※この作品はR-18です。

インテグラル・ノア サイドストーリーユリ物語   作:やす、

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双剣使い、現る

ちょっとしたお休みも終わりを迎え私達はお仕事を再開させていた。そうは言っても教会から任務を貰う訳ではなくただ店を開けてボーッとしているだけなのだが。

 

コーヒーを飲みながらお客が来るのを待っているけど誰も来るはずもなくもうすぐ時刻は午前10時を迎えようとしていた。

 

 

そう言えば双剣を使うキル姫はいるのかしら?

 

 

私がずっと思っていた疑問をアスカロンに聞いてみる事に。それなりに剣を使うキル姫を見ていたがまだ双剣を使うキル姫に出会った事がない、少しでも強くなる為に双剣使いと戦ってみたかった。

 

 

ええっと、そういうC.Cはありますけどあまり私も見た事はありませんね

 

そのC.Cってなんなのよ?

 

クラスチェンジって言うんですけどそうすれば双剣を扱える様になるのですよ?

 

 

何を言っているのかよく分からなかったけど双剣を使うキル姫が居るということは伝わった。因みにアスカロンがC.Cすると隠密剣士になるらしい。私もC.Cできるのだろうか?

 

 

よく分からない事を考えながらコーヒーを飲んでいるともう煙草のストックがない事に気がついた。少し面倒だけど買いに行くとしよう。雑貨屋に行く事を伝えるとアスカロンもついてくるようだ。二人で戸締りをしてのんびりと雑貨屋へ向かって歩いてゆく。

 

 

アスカロンは何か欲しい物があるの?

 

私は小皿が欲しいんですよっ、こないだ作ったヨーグルトを食べるのに新しいのが欲しいんです♪

 

ヨーグルトってどれぐらいで食べれるの?

 

種にもよるんですけどあの牧場の種なら二日も寝かせれば食べられると思いますよ?それと、ストーブの近くに置いてあるので倒さないようにして下さいね?

 

分かったわ、出来上がったら私にも食べさせてね

 

はいっ♪美味しくなるようにおまじないをかけておきますねっ♪

 

 

楽しそうなアスカロン、私もコーヒーの事を話す時はこれぐらい楽しそうに話しているのだろうか?今度アスカロンにコーヒーの事を語ろう。その為には知識を仕入れてこなければ。

 

 

どうしたんですか?

 

ん?なんでもないわよ

 

 

気を取り直し雑貨屋の扉を開けて店内へと入って行く、亭主のおじさんにいつもの煙草をカートンで頼みアスカロンの買い物を後ろから見ているとしよう。

 

 

ーーーーー♪

 

 

鼻歌を歌いながら食器を選んでいるアスカロン。気に入ったお皿を見つけて笑顔で私に見せてくれた。青い薔薇の絵が描かれた小さなお皿。ヨーグルトを食べるのならこれぐらいのサイズで問題ないだろう。それをレジへと持って行き煙草と共にお会計をして貰う。

 

 

ありがとうございましたー

 

また来るわね

 

 

亭主にそう言ってお店を出る、のんびりと冬の太陽を浴びながら家に向かって歩いている時だった。強い気配を察してアスカロンと二人で剣を構えた。

 

 

……………………………………

 

 

この気配、只者じゃ無いわね

 

そうですねっ!私も感じた事の無い気配ですっ!

 

 

お互いが合図をした訳でもなくゆっくりと歩み寄り背中合わせになり全方位を警戒する。まだ気配の主の姿は見えないけど気を抜くわけにはいかない。神経を尖らせながら辺りを警戒してゆく、この近くに居るはずだ。

 

 

ビリリとした緊張の中、前から一人の女性が歩いて来た。ダークブラウンの髪を肩にかかるぐらいに伸ばし、そして際どい黒のワンピースを着ていてその腰には2本の剣が携えられている。そしてこの強い気配の主だ。向こうも私達を警戒しているようでいつでも剣を構えられるように柄に手をかけていた。

 

 

このまま戦うか?こっちは二人だし負ける気はしないけどいきなり斬りかかるのは少し気が引ける。

 

 

あのっ、私達に敵意はありませんっ、良かったら少しお話ししませんか?

 

 

私が悩んでいるとアスカロンがそう言って剣を納めた。私も見習い双剣を納める事に。その女は少し躊躇ったが柄から手を離した。どうやら敵意は無さそうだ。少し距離を置いて話をする事に。

 

 

ねぇ、あんたも双剣使いなの?

 

そうよ、私は世界一の双剣使い、ズィーヴァ。誰よりも優雅に煌びやかに絢爛に双剣を振るうの。

 

 

ドヤ顔でそう言うズィーヴァ。世界一の双剣使い。その言葉に耳がピクリと動いた。そして胸の鼓動が高まってゆく

 

 

奇遇ね、私も双剣を使うのよ。

 

へぇ、少し興味が湧いたわ

 

 

そう言って少しだけ近づいて来たズィーヴァ。身長は私達よりも少し高いぐらいか?スタイルは……残念ながら負けているけど、、、

 

 

それで?あなた達はなんて名前なのかしら?

 

私はユリよ、隣に居るのが私の相棒のアスカロンよ

 

アスカロンって言います、よろしくお願いしますね♪

 

 

少しだけ穏やかな空気が流れてゆく。私は煙草に火をつけて煙を吐き出していた。聞くとズィーヴァはバベル大陸と呼ばれる場所からこの世界に迷い込んで来たらしい。それで元いた場所に戻る手段が見つかった為教会に向かっている最中だった様だ。

 

 

ねぇ、その世界一の双剣使いにお願いがあるんだけど

 

何かしら?

