※この作品はR-18です。

Purgaturium/英雄 cupiditas   作:トラロック

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†11† 身寄りのない子供達

 男女の営みの予行演習を済ませ、対象となる獲物の捜索に入る虎人(ワータイガー)の少女アタランテ・ミリア。

 血走った目で辺りを窺おうとすれば目立つのでいつも通り自然に振る舞いでダイダロス通りを散策する。

 【シン・ファミリア】の団員アストルフォから特段の言いがかりは来ず――当然、彼の仲間から言い寄られる事は無い。いつも通りの日常だ。

 今後の事を考え、誠に遺憾だと痛感しながらアルトルフォに一年分の食材提供を打診した。――もちろん自宅に来た時に酒を飲ませた上で。

 彼の資産にあまり響かない程度で。団員達にも疑惑を思われない理由を考えて。

 名目としてはダイダロス通りに住まう孤児達への支援物資。自身の面倒をアストルフォにいつまでも見てもらうわけにはいかない。そこで子供達を何人か招く予定である事を伝えた。――真(・)の(・)目(・)的(・)とも遠くないので違和感のある嘘にはならない。

 

「汝や【ファミリア】に迷惑をかけるが……、私一人では限界がある」

 

 己の矜持を投げ捨てアストルフォに深く頭を下げた。

 指示に従う人形と化しているせいもあるが彼は特段の疑問も抱かずに彼女の提案を受け入れた。

 後日、酔いが醒めたにもかかわらず【ファミリア】の団員に食糧支援を呼び掛けたところ、孤児達の為ならば、と大きな諍いも無く受け入れられたようだ。――主神であるシンは些(いささ)か疑問を感じたようだが理由付けから深く詮索する事を避けた。

 それから週に一度、正体を隠したアストルフォと彼の仲間であるブラダマンテがアタランテの自宅に食料を運び込むことになった。それとついでに台所を借りて簡単な調理を行(おこな)い、近所の住人や孤児達に食糧を渡した。それと前々から炊き出しを定期的に行(おこな)っているキルケーの手伝い――周りに知られない範囲で――も始めた。

 

(食糧事情はこれで解決した。……大きな貸しが出来たな)

 

 彼ら(アストルフォ達)は一年ほどの期間、このダイダロス通りに来るがアタランテとの接触は少しずつ少なくなる予定だ。元より関わり過ぎれば要らぬ騒動が起きるやもしれぬ、と彼女自身が危惧していたからだ。

 アストルフォだけならどうとでもできるが、団員まとめて対処する事は流石に無理だと言わざるを得ない。そして――彼らにこれ以上の負担を強いられないと自覚している。

 

Erotiki trela

 

 自宅と周りへの対処が終わり、気持ち的にも余裕が生まれたアタランテは次の予定を考える。大まかな指針は既に決めていた。足りないのは人材――

 女神ペニアから頂戴した酒の効能は確かに凄まじいが飲んでもらう雰囲気づくりが難題であった。

 

(……既に【ファミリア】に所属している冒険者では何かと勘繰られる。特に主神から。狙うは貧民街に居るような奴でなければダメだろうな。……都合よく同族が居るとも限らないし、長時間ウロウロするわけにもいかない)

 

 散歩は朝と夕方。

 夜間は道に迷わない程度までしか行かない。細い路地に入り込むと魔石灯の明かりも届かないので下水道や廃墟に落ちる可能性がある。

 それと犯罪者の隠れ家もあるらしいので警戒は怠れない。

 そんな無法地帯に【ガネーシャ・ファミリア】が定期巡回の為に訪れる。一月(ひとつき)に一度という頻度で。

 今のところ暮らし始めてから大きな騒動は起きていない。近隣住民とも――衝突こそしていないが仲良くなったかは分からないが挨拶は欠かさずに行(おこな)っている。

 今日は孤児院に向かい、そこで遊んでいる子供達の様子を窺う予定だ。

 迷宮都市オラリオには様々な理由で子供達を手放す。多くは親が何らかの事情で死亡し、路頭に迷う。外からの流入は検問所で厳しく監視されているので都市内で発見されるのが殆どだ。

 そんな彼らも大きくなると冒険者になったり、他の街に向かったりする。あるいは居残って孤児達の面倒を見るようになったりする事もある。

 食いぶちが無いからと言ってギルドや【ファミリア】が貧民街に住む彼らを唐突に追い出す事はしないし、今までそんなことはしなかった。

 一部の神が目をかけているから大事に至っていないともいえる。

 神は基本的に下界の住民を見捨てない。だが、全員を救い上げるわけでもない。彼らとて出来る事と出来ない事がある為だと思われる。それと――貧民街に居を構える神の多くはろくでもない者が多い。

 アタランテはその辺りに関しての情報には疎(うと)いようだが女神ペニアを除いて邪神の類とは今のところ出会っていないのは幸運と言えるか。

 良からぬ神に会う予定が全くないアタランテは周りを警戒しつつ人間観察を行(おこな)う。

 目標は自身と同じ亜人種。

 人間(ヒューマン)の人口が多いオラリオにおいて特定の亜人(デミ・ヒューマン)を見つける事は意外と難しい。

 

(……亜人(デミ・ヒューマン)の子は見かけない事は無いが……特定の種族となると意外と居ない。かといって他所(よそ)から無理矢理取り上げたりはしない)

 

 ドワーフやエルフの子供も居るが特に珍しい種族と言われるのは『狐人(ルナール)』である。

 極東に多く住んでいる以外に情報は無く、実際に街中で見かけたことは無い。

 自身の種族である虎人(ワータイガー)は子供時代だと猫人(キャットピープル)と間違えやすい。耳の形を見てもはっきりと区別できるものでもない。それは犬人(シアンスロープ)と狼人(ウェアウルフ)も似たようなものだ。

 虎人(ワータイガー)かどうか分かる特徴といえるのは尻尾の形、または柄くらいだろうか。

 いきなり目的の人物を探すよりまずすべきことを思い出す。

 

 暮らしを支援する者。

 

 現在のアタランテは利き腕と左脚が無い。日常生活を送るのも重労働だ。――レベル3だとしても。

 ずっと外食するわけにもいかないし、定期的にやってくるアストルフォ達に養ってもらうわけにもいかない。

 身の回りの世話をしてもらうのは冒険者として恥ずかしい思いだが致し方ないと今は思う。

 目標としては幼いながらも一人で暮らせるだけの技術と胆力がある者。特に食事の用意ぐらいは他人に頼らなくても大丈夫そう、という程度であれば良い。

 孤児院で養っている子供の人数は凡(おおよ)そ二〇人を超える程度。それ以外の子供達は両親の下(もと)に居る。

 可能な限り親が居る子供を除外する。

 

(必然的に世話係は女の子がいいが……。誰が良いのか)

 

 指導力がある子は目立つ。何も出来ない子供も困る。

 目的に合った者となると候補が一気に減ってしまうが妥協はできない。

 

Erotiki trela

 

 何日か散歩がてら子供達を観察し、候補を二人にまで絞った。――別に一人だけにこだわる必要はないけれど、と思いつつ。

 子供の見た目は五歳くらい。

 年上だと色々と疑心暗鬼になりやすいので、幼い方が御しやすいと思った。

 良心の呵責が久しぶりに蘇ったがすぐに投げ捨てる。

 

(ものの分別が付くかつかないかの歳の方が都合がいい、と思うのは悪い大人の考えだな……)

 

 軽くため息をついた後、機会を窺ってから声をかけてみた。

 彼ら(孤児)は両親が居らず、面倒を見ているのは有志の女性――教会の修道女(シスター)というわけではなく、一般的な町娘に見える――だった。

 一人は人間(ヒューマン)の少女。赤毛に水色の瞳。気弱そうな雰囲気を感じた。

 もう一人は真っ白な髪の毛の――おそらくは――猫人(キャットピープル)。澄んだ空色の瞳を持つ気の強そうな女の子。

 人間(ヒューマン)の少女は『クリュティエ』といい、猫人(キャットピープル)――狼人(ウェアウルフ)のようにも見えたが本人が否定した――の少女は『ドブルイニャ・ニキチッチ』と元気よく答えた。

 

「……立派な名前を付けられたのだな」

「そうだ。ニキチッチでもニキでもいいぞ。いだいでえいこうなるものにふさわしい名だろう?」

 

 ダイダロス通りの中にある――比較的広めの空間――広場の壁際で彼女達から話しを聞く事にした。

 人目の多い場所なら子供達も唐突に逃げ出す事は無いとアタランテは考え、まずは自己紹介から始めてみた。

 クリュティエはニキチッチの影に隠れるようにしていたが怖がっている様子は見受けられない。寧(むし)ろ薄笑いを浮かべるような不気味さを表していた。

 ニキチッチの一人称は『オレ』だったので男の子かと尋ねたら女だと元気よく答えた。

 年齢はクリュティエが六歳でニキチッチが五歳だという。見た目で歳の差は分かりにくいものだとアタランテは気にする事をやめて納得した。

 次の日には『パリス』という五歳の男の子がニキチッチに手を引かれてやってきた。

 若葉色の髪に橙色の瞳。羊人(シープ)であるが角は髪の毛を少し押し上げる程度しかない。

 孤児達は何人かでまとまって行動するようでニキチッチ達も三人で遊ぶ事が多いのだという。

 

(……管理に関しては三人くらいが丁度いいか。これ以上増えても困るな)

 

 子供だからと侮る事をアタランテはしない。

 明日の食い扶持を探すのが難しい事を理解している貧民街に暮らす孤児達だ。見た目は気楽そうでも目の前に居る大人(アタランテ)が敵か味方くらいは探っている筈だ。

 ここに住むようになって少し人間不信になってきた自分自身がそう感じているほどに。

 

