窓から差し込む光で目を覚まして布団から起きあがろうとしたのだが。
寒っ、あぁー幸せっ
あまりの寒さに再び布団に潜り込み寝ぼけ眼で腕時計を見ると午前7時。後一時間で大会が始まる!
慌てて布団から飛び出していつもの服に着替えて鞄を肩にかけて剣を二本携えそのまま食堂で朝食をかき込んで料金を支払い外へ飛び出して会場へと走ってゆく。
なんとか7時半には会場にたどり着く事ができた、受付を済ませて選手の控室に向かって行く。
ここね
控室と張り紙が貼られた扉をノックして扉を開けるとギロリともう集まっていた選手に睨まれた。けどそんな事で動じる私ではない、睨み返してレヴィと名乗る選手を探す。
居ない?参加者は11名なのにここには私を合わせて10人しか居なかった、私の1番近くにいた人に聞いてみる事に。
ねぇ、レヴィって人はまだ来ていないの?
彼女はこの大会の主催者のキル姫ですわ、試合に勝ち抜いた人がレヴィと戦う権利を得ますの
そうなんだ、ありがと
気に食わないルールだ、師匠はちゃんと試合に出ていたのに、時計を見ると後10分で試合が始まる、今のうちに煙草を吸いに行こう。扉を開けて廊下を彷徨い喫煙所を探す、あったあった。
煙草を咥え身体を伸ばしてから火をつける、見たところみんな剣を使うキル姫のようだ、同じ剣使いとして負けられない、私は双剣だけど。ぼんやりと煙を見つめてから灰皿で揉み消す、さぁ行こうか。
控室に戻ると係員がみんなを集めているところだった、それに混ざりみんなで一列になり広場に向かう、だんだん楽しくなってきた。
薄暗い廊下を抜けてコロシアムに出ると割れるような歓声が私達を迎えてくれた、それに手を振って答えるキル姫達、私はそんなキャラじゃないからやめておこう。
レディーーーース・アン・ジェントルメン!本日はメクリス博士主催の第二回天下一武道会へようこそ!
司会の人が挨拶をしている、その言葉は全く私の頭に入ってこなかった、ただ、アスカロンの事を考えていた。
これより第一試合を開始します、選手の方は前に
その言葉を聞いて我にかえった、掲示板を見ると私は第三試合のようだ、それまで他の人の試合を見ているとしよう、広場にある控室のベンチに座りぼんやりと試合を眺める事に。
私がお相手して差し上げますわ
クラウ・ソラス、参る
対峙する二人のキル姫、その後ろに人影が見える、きっと奏官なんだろう、戦うキル姫に指示をしているのが聞こえる。
腹が立つ、自分より強いキル姫を安全な所から指示する奏官が、それに従うキル姫もキル姫だ、おっと、この感情はきっと八つ当たりだろう、ため息をついて再び試合を眺める事に。
お互いの剣をぶつけ合う音が響き渡る、しっかり観察しているも私の敵では無さそうだ。
せやぁぁぁぁ!!
きゃぁっ
クラウ・ソラスがデュランダルの剣を弾き飛ばし首筋に剣を突きつけていた。
私の勝ちのようだな
ま、参りましたわ…
試合終了の鐘が聞こえる。
勝者、クラウ・ソラス!
対戦者が握手を交わしお互いの奏官の元へと帰って行く、デュランダルの方を見ると頭を撫でられていた、優しい奏官ね。
はぁ…
スタッフが広場を整地してから第二試合が始まった、次はカラドボルグとナーゲルリングの試合の様だ、今のうちに煙草を吸いに行こう、立ち上がり喫煙所へ。
はぁ………
心の中のモヤモヤが取れない、こんな事じゃ勝てる試合も勝てないだろう、少し気合を入れよう。
…………………せやっ!
一呼吸置いて壁に拳を叩き込む、じんわりと伝わる痛みがモヤモヤを掻き消してゆく、よし気合入った!
