※この作品はR-18です。

インテグラル・ノア サイドストーリーユリ物語   作:やす、

60 / 131
何でも屋の危機

結局椅子に座ったまま朝を迎えてしまった、一晩中起きていたけどドアが開く事はなかった、眠たい頭で現実を受け止める事にしょう。

 

 

はぁ…

 

 

フラフラと立ち上がりコーヒーを淹れる、これを飲んだら教会に行って休業を伝えよう、煙草を咥えながらしばらく休業の札を作る事に。

 

 

何をするって?もちろん探しに行くつもりよ。絶対に見つけ出してこの行動の真意を問い詰めてやるわ!別に辞められるのはしょうがないけどせめて一言欲しかった。

 

 

立ち上がり玄関に札をかけて教会に向かう、時間は午前7時、もう空いているだろう、足取りは重い、だけど進もう。

 

 

アスカロン…

 

 

別に心配はしていなかった、アスカロンがその辺の盗賊にやられるなんて考えられないし例えキル姫に襲われたとしても勝てるキル姫は少ないだろう。

 

高い戦闘力を持つキル姫、天上世界で言えばラグナ達、ティルフィング達か、地上世界にいるコマンド達、ほかのセブンスぐらいだし彼女達がアスカロンを襲うとは考えられない。ならなぜアスカロンは居なくなったのか?答えの無い問いが頭の中をグルグルと回る。

 

 

気がつけば教会に辿り着いていた、門を開けていつもの受付に休業する事を伝えると(分かりました)との事、昨日アスカロンが行った保育園に行ってみよう。

 

 

教会を出て保育園を目指して歩く、一本道だから迷う事は無い、ただ前だけを向いて歩いて行く。

 

 

寒っ

 

 

木枯らしに吹かれながら歩いて行くとたどり着いた、まだ子供達は来ていないが室内に人影が見える。

 

 

話を聞きに行こう、そう思い門を開けて敷地に入って行き玄関にあるインターホンを押そうとした時だった、嫌な気配を感じて建物の影に身を隠し影から顔を出し様子を伺うと銃を構えた女が一人。

 

 

誰?ここで何をするつもり?

 

私はアスカロンの事を聞きに来たのよ、敵意は無いわ

 

信用できないわ

 

そうね、逆の立場なら信用なんて私もしないわよ

 

今すぐ出てゆくなら撃ちはしないわ、早く立ち去って

 

…………………

 

 

どうする?少し見た所キル姫の様だが戦ったところで私の立場が危うくなるだけだ、何か良い手は…

 

 

メギド、何の騒ぎだ?

 

不審者です、あそこの影に一人居るわ

 

不審者とな?

 

 

なんとなく聞き覚えのある声がする、少し見てみるとあれは…

 

 

プダハ、こんな所で何してるのよ

 

おぉ、その声はユリではないか、どうしたのだ?

 

アスカロンの事を聞きに来たのよ

 

アスカロンがどうしたのだ?もっと良く聞かせておくれ

 

分かったわ、その隣に居る人に私に敵意は無い事を伝えてよね

 

分かった、メギド、あの者は敵では無い、我の子供じゃ

 

はぁ…

 

少し話をさせて、そしたらすぐに出て行くわ

 

 

警戒しながら物陰を出て二人の方へ歩いて行く。まだメギドという人が私に銃口を向けている、いつでも回避ができるように慎重に。

 

 

ねぇ、昨日アスカロンは何時までここに居たの?

 

そうだな、16時にはここを出たぞ

 

ありがと、なんか悩んでたり考えていたような素振りはあったかしら?

 

特に無かったわ、どうしてこんな事を聞くの?

 

アスカロンが帰って来ないのよ、昨日教会で待ち合わせしてたんだけどそこにも来なかったし家にも帰って来てないのよ。

 

それは心配だ、教会に迷子の捜索は頼んだのか?