Erotiki trela

 

 信頼と信用はそう簡単に出来るものではない。現にアタランテは子供達をどう利用すべきか考えている。

 それを踏まえてクリュティエ達に協力を申し出なければならない。

 まず誘拐犯ではない事を信じてもらう。といっても簡単に言いくるめられるとも思えないので数日かけてでも交流から始めようと思った。

 パリス少年は男の子の集団(グループ)にも参加するのでクリュティエ達とずっと一緒というわけではないらしい。

 

「私は見ての通り身体障害者だ。そこで君達に生活を補助してもらいと思ったわけだ」

 

 無難な話題から始めたもののクリュティエ達に理解できるかどうか危ぶんだが話し自体は聞き耳を立ててくれた。

 分からないと思った事は主にニキチッチが聞いてくる。

 幾許(いくばく)かの駄賃と食料を提供すると言えば二人共目を輝かせた。

 

「一年ほどでいい。私を助けてくれないか?」

「いいぞ」

 

 と、ニキチッチは即答したがクリュティエは悩んでいるようだった。

 受け答えに関して時間がかかる彼女(クリュティエ)の答えを聞こうとは思わなかった。一人でも協力者が居ればいいと思ったから。

 食事に関して材料があるので調理方法だけ大人に聞くなりしてもらうが一日中家に居てもらわなくてもいいと言っておいた。

 

「特にする事もない。寝て起きて……また寝るを繰り返す。養ってくれる相手でも居ればいいのだが……、こんな身体になるとは思わなかったら。今は伴侶を捜索中というところだ」

 

 感心があるのか無いのか分からないが、二人は黙って聞いていた。

 子供達に求める事は日常生活の補助。可能であれば食事も。

 それが叶うなら寝泊まりや風呂の使用を許可すると伝えてみた。――衣服に関しては要相談と付け加える。

 

「朝昼晩。決まった時間だけお手伝いしてくれればいい。……小遣い稼ぎになるかは分からないが」

 

 改めて彼女達に確認するように尋ねてみた。

 不自由なアタランテを助けてくれないか、と。

 ニキチッチは既に即答したがクリュティエは流石に時間がかかったが、友達と一緒なら、という事で了承した。

 後日、パリスにも同じように尋ねて了承を得るに至った。――彼には彼女達とは別の頼み事をする為に。

 話しを終えて夕方に人目を避けるように言いつけて自宅に案内した。

 

「他の者には内緒にしてくれると助かる」

「わかった」

「……はい」

「……絶対に悟られるな、とは言わない。私の知り合いも来るからな。……あまり大勢に来てもらいたくないだけだ。不自由な身の上なのでな」

 

 そう言いながら子供達に部屋の中を案内し、次の日から少しずつ仕事内容を伝えていく。

 五日が過ぎるころにはパリスを含めてアタランテの家の状況を理解するに至った。

 

Erotiki trela

 

 ダイダロス通りにある貧民街での生活期間を凡(おおよ)そ一年間と本(・)格(・)的(・)に(・)定め、アタランテは家に招いたクリュティエ達に食材を提供する。

 台所はあるが子供の手による料理は何かと不安なので別の家に調理をお願いしてもらう事にした。これにはさすがにアタランテも妥協をせざるを得ないと諦めた。

 基本は朝と晩。昼食は何日か抜いても平気だが食べ盛りの子供達を見ていると不安になってくる。それと自分も体力を付けなければならないのに食欲不振気味で精神的に参っていた。

 頭では分かっている。心が付いてきてくれない。

 

(……せっかく進み始めたのに肉体的に後退しては……)

 

 元々冒険者(戦士)だった自分が怠惰な生活に甘んじなければならない現実に少なからず衝撃を受けた。

 先の不安も勿論だが――未来の展望がまるで見えない。

 それに引き換え、子供達は生活が苦しいはずなのに元気で明るい。クリュティエも気弱ながら文句ひとつ言わずに台所に立ってくれるし掃除もこなす。

 家で一番の役立たずはアタランテだけ。

 狩りやダンジョンに挑戦していた時間が夢のようだ。

 

(……そうだ。輝かしい日常は既に無い。目の前にあるのが現実だ)

 

 受け入れがたい現実を飲み込む頃、アタランテの心はすっかり闇のように真っ黒に染まっていた。

 この日の夕方、子供たち三人と共に食事を摂る事にした。普段はパリスが不在になる事が多いが、それは別段気にしない。

 一般的な野菜炒めやシチューを並べ、柔らかめのパンを子供達の前に置く。

 孤児院で食べるパンは硬い黒パンなので子供達の目の輝き方が尋常ではない。

 

(子供達にこ(・)の(・)ワ(・)イ(・)ン(・)はそのままでは危険だから……)

 

 水で薄めて葡萄ジュース程度になるように気を付けた。少量を無理に飲ませるより、少しずつ慣らしていく方が身体の負担も少ないだろうと判断した。

 オラリオでは酒類は子供でも飲む。もちろん、誰でも飲むわけではない。

 アルコール分を薄めたものであれば子供だろうと文句を言われる事は無い。

 

「これっておさけ?」

「子供が飲める程度に薄めている。あくまで感謝の気持ちだ」

 

 不自由なアタランテを手伝ってくれる子供達への感謝の気持ち、という無理矢理な理由付けだ。だが、感謝が無いわけではない。実際に助けられている。

 薄めたワインだが多少の酩酊感を覚える程度で、苦しんだり腹痛に見舞われるような事にはならない。

 それぞれ提供された少量のワインを飲んでいく。

 

(うまい。だが、ものたりないな)

(……んー。これがおとなのあじ?)

(ブドウジュースといえばそうだけど……。薄めすぎ?)

 

 それぞれ味に不満を覚えつつも一旦は飲み干した。

 それらを確認した後、自由に食事するように言いつけて夕食が本格的に始まった。

 ある程度食べ進めた後、少し濃い目のワインを提供する。ここで味が濃くなったと気づいても薄めた物だ、と言い切るつもりでいた。

 飲み物以外の違和感は覚えなかったのでニキチッチ達は出された料理を食べ進めていった。

 

Erotiki trela

 

 食事を終えた頃、少し酩酊気味になった子供達を空き部屋に案内し、宿泊するように言いつけた。

 彼女達は文句ひとつ言わずにアタランテの指示に従った。

 空き部屋は元々伴侶が来てもいい様に用意していた小さな部屋。子供達の為に雑魚寝くらい出来るように毛布をいくつか購入し、敷き詰めていた。

 

(……子供にも通用するようだ。いきなり具合が悪くならないか心配だったが薄めたのは正解だったな)

 

 娼館に居た時に客を手っ取り早く酔わせる方法を聞いていたが、体調をの事を考えると抵抗を覚える。それゆうに酒を薄める方法を選んだ。

 強い酒を飲んだことで突然死されては心が痛む。その辺りも注意事項として聞いていたが、いざ試すとなる手が震えた。

 女神ペニアは瓶から直に飲んだりしていたが一般人にそんなことをすれば確実に具合を悪くされる。アストルフォは【ステイタス】が高い人物だからそれほど危機感を抱かなかったが子供達は只人(ただびと)だ。冒険者とは勝手が違う。

 

「お前達に命令する。この家に出入れする時は可能な限り目立たず、他言も控えること。分かったら右手を挙げろ」

 

 威圧にならないように優しく眠そうな態度の子供達に告げる。

 命令内容は最初にお願いしたものと大差ない。

 アタランテの言葉を理解し、了承したならばそれぞれ言われた通り右手を挙げていく。

 最後の子の家での暮らしを忘れる文言については保留にした。いちいち記憶から消すような事をすれば違和感ばかりが積み重なってしまうと考えたからだ。

 物事に絶対があれば無理が生じる。子供達にとって重く負担になるような事を避けつつ一つずつ確認していく。

 女子二人とは別にパリスには早急に見つけてもらいたい人物を改めて指示した。

 

「……はい」

「では、お休み。また明日からよろしく頼む」

 

 そう言って子供達を寝かしつけた。

 翌朝、軽い頭痛に見舞われている子供達に朝風呂を提供し、いつもの日常が始まった。

 昨日の指示のことなど全く覚えていない、という風に装う子供達を眺めたアタランテは別段、危機感を覚えなかった。

 落ち着いた頃に掃除を頼み、着替えや買い物とアタランテの手足の手入れも不得手ながらクリュティエとニキチッチは素直に指示に従った。

 パリスも外に出た後は目的の人物の捜索に意識を割きつつ普段と変わらぬ振る舞いに務めた。

 それから三日ほど経過し、彼から朗報が齎(もたら)される。

 

Erotiki trela

 

 アタランテが探してほしい人物は簡単に言えば同胞である虎人(ワータイガー)の雄(オス)。

 歳は十代に見えていればいい、という曖昧なもの。

 身寄りの無い孤児であれば誰でも良かった。

 貧民街の規模は結構広く、奥に進めば進む程治安が悪くなる。そういう危険な場所にパリスを向かわせた。

 洗脳に近い作用による指示だからこそ彼は怖気づくことなく進むことが出来た。

 指示したアタランテは彼に万が一が起きてしまうかもしれない、と危惧しなかったわけではない。無事に戻って来るたびに少し強めに労(ねぎら)った。

 

「その人は大人の人に痛めつけられてて今にも死にそうだった、です……」

 

 現場を見て恐怖心を覚えなかったわけではなく、説明する毎にパリスの身体が震え始めた。

 子供心に怖いという思いは洗脳状態でも感じるらしい、と理解した。

 無法地帯に近い貧民街の中ではそこかしこで喧嘩などの暴力事件が後を絶たない。

 道端に寝転んでいる浮浪者が目立つのは一般住宅に近いところだが、それより奥は彼らも居座りたくないと思うほどの危険地帯だと理解しているようだった。

 孤児院は比較的安全な場所にある為か、破壊や放火の被害には遭っていないようだが――偶々(たまたま)かもしれない、これから遭う可能性も否定できない。

 

(……まずパリスは家から離しておこうか。クリュティエは留守番、となるとニキが適任か……)

 

 ざっと判断を下し、件(くだん)の虎人(ワータイガー)の下に向かう事にした。

 念のために身を隠す大きめのローブをそれぞれ纏(まと)いながら。

 移動に適した時間は夕暮れ。場合によれば自分達にも危険が降りかかるが冒険者時代の勘はまだ鈍っていない筈だと言い聞かせる。

 片足での移動になるがニキチッチの補助を受けつつ前に進む。

 小柄ながら力があり、供としては申し分ない。だが、戦闘面までの期待はしていない。

 入り組んだ路地を進みつつ報告された現場についた時にはすっかりと闇に閉ざされた。だが、夜空が見えないわけではないので怖いとは思わなかった。

 

(……人の気配がいくつかあるな。犯罪組織の拠点でもあるのか?)

