※この作品はR-18です。

インテグラル・ノア サイドストーリーユリ物語   作:やす、

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ユリと崇拝心 上 R

 

 

それからあたしとアスカロンは草原を歩き次の街へと辿り着いていた。

 

 

「綺麗な街ですね♪」

 

「そうね」

 

 

外から覗く街はレンガ作りの家屋が立ち並びお洒落な雰囲気。そして道路もタイルで舗装されこれまたお洒落な雰囲気だ。

 

早速街へと入りインテグラルキラーズの情報を集める為街を散策する事に。

 

 

「せっかく来たんですからお買い物もしましょうよ♪」

 

「何か良いものがあればね」

 

 

楽しそうなアスカロンと共に道路を歩き街並みを見ていると不審な動きをする街人が。それは一人では無く沢山の人が同じ動きをしている。

 

 

「何してんのあいつら?」

 

「さぁ、、?お祈り、でしょうか?」

 

 

皆家の前で地面に跪き手を合わせている。お祈りと言われれば確かにそうかも知れない。

 

 

「ほら、決まった時間にお祈りを捧げる宗教とかありますし」

 

「なるほどね。まっ、どーでも良いわ。何を崇めようと個人の勝手だし」

 

 

お祈りを捧げる人々を尻目に街の中心部へと足を進めようとした時お祈りの言葉が耳に入った。

 

 

[ロンギヌス様。我々に愛の剪定を]

 

 

そう確かにあたしの耳に届いた。

 

 

「聞こえたわよね」

 

「はいっ。ロンギヌス様って言ってましたね。ってユリ!」

 

 

こうしてロンギヌスを崇めるという事はロンギヌスの事を知っている。そう思い祈りを捧げている人の髪を掴み顔を上げさせた。

 

 

「あんた、ロンギヌスに付いて知っている事があるのならあたしに言いなさい」

 

「な、なんだお前は!」

 

「あたしはユリよ。ラグナ教会の使者」

 

「っ!邪教信徒が来たぞーー!!」

 

 

邪教信徒?そう疑問を抱いていると叫び声を聞いた人々が集まりあたしを取り囲む。

 

 

「邪教がこの街に入り込んだぞ!」

 

「邪教信徒に死を!」

 

「殺せ!こいつが居るとロンギヌス様の愛が我々に与えられんぞ!」

 

 

包丁、ハンマー、石、ほうきにモップ。人々が武器を手にあたしへと攻撃を仕掛けようとする。だけど腰に携えた剣を抜き構えると怖気付き一歩下がった。

 

 

「で、誰が邪教信徒だって?」

 

 

腰を落とし攻撃体勢で睨むと徐々に下がってゆきやがてあたしが通れるほどの間ができた。

 

 

「分かれば良いのよ。それと背後から攻撃したらここに居る全員斬り刻むから」

 

 

両手に剣を持ったまま悔しそうな目線を受けながら堂々と間を通ってゆく。

 

 

「ルーン様!こいつです!」

 

 

何処からか走ってきた街人が息を切らしながらあたしを指差す。その後ろから金髪のやたらと目付きが悪い女が姿を見せた。

 

 

「へぇ。お前がラグナ教会の使徒だって言うのかい?お前みたいなそこらの岩の下に居るゴミムシみたいな奴が」

 

「なに?喧嘩売ってんの?買うわよ」

 

 

ギロリとそいつを睨み剣を握る手に力を込める。そんなあたしを見て手に槍を現出させ舌舐めずりをした。

 

 

「お前みたいなゴミムシでも血は赤いのかしら?あたいは血が好きでね。お前みたいな雑魚の血でも大歓迎さ」

 

「良いわよ。血を見せてあげる。あたしに斬られて流れるあんたの血をね!」

 

 

啖呵を切りルーンと対峙しようとした瞬間にゴツンと音が聞こえ後頭部に鋭い痛みが走りその場へと倒れてゆく。

 

 

「あぁもううざっ、、、」

 

 

震えながら振り向くと血が付いたハンマーを持つ人の姿が見えた後意識がプッツリと切れた。

 

 

「ルーン様!」

 

「ったくよぉ!あたいの獲物に手ぇ出すんじゃねえ!」

 

「も、申し訳ございませんでした!」

 

「この者のは如何なさいましょう?」

 

「あん?そおだな、、適当な牢屋にでも入れておけ」

 

 

ルーンの言葉に返事をした街の人達がユリを引きずりながら何処かへと連れて行った。

 

