何でも屋のお仕事
あぁーーー退屈ね……
あの宴が終わって2日後に私達はお店を再開させていた。が、当然のように扉を開く人は居らず二人共暇な時間を過ごしていた。
ユリ、来ないならこっちから行くのはどうですか?
そうね、私が変装して街を襲えば誰かがここに討伐を依頼してくれるかも知れないわね
私が言いたいのはそうじゃなくて…街に行ってポスターを持って宣伝をするんですよ、そうしたらみんな気づいてくれますよ?
確かに、そう言われてみればこの店を始めてからまだ日も浅いし誰も知らなければ当然依頼なんて来るはずもない。
それもそうね、そうと決まれば準備するわよ!
はいっ!
二人でポスターを作る事にした、二人のイラストと何でも屋をしている事、やっている店の場所を書いているのだが…
ダメね
そうですね…
二人共絶望的に絵心が無かった。描かれたイラストは辛うじて私とアスカロンだと伝える事は出来るかも知れないがそのイラストに気を取られ何でも屋という事は伝わらないだろう。イラストは諦めて店の名前と店の場所だけを書き込んだポスターを二つ作り二人で街の中心部へ向かう
事に。
いらっしゃいませー
いらっしゃいませー
二人でポスターを首から下げて街を歩いてゆく、もし昔の私が見たら我慢出来ずに殴りかかってくるだろう。それでも日銭を稼がなければ。
ユリとアスカロンの何でも屋をよろしくお願いします
お願いします
通り過ぎる街の人達に作り笑顔を向け手を振るのだが誰一人として反応してくれないのが私のプライドをチクチクと突いてゆく、だが、諦める訳にはいかない。
お願いしまーす
お願いしまーす
気づくと二人組の男が私達を見ていた、二人共サングラスをかけてその表情はよく分からない、片方が私達の方へ近づいてきた。
あの
はいっ!ユリとアスカロンの何でも屋ですっ!
俺達下着のモデルを探してるんだけど良かったら二人でどう?
日当を聞いてから考えるわ
そうだな、二人で半日でコレでどう?
男が手で金額を伝える、欲しい、そのゼニー欲しい…
アスカロン、この仕事引き受けるわよ!
えっ、でもっ……
背に腹は変えられないわよ!良いわ、引き受けてあげる!
助かるよ、あの家でやるから着いてきてくれ
分かったわ、アスカロン行くわよ!
もぉぉぉ…
少し嫌そうなアスカロンの手を引いてその家に入ってゆく。
じゃ、早速これに着替えてよ
分かったわ
渡された紺色と赤色の下着を受け取り更衣室へ。
アスカロンはどっちが良いかしら?
私は…紺色のにしますね?
なら私が赤色ね、着替えて行くわよ
はいっ
着替えて下着姿になり男達の所へ行くとさっきの二人に加え三人ほど増えていた。
おっ良いね、写真撮るからそこに立ってよ
分かったわ
白いカーテンが引かれているステージに上がる。
そのままポーズ取ってね
はーい
男達が言うポーズを取ってゆく、シャッターの音と共に光るフラッシュは以外と悪く無かった、最初は普通だったのだが段々と過激な物に変わってゆく。
じゃあ茶髪の子はM字開脚でこっちを向いてね、その隣の子は四つん這いでお尻を向けて
分かったわ
もぉぉ…
渋々従ってゆくとOKのサインが貰えた。
お疲れ様でした、はい、日当ね
ありがと
渡された封筒の厚みでニヤけてしまうのを堪えながら更衣室の扉を開けようとしたのだが。
ちょっと!開かないんだけど!
おいおい、もしかして撮影だけであれだけ貰えると思ってたのか?
ニヤニヤしながら男達が私達に迫ってくる。
ユリっ!
もちろんそのつもりよ、早く更衣室の扉を開けなさいよ
おめでたい頭だな、俺達が教育してやるよ
何をするつもりよ!
君達が大人しくしていれば痛くはしないよ、多分な!!
男達が私達に迫る、後退りをして行くと背中が扉に当たった。
俺は茶髪の子を貰うぜ!
俺も!
隣の奴は可愛いが傷だらけだしな
アスカロンたん萌えーー!
舐めるように私達を見ながら迫り来る男達、私よりアスカロンの方が人気なのが余計にイライラさせる。
一応警告をしてあげる、今ならまだ許してあげるわよ
ごちゃごちゃうるせぇんだよ!
一人が私に飛びかかってきた。それにプツンと何かが切れた。
それならもう容赦はしないわよ!
