※この作品はR-18です。

どことなく壊れていて、どことなく甘い生活   作:MC RAT

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第1章 出会いと始まり
第1話 大雨


 それから翌日。今日は休日なので学校は無し。

 部活とかがあればその限りでもないけど僕は部活入ってないしね。休日はゆっくりさせてもらおう。

 九時くらいに目覚めた僕は軽い朝食をとり、今日の予定を考えた。今日は比較的に早く起きたな。

 ちなみにどうでもいいかもしれないが、この家には僕以外に人はいない。

 午前中はゲームでもやって、午後の……三時くらいでどうかな?その辺りでまたあの喫茶店に行こう。

 予定も決まったし、早速ゲームを開始!

 

 

「フゥ、今何時くらいかな?」

 僕はヘッドフォンを外して近くの時計を見た。

 めんどくさくてカーテンを開けずに明かりもつけてないから部屋が暗いな。時計がよく見えない。

 朝、部屋にあるパソコンでゲームを始めてから何時間か経った。

 ゲームのデイリークエストも済ませた、イベントも結構進めた。今はこんなものかな。続きは夜にでもじっくりとやるとしよう。

 えっと今は……十二時くらいか。

 どうしようかな。今お昼ご飯を食べてしまうか、それとも喫茶店でお昼とオヤツを両方いただくか。

 僕はしばらく考えて後者にする事にした。せっかくなんだしね、いただいてしまおう。

『Cafe Red Poppy』のゆったりとした雰囲気を思い出して僕はフッと笑った。

 そうと決まれば今は昼寝でもしてようかな。ちょっと眠くなってきたし。二時半くらいに起きれば準備や移動を含めても三時には着くだろう。

 目覚まし時計を二時半にセットすると、僕はベッドに横たわった。それでは、おやすみ〜。

 

 

 ピピピッ

 隣から聞こえる目覚まし時計の音で僕は目を覚ました。

 もう二時半か。寝てるとあっという間だな。

 僕はのっそりとベッドから起き上がった。するとお腹の鳴る音が聞こえて苦笑してしまった。

 さてと、それじゃ喫茶店に行くかな。

 僕は喫茶店で読むためのラノベを決めようと本棚に向かい──そこでおかしな事に気がついた。

 外からザザーッと音が聞こえるのだ。ビュウビュウと風の音も聞こえてくる。

 なーんか、嫌な予感。

 僕は恐る恐る部屋のカーテンを開けてみると、外の景色に肩を落とした。

 外は大雨だった。しかも風も強く吹いている。こりゃ台風だな。この様子だと外に出れそうにない。

 いやー季節的に当たり前とはいえ、まさかこんなタイミングで来るとは。ついてないなぁ。

 興味ないとはいえやはり天気予報は見ておくべきかな?普段見ないんだよね。

 しかしどうしたもんか、これじゃ喫茶店行けないな。

 雨だけだったら傘でもさせば行けるんだけど、この風じゃ無理だよな。

 仕方ない、今日はやめておくか。明日台風が去ったら行くとしよう。ちょっと楽しみにしていたから残念だ。

 僕はため息を吐いてパソコンに向かおうとした。完全に予定が崩れたからゲームでもしてるかな。

 お昼ご飯は夕ご飯とセットって事で。

 僕はそこでふと立ち止まった。

 そういえば昨日英表の宿題でプリントが出されてたな。授業中にこっそりやろうと思ったんだけどそのプリントが渡されたのが授業の最後で出来なかったんだ。

 仕方ない、今のうちにやっておくかな。時間潰しにはちょっと物足りないけど、そうも言ってられないし。

 こんなものやらなくてもテストでそれなりの点数を出すことは出来るんだけど、それを良しとする教師でもないんだよな。

 教師の中には僕と同じような考えの人もいるかもしれないんだけど、いかんせんそれでも学校という組織の人間だからな。そこまで自由というわけにはいかないんだろう。

 えっと、たしかスクールバッグの中にねじ込んでおいたはずなんだけどな。ちゃんと持って帰ってきたっけ?

 僕はスクールバッグの中をガサゴソ漁ってプリントを発掘した。

 僕は宿題に限らず、プリントを何かにまとめるって事しないんだよね。

 それじゃ、こんなものさっさと済ませて……

 僕はそこで固まってしまった。あれ?

 僕は再びスクールバッグの中をガサゴソ漁った。あれ?どこだ?

 

 どういう事だ、耳栓が無い‼︎

 

 え?何でだ?いつもスクールバッグの中に入れているはずなのに!

 どれだけ探しても耳栓は見つからない。あれぇ?

 えっと……たしか昨日ちゃんと学校に持っていって、学校で使った後ちゃんとバッグに入れた。

 そしてその後喫茶店でも使って終わったら外してしま──うの忘れてた!って事は喫茶店に置いてきちゃった!

 どうしよう、学校生活の中であれは無いと困るんだけど!

