※この作品はR-18です。

どことなく壊れていて、どことなく甘い生活   作:MC RAT

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第214話 祝い品

「あっ!ねぇ東風、このペン可愛くない?」

「わぁ、本当ですね。買って行こうかな」

 卒業式が終わり合流した僕達は近くのお店で食事を済ませた。

 それで解散かと思いきや、今度は分がこの辺でどんなもの売ってるのか見たいと言い出し、流れで東風と分のショッピングに付き合う羽目になっている。

 街を回りながらキャッキャ騒ぐ二人を見ながら、僕は大きく欠伸をした。

 こんなん二人だけで行けばいいものを、無理矢理連れて来られてうんざり、というか単純に疲れた。

 まぁ新刊のラノベも欲しかったしちょうどいいといえばいいけどね。

 そんな事をしてればあっという間に夕方になっていた。

「そろそろ帰らないとかな?いやぁ、楽しかった!」

「また来ようよ」

「今度は二人だけにしな。それじゃあ」

 それだけ言って僕は歩き出した。しかしそんな僕を東風が止めた。

「あれ?りん兄、家こっちの方じゃないんですか?方向違いますよ?」

「ん?あぁ、このまま罔象の所に行こうかと、ね」

「まだ夕方ですよ?早いのでは?」

「東風、あんま聞いてあげるなって。どうせこの後お姉ちゃんと一緒にご飯食べて、そのまま二人きりでイチャイチャしよう、ってことでしょ」

「あぁ、なるほどねぇ」

「と、とにかく!そういうわけだから、さよなら!」

 行動を見破られた僕は、足早にそこから離れた。

 まぁ、今回はそれだけじゃないんだけどさ………上手くいくかな。

 

 

 

「それじゃあ東風、またね」

「はい。春休みもどこかで会えたらいいですね」

「そうね、暇があったら連絡する」

 東風と別れたアタシは電車に乗って、自分の家の最寄りの駅で降りた。

 辺りが暗くなってくる時間帯なので、少しだけ急いで家へと帰る。

 そろそろ家の前かという所で、アタシは家の前に人影があるのが見えた。アタシよりも少し背が高く、紫色のパーカーを着て何やら大きめの荷物を持っている。フードを被っていて顔が見えない。

「あの、ウチに何か用ですか?」

「おっ、ようやく来ましたか」

 少しだけ警戒しながら聞くと、その人影がこちらを振り向いた。歩きながらフードを取る。

 その人影の声には聞き覚えがあった。そうだ、この人………

「アンタ………万年青、だよね?」

「これはこれは、僕の事覚えていてくださったんですね」

 同い年くらいの青年、万年青が丁寧に頭を下げた。

 魑魅 万年青。前にデパートの立て篭もり事件で人質になった時、一緒に捕まっていたハッカー(竜胆が言うにはそうらしい)だ。

 彼のおかげで、あの時色々吹っ切れて立ち向かうことができた。そういう意味では、大切な恩人………いや、ただの不審者か。

「お久しぶりです、雛罌粟さん」

「はぁ………それで、人ん家の前で何してんの?アタシを待ってたみたいだけど」

「えぇ。この度ご卒業なされたようで、おめでとうございます」

 何でアタシが今年の卒業生だって知ってんの、どうやって家突き止めた。やっぱりコイツ危険だ。

 言いたいことは山のようにあるが、とりあえず祝ってくれてることには感謝だ。

「あぁ、どうも………って、それ言うためだけに来たの?」

「まさか。ささやかながら、お祝いの品を届けようかと思いまして」

 そう言って万年青は背負っていた荷物をアタシに渡した。え?この大きいのが祝い品?

「これは………ノートパソコン?」

「えぇ、大学生なら必要でしょう?それなのにまだご購入されていらっしゃらなかったので」

 だから何でそういうこと知ってんの。

 しかし、たしかにウチはまだパソコンを買っていない。

 お母さんもアタシも機械に強くないので、慎重に考えていてまだ用意できずにいるのだ。

「とりあえずあなたの行く大学の求めるスペックにはなっているはずですので、お使いください。設定の仕方も分かりやすくまとめておきましたから」

 どうやらアタシの進路先まで知っているらしい。

「けど、いいの?これ絶対高いでしょ?何か、アンタに悪いよ」

「いえいえ、面白いと思った人間を気の済むまで観察して、仮説を立てて予測をして、接触して実験を行い結論を出す。それが僕の趣味ですから」

 今回に限ってはありがたいにはありがたいけど、基本的には迷惑な趣味だな。あとアタシ面白いって思われてんの?