煙草を灰皿に投げ入れて控室へ、第二試合はカラドボルグの勝利の様だ、少し待っていると私の名前が呼ばれた、行こう。
コロシアムに引かれている線に立ち相手が来るのを待っていると赤髪の女が私の前に立った。
これより第三試合、ユリVSリットゥを始める、両者前に
双剣を構えリットゥと対峙する。
よろしく、リットゥ
よろしく頼もう、ユリ
試合が始まる前の緊張感が両者に走る、この感じ、高まってくる。
いざ、尋常に勝負!
我、聖域に踏み込んだ事、後悔させてやろう
で?あんたの聖域はどこなの?
開始の合図と共に瞬時に距離を詰めて双剣をリットゥの首に突きつけていた。私の眼差しの先に驚いた表情のリットゥ。インテグラルやコマンド達、強敵と戦ってきた私、彼女達に比べたら生温い相手だ。
ねぇ、生きるか死ぬか選んで
………………
ねぇ、早く
降参だ…
ん
双剣を納め背を向ける。
しょ、勝者ユリ選手!
歓声を聞きながら控室のベンチに座る、私の目的はレヴィ、ただ一人だ。ふと反対の控室を見るとリットゥが奏官に何かを言われている様だ、ひたすら頭を下げるリットゥ。それを見ていると心にドス黒い感情が渦巻いてゆく、何か一言言ってやろうか…
はぁっとため息をついて煙草を吸いに行く事に、別に私には関係のない事だ、忘れよう。
煙草を吸いながら私は良い奏官だったのかを考えていた、思い返せば私も決して良い奏官では無さそうだ。強引にアスカロンの手を引いて我儘を言ってばかりだったし何も言わずに居なくなった事も多々あった、そんな私だからアスカロンは居なくなってしまったのだろうか?それに今はバイブスとキラーズで繋がっている訳でもない、だけど…
だんだんと心に決めた決意にヒビが入ってゆく、もしアスカロンに会って私の事を嫌いって言われたら私の心は砕け散るだろう、考えただけで泣きそうになる。
はぁぁぁ…
火の消えてしまった煙草を捨てて二本目の煙草に火をつける、一度考えてしまったネガティブな気持ちが膨らんでゆく。
寂しい、会いたい、抱き締めてもらいたい、これは私の願望、アスカロンはなんて言うんだろう、なんて思っているのだろう?もしかしたら私と同じように私を探しているのかも知れない。
それとも………考えたくも無い、誰かに殺されてしまっている、何処かの奏官に拾われているかもしれない、それでもこのキトゥリスで目撃情報があったから生きてはいるとは思うけど。
はぁぁっ………そろそろ戻ろう、例えどんな結末が待っていたとしても私は歩みを止める訳にはいかない。
控室に戻ると第五試合が終わっていた、今から第六試合が始まるようだ、クラウ・ソラスとカラドボルグがコロシアムで対峙していた。
カラドボルグ、貴様には負けやしないっ!
私の方が優れているわ、それを教えてあげる
睨み合い火花を散らす二人、何か因縁があるのだろうか?私には関係のない事だけど。
ぼんやりと二人の試合を眺めていた、お互いの剣技、動きは同じぐらいのようだ、それなら僅かでも隙を見せた方が負ける、見守っててやろう
。
やぁぁぁっ!!!
はぁぁぁっ!!!
……………………
……………………
思わず席を立ち試合の結末を刮目していた。お互いの剣がお互いの首に突きつけられている、この勝負引き分けのようだ。悔しそうな顔で握手をする両者、良い試合を見せてもらう事ができた、因みに引き分けだったので二人共敗北扱いになるらしい。
スタッフが整地を終えたようだ、私の名前が呼ばれた、返事をして線の上へ、待っていると対戦相手が来てくれた。
これより第七試合ユリVSフラガラッハを始める、両者前に
よろしくフラガラッハ
よろしく、良いのよ、美しい私に見惚れている間に終わらせてあげる
は?まぁ良いわ、いざ尋常に勝負!
双剣を構え踏み込もうとするも相手の姿を見てそれを踏み止まった。
ちょっと!剣を構えなさいよ!