 

 人通りが極端に少なくなったが誰も居ないわけではなく、通りに魔力灯の明かりがあった。

 腕に覚えがある者であれば通るのに問題は無いが単なる一般人だと抵抗を覚える筈だ。

 ここには何処からか集まってきたゴロツキ達が屯(たむろ)し、昼間以上の危険地帯と化していた。

 荒くれ者の冒険者のようにそこかしこで酔っ払いによる喧嘩や物騒な相談事が見受けられる。そんな中に子供が居る、というのも不自然ではあるが――

 親子であればあり得ないとは言い切れない。

 

(死体なのか寝ているだけなのか遠目では分からないな)

 

 ずっと同じ場所に居たならば対象が既に死んでいてもおかしくない。出来れば生きていてほしいと願いつつ子供の姿を――物陰から――探す。

 連れて来たニキチッチも声を出さずに大人しくしている。

 普段の彼女は元気でよく話をする。そんな子が急に黙っていると何事かあったかのと心配になってしまうのは不思議な気分だった。

 貧民街に住んでいる以上、性質の悪い輩(やから)の様子を見ていないわけがない。だが、それでも平然と佇めるとは思えない。

 

(ワインの効果ゆえか。大人しい分にはありがたい)

 

 見つからないように捜索し始めて二時間程経過した。普通の子供であれば寝る時間帯だがここいら一帯は不夜城の如く賑わっていた。それも悪い意味で。

 ギルドの目が届かない事を良いことにあちこちで悪だくみする声が嫌でも聞こえてくる。その全てにアタランテが対処できる筈は無いが――万全の態勢であれば打って出てもおかしくない。

 不遇の身の上である今は彼らとほぼ同類の様なものに成り下がっている。それを思うとより生きる気力が萎えそうになる。

 

Erotiki trela

 

 見つからないように細心の注意を払いながら闇世の中を進む。

 パリスは比較的明るい時間帯にこの辺りまで来ていたようだが、よく無事でいてくれたと今は思う。

 危険があれば引き返してよいとは指示したが子供の脚で大人の暴漢から逃げるのは至難の業だ。特に冒険者が相手では更に難易度が高くなる。

 

「………」

 

 移動途中に頭頂部の耳に微かな呻き声が届いた。

 闇夜に紛れて視界にはまだ映らないが誰かが近くに居る事は分かった。

 昨日の今日なので同じ現場に居るとは思わなかったが防衛本能が働いて人目につかない所に移動してもおかしくない。――そんな体力が残っていたのであれば、だが。

 ここまでついてきたニキチッチの頭を撫でつつ物陰から出ないように言い含めてアタランテは辺りを窺う。

 腐敗臭のような貧民街特有の匂いが充満していたが死臭と呼べるほどの強い匂いは無い。だが、血の匂いは辺りに広まっていた。

 同じ獣人であるニキチッチも鼻を押さえているので、平然と過ごせない現場である事は理解した。そして、暗闇に慣れた目で目標を捕らえた。

 ズタ袋にくるまって物陰で寝転がる存在に。

 

(連れ去られたわけでないのなら……、あれがそうか? 目測からも小柄だが……)

 

 仮に小人族(パルゥム)だったとしても人違いで立ち去ればいいだけのこと。

 ニキチッチに現場待機を命じてアタランテは駆け出した。

 片足だけの移動となるので不自然に余計な音が出てしまうが近くに住人の姿が無いので立ち止まらずに進んだ。

 移動しながら義足を注文しておくべきだったか、と苦笑を禁じ得ないが後の祭りだ。

 さっさと現場にたどり着き、ズタ袋の中身を確認する。すると――暗くて判別が難しいが獣人の子供が掠(かす)れた息遣いで横たわっているのが確認出来た。

 

(猫人(キャットピープル)か虎人(ワータイガー)かは明るい場所で判断しよう)

 

 周りに視線を走らせニキチッチを手招きで呼びつける。

 一旦フードを脱いだ彼女の背に子供を背負わせ、改めてフードをかけて姿を隠す。その後は一目散に撤退する。

 余計な考察は後回し。この子供が何者かも今考える時間的猶予は無いし、必要ない。

 追手が無いか後方を気にしつつ比較的安全な場所まで急ぎ足で移動するもののアタランテにとっては重労働だった。それゆえにニキチッチだけ先行させた。

 体力が衰えたわけではなく、単に移動に難があるだけ。

 

(白い髪のニキも夜だと意外と目立たないな。明かりが多いと駄目そうだが)

 

 気持ち的に余裕が生まれた時にそんなことが脳裏に過(よぎ)った。

 自身の髪も昼間であれば結構目立つ部類だがフードで隠すだけで目立たなくなる。

 あまり隠蔽能力に長けていると緊急時に誰にも見つけてもらえないまま死にそうだな、と下らない事を思った。

 

Erotiki trela

 

 特段の問題も無く自宅にたどり着き、軽く一息ついてから連れて来た子供を浴室に置くように指示した。

 小汚いところに向かい、小汚い子供を背負ったニキチッチはそれなりに薄汚れている事だろうと推察できた。まずはここまで運んでくれた事に感謝し、新しい服に着替えてもらい、留守番していたクリュティエに食事の用意をさせる。

 僅か数日とはいえ簡単な食事を作れるようになった彼女達に――胸の内ではあるが――改めて感謝の意を表す。

 二人が食卓の用意を整えている間にアタランテは浴室に入り、目が覚めていない子供の様子を窺う。

 フードに包まれていた人物は獣耳と尻尾を持つ亜人(デミ・ヒューマン)であることは間違いなく、縞模様の尻尾と丸みのある耳から自分が探していた虎人(ワータイガー)でもあった。

 赤茶けた髪が顔を包み込むように生えているが、耳は髪と異なった黒い毛だった。

 顔に殴られたことによる痣(あざ)があり、酷く衰弱している為か、弱々しい息遣いのまま目覚める様子が見られない。

 

(年の頃は十代くらい。身体の欠損は無さそうだ)

 

 五体満足であれば何でもいい、というわけではないが身体(しんたい)が揃っている事にひとまず安心した。

 床に仰向けにした後、渾身の力をもって少年の腹を殴りつけた。

 

「……うぐぉ」

 

 体力が低下していた為か、思いのほか声が出なかったようで、居間の方にまで響かなくて良かったと思った。――届いたとしても指示を受けた彼女達が駆けつける事は無いけれど。

 アタランテ自身の体力の低下も相まって内臓破裂にまでは至っていない筈だと手の感覚から予想し、今の力加減ならば大丈夫かと判断して更に二発ほど叩き込み、平手打ちと裏拳を交互に顔にお見舞いした。

 両手があればもっとまともな力加減で痛めつけられるが今はこの程度で我慢しておく。

 少年の息遣いが微かにある事を確認した後、居間に向かいニキチッチに彼の拘束を命じた。暴れるような腹を殴っておけ、と付け加えて。

 食事を終えた後、彼の身ぐるみだけ剥がし、少女達に眠るように指示した。

 一度、暗示めいた指示を出すと酔いが醒めてもしばらく従順になるのはアストルフォで確認済みだ。

 翌朝、ワインを少量だが彼女達に飲むように指示した。

 三回目ともなると飲み慣れたのか、不快感を見せる事もなくすんなりと受け入れたようだ。

 朝食を済ませた後、クリュティエにはパリスと合流し、傷薬や男物の着替えの購入を依頼し、ニキチッチには浴室で一夜を明かした彼の身体を洗うように指示した。

 

「これから一週間、死ぬような目に遭ってもらう。それ以降は……、溺愛しよう。彼には気の毒だと思うけれど……」

 

 そう言いつつニキチッチの頭を撫でる。

 指示を受けた彼女は瀕死の少年の姿に一切の憐れみを覚えず、単なる物体が転がっているようにしか見えなかった。

 もし、肉親であれば多少は心が揺らいだかもしれない。

 アタランテが何のために手痛い仕打ちをするのか理解できていないけれど、彼女が必要だと思って行(おこな)っている事に口(・)出(・)し(・)し(・)よ(・)う(・)と(・)は(・)思(・)わ(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。

 ただ淡々と指示通りに少年の衣服を脱がしていく。

 

「……このままだと衰弱死するかもしれない。彼の服を洗濯し終えたら食事の用意してくれ。……消化に良さそうなものを頼む」

「分かった」

 

