大学生同棲時空
楽郎くんの、親類の家にお呼ばれに行った時のことを思い出す。
「なんというか、変わってるのが多いけど、あんまり気にしないでいいから」
と、事前に説明を受けてはいたけれど、自分に対する歓迎よりも、楽郎くんへの茶化しが随分と過激で。
その傍らにチラと見た家の中は、いろんな趣味の品々で溢れかえっていて。
混沌した中に一つ、芯の通った調和があるのは、どこか現代芸術じみていたな。と、その時はそんなことを考えていた。
対して、今、自分たちが住んでいるワンルームマンションの室内に目を向ける。
お互い物持ちがいい上に、身の回りの品が少ないタイプ。
彼の家の流儀に沿っていえば、趣味:楽郎くんになるのだろうか。
彼のため。と買い揃えた生活をより快適にする品々を除けば、というかそれも含めておおよそ普段使いの日用品程度しかなくて。
かくいう彼も、おっきいチェア型のVR機を除けば、ゲームパッケージを棚に並べる程度でそれ以外のものは少なくて。
さて、何が問題かと言えば、今自分の手元にある、変なテンションで発注してしまった衣装をどこに隠すかということだけれど、収納コーナーも充実こそしているけれどどこも日常的にものの出入りがあるから隠し場所に向くわけではない。
いっそ自分のクローゼットに隠すのが最適か?と思いもしたが、逆に自分の家族がやってきたときに見られる可能性もあって、そこが最適とは言い切れない。
「ど…どうしましょう….」
と、やや大きめの小包をダイニングに放置したまま、家の中をくるくる回る。
「ただいま」
と、そこに講義を終えて帰ってきた彼の声。
日用品です。と適当な場所において押し通せばよかったのかもしれない。
あるいは、ひとまず自分の私室に押し込めてやり過ごせばよかったのかもしれない。
けれど時すでに遅し。
全く隠せてない大型犬サイズの段ボールの前に、プルプルと震えるように立って、なんでもないんです…なんでもないんです…!と呟く不審者を前に、まず彼が口にしたのは、「いったいどうしたの…?」と至極当然の困惑混じりの質問だった。
「い…勢いで買ってしまいました……」
と、顔を赤らめて正座する私を、いったい何をそんなに、お小遣いを使い切ってしまった小学生のようにかしこまっているのか…と不思議そうに眺めている。
「と、とりあえず開けるの手伝おうか」
と親切心だけの提案を、断るに断りきれず。
とは言え、プライベートなものなので。と断るには他人行儀というか。恋仲になった自分たちの間で取る態度としてはあまりによそよそしくて。
いっそ殺してください。とまで不意に口をついて出かけたけれど、偏った上の姉に吹き込まれた知識ではそれも良くないフラグだったと思い返す。
ひたすら顔を赤らめてプルプル震えていると、箱の中身を目にした楽郎くんが、少し顔を赤らめてこちらを振り返る。
「えっと....せっかくだし着てみる?」
と、手に取ったそれは、今となっては懐かしい、シャンフロ の中で少しの間私が着用していた双理の鎧アバターのそれだった。