※この作品はR-18です。

どことなく壊れていて、どことなく甘い生活   作:MC RAT

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第63話 朝チュン

「…………ん」

 私はぼんやりとした中で意識が覚醒する。

 すると僅かに鼻から吸い込んだ空気の中に、いつもの匂いが混じっていた。それが部屋中に充満している。

 竜胆君と身体を重ねた日の翌朝に毎回感じるものだ。私と竜胆君が合わさったような匂い。

 すごい恥ずかしいと思う時もあるけど、竜胆君が私のことを愛してくれたこそのものだ。そう思うと結構嬉しかったりもする。

 私はゆっくりと目を開けた。そこは私の部屋のベッドの上だった。まぁ寝てたんだし当たり前とえば当たり前か。

 そして私はふと右隣が視界に入ると、思わず口元が緩んでしまった。

 そこにいたのは私を抱き込むようにして眠っている竜胆君だった。

 気持ちよさそうに寝てるなぁ。可愛い、って言ったら嫌がるんだろうけど。

 こうして見ると普段のちょっと大人びた雰囲気とは違って、年相応な感じがする。いつもの暗く鋭い雰囲気は鳴りを潜めていて、携帯が手元にあったら写真撮ってるね。

 この暖かさは竜胆君が抱き締めてくれてたからみたい。ぽかぽかしてて気持ちいい。普段からこういう事してくれるわけじゃないから、今のうちに堪能しておこうっと。

 私はそこで周りを見渡して思わずビクッとする。

 部屋中、特にベッドの辺りがシミだらけだ。シーツや私達の服が何かに濡れたようにシミになっていた。

 そこで私はようやく昨日竜胆君に何をされたかを一気に思い出した。

 昨日は長くキスをして、その後服の上から激しく身体をイジられた。その時点でもう何度かイッたのに、今度は服を脱がされてさらにめちゃくちゃにされて。何度も何度もイカされて、最後は思いっきり…………

 それらを思い出した瞬間、私は自分の顔がすごい勢いで熱くなるのを感じた。それを隠すように枕に顔を埋める。

「あぅぁ〜〜〜〜〜‼︎うぅぅ〜〜〜〜〜〜〜‼︎恥ずかしいよぉぉ〜〜〜〜‼︎」

 枕に顔を押し付けて足をバタバタさせる。竜胆君の前でなんてはしたない真似を…………いや、前からそうだったし彼がやったことでもあるんだけどね。

 でもまさかそれだけで気絶するなんて思わなかった。私の身体は私が思ってる以上に竜胆君にハマっているみたい。

 私は自分の身体を見た。身体中キスマークだらけだ。竜胆君これつけるの好きだよねぇ。いつもたくさんつけられる。

 こういう事を自然にしてくれることから、彼の行動はただの快楽目的じゃない事がよく分かる。

 でもたぶん首筋とかにもついてるんだろうな。これは隠さないと。

 さすがにこれを晒したまま仕事は出来ない。万が一お客さんに指摘されたら恥ずかしすぎる。

 まぁ嬉しくはあるんだけどね。彼に吸い付かれると理性まで吸い取られて、代わりにヒリヒリとした感覚が刻まれる。今ではそれが心地よくなってる。

 たぶんこれはしばらく消えない。彼が私に想いを刻みつけてくれている。そう思うとついニヤけてしまう。

 特に胸と秘所は未だに真っ赤になっている。これ全部竜胆君が………

 こんなにも身体が軽く感じるのもイキすぎたせいなのかな。色々溜まってたし。

 それにしたって昨日のはちょっと自分でもビックリするくらいにイッてた。母乳だけならまだしも、あんなに潮を噴いて………

「うわぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜‼︎」

 はっきりと思い出してしまい私は悶絶した。いつもの事だけど竜胆君攻めるの激しすぎ!普段は恥ずかしがって何もしないのに!

 弱いところを強く攻めてきて………あんなのされたら誰だって気絶しちゃうよ。叫びすぎて喉もちょっと痛い。一応接客業なんだけどな。

 竜胆君と交わるようになってから、自分にもあんな声が出るんだってちょっと驚いてる。

 竜胆君は可愛いから聴きたいって言ってくれるけど、私としてはただただ恥ずかしい。

 でも私のお願い通りいっぱいキスしてくれたっけ。あれは嬉しかったなぁ。その時に顔を見られたのはすごい恥ずかしかったけど!