 指示を受けたニキチッチは彼の身体を一瞥する。

 異性の身体に対し、五歳児であるニキチッチは特に恥じらう事もなく指示されたことに従順に従うのみ。そこに違和感などありはしない、とでも言うかのように。

 一通り洗い終えた後、彼に目隠しと猿轡を噛ませた上に手足をロープできつく縛る。

 気が付いても衰弱している少年の力では脱出は難しいだろうと見守っていたアタランテは判断し、居間に向かって一息ついた。

 

Erotiki trela

 

 ニキチッチが食事の用意を終える頃にクリュティエ達が戻ってきた。

 念のために追跡者の気配は無かったのか、家に入る時まで身を隠すようにしていたかなどを尋ねた。子供の技術には限界がある事は百も承知だが念のために――

 パリス達は買い物の道中、不審な人物に声を掛けられる事は無かったと答えた。

 仮に連れて来た彼が重要人物であろうと帰す気は無いが、ギルドが出張ってきた場合は素直に引き渡す事を決めた。

 犯罪者に対して遠慮はしないが冒険者ギルドに逆らうほどの気概は持ち合わせていない。

 特に問題は無さそうだと判断した後、荷物の確認をしながらパリスとクリュティエには食材を持って料理を教えてくれる者の所に向かってもらう。

 世話以外は可能な限り彼らに料理を学んでもらいたいと思っていた。勉学についてアタランテには難しい問題なので早々に諦めている。

 ニキチッチを残すのは三人のうちで一番動かしやすいからだ。度胸と力があり、判断も早い。

 冒険者になれば頭角を現すかもしれない。――先の事は分からないし、見(・)る(・)事(・)は(・)無(・)い(・)と思っているけれど。

 それでも子供達の将来に期待していないわけではない。

 

(……今やるべきことは彼女達を鍛える事ではない。それを忘れてはいけない)

 

 ニキチッチ達を強くする役目はアタランテ以外の誰かだ。

 雑念を振り払い、衣服の着脱を彼女(ニキチッチ)に手伝ってもらった後、傷薬などを持って浴室に入る。

 一歩歩くだけでも一苦労だ、と内心でぼやきつつ義足が無い事を恨めし気に思った。

 後から入ってくるニキチッチは五体満足。そんな何の障害も無い姿を見ていると心の内が冷たくなる。かといって子供相手に当たり散らすわけにはいかない。

 少しでも癒しを得る為に彼女の頭や獣耳と尻尾を撫でた。

 白い毛並みの各部位は数日かけた洗浄のお陰か、かなり美しく整った。将来は確実に注目を集める、かもしれない。――あくまでアタランテ個人の意見だが。

 

(……幼いゆえか、肌も綺麗に見える。今は凹凸が無いが……)

 

 五歳児の胸は平坦だが十七歳であるアタランテの胸も大きいとは言い難い。

 華奢なエルフといい勝負だが戦闘の邪魔になるので今まで気にしたことは無かった。だが、色々と考えても今更なので考えを脳裏から追い出す。

 

「……汝はよく食べ、身体を鍛えれば美人になれるかもしれない」

「そうか? オレは強くなれさえすればいい」

 

 全裸のまま自信満々に仁王立ちするニキチッチ。白い毛並みの尻尾が力強く真っ直ぐに伸びた。

 彼女の元気の良い返事に思わず破顔するが、それも一瞬の事。

 今の自分は人に自慢できるような出来た大人ではない。それを思うとひたすらに心が痛む。

 浴室の中央付近で腰を下ろし、近くに寄ってきたニキチッチの股間に顔を向ける。

 他人の身体を見る機会が今まで無く、これからも縁遠いものだと感じていたが今は幾分か身近になっていた。

 獣人の亜人(デミ・ヒューマン)だが虎人(ワータイガー)の彼共々陰毛は生えていなかった。

 使い込まれた様子のない包茎とぴっちりと閉じて縦筋しか見えない綺麗な大陰唇があるだけ。

 対するアタランテはこのところ使い込まれた為か、金色の陰毛に取り囲まれつつある割れ目から小陰唇の襞(ひだ)が零れ出ていた。――娼館に居た女性達のものに比べればま(・)だ(・)綺麗な様子に見える。

 

Erotiki trela

 

 自分より年下の肢体をいつまでも眺めていても仕方が無いと気づいたアタランテは今も呻き続ける少年の近くに持ち込んだ傷薬などを並べていく。

 それと湯を沸かすように白い髪の猫人(キャットピープル)であるニキチッチに指示した。

 強制的な『命令』という文言を避けているのはアタランテなりの罪の意識か、はたまた自分はまだ闇に魅入られていないと思いたい為なのか。

 浴室に入る前に支度をすべきだったが忘れていたものがあるのは仕方が無いと自分に言い聞かせ、湯船に水をためていく。

 多くの薪(たきぎ)を必要とするする筈の技術も魔石技術によって利便性が高められ――原理は分からないが――レバー操作だけで出来ることが増えた。

 よく分からないものは大抵『魔法道具(マジックアイテム)』の一言で片づけられてしまう。

 

(……ものの数分で湯が出る。煙たくないのはありがたいが、どういう原理なのだろうか)

 

 ニキチッチが戻ってくるまで湯船に溜まっていく湯を眺めながら小首を傾げた。

 冬本番まで機能するように原料の確保を心に留めておく。

 一年間の生活の後、この家の処分をニキチッチ達に任せる為にも保全などのやり方をしっかりと教えよう、と。

 

「わいた?」

「ああ、ありがとう」

 

 にっこり微笑む少女にアタランテは少し疲れ気味の笑顔を向けた。

 素直に喜べなくなっている自分に辟易しつつ近寄ってくる彼女を労(ねぎら)った。

 いつまで世話になるか分からないが、褒める時はちゃんと褒めようと心に誓う。

 冷たいタイル張りの床に直(じか)に座っているアタランテが気になったのか、手近な事頃にあった桶に湯を入れ、それを彼女の尻の辺りに注いだ。

 

(……指示以外でも自発的に行動する。これは彼女なりの気配りか……)

 

 多少冷たいが冬場ではないので、今(・)は(・)ま(・)だ(・)平気だった。だが、彼女の行動が嬉しかったので指摘しなかった。代わりに自身の尻尾を軽く跳ねさせた。

 床が少し温かくなったところでニキチッチが内股気味になり、小便がしたいと言い出した。

 まだ命令が有効なのか確認する意味でもそこの湯桶にすればいい、と言ってみた。すると何の疑問も抱かない様子で分かったと答えた。

 床に桶を置いて跨るように移動し、下半身に力を籠めるニキチッチの様子を間近で観察しようとするアタランテ。

 身体の大きな女性が側に居る事が気にならないのか、それとも気付かないのか。程なくぴったりと閉じている大陰唇の割れ目から僅かな湯気を発しながら小便が出てきた。

 頬を少し赤らめつつ普段通りの感覚で用を足していると今度は大便がしたくなった。それもあ(・)え(・)て(・)口に出して言うと桶に出せばいいと言われた。

 

「そうか」

「出し終わったらトイレに捨ててこい。……途中で零(こぼ)すなよ」

「分かった」

 

 孤児院にもトイレはあるだろうか彼女達の羞恥心の程度は――アタランテには――分からない。しかし、人に見られる事は流石に恥ずかしい筈なのだが五歳という年齢ではま(・)だ(・)その辺りの事に疎いのかもしれない。

 もし、アタランテならば恥ずかしくて顔を真っ赤にして抵抗する自信がある。

 それもこれもワインによる強烈な酩酊作用の成せる業だと思うと空恐ろしい事だ。

 

「中腰だと脚が痺れるだろうから湯船の縁(へり)に両手をついて足を延ばしたままするといい」

「……ん。分かった」

 

 早速言われた通りに行動する。

 桶の位置は意地悪せずに予想地点に配置した。仮に失敗しても浴室なので問題は無い。

 腹を下さない限り塊(かたまり)として落ちる筈だ、と思いつつニキチッチの様子を観察する。――少しでも楽になるように背中に湯をかけておいた。

 大勢としてはアタランテに尻を向ける形だ。

 小さな尻に綺麗な肛門が微動していた。

 両脚を伸ばした状態なので勢いが付けば飛び出る。そうでなければ湯桶に入る筈だが落下時の反動で飛び出す可能性があることに気が付いた。だが、その時はその時として黙っておくことにした。

 

「ふーん」

 

 と、力(りき)み始めてすぐに肛門が盛り上がり茶色い排泄物が顔を出す。それと同時に白い尻尾は真っ直ぐ天井に向かって伸びた。

 自分の排泄行為すらまともに見たことが無かっただけに間近で見ることになる光景は中々に衝撃的だった。

 その後もゆっくりとした勢いのまま排出されていき、重さに耐えきれなかった分が桶に向かって落ちていく。

 小便の上に落ちる排泄物の音が嫌に生々しい。

 

(こんな風にうんこが出てくるのか。おっ、次が見えてきた)

 

 子供の排泄物だからと言って自分のものと大差が無い事に失望は無く、興味深く最後まで見入ってしまった。

 アタランテの場合、尻尾に排泄物が着かないように前方に引っ張って終わるまで掴んでいる。ニキチッチの様子にするとふとした事で力が抜けて倒れる可能性があるからだ。

 最後の排泄物が出た後、大きく息を吐き出した。その後、僅かばかりの小便が漏れ出てきた。

 

「終わったか?」

「うん」

 