剣なんて構えたら私の美貌が台無しになるじゃない
ちっ
ああいう何を考えているか分からない奴は何をするか分からないから近寄らない方が良さそうだ、意識を尖らせて反撃の体制をとる。
ウフフフフフ
笑い声が聞こえた、それと同時に姿を消したフラガラッハ……焦るな、集中しろ、気配を感じろ。
残念だったわね
そんな…私が、、、
骸斬で剣技を押さえ込み七元を首に突きつける、少し冷や汗をかいたけど勝てない相手では無かった。
勝者、ユリ選手!
戦いは終わったのにまだ美しい私を見つめていらして?
えっ?
試合終了の鐘が響いていたのにそれに気づかずにまだ私は剣を構えたままだった、慌てて納めてごめんと謝っていた。
良いのよ、悪いのは美しい私なのだから
よく分からない事を言われたけどまぁ良いだろう、次は準決勝戦だ、その前にお昼休憩らしい、選手の人は控室に戻るようにアナウンスが聞こえそれに従い控室へ。椅子に座り待っていると負けた人達も入ってきた、どうやら参加者全員に配られる様だ。
皆が席に着いてしばらくするとお弁当が運ばれてきた、蓋を開けると中々美味しそうだった。
いただきまーす
手を合わせ割り箸を割って食べようとする、が、違和感を感じて食べるのをやめた。このお弁当何かが変だ、匂いを嗅いでも変な臭いはしないけど。
周りを見るとみんな美味しそうにお弁当を食べていた、この違和感を感じるのは私だけなのだろうか?
そのまま蓋を閉めて街に食べ物を買いに行く事に。近くにあった雑貨屋でパンを二つ購入して店の前にあるベンチで食べるとしよう。温めて貰って正解だった、ホカホカの菓子パンが美味しい。
食べ終わりコーヒーを飲みながら煙草に火をつける、さっきの試合ぼーっとしていた、反省しなければ。
煙草を揉み消して控室に戻る事に、ドアを開けるとお弁当が下げられていた、他のキル姫は身体を動かしたり他のキル姫と喋っていたりと楽しそうだ。それを見ながら席に座り次の開始時間を待つ、後15分ぐらいか、やる事も無かったので少しだけお昼寝をする事にしよう。
……………
目を瞑ろうとしたら私の反対側に座っているフラガラッハと目が合った、そしたら何を勘違いしたのかウインクをされた、ゾワゾワと鳥肌が立つのを感じる。
はぁ……
それで眠気が覚めてしまったので煙草を吸いに行く事に、吸いすぎだって?余計なお世話よ。
はぁ…
誰かと居ると弱い私を見せない為に我慢するのだけど一人になるとついため息が出てしまう、そして。
アスカロン……
そう呟いてしまう、それを我慢しようとするとため息が出てそれを我慢すると………はぁ、、、またため息が出る、何かの病気だろうか?
(病名アスカロン禁断症状)
なんて訳の分からない事を考えていた、もう末期ね。今すぐにでも集中治療室に入らないと。
首にぶら下がっているネックレスを手に取り握る、そろそろ時間だ、行こう、ネックレスを服の下にしまい歩き出す。
コロシアムの方の控室に行き呼ばれるのを待つ事に、後3分で試合が始まる、心を研ぎ澄ませよう。
………………………………………………
只今より準決勝を行います、選手の方は前へ!
ん、呼ばれた、二、三回軽くジャンプをして広場へ向かって行く、同じように反対側の入り口から歩いて来るのが見えた。
あんたがあたしと戦うドMちゃんね可愛がってあ、げ、る
何言ってんのあんた、私の双剣で斬り刻んであげるわよ
このアマダス様に生意気こいてるとちょん切るからね
何をちょん切るのか分からなかったけどまぁ良いだろう、お互いが睨み合い開始の合図を待つ。
いざ尋常に勝負っ!!
開始の合図と共に両者が走り出す、あの鎌のような剣に気をつけなければ
ほらほら!来ないならこっちから行くよ!