 アタシは貰ったノートパソコンに視線を落としてため息をついた。

 まぁ本人がくれると言うのでありがたく貰っておくかな。

「ありがとう。大事に使わせてもら………」

 一応お礼を言おうと顔を上げると、そこには既に万年青はいなかった。

「………これからもこんな事され続けるのかな?」

 アタシは若干げんなりしながらも、ノートパソコンを持って家に入っていった。

 

 

 

「罔象、こんばんは」 

「あ、竜胆君いらっしゃい。夕ご飯そろそろできるから、先に手洗っておいで」

「うん、ありがとう」

『Cafe Red Poppy』に入った僕は、カウンターの奥の食卓へと招かれた。おぉ、いい匂い。

 キッチンではエプロン姿の罔象がご飯を作っていた。僕の方を向いて微笑む。

 それからしばらくして、食卓に二人分の夕ご飯が並んだ。おぉ、豪華だ。

「「いただきます」」

 僕達は手を合わせて食べ始めた。

「いやぁ、それにしてもメニューがわかめご飯と唐揚げとポテトサラダとムアスープって………完全に給食の人気メニューじゃん」

「今日来てくれたお客さんが、学校給食のことを話しててね。そういえばこういうの人気だったなぁって思ったから、何となく」

 給食は中学で終わったけど、学校の終わる日に給食のメニューを食べることになるとは。

「おぉ、美味しい。そして懐かしいなぁ、特にわかめご飯が」

「たしかに、普段作らないからね」

 そんなことを話しながら僕達は食事を楽しんだ。

「そういえば、まだちゃんと言えてなかったね。竜胆君、卒業おめでとう」

「ありがとう。あ、そうだ。卒業祝い品で学校から貰ったんだけどさ。このモバイルケース、いる?」

「い、いや………さすがに、校章とか入ってるのを持ち歩くのは、ねぇ?」

 だよねぇ、これどうしようかな?帰ったら捨てるか。

「けど意外だったね。竜胆君卒業式出るの嫌がるかと思ってたから」

「嫌だったけど、東風に引っ張り出されたの。まったく、何の得もないのに………」

「最後くらいはちゃんと出ようよ。それにしても、竜胆君も大学生かぁ。お弁当はこれまで通り私が作るけど、それでいい?」

「そりゃありがたいけど、何か悪いね。ずっとやらせちゃって」

「ううん、好きでやってるんだもん。全然いいよ」

 その後デザートと食後のコーヒーもいただいて食事を終えると、二人で一緒に食器を片付けた。

「今さらだけどさ、竜胆君制服で来たんだね。てっきり帰ってから私服で来るかと思ってた」

「あぁ、さっきまで学校出てすぐに東風と分と出かけてたから。そのまま直でこっち来たの」

「そうだったんだ。別にそんな焦る事なかったのに」

「焦ってたわけじゃないけどさ。その………罔象に、早く会いたかったから」

「あぁ………そ、そうなんだ………嬉しいな。私も、会いたかったよ」

 少し照れ臭くなった僕達は、何となく身を寄せ合った。罔象がそっと手を握り指を絡めた。

 そうだ………僕が今日早めに来たもう一つ理由、ぐだぐだ先延ばしするのも良くないし。この辺で………

 僕はスクールバッグを手に取ると、中からずっと持っていた封筒を取り出した。

「あのさ、罔象。ちょっと話が………」

 ブーッ!ブーッ!

 ちょうど話し始めようとしたタイミングで罔象のスマホのバイブが鳴った。

 おい、タイミング考えろよ!

