表情の罔象が荒く息を吐いていた。見られる寸前まで口を塞がれていたからか、真っ赤になっている。
「はぁ、んっ………もう………人来たら止めてって言ったのに………」
「いやぁ………つい」
だってあんな表情見せられたらさ、やっぱり我慢出来ないじゃん。
というか海で思いっきり人前でキスされたけどな。それはいいのかよ。
「反省してる?」
「ごめんなさい」
ジト目で睨んでくる罔象から僕は目を逸らした。
「それじゃあ罰として………」
罔象は僕の手を握り指を絡めると、僕の腕を自分の身体に押し付けた。彼女の胸の谷間に僕の腕が挟まる。
「部屋までこれで行こう」
「え⁉︎人前でこの体勢は………」
「キスするよりマシでしょ?」
「………はい」
何も言えなくなり、僕は罔象としっかり手を繋いだ。胸の柔らかい感触が腕に押しつけられる。
「あぁそれと、今度同じようなことしたら、人が来ても止めないからね」
罔象はそう言って僕の頬に唇を触れさせた。ペロッと僕の頬を舐める。
「それじゃあ、行こうか」
「…………ぁい」
今度は僕が赤くなる番だった。
「んん〜〜〜!美味しいね!」
「あぁ………美味しい」
あれから部屋に戻ると、ちょっとだけ僕達が遅れたような形で食事が運ばれてきたので、ただ今食事中だ。
お刺身やら鍋など、いかにもな旅館の食事を味わっている。
それにしても本当に美味しいな。こういう料理ってのは、旅館だからこその味のようなもの感じる。
「それに、何もしないでもご飯が出て来るのって何か不思議だねぇ」
「家事をやる人って旅行中必ずそれ言うよね」
まぁ喫茶店をやってることも含めて、自分が料理を振る舞われる側になるのが久しぶりなんだろう。
「でもたしかに、僕も一人で家事やるから………って、今は違うか」
「あぁ、
僕と罔象はウチにいるであろう
一応大掃除全般を押し付けてきたので、帰った頃には色々片付いているはずだ。
「君もあの子泊めるのは抵抗無いんだよね」
「抵抗というか、ただで結構なレベルの家事やってくれるなら泊めたとしてもお得かなって思ってるだけだよ」
「君のそういうところ、褒めるべきか止めるべきか………まぁでも、分に勉強教えてくれてるのはありがとうね」
「いえいえ、というか僕自身勉強が得意なわけじゃないから、自信はあまり無いけど」
「え?そうなの?竜胆君結構勉強出来るのかと………」
「理系はね、仕事で使うことあるから。でも文系科目は下から数えた方が早い時もあるし」
「あぁ、仕事で………たしかに殺し屋が古文単語覚えても、ほとんど意味なさそうだもんね。でもやっぱり理系は得意なんでしょ?」
「どうだろうね。単純にテスト順位で判断するなら、理系科目って高校だとみんな受けるものが分かれるし、テストもバラバラだからね。母体数が少なすぎて比較にならないからなぁ」
なんて話をしながら。食事を楽しんだ。
今日一日ずっと罔象だけどいるわけだけど、あまり初めてなような気もしない。それだけ長い間一緒にいるからだろう。
視界を動かせばすぐ目の前にいは罔象がいる。そんな状況がより近くなった彼女との距離感を感じさせる。
それが僕にはどうしようもなく嬉しかった。本当に彼女の家族になれたと実感出来たから。
ご飯を食べ終わり、布団を敷いてもらった僕達は思い思いに寛いでいた。外も暗くなり、静かになっている。
部屋の端で読書をしていた僕は、ふと罔象がどこにいるのかと辺りを見渡した。
すると罔象は窓側に置いてある椅子に座って外を眺めていた。一度彼女を見た僕は、そのまま視線が離せなくなる。
夜空の月明かりに照らされている罔象は、神秘的とすら言えるほどの美しさがあった。
艶のある黒髪が月に照らされて輝いているように見える。着ている浴衣が、その美しさをさらに引き立てている。
僕は自然と本を閉じて、罔象の方へと歩いて行った。
「竜胆君。夜景、すごい綺麗だよ」
「そうだね。隣の席、いいかな?」
「うーん、別にいいけど………どうせなら、こっちに座ってよ」
そう言うと罔象は立ち上がり、自分の座ってた椅子を指した。
「え?でも罔象が座ってて………」
「いいからいいから」
罔象は僕の手を取って椅子に座らせると、さらにその上から腰掛けた。僕の脚の間に罔象が収まる。
「これなら、同じ目線から見られるでしょ?」
「………そうだね」
僕は罔象を後ろから腕を回すと、彼女の手を握った。温かくて柔らかい手だ。
そのまましばらく外の景色を見続けていた。しかし気がつけば目線は腕の中にいる罔象に向いていた。
「罔象………」
「竜胆君、ギュッてして欲しいな」
僕は言われた通り罔象を優しく抱き締めた。お互いに身を預けるようにして見つめ合う。
「ここなら誰にも見られないし、その………」
「うん。いっぱい密着してよっか」
心地よい感触と温かさか伝わってきて、つい抱き締める腕に力が篭ってしまう。
「あのさ、竜胆君。私達、その………海でえっちしたじゃん?」
「え?あ、はい………」
罔象の言葉に僕は戸惑ってしまう。どうしたんだ?
「もしさ、私が最近ピル飲むの止めて、今日がかなり危ない日だ、って言ったら………君はどうする?」
「………は?」
突然の質問に、僕はポカンと口が開いてしまった。思考がプツッ止まる。
ピル飲むの止めた?しかも今日が危ない日って………
「え………それって…………」
「うん………これ以上シたら、本当に子供デキちゃうかも、みたいな………」
恥ずかしそうに顔を赤らめて罔象が身体をくねらせる。
そんな、それじゃあもしかしたらもう………海でシた時点で、罔象の中に子供が………。
でも………
僕は罔象の手を強く握った。
「ちゃんと責任取るよ。正式に結婚して、龗さんにも認めてもらって、産まれてくる子もちゃんと育てる!」
最初からその覚悟はあった。罔象を家族として迎えたいと思った時から、その覚悟は変わらない。
「だから、もしデキちゃったら、その時はちゃんと教えて欲しい!二人とも僕が責任を持って………!」
「ちょ、ストップ!………私、その『もしも』って言ったよ?『もしもそうだったら』ってだけのつもりで聞いたんだけど………」
「え…………?」
僕があまりにも捲し立てるように迫ったからか、罔象は戸惑いながら僕を止めた。
「ちゃんとピルは飲んでるし、大丈夫だよ………ごめん、そんなに迫られるとは思ってなかった」
「あ、あぁ………あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ‼︎」
早とちりしてしまった僕は、恥ずかしさのあまり頭を抱えた。
いきなりの事で驚いてしまってらしくないこと言っちゃったぁ‼︎高校生の子供が何偉そうな事言ってるんだよ‼︎
「ご、ごめん………」
「ううん。すごい嬉しいよ。ありがとう♡」
そう言って微笑むと、僕と軽く唇を触れ合わせた。僕の中での欲求が膨れ上がってくる。
「んぁ♡………君のモノ、硬くなって、私のお尻に押しつけられてる」
罔象は少しだけ立ち上がると僕の方を向き直して、僕の太ももの上に座った。優しく僕の手を握る。
「せっかく新婚旅行で来てるんだし………夜は、その、いっぱい可愛がってね。あなた♡」
「………うん」
闇夜が深くなり、僕達夫婦だけの時間となる。
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