振り回される鎌を躱しながら隙を伺う、中々の剣技ね
あんたの技はそれだけなの?そんなんじゃ私は倒せないわよ
あんたこそ避けてばっかりじゃない、本当はビビってんじゃない?
けっ、なら私の双剣術その身体に刻んであげるわ!
鎌が振り下ろされる瞬間に剣先を弾き飛ばす、一瞬怯んだ隙を見逃さない、瞬時に懐に飛び込み骸斬をお腹に、七元を首元に突き付けた。
ねぇ、生きるか死ぬか選んで
このっ!!
ねぇ
ちっ、あたしの負けだよ
んっ
カランと鎌を落とすアマダス、それに合わせて双剣を納める。
勝者ユリ選手っ!!次は本日の最終試合です!!
歓声を浴びながら控室へ戻って行く、次の試合でレヴィの正体が分かる、それに優勝すれば1000000ゼニーだ、貯金もできるし遊ぶお金もできる、想像して少しニヤけてしまった、でも、私に遊び相手は居ない、全部貯金しよ、ため息をつきながらベンチに座る、このまま決勝まで待っていよう。
うー寒っ
控室にあるストーブに手をかざし暖をとる、この上にヤカンが置いてあればすぐにコーヒーが飲めるのに。
温まりながら待っていると名前が呼ばれた、気合入れて行こう、顔を叩き広場へ。
線の上に立つも相手の選手が見当たらない、司会者も戸惑っているようだ
レヴィ選手、聞こえていましたら至急コロシアムに来てください
アナウンスが響くも誰も来ない、せっかく気合を入れてきたのに不戦勝は納得がいかない。
!!
突如広場の気温が急激に下がった、吐く息が白くなり痛みを感じる冷気に包まれてゆく、足元も凍りついているようだ。
お待たせしました、あなたが対戦相手ですね
聞いた事のある声が聞こえた方を向くと見覚えのある栗色髪の毛に青い薔薇の髪飾り。でも身体に張り付くような紺色のスーツを来て顔にスーツと同じ色の仮面を被っている。だけど間違いない。
ねぇアスカロンなの!?私よ!ユリよ!
アスカロン?私はレヴィです
そんな事無いわよ!私がアスカロンの声を間違えるはずが無いわ!
何を言っているのですか?この嫉妬の氷があなたを終わらせます
開始の合図も待たずに斬りかかってきた、双剣で受け止め鍔迫り合い睨み合う。
変な服に仮面被ったって私の目は誤魔化せないわよ!アスカロン!!
何度も言わせないで下さい、私はレヴィです、このまま氷漬けにしてあげますっ!
そう言うと鍔迫り合う剣からピシピシと氷に包まれてゆく、双剣を伝い私の腕、身体を凍りつかせてゆく。
そんな氷なんて私が叩き割ってやるんだか
言い終わる前に氷漬けにされてしまった、指先ですら動かせなさそうだ。
口程にもありませんでしたね
私に背を向けて歩いて行く姿が見える、手を抜いて勝てる相手では無さそうだ、久しぶりに本気で戦ってやるわよ。
大罪、解放!!!
漆黒のオーラを身に纏い力を込めて氷を粉砕し双剣を構え直した。
分かったわ、ぶん殴ってでも思い出させてあげる
私の氷を砕くなんて…分かりました、レヴィアタンの力、味合わせてあげますっ!
再びレヴィと対峙する、アスカロンより強い冷気と闘気がバシバシと私に伝う、だけどそんな事で怯む私じゃない。
大罪の力思い知らせてやるわ、覚悟しなさい!
漆黒のオーラを燃え上がらせて双剣を構える、絶対に連れて帰ってやる!
せやぁぁぁぁっっ!!!
接近して乱舞を繰り出す、一撃一撃に力を込めて、もう一切の遠慮なんてしない、ただ戦って勝つ。
その程度の攻撃、避けるまでもありません
私の剣筋に氷を出現させて相殺させてゆく、その度に砕ける氷が粉となり私の視界を奪う、闇雲に振り回すのは危険だ。
ちっ
バックステップで距離を取り相手を観察する事に。
もう終わりですか?なら、次は私の番ですっ!
