朝、いつもの様に目を覚まし煙草を吸いに宿の前へ。
今日はマサムネ主催の天下一武道会だ、宿にも張り紙がしてあったけど参加する人数は少なく私とアスカロン、マサムネを抜いても三人しか居なかった。
何故こんなに少ないかって?そんな事知らないわよ
煙草を揉み消してアスカロンの元へ。
おはようございます
おはよアスカロン
扉を開けるともうアスカロンは起きていた。
今日は早いじゃない
天下一武道会、楽しみですからねっ
珍しいわね、アスカロンがそういうの楽しみにするのって
私もキル姫ですよ?闘う事は好きです
それもそうね、まだ時間が早いからのんびりしましょうか
ユリの口からのんびりだなんて…
私だってのんびりしたい時だってあるわ、朝食を食べに行くわよ
はいっ
食堂で朝食を頂く、ご飯に味噌汁、卵焼きに魚の塩焼き、和、ね。
一品ずつ少しだけ口に入れる、ん、美味しい。
ユリって塩焼きを食べた事はありますか?
私、魚はあまり食べた事が無いのよ、保存が効かないから持ち運べないし
なら食べる時に骨に気をつけて下さいねっ
こんな小さな生き物の骨なんて怖くないわ
箸で切り分けてそのまま一口。
痛っ、歯茎に何か刺さったわ…
ほらユリ、私が骨を分けてあげますね
器用に身と骨を分けて行くアスカロン。
ありがと、アスカロンは器用ね
えへへ
朝食を食べ終えてコーヒー片手に食後の煙草、これを吸い終わったら行こうか、部屋にアスカロンを呼びに行く。
アスカロン、準備をして行くわよ
はいっ
二人で城に向かうとすでに沢山の観客が詰めかけていた。
なにかお祭りみたいですねっ
自分達の運命が決まるっていうのに呑気な奴らね
あっユリ、出店もありますよ
そんな事はどうでも良いわ、そろそろ始まるわ
はいっ
これより第一回マサムネ主催の天下一武道会を開催します。選手の方は前へ!
司会の声が響きそれに合わせて広場に集う六人のキル姫達。
おい、マサムネ、お前はオレが血祭りにあげてやるからな
ふん、弱い犬ほどよく吠えるのはまさにこの事だ
んだと!
マサムネに向かって行こうとする方天画戟を2人のキル姫が止めに入っていた。
やめておけ、方天画戟
離せ!青龍偃月刀!
これだから脳筋はダメね
蜻蛉切、お前もこの槍で血祭りにしてやるよ
別に興味は無かったから放って置いたがその騒がしさにイライラが爆発していた。
あんた達うっさいわね!静かにしてなさいよ!!
なんだとこのチビ!
誰がチビよ!私の双剣で切り刻んでやるわ!
はっやれるもんならやってみろよ、このチビ
余裕そうに私を見下す方天画哉。
むぅぅぅぅぅぅ!!
ユリ、落ち着いてくださいっ
大丈夫よ、アスカロン、こんな挑発で動じる私じゃないわ
もう…
これより第一試合を開始します、選手の方は前へ。
ユリ、行ってきますね、大人しくしてて下さいよ?
分かってるわよ、アスカロンの力、見せてあげなさい
はいっ!
本日最初の選手は燃え盛る嫉妬の炎、嫉妬・イズ・クール。アスカロン選手!
対する選手はお供の蜻蛉の名前はボンちゃん、蜻蛉・イズ・キル。蜻蛉切選手!
よろしくお願いしますっ
よろしくアスカロン
レディーーーーーーゴーー!!
レヴィアタンの力、味わってみますか?
私の愛槍で穿いてあげるわ!
おぉーっと!蜻蛉切選手っ!開始早々槍での猛攻!アスカロン選手、防戦一方!
くっ武器の相性も悪いしこの蜻蛉切、強いっ!
ほら、どうしたの?レヴィアタンの力はいつ見せてくれるの!?
くうっ!
この一撃で穿つ!
蜻蛉切が槍を振りかぶった。この隙にっ!
おおっと!アスカロン選手っ!懐に飛び込んだっ!
えぃ!
きゃっ!
そのまま蜻蛉切選手を蹴り飛ばした!!
はぁっ!!嫉妬の氷よ、私に力を!
周囲に冷気を張り巡らせ気配を感じ取ってゆく。
小癪な真似をっ!
そこっ!
迫る蜻蛉切に氷の魔弾を飛ばし牽制。相性が悪い以上氷弾で地道に攻撃するしかない。
ちっ
この冷気がある限り貴女の気配を逃す事はありませんっ!
それならそんな物吹き飛ばしてあげるわ!
槍を回し始めた蜻蛉切
おっと蜻蛉切選手!槍を高速で回し風を起こし冷気を吹き飛ばしたっ!
見えたわ!そこね!
アスカロン目掛けて駆け出した蜻蛉切、その時アスカロンの口角が上がった。
!?
そのまま勢いよく地面を滑って行く蜻蛉切。
蜻蛉切選手っ!アスカロン選手の冷気で凍らされた地面に滑りそのままアスカロン選手の元へ!!
私の勝ちですっ!
滑りながらも突き出された槍を捌き蜻蛉切に剣を突き付けていた。
やるじゃないの
蜻蛉切さんも強かったですっ
勝者はアスカロン選手っ!皆様、盛大な拍手をお願いします!
おめでとアスカロン、次は私ね
ユリ、気をつけて下さいね?
分かってるわよ
本日の第二試合を開始します、選手の方は前へ!
私の双剣術見せてあげるわ!
キル姫に混ざり一人だけ人間の登場だ!その強さはいかに!双剣・イズ・ユリ!
