トントントン。
朝日の差し込むキッチンに包丁の音が響いている。家の外は自然の音で溢れていて、朝から少し賑やかだ。
私はエプロンを着てキッチンに立ち、朝ご飯を作っている。
一人暮らしをしてからはずっと自分でやっているので、もはや手慣れたものだ。
けど、今は少し違うことがある。
トマトを切っているまな板の奥には、盛り付けるためのお皿が用意されている。
そこにあるお皿は私のものともう一つあった。既に千切ったレタスが二つのお皿に並べられている。
これは今も寝ているであろう寝坊助さんのだけど、そろそろ起きてくるのかな?
ひと段落したら起こしに行こうかな?
そんなことを考えていると、二階へと続く階段から、コツコツと足音がした。
お、来た来た。
現れたのはダルっとした黒いパーカーを着た青年だ。猫背のまま眠たそうに目を擦っている。
「ふわぁ〜!………罔象、おはよぉ」
「おはよう、竜胆君」
大きなあくびをしながらやってきた竜胆君は、まだ眠たいのか足を引き摺るようにしてやって来る。
「お〜いい匂い」
「もうちょっとで朝ご飯できちゃうから、身支度整えてきたら?」
「ん、そうする」
竜胆君はぼんやりとした口調でそう言うと、洗面所の方へと歩いて行った。
こんな風に竜胆君と朝の挨拶を交わすのも何回目だろうか。すっかり日常と化している。
「ふぅ。あぁ、さっぱりした。お箸並べとくよ?」
「うん、お願い」
身支度を整えた竜胆君が率先してご飯の準備をしてくれる。
それから今日はゴミ出しの日なのでゴミを回収して、新聞を取ってきてくれる。
竜胆君のこういうところは本当に素敵だと思う。何も言わなくても自分から率先して仕事をしてくれるのは、とても嬉しい。
朝の仕事もひと段落して、竜胆君がキッチンにやって来る。
「あ、竜胆君。そろそろご飯できるよ」
「うん。いやぁ、朝起きたタイミングでご飯が作られてるってのも、なかなかいいもんだ」
「それは竜胆君が起きるの遅いだけでしょ」
「そう?罔象が早いんじゃない?せっかく休みなんだし、もうちょっとゆっくりすればいいのに。朝の仕事だって、もうちょっと僕がやるよ」
「早起きしようとかじゃなくて、自然と起きちゃうの。それにこういう朝の仕事だって、私が好きでやってるんだから」
少しだけ心配そうな口調で言ってくる竜胆君に、私は笑って返した。
「それはそうなんだろうけどさ………うん。やっぱりちょっと、ね」
「心配性だなぁ。でも、ありがとう」
そう言うと竜胆君は私の方をジッと見ながら近づいてきた。そして後ろから優しく抱きしめてくれる。
いきなり竜胆君の体温が身体に染み込んできて、私は思わずビクッと跳ねた。
「ッ! ちょっと竜胆君、危ないでしょ。どうかしたの?」
「あ、いや、その………」
竜胆君は少しだけ口籠もると、抱きしめる力を少しだけ強めた。思わず息が漏れてしまう。
「あんまり、無理しないでよ…………今は、罔象一人だけの身体じゃないんだから」
竜胆君は小さく呟くと、私のお腹を優しく撫でた。大きな膨らみを描いている私のお腹は、前よりもまた少し大きくなっている。
「もちろん、分かってるよ。ありがとうね、心配してくれて」
私に絡みつくように抱きしめてくれる竜胆君に、私は囁くようにして返した。
振り向いた私と竜胆の視線がぶつかり、お互いの顔がゆっくりと近づいていく。
お互いの唇が触れ合い、距離がゼロとなった。
竜胆君と手を繋いで、ゆっくりと唇の感触を味わう。愛しむような抱擁に、身体が溶けそうだ。
唇を離しても、竜胆君は抱きしめてくれた。
「何かあったらいつでも言ってよ。力になる」
「………うん。ありがとう」
心の奥から込み上げてきた涙を何とか止めると、私は竜胆君に身を預けた。
「でも、君こそ無理しないように。色々と気張って夜遅くまで起きてるの知ってるんだよ?」
「うっ!し、仕方ないじゃない………初めてのことなんだもん」
最近だと仕事から帰ってきて夜遅くまでパソコンで調べ事してるみたいだけど、私の事を少しでも助けようとしてくれている。
「竜胆君、ありがとう。私達のために頑張ってくれて」
「いやいや、これくらいは全然」
私達はお互い微笑むと、そのまま身を寄せ合った。
「もうしばらくしたら、新しい家族が増える、んだよね」
「不安?」
「正直ちょっとね。本当に僕に務まるのかなって。だってつい二、三年前まで子供だったのに………」
竜胆君の不安そうな表情を見て、私は何とも言えない気持ちになった。
竜胆君は悩みに悩んで今の道を選んだ。私はそれを誰よりも近くで見てきたし、決めてからの彼の努力も知っている。
「これから何が起きるか分からない。大丈夫だよ、なんて言えないけど………こうやって側にいる限り、私は君に手を伸ばすよ。二人でなら、大丈夫でしょ?」
「そう、だね………ごめん、ちょっと弱気になっちゃって」
「ううん。それだけ真剣に考えてくれてるんでしょ?嬉しいよ」
竜胆君は真面目だからなぁ。それに、それだけ彼にとって家族が増えるのは大切なことって事だし。
「あ、そうだ。竜胆君、今日って一日時間ある?」
「ん?えっと………たぶん大丈夫かな。今のところ仕事は入ってないし」
「よかった。この後買い物行かない?」
「は?買い物って昨日行ったじゃん。ある程度買い溜めしたし」
「私達のじゃなくて、この子の買い物」
そう言って私は自分の大きなお腹を撫でた。それを見て竜胆君が納得したように頷く。
「あぁ、了解。たぶんデパートとかに行けばあるよ」
「うん。その後は、久しぶりにお散歩でもしようよ」
「そうだね」
私はこうやって竜胆君と未来の話をするのが大好きだ。色んなことが頭に浮かんでくる。
「それじゃあ朝ご飯仕上げるから、そろそろ離してもらっていい、お父さん?」
「あ、はい………」
顔を赤くした竜胆君がそっと離れていく。目が合うとお互いに笑った。離れたのにまだ竜胆君に抱きしめられているように感じる。
辛い事、大変な事もあるかもしれない。ずっと一緒にいることはないかもしれない。
それでも、今は彼と一緒にいれて幸せ。それだけで十分だ。
「んっ………」
心地よい温かさに包まれて、私は目を覚ました。
目を開けて一番最初に飛び込んできたものを見て、私は思わず顔が緩んだ。
夢の中でも会った私の旦那さん、竜胆君が気持ちよさそうに寝ていた。
「竜胆君………」
私は竜胆君の前髪をそっと分けた。
いつもは見ることのできないあどけない表情が、彼が歳下である事を実感させる。
って、私この体勢って事は竜胆君の上で寝てたって事じゃない?それも一晩中?