 

まだよ、ってそんな事できるのね

 

話はそれだけ?私達は準備で忙しいんだけど

 

ごめん、もう出て行くわ

 

 

頭を下げて保育園を出る。教会に行こう、通り道に何か変化は無いか探しながら歩いて行くが特に無い、か、、、

 

 

辺りを見渡しても民家も無い、目撃者は居なさそうだ。

 

 

痛っ、何かにぶつかり顔を上げると教会の外壁だった。

 

 

私も堕ちたものね

 

 

そう呟いて教会へ入って行く、受付に行ってアスカロンの捜索を依頼する事に。アスカロンの見た目や服装を伝えて待っていると私の依頼を受けてくれた。

 

 

700.000ぜニーです

 

分かったわ、明日持って来るわ

 

今お願いします

 

分かったわよ

 

 

700.000ぜニー、痛い出費だがアスカロンにまた会えるなら安い物だ。お金を取りに家に戻るも鍵はかかったままだ、一応各部屋を回ったけど人の気配は無かった。金庫のお金を鞄に詰め込んでゆく、そのついでにアスカロンの写真も、あと必要な物は…無さそうだ。

 

 

ため息をついて家を出る、その時に玄関と壁に切れやすいテープを目立たない所に貼っておく事に。こうすれば誰かが扉を開ければすぐに分かる、またため息を一つついて教会へ。

 

 

受付にぜニーを渡すと今日の昼から捜索してくれるようだ、時刻は午前10時半、私もできる限りの事をしょう、もう一度保育園までの道を歩く事に。

 

 

探せ、手がかりを、一歩一歩慎重に辺りを見渡しながら歩いて行く、行きも帰りもだけどこの道で誰かにすれ違った事は無い、人通りが少ないのであるなら何かが残っていてもおかしくはないはずだ。

 

 

……………………

 

 

何も残ってはいなかった、保育園に着いてからまた教会まで探して歩いたけど何一つ見つからなかった。アスカロンは自分の意思で出て行ってしまったのだろうか?そんな事は無いと信じたい、共に死線を潜り抜けあんなに苦楽を共にしたのに何も言わずに一方的にさよならされるなんて考えたくも無かった。

 

 

アスカロン…

 

 

待て、思考を止めるな、連れ去られたにしても出て行ったとしても誰か見た人が居るはずだ。鞄からシワシワになっている昔貰った地図を取り出し指でなぞりながら街を探す、そこで聞き込みをしよう、ここから1番近い街は…ここね、道を辿りそこに向かって歩いて行く。

 

 

はぁ…

 

 

ため息が止まらない、一人で居る時はこんな事無かったのに、こんな思いをするのなら………

 

 

嫌な事を考える前に街にたどり着いた、時刻は午後0時、昨日の夜から何も食べていない事を思い出した、何か食べようか。

 

 

ふらふらと街を歩き見つけた一軒のご飯屋へ、ただお腹を満たす為にご飯を頼み、そして食べる、直ぐに手がかりを探しに外へ。

 

 

街を歩く人々の声一つ一つに意識を集中させながら歩く、何も聞こえない、それなら……

 

 

すいませーん、この女の人を見た事ありませんか?

 

あぁー知らないね

 

ありがと

 

 

一人ずつ聞いてまわろう、アスカロンの写真を持ってきて良かった。

 

 

道ゆく人、一人一人に聞いて行くが私の望んでいる答えは貰えなかった、次の街に行くか、それとも夜を待ち酒場に行くか、、、その前に少しどこかで休もう、近くにあった公園に入って行きベンチに座り煙草に火をつける。

 

 

はぁ、、、

 

 

何処に居るのだろう?もちろん諦めるつもりなんて全く無かった、どれだけ時間がかかろうと絶対に探し出してやる。私は諦めが悪いんだ、ギュッと煙草を踏み消し立ち上がる、そして大きなため息を一つ。

 

 

次の街へ行こう、地図を広げて探す、ここから1番近い街は…この街か、まだ時刻は15時だ、聞き込みをして夜は酒場で情報を集めよう。

 

 

少し身体を伸ばし全速力で次の街まで走って行く、早くアスカロンの温もりを感じたい、ずっとアスカロンの事を考えていた、なんだろうこの感情、変なの。

 

 

次の街に入って行きさっきと同じ様に街人に写真を見せて聞き込みをするが誰一人として私の欲しい答えを言わなかった。諦めずに聞き込みをしていると一人だけ何かを知ってそうな人が居た。

 

 

お嬢さん、俺はこの子の居場所を知っているよ

 

本当なの!?早く言いなさいよ!