 満足した顔で答えたニキチッチの尻、というか肛門周りをアタランテが湯で濡らしたタオルで拭いていく。

 されるがままになっている彼女は特に不満を抱く事も言う事も無かった。尻が吹き終わるとそそくさと桶に入っている排泄物をトイレに捨てに行き、数分も掛からずに戻ってきた。そして、アタランテに言われずとも自主的に桶を洗い出す。

 

Erotiki trela

 

 急な排泄行為で中断してしまったが本来の目的は連れて来た少年を痛めつけること。特に今日は男子にとって激痛を伴う筈だとアタランテは予想している。

 普通に殴るだけでも痛い事には変わらないけれど。

 一日中、裸のまま浴室の中で過ごした少年は腹を壊す事もなく過ごしていたようだ。

 

「こいつの玉(キンタマ)と棒(チンポ)を掴め。片手で握り込むように……。優しく扱え、うっかり引き千切らないように。……出来るか?」

「できるぞ」

 

 確認の意味で尋ねるとニキチッチは即答してきた。

 手足を縛られている少年に近づいて仰向けにしてから指示された箇所である陰茎と睾丸を掴んだ。

 見えない相手ではあるが声から少女だと気づいたかもしれないし、痛みで未だに意識不明かもしれない。

 それらに構わずアタランテは様子を窺いつつ細かな指示を出した。

 ニキチッチの出たと丁度良い大きさだが、自分から見ると小さく見えた。試しに感触を確かめると想像以上に柔らかくて驚いた。

 他人に触れられたことで彼が多少呻き始め、陰茎が少し大きくなる現象を見せるものの娼館に来ていた客のもの(チンポ)より断然柔らかい。

 

(引っ張ったら簡単に千切れそうだ。子供の性器がここまで柔らかいとは……)

 

 少しばかり堪能した後、ニキチッチに改めて掴んでもらった。

 それから腹や顔を殴りつけていくが前日より少し手加減しておいた。

 多少痛い事が分かる程度だと思うが猿轡をしているので見た目には分かりにくかった。

 性器を揉まれながら殴られる少年がどんな思いを抱いているのか、女性であるアタランテには想像できない。分かるのはある程度の痛みだけ。

 身体に痣が浮かぶ頃に攻撃をやめる。彼が痛めつけられている間、ニキチッチは彼の性器を優しく揉みしだきながら全く表情を変えることなく様子を見続けた。

 

「このままだと死ぬかもしれない。この理不尽なる行為や痛みを忘れずに耐え続けろ。生きようとする心を強く持て。……それが無理なら己の生存本能に望みを繋げるといい」

 

 悲鳴を上げる事も逃げ出す事も出来ず、少年はされるがままだった。

 顔は涙や鼻水、口元から吐瀉物らしきものと血が垂れていた。

 痛くて苦しい事を伝えられず、股間を掴まれている事態に多少の羞恥はあるものの殆どが死を予感させる感覚でいっぱいだった。

 呼吸するのもつらい。どうしてこんな目に遭うのか全く理解できない。――少年はただただ終わりのない生き地獄の中をさまよっていた。

 

「ずっと揉んでいて、どうだった?」

「やわらかかった。オレにはないものだが、手ざわりがいい」

 

 大人の陰茎を知らないのか、ニキチッチの言葉を聞いていると恥ずかしくなってきた。

 曖昧な返事をしながら彼女の頭を撫でる。

 

「大人のチンポはもっと攻撃的になる。こんな皮にくるまっていたりしないんだ」

「そうなのか」

「雄と付き合うようになれば見る事もあるだろう。今は少年のもので我慢するといい」

 

 そう言うと素直に頷いた。

 指示を出せば従うとはいえ歳若い女の子にする会話ではないな、というのは理解している。

 ニキチッチはあくまで補佐。それ以上の役割をさせる気は無い。無いが興味はあるので色々と指示を出してしまう。

 本当なら自分でやりたいのだが片手しかない為に色々と不都合があった。

 

「こいつのチンポを真っ直ぐに立てろ」

 

 そんな指示にニキチッチは素直に従った。

 先ほどまで触っていた為か、何の抵抗も見せずに彼の陰茎を掴む。

 男性の包茎の扱いについて特に何も言われていないのでどうすればいいのか、アタランテの脳内で色々と考察が始まった。

 刃物で切るのは痛そう、という危険な気がしたし、そんなことを世の男性陣が行(おこな)っているとは到底思えない。

 大人男性のチンポの様子を思い出しながらニキチッチに皮を捲(めく)るように指示した。それと乱暴にしないように気を付けるように、と付け加える。

 少年は身体中の痛みの為に呻く事しかできず、大きな動きは取らなかった。

 股から覗く縞模様の尻尾も力なく動いている程度だ。

 

「ゆっくりとな。そうそう先端部分が露出するまでだ」

「このうらがわのところがくっいててこれ以上はむりそう」

 

 彼女が指摘したのは包皮と陰茎の尿道に近い部分がくっついている所で、そこが離れない限り包茎が解消される事は無い。

 大人になろうとする者の中には外科手術で切る事もあるが大抵は痛みに耐えて千切れるままにする。

 人によって差はあるが女性の破瓜並みか、それ以上の激痛は覚悟しなければならない。

 アタランテは少しの間観察した後、容赦なく陰茎の皮をずり降ろした。すると少年が激しく悶えたが彼女の容赦のない殴打で無理矢理大人しくさせられた。そして、皮が剥がされた事で陰茎が血塗れになった。

 

「これで成長しても包茎のままということはなくなった。皮は捲れたままにしておいていい」

「わかった。……さっきまでたおれてたのにささえなくてもまっすぐにのびてる」

 

 指示に対する受け答えが常に同じだが素面(しらふ)の時の意見はきっと否定ばかりだろうと予想がつく。

 激痛により力が込められた陰茎がひとりでに動き始めた様子にニキチッチは興味津々で見つめた。

 女性である自分達には無い器官の動作は何故か見入ってしまう。それは自分が雌(メス)だからか、生物としての本能なのか。

 

(チンポが千切れたわけじゃないから止血してしばらくすれば大人しくなるだろう。年齢的には早いが汝も大人の仲間入りを果たしたわけだ)

 

 出血したまま放置すると傷口が化膿するかもしれない。完治するまでの数日間、死なせずこの家で面倒を見なければならない。

 簡単にだがこれからの予定を脳裏に浮かべつつ皮を外された事で出血したところを口に含んで舌で止血するように指示した。

 当初、傷薬を想定していたニキチッチもさすがに拒否反応を示した。

 

「手で触れたんだ。彼のチンポを口に含むくらいどうってことないだろう。娼館では客相手にやっていることらしいぞ」

「……方法が……な。で、できなくはないと思うけれど……」

 

 アタランテの言う通り陰茎や睾丸を手で揉みしだいた記憶は未だにある。今度はそれを口でするだけ。

 迷い彼女(ニキチッチ)に今度は『指示』ではなく『命令』という強い口調で言い放つ。

 相手は目隠ししているし、全員が裸だ。早くしないと傷が悪化するかもしれない、と危機感を煽る。

 

「あと五日ほど彼を痛め続ける。その間、汝はタマを揉みつつチンポを口に含んで傷口を舌に当てて早く良くなるように祈り続けろ。そうすれば雄の性器が今以上に元気になるかもしれない」

「チンチンをなめると元気になるの?」

「可愛らしい女子にやってもらえると分かれば元気にな筈だ」

 

 そう言われてもニキチッチの表情は晴れない。

 いくら性の知識が乏しくても嘘くさい文言はな(・)ん(・)と(・)な(・)く(・)でも分かるものだ。

 命令として受けたので嫌々、または渋々従う事にした。

 一つ大きく深呼吸した後、血塗れの陰茎を口に含む。この時、睾丸を軽く揉むことも忘れない。

 最初の内は傷口に直にザラザラとした舌が這わさり、とても痛かったが次第に麻痺していくように少しずつ痛みが引いていった。

 

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 浴槽にて換金する事になった少年は予定の五日間、アタランテによる理不尽な暴力とニキチッチの舌と手による手厚い愛撫を受けることになった。

 目隠ししたまま殴られるので少年は意識があるうちに何度も死を覚悟した。それと陰茎を誰かが舐めている事も段々と理解し始める。

 予定日を過ぎるころには陰茎の出血は完全に止まったものの身体的な疲弊は限界近くにまで至っていた。

 途中何度か口の中に小便が出されることがあったが嘗める行為自体は続けさせられた。

 暴力が終わり、身体の各所を傷薬や回復薬(ポーション)で癒し終えた後、少年を逆さまにするように指示された。

 

「両脚を広げたまま抱き着くように」

 

 両手は縛ったまま。目隠しと猿轡はいつも通り。

 体力を失った少年は現在自力での逃亡が非常に難しい状態になっていた。

 ニキチッチはお互い裸同士のまま抱き合う形をとっているので、すぐ目の前には少年の睾丸と肛門が見えていた。

 その肛門に痛み止めの塗り薬が塗られ、漏斗状の器具をゆっくりと差し込んだ。

 

「そのまま支えていろよ」

 

 そう言いつつ事前に用意していたコップ一杯ほどのワインを漏斗に流し込んだ。

 薬は口よりも肛門から摂取する方が危機が早いと娼館の女達から聞いていたので早速実践してみた。

 格好が悪いので客相手には使えない禁じ手である、とは聞いていた。だが、効果は絶大だとも――

 注ぎ終えた後、漏斗をゆっくりと引き抜いて少年を浴室の床に横たえる。それからすぐに彼に変化が起きた。

 少年の顔が赤くなり悶え始めた。それを女子二人は興味深げにしばらく眺めた。

 

(……そろそろか)

「……汝はこれから強く生きねばならない。それは強者になれ、ということではなく生きるために必死になれ、という意味だ」

 