冷気を撒き散らし辺りが白い霧に包まれてゆく、全く視界が効かない、慌てるな、集中しろ、感じるんだ。
私の後方に剣を構えると手応えを感じた、反撃するも直ぐに飛び退いたようだ、視界はゼロ、それに氷の上を滑って移動しているようだ、足音すら感じない、長期戦になればやられるだろう。
何か良い手は…一つ思いついた、やってみよう。
双剣で凍った地面を削り破片を辺りに撒き散らす、一か八か、かけてみよう。
アスカロン!私はここよ!
自分から居場所を教えるとは、愚かですね
私はあんたと違って卑怯な手は使わないのよ
言わせておけばっ!
挑発に乗ったようだ、それに私の作戦が上手くいった。
パキリッ
その音がした方を斬りつけると確かな手応えを感じ地面を見ると鮮血が滴り落ちていた。そのまま追撃といきたいところだが踏み止まった。
どうして私の場所が分かったのですか?
簡単よ、地面を削って氷の破片を撒き散らしたのよ、それを踏めば音が鳴る、分かったかしら?
小細工は通じないようですね
そう言うと霧が晴れてきた、目の前を見ると鋭く尖った氷の剣が私の方を向いていた、追撃を加える為に踏み込んでいたら今頃突き刺さっていただろう、それを叩き斬りレヴィの方を向く。
次こそその仮面を剥ぎ取ってやるわよ
やれるものならやってみて下さい
もう一回聞くわ、あなたはアスカロンじゃ無いのよね?
同じ事を何度も言わせないで下さい
そう、ならアスカロンが楽しみに取っておいたフルーツケーキを私が食べたって話をしても大丈夫ね
何の話ですか?
それにヨーグルトを作っていた瓶を割っちゃって代わりに同じ様な瓶を買ってきて市販のヨーグルトを入れて置いたんだけど気づかずに美味しそうに食べていたって話もしてあげるわ
ふざけないで下さい
でもあんたはレヴィなのよね?
そうです
今のは独り言よ、なんならまだあるけど話してあげようか?
………………
無言で斬りかかってきた、それを躱し剣先を踏みつけた。
!!
いい加減目を覚ましなさいよ!!!
骸斬を離し思いっきり仮面に右ストレートを叩き込むとピシッて音が聞こえ見ると仮面が割れてレヴィが顔を抑えながら後方へ飛び退いていた。
いつっっっ……あれっ?ここは…?
顔を抑えながら片目で辺りをキョロキョロと見ている。
ユリ?こんな所で何をしているのですか?
アスカロンっ!記憶が戻ったのね!?
記憶ですか?私は…
双剣を納めアスカロンのへ走って行く。
もう大丈夫よ!帰りましょ
はいっ!でも
でも?
あなたを殺してからです
一瞬何かが煌めいた事に気づいた時はもう遅かった、左肩から臍にかけて斬りつけられてしまった、おびただしい血が辺りに飛び散った。
あぁぁぁぁぁっっ!!!
こんな芝居に騙されるなんてよっぽどそのアスカロンが大事な様ですね
あぁぁっっ!!くそっ!くそっ!!くそぉっ!!!
邪魔です
あぐっっ!
手で出血を抑えている所を蹴飛ばされ地面を転がる、なんとか起き上がり双剣を構える、この寒さ止血された様だ、まだ頑張れる。
はぁっ はぁっ はぁっ………
もう立っているのがやっとみたいですね、次で終わらせてあげます
そう言うと剣を鞘に納めた。そして回転しながら氷の竜巻を作り出し抜刀と同時にそれを私へと飛ばした。
はぁっ……知ってるわよね?私が諦めが悪いって事を!!
二本の剣を鞘に納め二本の剣に大罪の力を流し込む。
うぉらぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!
身体を捻り勢いをつけて身体を回し漆黒の竜巻を作り出し抜刀と同時に飛ばしレヴィの竜巻とぶつけて合わせた。
ガリガリと轟音を立てて竜巻と竜巻がぶつかり合っている、お互い一歩も譲らない、それなら後は気合で押し込むっ!!
いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!!
そんなっ!私の氷がっ!!
レヴィの作り出した竜巻を飲み込み青黒い竜巻がレヴィに迫る、だけど
はぁっ、、、もう限界………
膝から崩れ落ちてしまった、力が抜けてしまったからか竜巻が消えてしまった。
私の勝ちの様ですね
コツコツと足音を響かせながらレヴィが私に迫る。
まだよ…私は諦めないわよ…
最後の力を振り絞り剣を支えに立ち上がる、そして気合と根性で双剣を構え直した。
その勝利への執着心、羨ましいですね
もう勝ち負けなんてどうでもいいわ、絶対にアスカロンを連れて帰る、ただそれだけよ
大きく深呼吸をするとドクンと心臓が脈を打つのを感じて身体がふんわりと軽くなってゆく、この感覚は…
やぁぁぁっ!!
レヴィが斬りかかって来るのが遅く見える、それに身体が軽い、持っている剣の重さも感じない、これならっ!
剣技を躱し前蹴りを食らわせ怯んだ所を斬り込む、そして右ハイキックでたたみかけ
このっ!
ねぇ、生きるか死ぬか選んで
……………
レヴィが振り向く前に双剣を首に突き付けた。
早くっ!
私の負けですっ……
司会者!しっかり聞いたかしら?
えっ、ええっと優勝者はユリ選手っ!!
今日1番の歓声がコロシアムに響き渡る、そんな事よりもレヴィだ。
ねぇあんたアスカロンでしょ
違います、私はレヴィです
ならそのネックレスは何かしら?
これはそのっ
忘れたとは言わせないわよ、ほら
双剣を納め服の下にあるネックレスを取り出し見せていた。
私と同じネックレスっ…つぅ、、頭がっ…
しっかりしてっ!!
頭を押さえてうずくまるレヴィ、また騙されるかもしれないので剣を踏んづけながら背中をさすってあげていた。
………ユリ?
そうよ、私よ
私、なんでこんな服を着ているのですか?
知らないわよそんな事、それより記憶が戻ったのね
記憶ですか?何の話をしているのです?
不思議そうな顔をするアスカロン、それを見て安心したのか一気に疲れが押し寄せた。
はぁぁぁ…帰るわよ
ってユリ!その傷どうしたのですか!?
ちょっとね
歓声に紛れて手を叩く音が聞こえた、その音の方を見ると見覚えのある黒いローブを被った男が手を叩きながら私達に近づいて来ていた。
フッフッフッフッ、私の洗脳を解くとはなかやかやるではないか
洗脳ってあんたの仕業だったのね
そうだ、キラーズを科学の力で変化させて私のバイブスに繋げていたのだよ、君も私のキル姫となりたまえ
そう言うと私に手の平を向けた。
さぁ名の無いキル姫よ、私の下部となるがいい!
……あんたの遺言はそれで良いかしら?
なっ!なぜ効かぬ!?
生きるか死ぬかなんて選ばせないわ、あんたの命は私が斬り刻んであげる
フラつく身体でローブの男へ向かってゆく私を見て後ずさる男、フードが邪魔で表情は見れないがきっと恐怖に歪んでいるのだろう。
ふっ、残念だったな
男が指を鳴らすと大会に参加していたキル姫が私の前に立ち塞がった。
何故君に効かないのか分からないが後で君の死体をじっくり調べさせて貰うよ
どういう事よ!説明しなさい!
昼食に少し混ぜ物をしておいたのだよ、何故か君には効かなかったようだが
この外道が!
ユリっ!逃げましょう!
あっ!
私を抱っこしてそのまま走るアスカロン、どうやら追っては来ないようだ。
とりあえずその傷を早く治療しないとっ
ここから1番近いのはカレットの街ね
アクスレピオスさんに見てもらいましょうっ!
お願いね、私に走る元気なんて無いわよ
はいっ!任せて下さい!
アスカロンの背中で目を閉じる、安心したのか私はいつの間にか眠っていた。