この物語に救いなんてひとつもない、あるのはただ絶望だけ。
※残酷な物語となります。苦手な方、キル姫が死ぬ事に抵抗がある方は閲覧ご注意下さい。
黒ユリ物語
この物語を語るにはまずは私が産まれた時に話を戻さないとね。
私が産まれたのは三月九日のお昼頃。場所はユグドラシル教会の病室。その日私の他にも産まれた子は居るんだけど私の母、ティルフィングには沢山の医師が付いていた。理由は人間とキル姫との間に出来た子の出産だからだ。その当時、今もだけど人間とキル姫の間に子を授かる事なんて奇跡に近かった。
「頑張ってね、こんな言葉しかかけてあげれなくてごめん」
「その言葉だけで充分ですよ、次にユウに会う時は子供と一緒です」
「うん、お願いね」
ストレッチャーに乗せられたお母さんの手を握り最後に頭を撫でた後に手術室へと運ばれていった。
「大丈夫よ、この私が居るんだから」
「うん、頼りにしてるよ」
最後にアクスレピオスと会話をしてその扉が閉められ手術中のランプが付いた。それを見上げて出産に立ち会わない事を選択した過去の自分を恨みため息を吐きながらベンチに腰掛けた。
…………
ソワソワと落ち着かない様子のお父さん、アクスレピオスが居るから大丈夫。だけどその気持ちを揺るがす程の不安。ただただ両手を合わせ神に祈っていた。
しばらくして扉の向こうから赤ちゃんの鳴き声が聞こえはっと顔を上げた。その瞬間に不安は希望へと変わり涙が頬を伝いズボンへと落ちた。そしてランプが消え扉が開いた。
「おめでとう、元気な女の子よ」
子を抱きかかえたアクスレピオスにそう告げられその瞬間にお父さんは気が抜けて気を失ったんだって。次に目を覚ました時はお母さんと同じ病室だった。
「あれ?ここは?」
「やっと目を覚ましたのですね、そんなんじゃこの先不安です」
「しゃーない、そんな事よりティルは大丈夫?」
「少し疲れましたけど元気ですよ♪」
「良かった…ユリは?」
「もちろん無事ですよ、しっかり顔を見てあげて下さいね」
その言葉に返事をして起き上がり保育器で寝ている私を覗き込んだ。桃黒に染まった髪の毛、それに僅かながら感じられるキラーズとバイブス、そして大罪の力。
「この子も強欲の大罪を宿しています、今はまだはっきりとは出ていませんが」
「無事に産まれてきてくれただけで嬉しいよ、これで僕の両親に孫の顔が見せれるしさ」
「もう少し落ち着いたら見せに行きましょう、それとユウもパパですね」
「そうだね、僕がパパならティルもママだよ」
「この子を授かった時から私はママですよ」
そうだったねと言いながらお母さんの頭を撫でていた。何処にでもある幸せな家庭、そのものだった。
それからしばらくして私達は無事退院する事ができた。私に問題が無くお母さんも体調を万全に近い状態に戻ったからだ。
「ティルは里帰りとかするの?」
「帰る里がありませんけど、強いて言うならラグーナ島ですかね?」
「ユリを連れて行ったらみんなびっくりするだろうね」
「そうですね、この子が大きくなったらみんなで行きましょう」
「そうだね」
私をベッドに寝かせてそんな事を話していた。そんな時トントンとドアをノックする音が。
「ちょっと見てくるね」
急な来客に警戒する事もなくお父さんは玄関を開けその客人と対面した。
「こんにちわ、今大丈夫かな?」