 優しく語り掛けるように。彼の耳にしっかりと届くように、と思いながら。

 少年に求めるものは生きる事への執着であり、生物としての本能に訴えかけるもの。

 雄(オス)が雄らしく振舞い、雌(メス)に何を求めるのか。

 もし、自分が死ぬような目に遭っている場合、何を優先すべきか。それらを必死に考えさせること。

 希望を持っているならば尚更、掴み取らなければならないものが何なのかを理解するために。

 

「汝はまだ子供だから分からないかもしれない。だが、それでも雄である。出来ない事は無い」

「……うぅ」

「?」

 

 アタランテの言葉を側で聞いている筈のニキチッチは全く理解できなかった。

 彼女は少年に何をさせたいのか。

 今まで指示された事の意味も分からない。けれど、必死に何かを伝えようとしている事は感覚的に理解していた。

 ここ数日、言われるがまま行動していたが自分も雌なので何かしなければならないのではないか、と思い始める。

 

「アタランテのあねさんはこいつに何をさせたいんだ? それとオレも何かしなければならないってことなのか?」

「汝は私の手伝い以外は今まで通りだ。彼と何かをするのは私だけだ。必要な事は都度(つど)指示するが……」

「……そうか」

「汝が大人になる頃に分かるだろうさ。……後十年以上は先になると思うけれど」

 

 五歳児に性の話しはまだ早い、とアタランテも思っている。だが、誰かが手伝ってくれなければ今も何もできないままだった。

 良心の呵責を早期に投げ捨てる度胸が無かったらここまで来ていない。

 元々野生児のような生活が長かった彼女(アタランテ)にとって世間一般での常識という者はよく理解していなかった。だから、子供相手でも懸命に答えようとする。

 

Erotiki trela

 

 暴力を振るう事をやめて怪我の良港を確認するようになってから三日後、無理のない食事を与え始めた。

 浴槽に置きっ放しにしていたので排泄は主に垂れ流しだ。それらをニキチッチと共に文句ひとつ言わず、また罰を与える事もなく見間も続けた。

 陰茎も化膿したり不自然な膨張も無く、変色の傾向も見られない事に一先(ひとま)ず安堵した。

 指示する側し毎回ニキチッチに口に咥えさせていたので今更ながら申し訳ない気持ちが湧いてくる。

 

(指示を聞くようになっているから逃げ出す事は無いんだろうけれど……。そろそろ居間の方に移動させるか。ちゃんとした寝具に寝かせる事も考えなければ……)

 

 買い物をクリュティエ達に任せていたが追っ手の気配は今も無いらしい。

 居なくなっても問題が無い子供ということか、それとも既に死亡扱いになっているのかは分からないけれど。

 浴槽での生活を強いていたために薄汚れていた少年も今ではすっかり身奇麗になった。後は体力を付けてもらえれば完璧だ、と思うほど。

 このまま子供四人との共同生活がうっすらと浮かんだが、そんなことの為に貧民街に来たわけではない事を思い出す。

 

(……戦士は死に、我は死人同然のありさまとなった。……ああ、虚しい。子供達の輝きが妬(ねた)ましい。……それでも彼らまで絶望に堕とすわけにはいかないか……。嫌な大人になったものだ)

 

 一日いっぱい自問自答に時間をかけ、翌日から本格的に行動する事を秘かに誓う。

 虎人(ワータイガー)の少年の世話と並行し、子供達には身の回りの仕事に従事してもらう事にした。僅かな駄賃しか与えられないが【シン・ファミリア】から秘かに融通してもらっている食料を振舞う。

 仕事をしていないので貯えは減る一方だ。最悪、一年もの生活を続けられるのか怪しいものだが――

 

「一年がすぎたらどうするんだ?」

 

 ある日、ニキチッチからそう聞かれた。

 先の見えない未来に絶望するあまり考えてこなかった事だ。だが、それに答えられる文言は決して多くないと感じていた。

 オラリオでの生活が終わる時、それはきっと――この地から出ていく時だ。

 不遇なる身の上なので狩りもまともに出来ない。誰に助けてもらわなければならない。かといっていつまでもクリュティエ達に頼る事もまた――きっと出来ない。

 

「……オラリオを出ることになるだろう。その時はこの家の事は汝らに任せる。継続して使うなり、売り払うなり好きにすればいい」

「わかった」

「……すきに使ってもいいんですか?」

「ギルドから使用料を徴収されるかもしれないから、その辺りはちゃんと大人と相談するように。……騙されないようにな」

 

 三人は素直に頷いた。けれども、その反応は洗脳状態にあるからではないか、とアタランテは勘ぐるが深く考察する事はしない。それはきっと不毛でしかないと思ったから。

 よく風呂場を使うようになってから子供達は病気をしなくなった。

 不衛生な貧民方暮らしは何かしら身体に不調が出るものだと子供ながらに感じていたらしい。それについて孤児院の院長に協力を仰いでもいいと許可を出しておいた。

 

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 目隠し以外を解放した後、少年には子供達の世話を受けつつ食事による体力増加を図ってもらった。

 彼だけ食事量を多めにした上、娼館から融通された精力剤も多少使ってみた。剥き出しになった亀頭のまま下着を穿いたところ、歩くたびに擦れて痛いと言ってきた。

 雄(オス)というか男性の気持ちが分からないけれど、血が出るようだったら傷薬を塗ると約束しておいた。

 それと同じく少年であるパリスの事を思い出す。彼は女の子と共に風呂に入る事があるが二人には陰茎に手出ししてはいけないと通達しておいた。そうしなければ男子全員の包皮を剥こうとするかもしれないので。

 一度命令した事はどこかで解除しないと取り返しがつかない、そんな気がして怖くなった。

 

(よく食べて大きくなれ。汝らが将来、何になるかは分からないが……。そこまで私は見届ける気は無いからな)

 

 しばし団欒を見守ってから数日後、アタランテは覚悟を決める。無駄に日数を費やす余裕はそもそも無いので。

 ワインの残りはまだ充分にあるが今の調子だと半年ほどで使い切りそうな勢いだ。ただ、ここれは常飲するようなものではないから使いどころを誤ってはいけない、とは思うのだが――このところ上手くいっていない気がする。

 少年の他にクリュティエとニキチッチの扱いも頭の痛い問題であった。パリスについては孤児院があるので無理に通わなくてもいいと判断し、早々に追い出す事にした。

 大きな荷物の移動があるわけではないし、買い物を持つ以外に役立つ場面が無い。それに子供用の衣服はそれほど重量が無いものばかりだ。既に必要な寝具は運び込んである。

 朝の内に孤児院での生活に戻るよう通達し、今後の事を考えながら時間を潰す。

 掃除や片づけ、風呂の様子などを女子二人に殆ど任せるようになってしまった。料理も少しずつ手際が良くなっているし、おそらく自力での生活も問題なくこなせると思った。

 朝と晩以外は自由時間の様な物なので一日いっぱい自宅に拘束されるような状態にはなっていない。

 

(見回りの事は殆ど任せられるようになった。家事については私が指示しなくても大丈夫そうだな)

 

 定期的に行(おこな)われる炊き出しの手伝いもするようになったとか。そんな彼らに与えられるのは――本当に――家くらいしかないのが悔やまれる。

 資金の事を考えても仕方が無い。それより次に必要な物の調達も始めなければ、とアタランテは遠くに目を向ける。そして、夕暮れになり晩御飯の支度を整える。

 彼らとの付き合い自体はそう長くは無い。だが、これからも一緒に暮らしてもらう予定なので可能な限り愛(め)でようと胸の内で誓う。

 少年は指示された通り目隠したままの生活だ。彼の名前を知ると愛着がわくかもしれない。姿を見られたところで問題があるわけではないが彼の将来を考え、知らないままの方がいいと判断した。

 分かっている事は彼が男性で虎人(ワータイガー)で年齢が八歳であること。

 『おい』だの『お前』や『汝(なんじ)』でしか呼ばないのでクリュティエ達と同様に名前呼びは殆どしない。これはわざではなくアタランテの癖の様なもの。――他人に興味を覚えない生き方を続けてきた弊害かもしれない、と自分でそう結論づけた。

 思い返しても名前呼びしたのは神様を除けば思い出せない程だ。

 晩御飯の時、少年だけはクリュティエ達に食べさせてもらう形で厳かに始まった。

 飲み物として薄めていないワイン――少量――と果実水のジュースを用意した。拒否しないように先にワインを飲むように言っておくことを忘れない。

 孤児院の世話になっている彼女達が人様の家で寝泊まりする事に問題は無いのか、と尋ねてみた。

 

「ちゃんとあんぜんなばしょでねているし、朝の内に顔をだしているからだいじょうぶだとおもう」

「……ともだちのいえでねるっていってます」

 

 酩酊すると言葉使いが少々怪しくなるようだが会話自体は聞き取れている。

 勉強を教えているわけではないが買い物に行っている時に大人から色々と教えられているらしい。

 少なくとも金の計算ができる事は分かっている。お釣りでの買い食いもある程度許可しているから頑張っているのかもしれない。

 

(……そうか。この家は引き継いだ時に教えればいい)

 

 食事を終えた後、クリュティエに洗い物を、ニキチッチには風呂の用意を頼んだ。

 彼女達は他にも布団や着替えの用意も自主的にこなすようになった。

 少年には特に指示を出さないが何となく彼の獣耳や尻尾を撫でたり、自身の尻尾を触らせたりする。

 冒険者を引退した今のアタランテは雄(オス)を求める只人(ただびと)だ。今では大抵の恥ずかしい事が出来るようになっている。

 例えば――

 

