「はい?どうしましたか?」
「あたし多分218歳だけど女の子を名乗って良いのかしら?」
「良いんじゃないですか?私何てピーーーーー歳ですよ?」
( ゚д゚)
「ちょっと、そんな顔しないでくださいよぉっ!」
「ユリ、ユリ。起きてください」
「んーーっ。まだ眠たい」
誰かに揺すられて目を覚ますと柔らかな笑顔のアスカロンが。まだ眠たいあたしはアスカロンの胸に顔を寄せて再び眠りにつこうとしていた。
「起きないと、こうしちゃいますっ♪」
無防備な脇腹を指でこしょぐられ笑い声の様な悲鳴を上げながら急いで飛び起きアスカロンへと向けてフー!フーー!!っと威嚇をしていた。
「野生を取り戻した猫みたいですよ?ラグラロクさんが朝食を作ってくれたので食べに行きましょうよ♪」
「うん、そうしよっか」
アスカロンとバイブスで繋がってからアスカロンへの警戒心が持てなくなっていた。それどころか野生で生きてきたあたしの警戒心自体が無くなっている様な。
「その前に寝癖を治しますね。こっちを向いてください」
そう言いながらあたしの寝癖を手ぐしで治そうとしていた。あたしの寝癖の前に自分の寝癖を治せと言いたいのを堪えていると治し終わった様で再び満足そうな笑みを浮かべていた。
その後二人で部屋へとゆくと朝食を食べる3人の姿が。挨拶をしてその席へと混ぜてもらう事に。
「ユリちゃんはどれぐらい強いの?」
「ん、自分の身は自分で守れるぐらいは」
不意にラグナに聞かれてそう答えていた。すると後で組手をしてみないかとの事。断る理由もないのでその提案を受け朝食を食べ終わった後教会の前の広場で組手を行う事に。
「さぁ、どっからでもかかってきなさい」
「怪我しても文句は受け付けないわよ」
広場の真ん中に立ち剣を構えるラグナに言われあたしも両手に剣を握り戦闘モードへと。あたしが得意とするのは奇襲や闇討ちなのだが一対一でもそれなりに戦えると自負していた。それに一撃で相手を倒す為に急所しか狙うつもりもない。
しっかりとラグナに狙いを定め駆け出そうとした時にふと風が騒めきあたしの眼下で剣を振ろうとしているラグナの姿が。
「っ!」
繰り出された剣撃を双剣で迎え討つのだが余りの威力に身体が後ろに下がり重ねた剣が上へとはね上げられていた。だが慌てず後方へと飛び跳ね体勢を立て直してゆく。
「遅い!」
だがそれすら許さないラグナの猛攻が迫る。完全にあたしの動きを予測しているかの様に剣を振られ防戦の一方だった。
それでも僅かな隙を見つけ出し左手、下方から斬り上げ右手右から左への一閃。それらを軽く後ろに飛びかわされ余裕そうな顔であたしへと視線を送る。
それにムカつき再び接近し右足で大地を蹴り土埃を巻き上げ視界を奪う作戦へ。
「よっと」
「あっ」
あたしの巻き上げた土埃はマントを振る事で起こされた風によりあたしの目の中へと入り込み視界を奪う。目の中の異物を出そうと目をしぱしぱさせているとあたしの頭へと剣が当てられていた。
「私の勝ちね。なんていうか思ってたより弱いかもしれない」
さらっと傷つく事を言われたのだがそれよりも目の痛みが気になり水道へと連れて行ってもらってやっと洗い流す事ができた。
「ムカつくんだけど」
「二人の娘だから期待してたの、ごめんね」
その言葉はあたしの心にぐさっと刺さった。悪気もなく言っているところを見ると無自覚なのだろうけど。
「さっきのは練習よ、練習。次が本番なんだから」
「うん、じゃあもう一回ね」
そして始まった第二ラウンド。
「」
はい、秒殺でした。開幕と同時に双剣が弾き飛ばされ丸腰となったあたしに切っ先が向けられ勝者の笑みを浮かべられていた。
「まだやる?」
「マイリマシタ」
圧倒的過ぎるほどの力の差を見せつけられ悔しくなくむしろ清々しい気持ちになっていた。
「ちょっと滾ってるから次はアスカロンに相手して貰おっかな」
「はいっ!私で良ければお相手しますよ」
そう言ってアスカロンがラグナと試合を行う事に。あたしと同じようにアスカロンもすぐ負けるだろう。そう思いながら煙草を咥え火を付けようとしていた。
(あっ)
気が付けばあたしは煙草に火を付けるのも忘れて二人の試合に見入っていた。高速で動きながら剣を振るいお互いが隙を狙い合い剣を打ち合う華麗なる戦いに。
結局アスカロンが負けてしまい悔しそうに握手をしていた。
「ユリちゃんはここにいる間に強くなろうね。私達も手伝ってあげるからさ」
「分かったわ。お願いするね」
そんな感じで始まったあたしの修行。プランはミネルヴァが考えてくれるようで。
「動きは悪くありませんでした。なので基礎トレーニングを行い全体的にレベルを上げれば戦えると思います」
「ふむ?」
「少し待っていて下さい」
そう言われたのでしばらく待っていると大きな肩下げカバンを持って来てくれた。
「それはなんなのよ」
「ユリには新聞配達をして貰います。朝と夕方にこの街の人達の家に新聞を届けるのです」
カバンを受け取るとかなりの重さでズッシリと肩に重みがかかる。聞くと200世帯分の新聞が入っているとのこと。それと地図を渡してくれた。
「これは夕刊なのですが、そうですね。今から1時間でこれを配って下さい」
「えっ、無理だってば」
「こうしている間にも時間は進んでますよ」
「もぉお!分かったわよ!配ってくるわよ!」
走りながら地図を読み一世帯ごとに新聞を配達してゆく。慣れない街に行為に戸惑いながらも一軒ずつ配達を終え制限時間を少しすぎてしまったけど配り切る事ができた。
「はーーっーーはーーーっ、、、もーーむり、、、」
「お疲れ様でした。朝刊は午前4時に起きて配って下さいね」
「分かったわよ、、、」
帰ってきた私ににっこりと笑みを浮かべるミネルヴァと共に教会へ行き夕ごはんを食べる事に。
「明日配達から戻ってきたら私と試合をしませんか?」
「良いわよ、やってあげる」
アスカロンへ敵対心を抱きながら夕食を食べ終え疲れた体を癒すためにゆっくりとお風呂に入り寝室へ。
「おやすみ」
「おやすみなさい」