「大丈夫だよ、お茶でも飲んで来なよ」
その客人はラグナロクだった。両手に荷物を持ち和かな笑顔。お父さんに案内され部屋へと入って行った。
「おめでとう二人共、ティルフィングも良く頑張ったね」
「ありがとうございます、それで今日はどうしたのですか?」
「教会からの出産祝いと私達からの出産祝いを持ってきたのよ、ここに置いて良い?」
返事を貰い部屋の隅に荷物を置いてベッドで眠る私を覗き込んだ。
「この子は人類とキル姫の希望になるわ」
「どうしてそう思うの?」
「キル姫と生涯を共にする事を選ぶ人は沢山居るわ、それと同じ数だけ子を授かれなくて悩む人もね、だけどこうして子を授かれる事を二人は証明してくれた」
「大袈裟ですよラグナロク」
「ふふ、そうかもね、もう名前は決めたの?」
「うん、ユリって名前だよ」
「良い名前ね、どうしてその名にしたの?」
「私のコードネームとユウの名前から一文字取ってと花の百合からです、知っていますか?百合は色毎に花言葉が変わる事を」
「それに因んでだよ、色んな可能性を持って欲しいってね」
「あなた達の子ならきっと無限の可能性を秘めているわ」
「なら大きくなったらエンシェントに入れてもらおっかな?」
「考えておくね、それと」
「それと?」
「最近大陸に変わった姿の異族が目撃されているわ、まだ証言も少なくて確かな情報じゃ無いんだけど」
「うん、分かったよ、気が向いたらその任務受けるね」
「まだゆっくりしててよ、私達で何とかするからさ」
そう言った後にラグナロクは帰って行った。それからあの事件が起きるまで私はお父さんやお母さんはもちろんラグナロクやエンシェント達やお父さん達の友達の奏官やキル姫達に可愛がられながら育っていった。中でも一番ラグナロクに懐いていた。みんなも顔を出してくれていたのだけど一番ラグナロクが私を見に来てくれたからだろう。
「こんにちわユリちゃん」
「ラグナおばさんこんにちわ♪」
私がラグナおばさんと呼ぶと少しだけ嫌そうな顔をしていた。お父さんにラグナロクの年齢は?と聞かれると困った顔をしているのを今でもたまに思い出す。
「ユリちゃん〜ハグだよハグ〜♪」
「」
「ユリちゃんしっかりして下さい!ダメですよフライシュッツ!!」
「ネス!早く回復魔法!」
「はい!」
「ごめんね〜おねーちゃん嬉しくってさ♪」
「この子はきっと強くなります!さぁ!今から私と鍛錬をしましょう!」
「それはまだ早いかな?」
「この子は…キラーズとバイブスを宿しているのですね」
「そうですね、過去にもユリのような子は居たのですか?」
「この大陸の歴史を調べたのですがこのような事は今回が初めての様です、半姫半人って言えば良いのですかね?」
「さあ?でもキラーズとバイブスを宿しているならそうだよね?」
「ベロベロベロべローーーーバァァ♪」
「キャッキャ♪」
「クレスは相手をするのが上手いですね♪」
「うん♪クレスも赤ちゃん欲しいんだけどどうしたら良いのかな?」
「頑張ればできるよ?」
「……………………」
「抱いてみますか?スイハ」
「良いのですか?」
「うん、頭の下に手を入れて反対の手を股から背中に伸ばしてさ」
「こうですね」
「うん、そのままゆっくりと持ち上げて抱き寄せて」
(抱けた!私赤ちゃんを抱いてる…!)