「ど、退かないと………んんッ♡!」
慌てて竜胆君の上から退こうとすると、全身に快感が駆け巡った。
何で………まるで竜胆君とエッチしてる時みたい。
視線を下に落とすと、私の秘所が竜胆君のモノを完全に咥え込んでいて、私達は繋がっていた。
「ひゃっ⁉︎何で………」
あ、そうだ………昨日お互いの限界までシちゃったから、抜く力も出なくなっちゃってそのまま寝ちゃったんだ。
朝になって回復したからか、竜胆君のモノは大きくなって膣内を押し広げている。
私は改めて自分の身体を見下ろした。浴衣は着崩れていて、露わになっている肌は竜胆君のつけてくれた痕がたくさん残っている。
つけられた痕の感覚が身体に残っていて、昨日の熱い一夜が走馬灯のように蘇ってくる。
「んっ、はぁっ♡………」
昨日のエッチ………いつも以上にすごい激しかったなぁ♡
途中からお酒が回って酔ってたけど、その時の記憶もちゃんとある。
きっとあんな夢見ちゃったのも、その影響なんだろうな。
私は自分のお腹を撫でた。竜胆君のモノが入っているからか、少しだけ盛り上がっている。
大きくなっている竜胆君のモノから私の中へ快感が流れ込んでくる。そのせいで結合部からは愛液が垂れている。
これ以上繋がってたらこのまま竜胆君のこと襲っちゃいそう。離れないと。
そう思いながらもこの状況から離れてしまうのに惜しいという気持ちもある。私はつい竜胆君と身体を重ねた。
竜胆君の温かさが身体に染み渡る。
今になって考えてみれば、ずっと竜胆君の温もりを感じてたのは、ずっと竜胆君が抱きしめてくれてたからなんだろうな。
身体がすっかり火照ってしまい、私は竜胆君の身体に頬擦りする。
すると竜胆君の体がピクッと跳ねた。彼の瞼がゆっくりと開く。
「ん………罔象ぁ………」
もしかしたら竜胆君も夢の中で私を見てくれたのか、寝ぼけ気味に私の名前を呼んでくれた。それだけで心臓が甘く締めつけられる。
それからしっかりと目を開いた竜胆の顔を私は覗き込んだ。
「罔象………」
「おはよう、竜胆君」
私達はどちらともなく抱き合った。重なり合った素肌がとても心地よい。
「ッ!………何だ、これ………すごい、気持ちいい………」
竜胆君は何かに気がついたように自分の下半身に視線を向けた。そして私と繋がっている自分を見て目を見開く。
「え⁉︎な、何で罔象と繋がって、えぇ⁉︎」
しまったぁ‼︎竜胆君に夢中で繋がってるのすっかり忘れてた!これじゃまるで私が竜胆君を襲ったみたいだ。
「ち、違うの!その、昨日抜かずに寝ちゃったみたいで!起きたらこうだったの!」
「え?………あ、あぁ………そう、だったか………」
竜胆君も思い出したようで顔を赤くする。
「ごめんね。一晩中君に乗ってたみたいで」
「ううん。全然気にならなかったよ」
私達の顔がグッと近くなり、お互いから目が離せなくなる。
そして私達はゆっくりと唇を重ねた。おはようのキス、すっかりお決まりとなっている。
少し乾いた口腔内に舌を這わせて湿らせる。優しく舌を絡めた。
「んっ、くちゅ、れろっ、ちゅるっ♡………んふぅ、んんっ♡ふぁ、くちゅくちゅ、んくっ、れろっ、んんっ♡!」
寝起きだからか優しいゆったりとしたキスだ。それでもお腹の奥がキュンとなって竜胆君のモノを締めつける。
竜胆君の脈動が私に伝わってきた。身体が蕩けてしまうほどの快感のように感じる。
「ぷぁ…………んっ♡竜胆君、もうちょっとこのままでも、いい?」
私は自然と竜胆君に尋ねていた。もっと彼と繋がっていたい。
「もちろん。それでさ………まだ朝ご飯まで時間あるし………温泉、入りに行かない?」
竜胆君からの誘いに、私は思わず目を丸くした。
まさか竜胆君から誘ってくれるなんて…………すごい嬉しい♡
「いいよ。二人で入ろっか」
私は言葉で返すと、さらに竜胆君の頬にキスをして答えた。それから彼と手を繋いで、甘い快感に身を委ねた。
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