 まぁ強いて言うなら…………もうちょっとしたかったな。普段はしてくれないし。

 私の中のドロドロしたものを吐き出させて、代わりに竜胆君で満たされている。そんな感じがした。

 すごい恥ずかしいし動けなくなっちゃうのも、当たり前になってしまっている。

「でも………すごく気持ちよかったなぁ」

 竜胆君っていつも私のことめちゃくちゃにするよね。すごい衝動的な感じがする。

 それは素で私の事を求めてくれるって事だからすごい嬉しいんだけど、その反面何かゾクゾクしたものを感じる。

 彼がすごい勢いで求めてくれる事に彼の想いが伝わってくる。それが私の竜胆君への想いをもっと強くしてくれる。

 きっとこれからも私と竜胆君は身体を重ねる機会があると思う。その時にいつもここまでされたら。あんな快楽叩きつけられたら………絶対クセになる。というかもう若干なってる。

 実を言うと前からちょっとその気はあった。だから竜胆君無しじゃ生きられないとまで思ったわけで。

 昨日も一回目にイカされた時、つい『足りない』と感じてしまった。

 もちろん一回だけでも彼の想いは強く感じられる。

 でも彼がくれたあの暴力的なまでの快感でなければ、自分の欲求を満たせなくなるかもしれない。我ながらヤバいという自覚はある。

 昨日はイジられただけで終わったけど、もしいつも通り本番までシてたら………どうなってたのかな。

 竜胆君との時間を増やすたびに、彼に対する欲求が増していく。もっともっと欲しくなる。ってあれ?これ結構ヤバい人では?

 竜胆君がもうちょっと普段からグイグイ来てくれればなぁ。別に拒むつもりはないのに。

 ハジメテの時、それから遊園地の時と花火大会の時、そして今回。私達はこれまで四回夜を共にしている。

 でもそれ以外の時は交わるどころか触れ合う事すらない。ただの話し相手みたいなものだ。何なら話さない日もあるし。

 別に竜胆君の淡白なところが嫌いなわけではない。どんな関係でもそれなりに距離感は大切だし。ただ彼の中でどこか特別でありたいというだけだ。

 竜胆君が私だけに見せてくれるところとか、もうちょっと頼ってくれたりだとか、そういうのを求めてるのは認める。

 あれかな、私ってもしかして結構独占欲強いのかな?私は今回の問題となってた竜胆君と東風ちゃんとの関係を思い出す。

 でも好きな人が他の女の子と仲良くしてたらムッとはなるよ。竜胆君の場合、普段は誰かと仲良くなんて話も聞かないから尚更。

 それに私達の関係は不安定で、いつ壊れてもおかしくはない。そう思うともっと距離を縮めたい。彼が今以上に私から離れるのは耐えられない。

「私をもっと、特別にして………」

 我ながら面倒だとは思うけど、そこはちょっと譲りたくない。それに東風ちゃんの様子を見てると、何となくねぇ。

 何か兄妹みたいな関係だったけど、二人の距離感ってのはそこから来てるものなんだろう。 

 竜胆君にとって東風ちゃんは妹のような存在なのかなと思う。私も妹がいるから何となく分かる。

 私も『お兄ちゃん』って呼んだら可愛がってもらえるのかな?

「ん…………んん………」

 そんな事を考えていると、竜胆君が起きたようだ。といってもまだ寝ぼけ気味だけど。

 よし。私は身体を起こすと、ゆっくりと竜胆君の耳に顔を近づける。そしてちょっと高めの声でそっと囁いた。

 

「お、お兄ちゃん、起きて」

 

 うわぁぁぁぁぁ‼︎‼︎めちゃくちゃ恥ずかしい‼︎歳下の子に何言ってるんだろう!

 すると竜胆君が寝ぼけ眼でこちらを見てきた。あれ?あんまり意味無いのかな?

 しかしその瞬間、伸びてきた竜胆君の手に肩を掴まれた。声を上げる暇もなく引き寄せられる。

「きゃっ!」

 引き寄せられた私はそのまま抱きしめられた。そして首筋を優しく撫でられる。

 本当は時々こういう事して欲しいんだけど、仮にも歳下の子にそこまで甘えるのはちょっとな、と思っていつもは拒否してる。

 でもこれ…………すごい気持ちいい。落ち着くっていうか、暖かくて竜胆君の事を感じられる。でも恥ずかしいなぁ!

「んだよ東風。もうちょい寝かせろや………」

 だからって何で抱き締めるの⁉︎抱き枕代わり?そういえば一緒に寝る時はいつも抱き締めてくれるけど。

 もしかして起こされたくないから拘束代わりなのかな?とにかく朝からご褒美貰っちゃった!