「この子もあたしと同じで牛乳がすきなのだな!」
「ちょっと違うと思いますけど、、良かったらミルクあげてみますか?」
「良いのか?うむ!ちょうじょう!」
またある日は。
「おめでとう二人共!少ないけど祝いだ!」
「うがぁぁ!!しゅくふくするゾ♪」
「ありがと、ショウ、それにシユウ」
「私達からもあるのよ、ね、バルムンク♪」
「はい、受け取って下さいね♪」
「ありがとうございます、ハナ奏官、バルムンク♪」
「私も二人に任務というご祝儀を用意してきましたよ♪」
「ありがとマリア、だけどそれは返却するね」
「そんなぁ、、、」
「それより転送装置って使えるの?」
「ラグーナ島に行くなら使えますけど千年王国に行くのなら無理ですね、今向こうの世界からの通信が途絶えてて、、直ぐ直ると思いますけどね?」
「ふむ」
と、まぁそんな感じの毎日だった。
そして私が三歳になる前の日の事だ。三月八日。その晩に事件は起きた。
「ただいま、ねぇティル」
「おかえりなさい、どうしました?」
「今日教会に行ったらマリアからラグーナ島のチケットを貰ったんだけど明日行かない?」
「そうですね、それに明日はユリの誕生日ですし」
「お父さんおかえりなさい♪」
「ただいまユリ、明日はラグーナ島に行こっか」
「うん!うみ、うみ、海ー♪」
明日行ける事となったラグーナ島に浮かれ楽しそうな私。それから夕ご飯を食べてお風呂に入り明日の準備を済ませ後は寝るばかりだった。
「もう準備は大丈夫かな?」
「明日の朝にでももう一度見直しましょうか」
「そうだね、ユリ寝るよ」
「うん♪お父さんたばこくしゃい!」
「しゃーない」
はしゃぐ私をベッドに寝かしその左右をお父さんとお母さんに挟まれていた。両親が眠りについた後も私は明日の事が楽しみでまだ眠れないでいた。
そんな時ベランダの窓がやけに明るく見えた。それが気になった私はベッドを降りて一人ベランダの前へ。そしてその現状に大声を出していた。
「!!??お父さん!お母さん!!火事だよ!!」
私の言葉に飛び起きた両親。直ぐに荷物を背負い状況を確認していた。
「玄関から煙が入ってきてるね、ベランダから逃げようか、荷物は僕が持つからティルはユリをお願い」
「分かりました、ユリ、大人しくしていて下さいね」
「う、うん…」
お父さんがベランダの窓を開けようとした時反転して私達を押さえ込んだ。その瞬間に天井に一本の矢が突き刺さった。
「攻撃されてるね、異族か」
「ならこの火事も異族の仕業ですね」
「だけどそんな知恵があるのかな?まぁ良いや、僕が先に降りて見てくるよ」
煙草を咥え剣を構えお父さんはベランダから飛び降りて行った。幼い私は状況が理解できずただお母さんの足にしがみつき震えていた。
「安心して下さいね?ユリの事は私とお父さんが絶対に守りますから」
それに気が付いたのだろう。私の頭を撫でてくれた。それでも私の中の不安は消えなかった。
「こっちは大丈夫だよ、異族は片付けた」
「はい、行きますよユリ」
お父さんの合図を受けてお母さんに抱き抱えられながら地面へ飛び降りていた。火災の匂いに混ざった血の匂いが鼻を刺激して思わずむせ返っていた。
「とりあえず教会に行こうか」
「そうですね、それに新しい家も探さないといけませんね」
「それは明日にでもしよっか、ごめんね明日は海に行けそうにないよ」
しゃがんで私に目線を合わせてそう言ったお父さん。今の私なら仕方のない事って理解できるのだけどまだ幼い私には理解ができず海に行きたいばっかりだった。
「やだ!やだ!海行くの!」
「落ち着いてから行きましょうね?今は我慢して下さい」
「やーー!!」
「ティル、しっかりユリを抱いててね」
「はい、まだ何かが潜んでいるようですね」