 

「はぁ、、、」

 

 

私はその光景を見て大きくため息を吐きこそこそと後をつけて行く。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

「………………」

 

 

ユリが連れて来られた建物はこの街の監獄。入り口には警備の人が立ち警備レベルの高さを伺わせる。

 

どうしよう。レヴィアタンの力を使えば侵入は容易いが騒ぎを起こす事を考えると躊躇ってしまう。

 

 

うーんっと頭を捻りながら考えていると郵便配達の人が刑務所にと歩んでゆくのが見えた。

 

 

「ちわーっす。お届け物です」

 

 

台車から荷物を持ち警備員と会話をした後その人は建物の中へと入って行った。

 

 

「これだ!」

 

 

刑務所へ侵入する方法を思い付いた私はすぐに準備へと取り掛かってゆく。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

「ごめんくださーい。飛鳥急便でっす」

 

 

街の服屋で宅配屋さんに似た服を買い着替え段ボールを持ち私は監獄の入り口へと来ていた。

 

 

「………………」

「………………」

「あはは、、、」

 

 

明らかに不審な目をつま先から頭の先まで受けながら苦笑いを浮かべていると手に持つ武器を下げ通れと言ってくれた。

 

 

「ありがとうございます♪」

 

 

冷や汗を冷気で隠しながら監獄の中へと入ってゆく。

 

 

「……………」

 

 

招かれた監獄内に見張りの兵はおらず受付に居る人に挨拶をする事に。

 

 

「あのっ、このお荷物をお届けに来たのですけど、、」

 

「お疲れ様。何処からの荷物?」

 

「えっと、、カレットの街の武器屋さんからです!見張りの人達に新しい装備をって聞いてますけど、、」

 

「あぁ、なら奥の部屋に置いて来てもらえないかな?」

 

「はいっ♪」

 

 

受付の人にぺこりと頭を下げ建物内部へと歩んでゆく。

 

 

(ひっ)

 

 

牢屋の中から憎しみに溢れた目線を受け身を縮こませながら牢屋に囚われてるはずのユリの姿を探す。

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

「あぁ、、痛たっ、、」

 

 

冷たい何かを感じてあたしは目を覚まし未だ痛む後頭部を撫でながら立ち上がった。

 

 

「ここは、、、?」

 

 

辺りを見渡すと無機質なコンクリートでできた壁と床。そして鉄格子で囲われた部屋の中だと気付く。囚われた、そう理解し舌打ちを一つ。

 

 

「まぁ良いわ。こんな檻あたしの剣で、、、」

 

 

そう言いながら腰へ手を伸ばすのだが普段なら掴むはずの柄が掴めず空を切る。疑問に思いながら目を向けるとあるはずの剣が二本共無くなっていた。

 

 

「あたしの剣〜〜〜〜っ!!!」

 

 

絶叫を叫んだ後鉄格子へと蹴りを入れてゆくのだがビクともせず地団駄を踏む。

 

 

「あぁもうムカつくわね、、!ウザすぎ」

 

 

しばらくし拳をぶつけた後胸ポケットへと手を伸ばすと硬い箱とライターの感触。それを取り出し煙草を咥え火を灯した。

 

 

「元気がいい嬢ちゃんだな」

 

 

あたしの前にある牢屋に入れられている男性が笑いながらあたしを見ていた。

 

 

「何よあんた」

 

「俺はお前の先輩だ。そうは言っても牢屋に閉じ込められた日数だけどな」

 

「ウザ」

 

「そう言うなよ。煙草を一本くれないかな?」

 

「一本百万ゼニーで買ってくれるならあげるわよ」

 

「おし。ならここの事教えてやるから情報と交換といこうじゃないか」

 

 

ニヤリと笑いながら言われ新しく煙草を咥えると火を灯しそいつに向かい指で弾き飛ばした。

 

 

「ありがとよ」

 

 

飛ばされた煙草を拾い上げ美味そうに煙を吐き出してゆく姿を見ていた。

 

 

「で。ここは何なのよ?詳しく聞かせてもらうわよ」

 

「ここはロンギヌス様に逆らった奴が入れられる牢屋だ。ロンギヌスが来るまではこの街は平和そのものだったがある日ロンギヌスと奏官が来てからこの街は様変わりしちまってね」

 