 

まぁ待てよ、俺はこの街で情報屋をしているんだ

 

………この情報はいくらなのよ

 

そうだな、、、まだ入りたての情報だから500.000ぜニーで良いよ

 

分かったわ、取ってくるから待っててよ

 

へへへ、まいど

 

 

私は全速力で家にお金を取りに走った、扉を乱暴に開けて金庫を開けてお金を取り出す、…400000ぜニーしかないか、、、それなら…

 

 

お店にある机を退けて床にある小さな扉開けて私のヘソクリを取り出した。以前煙草が吸えなくても、かき氷生活をしていても手をつけなかった秘密のお金。そこから150000ぜニーを取り出しギュッと握りそのまま鞄へ入れて家を出て急いでさっきの情報屋の元へ。

 

 

はい、確かに渡したわよ

 

どれどれ?

 

 

少しニヤけながら金を数える男、怪しいけど今の私は藁にもすがる思いだった。

 

 

確かに受け取ったよ、お嬢さんは地図を持っているかな?

 

持っているわよ

 

ちょっと貸してもらうよ

 

 

地図を渡すとここから少し離れた街に印を書いていた。

 

 

ここにある民家にいるよ

 

分かったわ、助かったわよ

 

へへっまいど

 

 

地図を受け取りその街まで走って行く。痛い出費だけどまた会えるのなら惜しくは無かった、アスカロンを見つけたら最初になんて言おう?怒りの言葉?いや、それよりもギュッってして貰おう、それからビンタしてその後は…どうしよう?

 

 

疲れている身体でなんとか教えて貰った民家に辿り着いた。見ると人が住んでいるようだ、窓かは明かりが漏れている、ドアを2回程叩き少し下がりいつでも抜刀できる体制でドアが開かれるのを待っていた。

 

 

はーーい?

 

 

しばらく待っていて出てきたのは年老いた女の人だった。

 

 

どのような御用件で?

 

この写真の女がこの家に居るんでしょ?早く出しなさいよ

 

 

右手で柄に手をかけながら左手で写真を見せる、見た目に騙されてはいけない。

 

 

えっ?

 

 

目を丸くして写真と私を交互に見る老婆、一瞬不安が頭をよぎった。

 

 

私は知りませんよ?おじいさんに聞いてみますね

 

 

そのまま家に入って行く老婆、しばらく待っているとお爺さんと玄関に来てくれた。

 

 

この女よ、知らないの?再び写真を見せるも答えは「知らんぞ?」その一言だった。

 

 

フラッと意識が遠のいた、寝不足に疲労、それに騙された事、それを理解した瞬間に一気に体にのしかかっていた。もうあの詐欺師に怒りすら湧いてこなかった。

 

 

ごめん、邪魔したわね

 

 

なんとか声を振り絞り二人に背を向け歩き出す、足取りは重い、もう家に帰る気力も無かった。辺りを見渡すと一本だけ木が生えていた、あの根本で眠ろう、フラフラと歩いて行き腰を下ろし大きなため息を一つ。

 

 

気づけば頬を何かが伝っていた、手で拭うと涙だった。自分が情けなかった、簡単に騙された事、もっとアスカロンを大事にしていれば良かった、バラバラじゃなくて二人で動いていれば良かった、後悔が頭の中をグルグルと回る、もっと甘えておけば良かった、もっと一緒に居たかった、もっと…………

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。