※この作品はR-18です。

鬼滅の刃 元柱、大人の情と後悔   作:木桜 春雨

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元、柱と鱗滝

  攻撃をかわした、いや、受け流したのだ、このガキ、鬼の視線は少年の手を見た、何もない、なのに構えるような、そこに見えた気がした、いや、はっきりとわかる、握っているのだ。

 千寿郎さん、女に名前を呼ばれて少年は、はっとした。

 「だ、大丈夫、です」

 振り向くことはしないまま答える、自分が弱いことはわかっている、だが、逃げる訳にはいかないのだ。

 

 鬼は少年に襲いかかった、二度目の攻撃だ、その体を引き裂いてやる、だが、寸前のところで自分から身を引いた。

 気配だ、何かが近づいてくる、それも気配は一つではない。

 

 

 千寿郎の頭の中に声が語りかけてくる、油断するな、敵から目を離すなと。

 (構えろ)

 父や兄と鍛錬していた時のことを思い出し、千寿郎は両手に力を込めた、不思議なことに感じるのだ、自分の手の中に、それはあると。

 しかも鍛錬のために使っている木刀よりも重い、これは長い刀、真剣だと。

 

 急がなければと鬼は思った。

 このガキに力を貸している、鬼、人、いや、分からない、まさか、鬼殺隊の人間であるはずがない。

 こんなガキに、だが、近づいてくる気配が強く大きくなってきている、こうなったら一気に片をつける。

 自分の腕で切り裂く為、飛びかかり、距離を詰めなければと足に、全身に力を込めた。

 飛びかかって一気に片をつけてやる、だが。

 

 「ぐああーっ、く、くっ」

 

 悲は鬼のものだ、苦しい声をあげ、肩を押さえていた、地面には切り落とされた右腕が落ちている、それを苦痛と恨みの目で、信じられないという表情で見つめていた。

 「な、何故だ」

 いつもなら切り落とされた体の部位、手足、いや、首でさえも再生する、それも一瞬にしてだ、だが、腕は切られたままだ。

 腕を取り戻そうと鬼は近づいた、その瞬間、いきなり炎が上がった。

 

 「千寿郎ーっっ」

 

 自分を呼ぶ声に少年は、はっとした、父親の声だ、だが、視線を向けることはしなかった、鬼は腕一本を切り落としただけだ、死んだ訳ではない。

 油断するな、それは自分の頭の中に響く男の声ではない、自分に言い聞かせた己の声だ。

 

 腕が燃え始めたのだことに鬼はぎっっと視線を向けた。

 「こ、このっ、ガキの分際でええ」

 剥き出しの憎悪、殺してやると叫びわあげ、鬼は少年に飛びかかった。

 (ま、負けないっっ、僕は)

 振り払う刃を鬼が避ける素早さに負けそうになる、だが。

 自分の体がぐいっと後方に引っ張られた、それと同時に鬼の腕が空を切った、攻撃をかわしたと思った、だが。

 目の前で倒れた影に千寿郎は慌てた、いや、驚いたといったほうがいいだろう。

 

 鬼は驚いた、目の前のガキは厄介だ、しかし、それ以上に厄介な人間が現れたと思った、男は少年と同じ髪の色だ、だが、動き、気配がまるで。

 (こいつ、柱っっ)

 刀こそ持っていない、だが、気配が普通ではない。

 

 (逃げろ)

 

 何かが訴えかけてくる、それは本能かもしれない。

 そのとき、もう一つの何かが近づいてくる気配と空気を感じ、駄目だ、このままでは。

 負けた訳ではない、ここは今一度、鬼は退くことにした。

 

 

 元、炎柱だ、以前、会ったことがある、随分と昔のことだが、鱗滝は燃えるような髪の色をした男の姿を見て、そして腕に抱いている女の姿に立ちすくんだ。

 近寄ろうとした、だが、それができないのは男が鋭い目つきで自分を見たからだ。

 

 

 

 




 最近、刀鍛冶の里を見て、突発的に書いてしまいました。
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