「この世界の現状をロンギヌスは街の人に語りそれと同時に愛に溢れた人を新しい世界。インテグラルなんとかに連れてゆくと言った。それで死にたくねぇ奴らはロンギヌス様の信者になったってわけよ」

 

「ふぅーん。それであんたはロンギヌスに逆らったのね」

 

「逆らっちゃいないさ。俺はこの街で孤児院をやっていてね。ある日孤児を出せとロンギヌスの教徒に言われて拒否したらこの有様よ」

 

「その話を聞く限りロンギヌスの方が悪役ね。あんたを逮捕する理由なんて何処にも無いじゃない」

 

「俺も聞きたいぐらいさ。だがあいつらは俺がどれだけ問いかけても何も話やしねぇ。剪定の時を待てって言うだけさ」

 

「心配ね孤児達」

 

「俺が一人で切り盛りしてる孤児院だからあいつらに飯を食わせる人も居ない。もうここに捕らえられて三日も経ったんだよ、、」

 

 

悲しげな目を逸らした後咥えた煙草からはもう煙は出ていなかった。

 

 

「嬢ちゃん。もう一本くれないか?」

 

 

あたしは再び煙草を咥え火を灯しそいつの牢屋に向かい飛ばした。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

(あっ。ユリの声だ)

 

 

廊下に叫び声が反響した後何かを蹴るような音が聞こえた。もうそれだけで捕まった事にイライラして牢屋を蹴ったのだと分かってしまう自分に苦笑いを浮かべながら音がした方へと向かい歩んでゆく。

 

 

 

「ユリっ!」

 

「アスカロン!来てくれたのね、、」

 

「はいっ!この檻を斬るので少し離れていて下さい!」

 

 

鞘から剣を引き抜き横に一閃を繰り出すと鉄格子がバラバラと崩れて落ちてゆく。

 

 

「助かったわ。ねぇ、向かいの人の檻も斬ってくれないかな?」

 

 

そう言われて目を向けると助けを求めるような目をした男の人が。

 

 

「でも捕まっているって事は悪い人なんじゃないですか、、?」

 

「それは無いわよ。少なくともあたしはそう思う。だからお願い」

 

 

真剣な瞳を見てため息と共に繰り出された一閃が檻を斬り男を解放させる。

 

 

「助かったよ!この恩は必ず返す!」

 

 

頭を何度も下げながら去ってゆく男を見届けていた。

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

「さぁまずはあたしの剣を取り返しに行くわよ!」

 

「剣ですか?」

 

「盗まれたのよ!ほら!」

 

 

マントをめくり腰を見せるとあぁーっと納得した表情。

 

 

「あたしは盗むのは好きだけど盗まれるのは大っ嫌いなのよ。絶対に取り返してやる、、!」

 

 

意気込むあたしを見て乾いた笑いが聞こえたけどあたしは気にせず建物の中を進んでゆく。

 

 

「脱獄者が居るぞー!」

 

「うっさいわね!」

 

 

あたしを見つけ叫ぶ奴に向かい首根っこを引っ掴み勢いをつけ頭突きをするとへなへなとその場へと崩れてゆく。

 

 

「暴力はダメですって!」

 

「手は出してないわよ。頭を出したのよ」

 

「それは屁理屈ですっ一応冷やしあげないと、、」

 

 

一瞬部屋が冷気で包まれたのを感じながら廊下をずかずかと歩いてゆくと押収品と書かれた部屋を見つけドアを蹴り開け中へと入ってゆき目を向けてゆく。

 

 

「あった!」

 

 

棚に積まれていた二本の剣を見つけ抜刀すると間違いなくあたしの剣。二本の剣を腰のベルトに携えやっと一息。

 

 

「さて、ロンギヌスの奴を探しに行くわよ」

 

 

苦笑いを浮かべるアスカロンと共に外へと逃げてゆく。

 

 

 

「それでロンギヌスの居場所は分かったのですか?」

 

「分からないけど適当に探せば見つかるでしょ」

 

「あはは、、、」

 

「って言いたいところだけど流石に探すのは骨が折れるわね」

 

「誰かに聞くとしてももう私達の素性は知られているのでそれも無理そうですね、、」

 

「うーん、、」

 

 

煙草を吸いながら案を考えている時アスカロンの服装がいつもと違う事に気が付き疑問を聞いてみる事に。

 

 

「そういえばその服は何なのよ?」

 

「これですか?刑務所に侵入する為に着替えたんですよ♪」

 

「それよ!アスカロン、悪いけど可愛い服を買って来てもらえないかしら?」

 