「ん?お母さんからだ。ちょっとごめんね」

 罔象は僕から離れると電話に出た。

「もしもし、どうしたの?………うん、うん………え?分のパソコン検討しなくていいって、どういう事?………貰った?誰に?………はぁ、まぁ分かったよ。分がそれで大丈夫って言うなら………うん。それじゃあ、またね」

 しばらくの間家族のやりとりをしていた罔象は、こちらへと戻ってきた。

「ごめんね竜胆君。何かよく分からない内容だったんだけど………で、何か話があるって」

「あ、いや………別に急ぎじゃないし、気にしないでいいよ。また今度ゆっくり話すから」

 さすがに一度中断されて雰囲気が壊されたので、仕方なく引っ込んだ。

「あぁそう?でもよかったなぁ。竜胆君の制服姿見るの、これで最後になるんだもんね。最後にちゃんと見たかったからさ」

「いや、見てて楽しいものではないでしょ?」

「そんな事無いよ。ピシッとしててカッコいいもん」

 罔象は僕の腕に抱きつくと頬に唇を触れさせる。かぁっと顔が熱くなる。

「ふふっ、耳まで真っ赤になっちゃってる」

「ちょ、罔象………もう」

 恥ずかしくなったので、お返しとばかりに僕は罔象を抱きしめた。

 いつになく積極的な罔象に、僕も段々と我慢できなくなっていった。

 自然と顔が近くなり、僕達の唇が重なりそうになって………

「今はダ〜メ」

 しかし罔象が重なりそうになった唇を人差し指で防いだ。あと少しでキスしそうだったのに止められてしまう。

「そろそろお風呂沸くから、するならそこで、ね?」

 その言葉を見計らったようにお風呂の沸いたアラームが鳴り、罔象はイタズラっぽい笑みを浮かべた。

 

 

 

「んちゅ………♡」

 一糸纏わぬ姿になった僕達は、浴室で抱き合って唇を重ねていた。

 罔象は長い黒髪をバレッタでまとめている。頸が露わになっていてとても艶やかだ。

 お互いの身体を洗うと、僕達はシャワーを浴びながら相手の泡を落としている。

「んあっ、はぁっ♡んっ、ふぅ、あぁ、んんっ♡!竜胆くん♡んあぁッ♡!そんなに、撫でないのぉ、ふあぁッ♡!」

「無理だよ、我慢出来ない」

 僕は罔象を抱きしめて全身を撫で回した。罔象が腕の中で艶やかな声を漏らす。

 さらに胸を鷲掴みにしてマッサージすると、胸の先から母乳が雫となって双丘をつたう。

「はぁ、んんッ♡!もう、そんなエッチな彼氏には、仕返ししちゃうよ」

 罔象は反撃とばかりに僕の胸板に舌を這わせた。彼女の細い手が僕のモノへと伸びる。

「み、罔象、くっ!………はぁ、ふぅ、ッ!」

「ちゅるっ、んっ、れろっ………すごいビクビクしてる。すぐにイッちゃいそうだね」

「そりゃ、さっきからずっと我慢、してたから………ッ!」

「それなら、キレイにしながら、気持ちよくしないとね」

 膝をついた罔象が、僕のモノを扱きながら舌を這わせる。

 罔象は僕の様子を上目遣いで見ながら、必死に舐めている。ぴちゃぴちゃと唾液の音が響き、興奮が掻き立てられた。

「くっ!罔象………ッ!」

「んんっ♡!あぁッ、ひゃッ!ひゃあぁぁッ♡!」

 情けないほどに早く限界に達して、僕のモノから精が放たれた。それが罔象の顔にかかる。罔象の顔が白濁に汚される。

「んあっ♡!はぁ、はぁっ♡………竜胆君の精液、いっぱい出たね」

 罔象は顔についた精を指先で拭うと、チロッと舐めて微笑んだ。

「これじゃあもう一回、洗い直しだね♡」

 

 

 