男を思いっきり殴りつけると吹っ飛んでいき壁に叩きつけられていた。
お前!もしかしてキル姫か!
今頃気づいても遅いのよ!一人残らずぶん殴ってやるわ!覚悟しなさい!
逃げ惑う男達を捕まえ一人ずつ顔面に一発入れてゆく、残りは一人だ。
ひ、ひぃぃぃ……
ねぇ、有り金全部渡しなさい、そうすれば命だけは助けてあげるわ
は、、、はいぃ、、、
震える手で財布を投げる男、その財布から金を抜き取り投げ捨てる。
ちっ、まぁ良いわ、それとオマケよ
撮影に使われたカメラを壁に投げつけ破壊する。これぐらいで勘弁してやるか。
さっ帰るわよアスカロン
はいっ
更衣室の扉を壊し着替えて外へ。
もぉぉぉ!!もう少しで酷い目に遭う所でしたよ!
そうね…私とした事が油断してたわ…
初対面の人は信じない、昔の私はそうだったのにこののんびりとした生活をしている間にその教訓を忘れていた。
それでもお金は手に入ったわ、これでしばらくは生きていけるわよ
そうかも知れませんけど…
これでかき氷生活ともおさらばよ!
私達はお金が無さすぎてアスカロンに作ってもらった氷を削りカキ氷を食べて飢えを凌いでいた。
本当にこの世界を救った人とは思えない生活でしたね…
それにやっと煙草が吸えるわ、帰りに雑貨屋に寄って行くわよ
そうですね
帰り道に雑貨屋に寄って二人の好きな物をカゴに入れてゆく。
おじさん、50番カートンで
まいどー
後このポスターをこの店に置いても良いかしら?
ユリちゃんの頼みなら聞いてあげるよ、レジの横に置いてあげよう
助かるわ、おじさんからの依頼なら格安でやってあげるわよ
それはありがたい
また来るわ
雑貨屋を出て二人で帰路につくのであった。
ちゃっかりしてますね
せっかく作ったんだから人の目につく所に置いてあげたいじゃないの、帰ってご飯にするわよ
はーい
二人で自宅兼職場へと帰ってゆく、二人で店を探している時にたまたま見つけた物件でラグナの知り合いだったらしく格安で買う事が出来たのだ。もしこれが賃貸であったなら今頃路上を彷徨い昔のような盗賊紛いな事をしていただろう。
ただいまー
ただいまです
誰もいない家に挨拶をして早速煙草を開封し火をつける。
はぁ…生き返るわね…
早く食べないと冷めちゃいますよ?
吸い終わってから食べるわ、先に食べてなさいよ
待ってますよ?
分かったわ
まだ火をつけだばかりの煙草を揉み消しアスカロンの待つテーブルへ。
いただきまーす
先程買ったご飯を食べてゆく、久しぶりのかき氷以外の食べ物の美味しさを伝える事が出来ないのが残念だ。
幸せですね
そうね、早く安定して仕事が欲しいわね
そうですね、頑張りましょう
ご飯を食べ終え食後のコーヒーを飲みながら煙草に火をつける、アスカロンはヨーグルトを美味しそうに食べていた。
ヨーグルト好きね
本当はオレンジなんですけど前から間違えられているんですよ?
知らなかったわ
私が好きなのはヨーグルト作りです
そう言う割には美味しそうに食べているわよね?
美味しいですからね
そうしているうちにお風呂のお湯が溜まったみたいだ。
お風呂に入って寝るわよ
はいっ
節約の為に二人でお風呂へ、少しのお金は手に入ったが贅沢をすればまた以前の生活に戻ってしまうだろう。身体を洗い流し少し広めの湯船に二人で浸かる。
そういえばなんで私に着いてきたのよ?もう共鳴もして無いしアスカロンは自由よ?
私も行く所が無かったですし何よりユリを一人にしておけなかったんです、すぐ無茶な事するから
そうね、アスカロンが居なかったら今頃何処かの村を襲っていたわね
あははははは……あの時の願い事の人々に思いやりの気持ちを持たせるって本当に叶ったんですかね?
叶ったと思うわよ?本来ならああいう連中はお金なんて払わないわ
払わなくても奪いますよね?
当たり前よ!対価は貰うんだからね
でもカメラ壊してましたよね?
それはそれよ、そろそろ出るわよ
はいっ!
身体を拭いて髪の毛を乾かしパジャマに着替えて寝室へ、昔と変わらずアスカロンの腕が私の枕だ。
おやすみ
おやすみなさい