剣を構え直したお父さんの視線の先には頭に花を付けた異形の者の姿があった。聞き取れない言葉を発しながら武器を構えこちらに向かって来るのが炎に照らし出されていた。
「変わりますよユウ」
「大丈夫だよ、娘の前だ、情けない姿は見せられないよ」
単身で斬り込んでゆくお父さん。お父さんが剣を振るうたびに血飛沫が舞い上がり異形の者が悲鳴をあげていた。
「やぁぁぁ!!!こわいこわい!!!」
その光景の恐怖に耐え切れず私が悲鳴をあげた、それに気を取られた瞬間にお父さんが攻撃を受け傷口を押さえ膝をついた。
「ユウ!!」
「大丈夫だよ、まだやれるさ」
剣を支えに立ち上がり構え直した時に目の前の異族が薙ぎ払われた。
「助太刀いたそう」
「君は下がっていると良いよ」
「ヘェイ!ワンマンショーー♪」
助けに来てくれたのはマサムネ、パラシュ、フライクーゲルだった。
「早くこっちに避難して下さい」
「キズの手当をしないと…」
「人間は子供見てなさいよ」
お母さんの方にはアルテミス、ロンギヌス、レーヴァテインが居た。三人に呼ばれてお父さんもこっちに来てくれた。
「ありがと、助かったよ」
「礼には及びません」
「どうして皆がここに?」
「野暮用ってやつ」
6人の加勢もありその場に居た異族は全て討伐された。残党が居ないか確認してからみんなが集まり話をしていた。
「助かったよ、それでどうして此処に?」
「よく見るといつもと服装が違いますよね?」
「そろそろ話してあげる、それじゃ剪定を始めようか」
「せんてい?」
レーヴァテインの言う聞き慣れない言葉に聞き直そうとした時にはすでにお母さんが斬りつけられていた。
「くっ、、、一体何のつもりですか!?」
「不意打ちは拙者の趣味では無いが世界の為だ、その命、刈り取らせて貰おう」
「………何が合ったかは知らないけど話を聞かせてくれないかな?今ならまだ冗談で済ませるからさ」
お母さんと私の前に立ち剣を構えそう告げたのだが明らかな殺気を感じため息を付いた。
「逃げよう!ティル!ユリ!」
私を抱くお母さんの手を取り教会に向かって走り出した。それを容赦なくアルテミスが矢を放ちフライクーゲルが魔弾を放った。二人は魔弾が掠めようと矢が刺さろうと懸命に教会に向かって走って行く。だけどそれを彼女達は許さなかった。
「そんな幼い子を連れて僕達から逃げれると思っていたのかい?」
「退けパラシュ、邪魔をするのなら容赦はしない」
「ふっ、そんな傷だらけの身体で良くそんな事が言えたね」
「ティル!ユリと早く教会へ!なるべく時間を稼ぐよ!」
「でも……」
「早く!!ティルはママなんでしょ?」
「くっ、、、分かりました、必ず追い付いて下さい!」
そう言って駆け出すとロンギヌスがお母さんの前に立ち塞がり槍を構えた。
「母と子を思う気持ち、"愛"ですね」
直ぐ様逃げ出そうとするもマサムネ、レーヴァテインに逃げ道を塞がれていた。追い詰められ逃げ場を失った両親は背中合わせとなり剣を構えた。本気の二人ならば勝てた相手かもしれない、だけど足元に居る私を守りながら戦える筈もなく二人共立っているのがやっとまで追い込まれていた。
「そろそろ良いんじゃい?」
「そうですね、皆さんありがとうございました」
聞き慣れた声が聞こえそっちを見ると私のお母さんにそっくりな人が暗闇から現れた。その瞬間にお母さんが動きを止めたと思ったらその人に向かって歩き出した。
「ティル?ティル!?どこ行くんだよ!?」
「これより淘汰を行います、この先は何人たりとも介入は不可能」
ボロボロの身体で剣を構えたお母さん、その相手もお母さん?良く分からないけどこの戦いがとても神聖なものに見えていた。
だけどそこで行われていたのは一方的な残虐だった。手負のお母さんはなす術もなく斬り刻まれ。そして
「アナタの意思は私が担う、安心して逝きなさい」
最後の一太刀がお母さんを斬り裂くとお母さんは光となりもう一人のお母さんの中へ消えていった。