対する選手は武勇に加え義理堅く教養もある忠義の槍。礼節・イズ・無双、青龍偃月刀!
よろしくお願いします
よろしく、青龍
レディーーーーーーゴーー!!
私の双剣を刮目しなさい!
私は双剣を構えて青龍に向かって駆け出した。
勇敢と無謀は違います、せやっ!
鋭く繰り出される突きを軽やかに躱しながら接近し懐に飛び込んだ。
槍なら近づけば振れないわ!
それはどうでしょうか?
なっ!
青龍偃月刀選手!接近されピンチかと思いきや槍ごと身体を回しユリ選手を吹き飛ばした!
矛だけが槍の強みではない、覚悟!
やるわね、ならその槍ごと叩き斬ってやるわ!
私は再び青龍に向かって駆け出した。
また同じ手は食わぬ!
青龍が槍を突き出した、私の狙い通りに。
甘いわ!
なにっ!
突き出された槍を踏んづけて高くジャンプ。そのまま青龍偃月刀の背後に。乱舞を繰り出そうとした。
残念だ、だがその読みは評価しよう
ぐっぅ!
後方への尻手での一突きがユリ選手を捉えた!ユリ選手このままダウンか!?
ゴホッゴホッ!くっやるわね!
ほぉ、急所を突いたと思ったが良く立ち上がったな
鍛え方が違うのよ!
後方へ飛び退いて煙草に火をつける。
ここでユリ選手、勝利宣言の一服っ!何という大胆な行動!
我を相手に喫煙とは舐められた物だっ!!
これね、気分転換よ
この小娘っ!
怒りに任せた突きを躱し柄を掴んだ。
あんたの負けよ!
そのまま槍を引っ張って体勢を崩した青龍に剣を突きつけ
ねぇ、生きるか死ぬか選んで
…なる程、この青龍偃月刀を欺くとは
別に、煙草が吸いたかっただけよ
勝者はユリ選手っ!!皆様盛大な拍手をお願いします!!
やったわアスカロン!ちゃんと見てたかしら?
はいっ♪ちゃんとみてましたよ♪
次はマサムネと方天画戟の試合ね
そうですね
マサムネがどういう戦いをするのか見ものね
では、今日の勝負、最後を飾るのはこの二人っ!!
方天画戟と書いて最強と読む、オレが優勝候補の方天画戟だ!
えぇ、自称・イズ・最強の矛、方天画戟だっ!!
対する選手はもちろんこの方!最強・イズ・武士道、マサムネ選手だっ!
やっとお前が地に伏せる時が来たようだな
やれるものならやってみると良い
ほざけ!
おおっと方天画戟選手、開始の合図も待たずにマサムネ選手に猛攻を仕掛けたっ!
オラオラオラオラ!!どうだマサムネ、手も足も出まい!
対するマサムネ選手、これはすごい!繰り出される槍術を全て躱している!
どうした、狙いが定まらぬようだな
ははは!そうこなくちゃ面白くないぜ!すぐにこの槍で貫いてやるよ!
方天画戟選手の渾身の一突きがマサムネ選手を捉えた!!
そなたの力はそんな物か
そんな…オレの槍が…
マサムネ選手!方天画戟選手の槍を、渾身の一突きを片手、片手で受け止めているっ!!!これは圧倒的な力の差だ!!
せやっ!
うぐっ
マサムネ選手の一閃が方天画戟選手を捉えた!一撃、あの方天画戟選手を一撃で仕留めた!流石優勝候補!圧倒的な力です!!
ユリ、見ていましたか?
えぇ、しっかりと見ていたわ、流石マサムネね
そろそろこの天下一武道会も興醒めか、二人まとめてかかってくるが良い
席に座っている私達に手招きをするマサムネ。
やってやろうじゃないの!行くわよ、アスカロン!!
はいっ!
二人でマサムネと対峙する、二体一だからって油断できる相手ではない。
何処からでもかかってくると良い
刀を構えるマサムネ、その姿に隙など見当たらなかった。だけど。
アスカロン、援護を頼んだわ!
双剣を構えてマサムネへと駆け出してゆく。
はぁっ!
愚かな
うぐぐぐっっ!!
双剣をクロスさせて何とか一閃を耐えることができた。
やぁっ!
背後からアスカロンがマサムネに斬りかかるが私と鍔迫り合っていたマサムネが瞬時に姿を消し私とアスカロンの剣がぶつかり合っていた。
くっ!
マサムネは何処にっ!
同時に飛び退き剣を構え直す。
拙者はここだ
きゃぁぁぁっ!!
マサムネの一撃でアスカロンが崩れ落ちてしまった
アスカロン!しっかりして!
人を心配する余裕など無かろう!
一瞬何かが煌めいた。それに気が付いた時にはもう遅かった。
がはっ!
たった一振りで私も崩れ落ちてしまった。
このっ…許さないわ…!
峰打ちとはいえまだ喋る事が出来るとはな、見上げた胆力だ
アスカロンがやられてんのに私がくたばる訳にいかないでしょ…!
剣を支えにして何とか立ち上がる
絶対に私は諦めないっ!黒式っっっ!!!
七元を鞘に納め腰を落とし、しっかりとマサムネを見据え。私の奥義を放った。
一紅閃っっ!!!!!
なかなかの太刀筋だ、だが
私が剣を振り切る直前に七元が弾かれてしまった。
借り物の技で拙者が斬れると思うな!
クルクルと宙を舞い地面に刺さる七元。
ユリよ、強くなれ
そう言ってマサムネは姿を消した。それを見届けて私は地面に倒れ込んだ。
煙草…
ポケットの煙草を探そうとしていたらいつのまにか気を失っていた