 そして今度は頭を撫でてくれた。何か犬を可愛がってるみたいなんだけど。

 私と東風ちゃんを完全に勘違いしているみたい。という事は東風ちゃん、竜胆君の事『お兄ちゃん』って呼んでたの?

 そういえばこれって…………たしか遊園地に行った日の翌日にこんな事されたような。東風ちゃんにやってたから私にもしてくれたのかな?

 でもという事は竜胆君は東風ちゃんに、こういう事したことがあるって事なんだよなぁ。一緒に寝たりとかも、あるのかな………

 そう考えるとちょっとムッとしてしまう。子供の頃の話なんだろうから、そこまで気にすることもないはずなんだけど。

 このまま東風ちゃんと思われて頭撫でられるのも微妙な気分なので、とりあえず竜胆君の頬を軽く引っ張って彼を起こした。

「んっ…………あ、雛罌粟さん」

 ここまできてようやく目の前にいるのが私だと気がついたみたいだ。それに気がついた竜胆君はすぐに私から離れてしまった。少し顔を赤くして俯かせている。

 竜胆君はまだいわゆる朝チュンの状況に慣れていないみたい。日頃いかに衝動的に交わってるかがよく分かる。

 まぁ私もだけど。無防備なところを見られると思うとすごい恥ずかしい。

 安心するし嬉しいんだけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。私は少しだけ身体を腕で隠す。

「す、すみません。ベタベタしてしまって」

 そんなに謝らなくても…………もうちょっと撫でて欲しかったのに、とは言えないな。

「別にいいよ。でもさっき東風ちゃんの事呼んでたけど?」

「そうですか?そういえば東風の声が聞こえたような………あれ?」

 どうやら本当に間違えてたんだな。若干戸惑ってる。でも東風ちゃんにはああいう事するって事か。

「私が寝てる横で他の女の子の夢見てたの?」

 試しにちょっとからかってみる。別に竜胆君と東風ちゃんとの関係への嫉妬………ではない。ないって。

「え?い、いや………あれ?変ですね」

 さすがにマズいと思ったのか竜胆君があたふたしている。彼にしては珍しい。

「あーえっと…………すみません」

 竜胆君が気まずそうに謝ってくる。そういうところはしっかりとした子なんだよなぁ。

 別にいいよと言いたいところだけど、さっきまでの事もあるしここは甘えておこうかな。

 

「そうだなぁ………それじゃあギュッとして」

 

「ふぇっ⁉︎」

 今まで朝になってから竜胆君の方からしてもらった事無かった気がするし、まぁちょっとしたイタズラだ。

「そ、それじゃあせめて服を着てからに………」

「いや、君が服ダメにしちゃったんだけど」

私の服も竜胆君の服も私の母乳や潮のせいでシミになっている。竜胆君が家に戻る時は私の服を貸してあげないと。

「あ…………」

 それからしばらく竜胆君は私の方をチラチラと見ていた。そんなに恥ずかしがられると私も緊張するんだけど。

 すると竜胆君が私の手を握ってきた。その手を引くと優しく抱きしめてくれる。撫でてくれはしなかったけど、暖かい。

 ちょっと甘え過ぎかもしれない。でもせっかく二人きりの時間だから、今は竜胆君の事だけ感じていたい。そう思い私はギュッと抱き返す。

 私だけを見てくれている竜胆君を私も見ていたい。って、やっぱり私変かな?

「えっと………昨日は何もしてあげられなくてごめんね。大丈夫?」

「いえ、僕は僕で満足しましたから。今は大丈夫です」

 そう、なんだ。まぁ仮に満足してないとしても、今から夜のレベルでシちゃったら仕事に支障をきたすし、額面通り受け取っておこう。

 チラッと竜胆君の顔を見ると、顔を赤くしたまま私の事をジッと見ている。可愛いなぁ。

 そう思った私は身体を伸ばして、竜胆君のおでこに軽く唇を触れさせる。

「え⁉︎」

 突然の事に竜胆君はビクッとした。それから恥ずかしそうに目を泳がせる。

 どうやら彼は一方的にされるのが恥ずかしいみたい。いい事知っちゃった。

「おはよう」

「お、おはようございます」

 そこで私達はようやく挨拶をする。そろそろ起きないとかな。私達はそっと身体を離した。

 本当はまだ言いたいことしたい事はたくさんある。もうちょっとくっついていたい。でも今は我慢しないと。

 

 だってそうしないともっと竜胆君が欲しくなって、彼から離れられなくなっちゃうから。




 最後まで読んでいただきありがとうございました。
 という事で今回は本番は無しです。たまにはこういうのもアリかなぁと思って書いてみました。これからもたまにあるかもしれません。
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