 少年のズボンの上に手を当て、擦りながら形を反応を確かめる。

 

 甘い言葉など狩人であったアタランテには思い浮かばないが素直な気持ちであれば多少は言える。だが、少年に対して言いたい事など無い彼女はただただいたいけな少年を弄(もてあそ)ぶだけ。

 二人の少女が一生懸命に仕事をしている最中にも関わらず――

 

Erotiki trela

 

 風呂が沸き、それぞれの支度が終わる頃、クリュティエとニキチッチに服を脱がしてもらった。

 一人の時では結構な時間がかかっていた着付けや着脱も今は大いに助けられている。

 トイレも同様に。ただし、少年に対して――大便を除いて――排尿後に少女達の口と舌によって綺麗にされている。――他の者にはさせない行為だが。

 五歳ほどとはいえ恥ずかしい事だと理解している為か、外には漏らさ(話さ)ないと約束してくれた。

 記憶を消すような手段を持っていないので当初は心配していたが、今は幾分か気が楽になっていた。それは覚悟を決めた為なのか、諦めがついたからかは分からないけれど。

 

(……自分一人では何もできない。何をするにも手伝いが必要だ。……ならば共犯者、とまでは言わないが協力者が必要になってくる)

 

 裸になったアタランテはニキチッチに身体を支えられながら、目隠しした少年はクリュティエに手を引かれながら浴室に入った。

 まずは冷たい床に温かい湯を巻く。

 冬が訪れると直(じか)に座るのも辛くなるので木製の『簀(す)の子』を購入しておいた。――オラリオには大衆浴場の文化があり、風呂関係の道具が充実していた。

 そこに少年を座らせる。

 目隠し以外に少年を拘束するようなものは無く、今は指示に従う従順な存在と化していた。

 彼の亀頭は興奮しなければ包皮に包まれる。今は居間で触ったせいか剥き出しになっていた。そんな陰茎をアタランテは擦(さす)った。

 大人の様な硬さは無く少し力を入れれば簡単に――直感に近いところまで――曲がるほどの柔軟さがあった。

 

(八歳にしては立派に勃起している。血が出ていたところも完治しているし、綺麗な状態だな)

 

 色々な角度から陰茎の状態を確かめた後、指示待ちしている少女達に顔を向ける。

 それぞれに湯船の近くに移動してもらい、お互いがぶつからず縁(へり)に尻を向けた状態になってもらった。次に両手を後ろで組み、足を少し開(あ)けたまま直立姿勢させる。

 顔は正面か少し上に向け、下の方を見ないように、と指示を出す。

 

「可能な限り私の指示に従うように。……汝らが居なければ私は何も出来なかった。そのことについて深く感謝する」

 

 左手と腰の動きだけで少女達の真ん前に移動する。

 座った時の目線は彼女達の腹部程の位置だった。そこから股間に合わせる場合は無理矢理体勢を低くする必要がある。

 まず近い位置に居たのがニキチッチだった。

 徐(おもむろ)に彼女の小さな尻を掴んでみると自分のものより柔らかい感触に思えた。

 それから白い毛に覆われた尻尾を擦(さす)る。

 ニキチッチは下を向かないように言われているが何をされているのかは感覚的に理解していた。

 アタランテは彼女(ニキチッチ)の尻尾を掴み、そのまま付け根から先端まで往復するように扱(しご)き始める。――思わぬ行動に驚いた少女は尻尾に力を入れた為に真っ直ぐと伸びた。そのせいでより扱きやすくなった。

 尻尾が硬くなり身体が緊張状態になった彼女の股間に口付けし、舌で――普段はぴっちりと閉じた状態の――大陰唇の割れ目を舐めた。

 ザラザラとした舌触りにニキチッチの背筋に冷たい感覚が走り、羞恥心で顔が赤くなる。

 何か言わなければ、と思っても指示により呻く事しかできない。

 尻尾を扱かれるのと股間を舐められる感覚に段々と下半身に力が入る。それからすぐに尿意が襲ってきて太腿が痙攣したように震えてきた。

 

(おお~! 小便したくなってきた~。あ、あんまりシッポをいじられると……うんこもしたくなる~)

 

 悶える少女に気を止めず、アタランテの舌は大陰唇をこじ開ける。

 未だ雄(オス)を受け入れていない膣口を確認し、その上にある尿道を広げようとするかのように丁寧に舐めていると少女の腰が前後に揺れ、一つ呻いた後で舌に温かい液体がぶつかった。

 放尿が始まった事に気付いても舌の動きを止めず、そのまま尿道を舐め続けた。

 一分も掛からず噴射が静まったかと思うとニキチッチの足元にボトボトと排泄物が落ちる音が聞こえてきた。

 

「……ふ、ふんニャ……」

 

 消え入りそうな声が頭上から聞こえた。

 その後何度か腰が痙攣するような動きを見せた後、舐めるのをやめて顔を話すとすぐに少量の小便が出てきた。透明な色合いから潮吹きかもしれないが言及は避けた。

 未成熟な身体である五歳児が潮吹き出来るのか、性の知識を最近になって覚え始めたアタランテには断定できなかった。

 近くに置いてある桶を引き寄せるとニキチッチは震えながら自分の排泄物の処理を始めた。だが、作業中に再度便意が襲ってきて桶に排出する事になった。

 この時の彼女の顔はほぼ真っ赤で、羞恥心と快感と排便排尿の安心感がない交ぜになり、今にも泣きそうな状態になっていた。

 

「トイレに捨てたら戻ってきてそこの縁に座りなさい」

「……ふぁ……い……」

 

 腰砕け状態なのか、ニキチッチは便が入った桶を引き寄せつつ四つん這いで移動を始めた。

 側で友達の哀れそうな声を聞いていたクリュティエは指示の為に声をかけることが出来ず、下を向けないので何をされたのか全く分からなかった。

 アタランテは便の匂いを少し気にしつつニキチッチを見送った後、クリュティエの側に移動した。

 人間(ヒューマン)である彼女は尻尾を持たないので小さな尻を揉むに留めた。

 ニキチッチにしたように股間に顔を埋めで幼女の性器に舌を這わせる。

 ザラザラとした舌が股間の敏感な部分を嘗め上げられ度に小さな悲鳴を上げ、ニキチッチがトイレから戻る事にはクリュティエも尿意に抗えず足腰を震わせながらアタランテの舌に目掛けて放尿した。

 小便をする気持ちよさに加えて尿道の穴をほじくるように動く舌の感触に言い知れない感覚を味わっていた。

 両手を後ろで組んでいる為、痙攣すると腰を突き出す形になり、条件反射的に前方に動かすだけでむず痒さが強く襲ってくる。

 ニキチッチ同様数分も経たずに放尿が終わると舐められる事も終わった。――この時は腰が震えて立っていられない感覚に襲われた。

 二人とも指示を受けているからと言って絶対に守り切れるわけもなく、限界だと思った途端に自然と座り込んでしまった。

 

(クリュティエは排便し無さそうだな)

「うんこしたくならないならニキのように縁(へり)に座っていろ」

「……ひゃい……」

 

 弱々しく返事しながら腕の力だけで縁(へり)に登り、時間はかかった何とか座った。

 クリュティエとニキチッチは互いの姿を見て顔を赤らめ、次にそれぞれの股間に目を向ける。

 大陰唇はぴったりと閉じているが太腿が震えていた。――ニキチッチは尻尾が湯船に入ったり出たりし、湯が飛び散るほど大きな動きになっていた。

 

(おしっこ出るところをなめられるとあんなふうになるんだ……)

(いつもよりきもちよくてびっくりした。……あいつもチンチンなめられてきもちよかったのかな?)

 

 二人は荒い息遣いのまま感じたままを脳裏に浮かべる。そして、改めて恥ずかしさで顔が赤くなってきた。

 その様子を微笑ましく見ていたアタランテは後ろの湯で手を洗った後、互いの性器を擦(こす)ってみろ、と言うと二人は素直に頷いてから手を洗い互いの大陰唇の割れ目に指を挟み込むように当てた。

 小便が出る穴を塞ぐように思い思いの方法で擦(こす)り始めた。

 

Erotiki trela

 

 舌触りの方が良かった為か、二人は性器を擦っている――無関心というわけではないが――反応が鈍かった。

 五歳児は自慰行為についてよく理解できていないようだとアタランテは思った。かくいう自分も自慰行為をしたのはごく最近の事だったと軽く嘆息する。

 

(……たにんの手だとへんなかんじ~)

(男の子のチンチンよりふにゃふにゃしてる……)

 

 普段触らない相手の部分にそれぞれ少なからず、驚いたり興味を持ったりしていたようだ。

 性器を舐めた事に驚きや恐怖を覚えているわけではないと雰囲気から察したアタランテは擦る事をやめてもいいと言うと二人はすぐに手を止めた。

 

「もう少し歳をとってから改めて挑戦すればいい。……あまり弄り過ぎると紫色に変色してくるそうだから。……まあ、ほどほどにな」

「うん」

「わかった」

 

 にこりと微笑みながら二人は応える。その後、大陰唇を開いて互いの性器の様子を見て合ってみろと、と言ったり股間を洗っておけと指示したりする。

 常に命令待ちの状態の為か、細かな指示ばかり出す事に少し疲れを感じていた。だが、相手は五歳児だから大人の性知識を殆ど持ち合わせていないし、動き方も理解していないので仕方がなかった。

 少し脱しつつアタランテは息を整え、自分に活を入れる。

 

「今度はそこの少年を縁(へり)に座らせろ。湯船に押さないように気を付けてな」

「うん」

 