 再び愛撫でお互いの身体を洗った僕達は、滾る興奮を抱えたまま湯船に浸かった。

 自分の興奮を伝えるように手を繋ぎ身を委ねあっている。罔象の柔らかできめ細かい肌が心地よい。

「んっ………竜胆君、とってもポカポカする」

 罔象が僕の胸板に熱い吐息をこぼした。くすぐったさに身を震わせると、罔象が胸板に頬擦りする。

「竜胆君、出会った頃よりも背伸びてるね」

「当たり前だよ。一年以上前なわけだし」

「そうなんだけどさ。竜胆君もどんどん大きくなってるんだなぁって思って」

 罔象はまるで自分のことのように喜んでいる。赤く火照った顔が愛しむように僕を見つめる。

「これからも大きくなるよ。罔象に追いつけるくらい」

「え?背ならもうとっくに抜かれてるけど」

「違うよ。もっと、大人になりたいなぁって。罔象みたいなさ」

 踏みとどまって迷ってる今のままじゃ、罔象を支えていくことなんて出来ない。成長して、胸を張って、罔象と一緒になりたい。

「いつまでも子供のままは、嫌だから………」

「竜胆君………何言ってるの、もう」

 罔象は僕を包み込むように抱きしめると耳元で囁いた。

「焦らなくていいんだよ。いっぱい悩んで、色んなことを迷って、竜胆君の思うように進めばいいの。君がどんな道に進んでも、心が離れない限り、私は君の隣にいるから」

 罔象の優しい声が浴室に響いた。その声が僕の心を温めてくれる。

「ありがとう。やっぱり、歳上の人の言うことは説得力あるねぇ」

「ちょっと、気にしてること言わないでよ」

 唇を尖らせた罔象に僕は首を傾げた。

「罔象、年上なこと気にしてるの?」

「いや、別に問題があるわけじゃないんだけどね。もしも君と同い年だったら、同じ制服着てさ、学校の中とか帰りとかに、もっと色んなことを一緒にやって、楽しいことを分かち合ってたのかなぁってさ」

 あぁ、そういうことか。

 たしかにこうやって一緒にいられるのも朝と夜の時間だけで、お昼に会って出かけるとかはあんまりないな。

 罔象は頻繁にお店を休むわけにはいかないからね。まぁ僕の仕事が忙しいってのもあるんだけどさ。

 もしも罔象と同い年だったら、今日の東風や分みたいに放課後にどこかに出かけたりとかも出来たのかな。

 けど………

「そんなの、関係無いよ」

「え?ひゃっ⁉︎」

 僕は後ろから罔象を抱きしめて脇腹に手を這わせると、彼女の頸に顔を埋めた。罔象のいい匂いが漂う。

「んんっ♡!はぁっ、んっ!り、竜胆く、ん?んあっ♡!何して、んふぅ、あぁっ♡!」

 手をたわわな胸へと滑らせて、掬い上げるように抱えた。首筋を舐めると、罔象はビクッと震えた。

 罔象を強く抱きしめた僕は、彼女だけに聞かせるかのように小さく呟いた。

「一緒にいる時間は短くても、罔象となら全然楽しい時間過ごせるし。これからも二人きりの時間を、大切に過ごそうよ」

 罔象の身体がどんどん熱を帯び始めてのぼせそうになる。耳を甘噛みすると可愛らしい声をあげる。

「まぁ罔象が学生の頃とかも気になるけどさ。今の罔象だからこその良さ、ちゃんとあるはずだから」

「竜胆君………ありがとう。んっ♡」

 罔象がこちらを振り向くと、僕達は唇を重ねて舌を絡めた。

「んちゅ、ぷぁ♡………竜胆君、このままシちゃうとのぼせちゃいそうだね」

「そうだね、先に出る?」

「うん。竜胆君はもうちょっとゆっくりしててよ」

 僕ともう一度抱き合うと罔象は浴室から出ていった。それからしばらくして僕も浴室から出た。

「罔象、お風呂出たよ」

 とりあえず声を出したが、罔象の声が聞こえない。もう部屋に行ったのかな?

「罔象?入るよ」

 部屋の扉をノックして入ると、そこには予想通り罔象がいた。

「え………?」

 しかし僕は彼女を見て、思わず疑問の声が漏れた。

 

 

 そこにいた罔象は白いシャツに紺色のブレザーとスカート、そして赤いリボンを身につけた学生服姿だったからだ。




 最後まで読んでいただきありがとうございました。 
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