 僕は学校で読書をする時あれがあるからこそ周りを気にせずに読書が出来る。

 あんな騒がしい場所で耳栓無しで読書なんて僕には無理だ。頭が割れる。

 とりあえず明日にでも取りに行こう。

 あ、でも明日までに台風が収まってなかったらどうしよう。学校に行く途中で取りに行くか。

 幸い『Cafe Red Poppy』は僕が学校に行くために乗っている電車の駅の途中にある。

 それなら行く途中でちょっとお邪魔して回収するか。

 でも朝からあそこって開いてるのかな?よく見てなかったから分からない。

 まぁそこは言っても仕方ないか。僕の落ち度なわけだし。

 そう思って僕はカーテンを閉じようとした。

 しかしそこで僕は思わず外の景色を二度見してしまった。

 この部屋の窓は、街の景色をよく見渡す事が出来る。もちろん道の様子も。

 

 その道で誰かが歩いていたのだ。

 

 僕は驚いて絶句してしまった。

 その人は傘をさして道の中をフラつきながらも歩いていた。おいおいこんな台風の中一体何やってるんだ?というか誰だ?

 僕は机のタンスの中から望遠鏡を取り出すとその人を見てみた。

 盗撮みたいで気が引けるけどあれはちょっとおかしいからな。一体誰だ?

 少ししてその人が誰かか分かると僕はさらに驚いた。

 その人の顔は見ている角度と傘のせいではっきりとは見えなかったけど、それでも僕には多少見えた特徴でそれが誰かか分かった。

 傘の下から見える青と白のストライプのTシャツ、そして赤いエプロン。

 その上から少しだけ覗くのは優しそうな目と黒く艶のある髪。

 

 間違いない、『Cafe Red Poppy』の店長さんだ!

 

 傘をさしているけどあまり効果があるようには見えない。むしろ飛ばされそうだ。

 あの人なんであんな所にいるんだ?店に向かってる……わけじゃないよな。

 どう見ても店とは別方向に歩いてる。となると別の場所か。

 どこか行きたい場所でもあるのかな?でもそれにしたってなんでこんな時に?というかなんでこんな強風の時に傘さしてんの⁉︎

 とにかく考えていても仕方ない。何か怪我があってからじゃ遅いし、ちょっと行ってみるか。

 別に他人事だから気にする必要は無いんだろうし、個人的にも気が引けるんだけど。

 そこまで深い仲ではないとはいえ、一応知り合いがあんな所で危なそうにしているのだ。このままにしておくのも気分が悪い。

 僕はタンスの中から雨ガッパを取り出すと急いで着て家を飛び出した。

 部屋を出た途端に強すぎるほどの雨が僕に打ち付けられる。斜めに降ってるからか顔がもうビショビショだ。

 こんなに激しい雨の中を歩くのは初めてだな。というか普通は歩かないよ。

 視界が悪くなりながらも僕はさっき店長さんがいた所まで急いで向かった。

 チクショウ、風が強すぎてフラフラする。どこからか何か飛んできたりしないよな?

 さっき店長さんを見た所に着いた僕は辺りを見渡してみて店長さんを探した。

 どこに行ったんだ?そう遠くには行ってないはずなんだけどな。

 しばらく探していると近所の家の玄関にさっきと同じ傘をさしている人を見かけた。

 いた!あそこだ!

 僕は雨の中を走ってその家まで行った。

 店長さんはその家の人と玄関で話していたみたいで、話が終わったのか玄関から出てきた。

 何だ?井戸端会議しに出かけてきたのか?……ってそんなわけないか。何話してたんだろう?

 っと、そんな事より彼女の安否の確認を急がないと。

「店長さん‼︎」

 僕は叫びながら店長さんの元へ走っていった。

「君は……」

 店長さんも僕の事に気がついたようでこっちを向いた。その顔は何故か嬉しそうに見えた。

 こんな時でも綺麗なんだなと思ったが、今はそれどころじゃない。

「こんな所で何やってるんですか⁉︎」

 僕は店長さんの右手の指を見た。ヤバイ、結構体温下がってるな。指先が青紫色になっているし若干体が震えてる。

 とにかくこのままはマズい。どこか室内に行かないと。

 本当なら『Cafe Red Poppy』に連れていった方がいいんだろうけど、ここからなら僕の家の方が近い。

「走れますか?着いてきてください!」

 僕はそう言うと店長さんの腕を引っ張って自分の家へと戻っていった。

 雨は強くなる一方で僕達の体温をさらに奪っていっている。

 風も段々と強くなり今にも倒れそうになりながら僕達は必死に走っていった。

 もうすぐだ。もうすぐで家に着く。

 そう思った瞬間だった。

 

 どこかの家の瓦が風に乗ってこっちに飛んできたのだ。

 

 あ、ヤバイ!

 僕は素早く店長さんの腕を引いて避けさせた。瓦はギリギリで店長さんの横を通り過ぎる。

 その時に傘だけは風に煽られてどこかに飛んでいってしまった。

 ヤバイな、これじゃ店長さんを雨から防げない。

 仕方なく僕は店長さんを抱くこむようにして僕の雨ガッパで彼女を連れていった。

「大丈夫ですか?」

「う、うん。ありがとう……」

 とりあえず彼女に怪我は無いようだ、よかったぁ。

 ここは危険だ。早く家に向かうとしよう。

 僕達は再び走り出して、なんとか僕の家に着く事が出来た。

 つ、疲れた〜。




 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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