 目隠ししている少年を二人掛かりで浴槽の縁(へり)に座らせている間、アタランテも縁(へり)に座った。

 彼の尻尾が湯船に落ちた時、湯の温かさに驚き何度か跳ねた。

 

「クリュティエは彼のタマを揉みながらチンポを舐めろ。やり方は覚えているな?」

「うん」

「ニキは私の性器を舐めろ」

「……あ。うん、わかった」

 

 クリュティエは普段通りだったがニキチッチは先ほど自分がされたことを思い出し、僅かばかり混乱したがすぐに言われた内容を理解して返事を返した。

 まず少年の方は脚を広げ、無毛も陰毛を片手で優しく揉みつつもう片方の手で陰茎を掴み、亀頭に舌を這わせながら口の中に導く。

 唇で少し締め付けるように根元まで押し込み、亀頭まで唇を滑らせた。

 アタランテの方は両手を使って大陰唇を開き、自分がされたように彼女の性器に舌を当てる。

 彼女の性器は五歳児のものと違って小陰唇の襞(ひだ)が目立つ。その上、尿道と思われる場所の上には豆の様な突起が見えていた。

 名称について覚えが無いニキチッチはとにかく指示された通りに大陰唇の内部を舐め続けた。

 

「二人共、もういいぞ」

 

 作業は二分もしない内に止められた。

 口を離した後の二人の性器は少女達の唾液で妖しく濡れていた。

 

Erotiki trela

 

 股間を洗わないままアタランテは床に敷いてある簀の子に仰向けになって寝転んだ。

 次に少年を自分の上に乗せるように言いつける。

 目隠しているので彼に命令してもどこに何があるか把握できない。――なら、目隠しを取ればいいのだがアタランテはそういう指示は出さなかった。

 クリュティエとニキチッチは協力して少年を仰向けになっているアタランテの身体に乗せた。

 手足が欠損していなければ少女達に手伝わせたりはしなかったのだが、今は恥を忍んで頼み続けた。

 ここまで手伝わせているのだから最後まで開き直ろうと決意するものの、やはりどこかで良心の呵責が蘇る。それを払拭するために幼子に自慰行為をさせたり、恥ずかしい行為を思いつくままやらせて自分の気持ちを吹き飛ばしていた。

 

「お前は私の胸を揉め」

 

 そう言いながら少年の手を自分の胸に当てさせた。

 仰向けになった事で普段以上に平坦になってしまったような気がしたが辛うじて揉める程度の盛り上がりはある筈だと思った。

 指示を受けた少年は見えないながらも懸命に彼女の胸を揉んだ。

 少年の様子に満足しつつ欠損した左足の太腿を何とか外側に移動させ、片方の足も反対側に移動させて大股引きの状態にした。

 

「クリュティエ。少年の腰を少し引っ張れ」

「はい」

 

 少年の腰を後方に引き、脚も下げていく。その時、彼のチンポが簀の子や床で潰れないように、と言い含めた。

 ニキチッチには彼の腹に手を添え、チンポを掴むように指示した。

 何かの反動で腹を打ち付けたりしないように、という意味で。

 

「お前達に手伝ってもらわないと満足に動けない。だから、非常に助かっている」

 

 そう礼を述べておいた。その間も少年は胸を揉み続けていた。

 揉まれている当人は他人の手で揉まれている事に擽(くすぐ)ったさは感じるものの快感を得るほどではなかった。

 小さいせいか、それとも元々そういうものなのか――

 

「ニキから見て私の性器に少年のチンポの先端を合わせろ」

「わかった」

(……というか、このままだとチンチンがささるんじゃないか。オスとメスが合わさるってことか?)

 

 自分が握っている陰茎とアタランテの女性器が指示通り触れ合った。そのを見ていると何故だが先ほど舐められた股間の様子が脳裏に蘇る。

 位置確認の為に亀頭は女性器を何度も擦(こす)る。そこで尿道の下にも穴がある事にニキチッチは気付いた。

 自分達は小便する穴しか見ていなかったので今まで気付かなかった。

 

「入れる場所は分かるか? 小便が出る所よりも下に穴の様な場所が見えないか?」

「見える。ここにオスのチンチンを入れるんだな? ……入れていいのか?」

 

 話しが聞こえたクリュティエも何となく察したのか顔が赤くなった。

 先ほどまで自分の指で擦ったり舌で舐める事とは違い、男性の性器を女性の性器に入れる行為をしようとしている。それがとても恥ずかしい事だと何(・)と(・)な(・)く(・)二人の少女は思った。

 

「こいつはまだ若いから上手く入らないと思う。何とか先端を穴に捻じ込め」

「……クリュティエ、こいつの尻を上から押してくれないか?」

「うん、わかった」

 

 クリュティエに補佐してもらいつつニキチッチはアタランテの膣口に亀頭を合わせた。

 上から押し込むと途中から亀頭が滑る。それを無理矢理真っ直ぐにするようにしながら力を入れて押し込んていった。すると途中で何かが破れるような音が聞こえ、すぐにアタランテの呻き声がした。

 

(……痛(い)った……、これが破瓜か)

「……なんかチンチンから血がでてきたよ」

「気にするな。そのまま根元まで入れてくれ」

 

 そう指示されたのでクリュティエに合図を送りつつ少年の陰茎を膣口の奥へと送り込んだ。破れるような音は最初だけで後は血が零(こぼ)れる以外は順調だった。

 程なく陰茎が根元まで入った事を確認し、アタランテに報告すると彼女はゆっすらと涙を零していた。

 

(……これで私は生娘ではなくなった。……しかし、結構痛かったな。きっと彼の包茎が剥がれる痛みに近いんだろう)

 

 そんな感想を思っている間、少年は唸りつつも胸を揉み続けていた。

 見えないながらも男性器が何かに押し込められた事だけは理解した。

 押し込まれる間、皮が引っ張られる感覚があったが激痛と言えるような事態にならなかったので少し安心した。

 

「……さあ、少年。野生に帰る時だ」

 

 そう言いつつクリュティエ達に少年の手を胸から離して腰を掴むように指示した。その後、すぐに追加で自分と彼の尻尾が潰れないような位置に移動させるように頼んだ。

 アタランテから見てうつ伏せ状態の少年は未だに暗闇に閉ざされたままされるがままになっていた。

 

Erotiki trela

 

 助力を受けながらアタランテに覆い被さる少年は彼女の膣口に陰茎を挿入したまま両手でしっかりと腰を掴んだ状態になった。

 そんな二人の様子を恥ずかしい気持ちを我慢して見ながら次の指示を待つクリュティエとニキチッチ。

 体勢が整った後、左手で彼の頭を僅かに盛り上がっている胸に乗せた。

 

「こっちが左の胸で、こっちが右の胸だ。顔の感覚で把握しろ。いいか? これからお前は私の胸を吸いながら腰を動かせ。貪るように。そうしなければ痛めつけられたり、殺される思いを味わうと思いながらな。……まだ歳若い少年かもしれないがお前は雄(オス)だ。雌(メス)の扱いを本能で理解しろ。難しいなら今から試行錯誤しながら学べ。……私の言っている事が分かったら……、まずは腰を動かしてみろ」

「……はい」

 

 アタランテの腰を掴んだまま態勢を変え、両足を立ち膝になるように動かした。この時、膣から少しだけ陰茎が移動した。

 膣内を移動する陰茎にアタランテは思わず小さく呻いた。

 人生で初めて感じる性行為の感覚に戸惑ってしまった。

 他人の行為を見ていたので、ある程度の事は分かっていたが実際に味わう事になると全く新鮮な気持ちになれた。

 

(……ああ、これが性行為……。相手がまだ子供だから膣内を締め付けるようなことはないんだろうけれど……。……うん。私は今、雄(オス)と性行為している。彼のチンポを私のマンコがしっかりと受け止めた)

 

 少し腰を動かした後、彼はどうすればいいのか尋ねてきた。

 もう少し腰を浮かせろ。そこから一気に差し込め、など助言する。

 こんなこと自分で考えてやれ、というような意地悪な文言も浮かんではいたが、さすがに最初はお互いに試行錯誤すべきだと思った。

 

「二人は身体を洗うなり湯に浸かっていていいぞ。あと、長い時間見物しているとのぼせるかもしれないからな。身体が熱くなってきたと思ったら冷たい水を飲んだり身体にかけて冷やせ。それか、タオルを巻いてこい」

「うん」

「わかった」

 

 指示を受けた二人は元気よく返事をして移動を始めた。

 少年も二度三度と腰を動かし、性行為のやり方を覚えた後は当初の指示通り彼女の乳首を咥えた。

 乳は出ないから舐めるだけでいいと言われ、その通りにした。

 体格的にも互いに口付けするには少年は若すぎた。

 女性の腰を掴んだまま胸を吸い、自身の腰を浮かして落とす動作を繰り返す。その動作が早くなる度にアタランテは小さく呻く。

 膨張した亀頭の形が膣内を適度に刺激すると今まで味わった事のない感覚が襲ってくる。

 

「……いい調子だ。これからお前は毎日、寝る前に私と性行為に耽ってもらう。理由を考えなくていい。野生の雄(オス)として動いていればいい。……もっと激しく私を求めろ」

「……うう」

 

 アタランテの言葉を受けた後、少年が唸り腰の動きが早くなってきた。それと息遣いも荒くなった。

 そんな二人の様子を興味津々で少女二人が眺めていた。もはや身体を洗っている場合ではないと感じて見物する事に決めたようだ。

 少年が急に激しく動き始めた事で見ている側の恥ずかしさが一層強まり、幼いながらも自然と股間に手を当てる。もちろん、のぼせないように気を付けながら。

 

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