「服ですか?それは構いませんけど。一体何をするつもりです?」

 

「良いから。それとパーカーでお願いね」

 

 

買い物に行ってもらったアスカロンを見届けたあと再び煙草を吸いながら帰ってくるのを待つ。しばらくすると笑顔を浮かべたアスカロンの姿が。

 

 

「はい、どうぞ♪」

 

「ありがとね。着替えてくるわ」

 

 

物陰に隠れて服を脱ぎ買って来てくれた服を着てゆく。黒のショートパンツに水色の薔薇が印刷されたシャツ。それに白いパーカーを羽織る。

 

 

「ちょっと行ってくるからここで待ってなさい」

 

「行くって何処にですか?」

 

「良いから待ってなさいよ」

 

 

アスカロンを残しあたしは人通りが多い道へ。そこで通りすがってゆく人々へと視線を向けてゆく。

 

 

(あいつでも無い。こいつも違う、、)

 

 

通る人の顔を見て機嫌が良さそうな人を探す。しばらく人々を見ていると一人機嫌が良さそうな男を見つけそいつの元へと。

 

 

「こんにちわーあたし、この街に初めて来たんですけど、、」

 

 

女の一人旅を装い取ってつけたような笑顔でそいつに話しかけると一瞬品定めをする様な目線を胸元に向けたがすぐさま笑顔を作り言葉を返してくれた。

 

 

「これはこれはいらっしゃい。この街はいい街だから観光にはもってこいだよ」

 

「良かった、、そうだ。良かったら案内って、、してもらう事できますか?」

 

 

まるで田舎から出て来た娘の様に問いかけると快く返事をしてもらう事ができおじさんに連れられて街を歩いていた。

 

その時、住宅の間からあたしを覗くアスカロンと目が合ってしまったのが一生の不覚。

 

 

「このお店のクレープが美味しいんだよ」

 

「へぇ、、一つ買おうかな、、」

 

 

クレープ屋へと行き財布を探す素振りをさせた後しゅんと項垂れた顔でおじさんを見る。

 

 

「どうしたのかな?」

 

「財布、、無くしちゃいました。どうしよう、、これじゃ宿にも泊まれない、、」

 

 

自分でやってて自分に引くほどに泣きそうな少女を演じているとおじさんはあたしに家に来ないかと提案を出してくれた。

 

 

「良いんですか、、?そんな、、迷惑ですよね、、」

 

「いやぁ、大丈夫だよ。ほらおいで」

 

 

笑顔を浮かべおじさんに向かいお礼を言うとおじさんは歩き出した。その後ろから着いて行くのだが前のショーウィンドウには嫌な笑みを顔中に貼り付ける顔が写っておりそれを見て唾を吐き捨てたいのをグッと堪えた。

 

しばらく着いて行くとこの辺りでも一際大きな建物の玄関を開け中へ入るよう促す。

 

 

「お。お邪魔します、、」

 

 

玄関から入った先はまさに豪邸と言えるだろう。高そうな置物が置かれ室内の内装も一般的な住宅にはなさそうなものばかり。

 

 

「凄いお家、、」

 

「まぁ楽にしていなさい。そうだ。君名前は?」

 

「あたしの名前はユカリです。おじさんはこの街でどんな事をしているのですか?」

 

「ユカリちゃんね。いや、大した事はしていないよ。私はロンギヌスの素晴らしさをこの街の人々に宣伝をしていてね」

 

「ロンギヌス、ですか?」

 

「あぁ。この街から11名剪定者を選び新しい世界へと連れて行くと言っていてね。協力する振りをしただけでたんまりと報酬が貰えたんだ」

 

「すごい、、ロンギヌスは何処にいるのですか?」

 

「この街の奥にあるモニカ・ワーズワースの屋敷に居るよ。それよりお小遣いが欲しく無いかな?」

 

「お小遣い、、欲しいです、、」

 

「うん。なら分かっているよね?」

 

「・・・はい」

 

 

立ち上がりおじさんの前に立ちソファーに座るおじさんの足元へとしゃがんでゆく。そして立ち上がる勢いと共に拳を突き上げ顎を撃ち抜いた。

 

 

「アガ!?」

 

 

ソファーに座る体が少し空いた後着地し痙攣を起こす顔に向かい唾を吐き捨てた。

 

 

「あぁーウザかった」

 

 

もう一度唾を吐きこの場を後にして行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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