「ティルっっっぅ!!!!」
「余所見している暇なんて無いよ」
ダンッて音が聞こえた後にはお父さんは頭から斧で切断されていた。そして前後に身体が分かれ崩れ落ちていた。私の真横で
「あ、あぁぁぁぁ、、、あぁぁ」
「これで私達の計画を実行させる力が全て揃いました、ありがとうございます」
「別に、お礼を言われるような事なんてしてないし」
「あの、、あの子はどうしますか?」
ロンギヌスが指差すのは状況が理解できず立ち尽くしていた私だった。
「できれば私は手に掛けたくありませんね」
「淘汰により母の記憶を引き継いだか、ここは拙者が」
マサムネが刀に手を置いた。私はそれと戦う為に足元に落ちていた剣を拾い構え斬り込んだ。
「フーー!!フーー!!!」
「ほぉ、幼いながら良い太刀筋だ」
だが。その言葉の後に私が握っていた剣が弾き飛ばされ地面を転がりお母さんの使っていた剣の隣へ。
「うぅぅぅぅぅぅ…………」
剣が弾き飛ばされた事に怯えてしゃがみ込んだ私にマサムネが迫っていた。震えながら見上げると冷酷に私を見下すマサムネの顔が見えた。
「せめてもの情けだ、苦しませぬ様にしてやろう」
刀を構えた瞬間に土を握りマサムネの顔めがけて投げた。それは見事マサムネの視界を奪う事に成功しその隙に急いで剣を二本拾い構えた。
「くっ!おのれぇ!!」
「マサムネ、刀を納めて下さい」
「何故、」
「この子をインテグラルキラーズの一員にします、フライクーゲル、この子の記憶を摘芯して下さい」
「正気か!?」
「本気で言ってるのかい?」
急なティルフィングの発言に驚きを隠せない二人。それでもティルフィングは言葉を続けていた。
「幼いながらの剣捌き、それにマサムネを欺く戦闘センス。何よりこの子は最強と呼ばれたティルフィングの血を引き大罪を宿しています。私達の計画を遂行させる為にこの力を利用させて貰います」
「僕達だけじゃ力不足って言いたいのかい?」
「いえ、皆の事は信じています、ですが念には念を押しておきたくて」
そう言うと私の持つ剣を弾き飛ばし鳩尾を剣の持ち手で突き上げた。その痛みで意識が散り散りとなり最後にボヤけた視界に映ったのは私の頭に向かって手を伸ばすフライクーゲルだった。
「この子は私が運びます、マサムネは剣をお願いします」
そう言って気を失っている私を担ぎ上げその姿を消した。その後ため息を吐いて剣を拾い上げマサムネがその後を追う。
「僕達も行こうか、騒ぎを聞きつけて人が集まって来そうだ」
「先行ってて、すぐ行くから」
「私も少しだけ残ります」
「分かりました、なるべく早く戻って来て下さい」
最後にフライクーゲルの「バァィ」の声を聞いてから二人は遺体の元へ歩いて行き祈りを捧げた。
「ねぇロンギヌス」
「はい、どうしました?」
「この人達も家族だったんだよね」
「そう、ですね。一つの家族を私達が壊しました」
「良いものじゃないね、この世界の為っていっても」
「……」
レーヴァテインの言葉に言葉を詰まらせたロンギヌス。その代わりに跪き深く深く祈りを捧げた。
「そろそろ行こっか」
「そうですね、これは?」
ロンギヌスが見つけたのはオイルライターだった。血に塗れていたのを丁寧に拭くとシルバーのケースと何かのシンボルが彫られているのが確認できた。
「あの子に渡してあげましょう」
「好きにしたら」
立ち上がり辺りを見渡すと松明を持つ人達の姿が見えた。これ以上騒ぎを増やす前に二人はその場を後にした。
その頃私は彼女達の隠れ家で目を覚ましていた。薄暗い部屋を見渡すとベッドで寝ているお母さんを見つけた。季節は三月、室内とはいえ肌を刺す寒さに耐えきれず寝ている布団をめくりお母さんに身を寄せてその温もりを感じながら目を閉じ心の何処かに潜む違和感を感じながらも眠りに付いていた。