 

私と手合わせして欲しいのよ。私はもっと強くなりたいのよ。

 

 

そう言うとズィーヴァの口元が一瞬ニヤけた。そしてゆっくりと鞘から双剣を抜き出した。

 

 

良いわ、来なさい。私の双剣についてこれるならね。

 

よろしく頼むわよ。全力で行かせてもらうからね!

 

 

双剣を構えズィーヴァと対峙する。ただ向かい合うだけでピリピリと伝わってくる威圧感に心が躍る。ひさびさに強い相手と戦えそうだ。

 

 

アスカロン、試合開始の合図を頼んだわよ

 

分かりましたっ!試合、開始っ!

 

 

その合図と共にお互いが動き出した。身体を回転させながら繰り出されるズィーヴァの剣技を躱し反撃を仕掛けるが瞬時に後退され私の双剣は空を切った。早い、そして正確に繰り出される双剣、世界一と言うだけの事はある。私よりも鋭くそして隙のない剣技、、、

 

 

ほらほら!もっと無様に踊りなさい!

 

 

私の周りを高速で移動し私が少しでも隙を見せれば瞬時に剣撃を浴びせられる。私は防ぐだけで精一杯だった。だけど、負ける訳にはいかない。

 

 

舐めんじゃ無いわよっ!!

 

 

私に迫る剣を力ずくで弾き飛ばし体制を崩す事に成功した。その瞬間に七元で一閃を放つ。それを読んでいたのか防がれ唾ぜり合う。そしてもう片手で同時に剣技を放ち双剣同士で鍔迫り合い睨み合う。楽しい。すっごく楽しい。強敵と戦える事が。双剣使いと戦える事が。

 

 

思わずニヤけてしまった私をズィーヴァが引いた顔で見ていた。その瞬間を逃さない。

 

 

せやっ!!

 

 

前蹴りを放ちそれがズィーヴァを捕らえた。吹き飛ばすつもりだったけど蹴りに合わせてジャンプして衝撃を和らげられ着地と同時に双剣を重ね合わせて挟む様な剣技を繰り出して来た。

 

 

おらぁっ!!

 

このっ!!

 

 

それを双剣を振り下ろし唾ぜり合う。力は僅かに私の方が上だ。睨みながらジワジワと押し返してゆく、不意にズィーヴァの口角が上がった。

 

 

っ!!

 

 

素早く後退されて思わず前のめりになってしまった。直ぐに体制を立て直し前を見るとズィーヴァが居ない…?

 

 

ヒュンヒュンと剣が空を切る音が聞こえて辺りを見渡す、地上じゃないっ!上からだ!見上げるとズィーヴァが双剣を振り回しながら私を目掛けて落下してきていた。それを双剣をクロスさせて受け止めようとした。

 

 

トンっ。

 

 

そう重たい感触を感じた後に軽くなった。そして私の背後から首を挟む様に2本の剣が伸びていた。ズィーヴァは私がクロスさせた双剣の上に着地して私が反応するよりも早く私の背後に降り剣を構えたのだ。

 

 

おぉーーっとアスカロンの歓声が聞こえた。私も自信はあったのだけど力及ばなかった。

 

 

「はぁっっ、降参よ」そう言って双剣を両手から離すと満足そうな声が聞こえて首の剣が引っ込んでいった。振り返るとドヤ顔のズィーヴァがいた

 

 

ユリもなかなかの双剣使いね。気に入ったわ

 

流石世界一の双剣使いね。ズィーヴァと戦えた事を光栄に思うわ。

 

当然よ、だけどまだ貴女、力を隠しているわね?

 

それはお互い様よ、最初に感じた気配はこんな物じゃなかったわ

 

 

そう言うとニヤリと笑うズィーヴァ。そして「まだまだ楽しませて貰うわよ」そう言いながら双剣を構えた。

 

 

「次は私が勝つわ」双剣を構え大罪のオーラを纏おうとした時だった「ぐぅぅぅぅ〜」とアスカロンのお腹が盛大に音を立てた、二人してアスカロンの方を見ると恥ずかしそうに顔を赤め俯いていた。

 

 

腕時計を見るともうお昼を過ぎていた。考えた結果三人でお昼ご飯を食べに行く事となった。

 

 

ズィーヴァは何が食べたいの?

 

なんでも構わないわ、ユリの好きな所に案内してちょうだい。

 

ならオムライスでも良いかしら?

 

良いですねっ♪ここからなら教会も近いですし♪

 

 

そんな訳で教会の近くにある洋食屋にやってきた。三人ともオムライスのセットを頼み出来上がるまでの間におしゃべりをしていた時だった、何か良い匂いがしてきて私はすんすんと鼻を鳴らしていた。料理の匂いじゃない、どことなくセクシーな香り。

 

 

どうしたのですかっ?

 

良い匂いがするのよ、何かは分からないけど

 

もしかしてこの香りかしら?

 

 

ズィーヴァがつけていたグローブを外し私に渡した、その匂いを嗅いでみると間違いない。この香りだ

 

 

そうよ、この香りよ、良い匂いね。

 

これに気づくなんてやるわね、この世界に来てから香水をつけてなかったのに。

 

なんで香水なんてつけているのですか?

 

戦うのに必要無い物よね?

 

 

私達の疑問を聞いてやれやれと首を振るズィーヴァ。少し間を置いてから話し出した

 

 

あなた達は子供ね、女も武器も磨き上げてようやく輝くのよ

 

 

そういう顔には大人の女性でしか出せないだろう魅力を放っていた。二人共その姿に少し見惚れてしまった

 

 

お待ちー

 

 

亭主の声で我に返り渡されたオムライスを食べる事に。

 

 

いただきまーす

 

 

このオムライス、美味しいわね

 

 

そう言いながら笑顔で食べるズィーヴァ、笑顔は少し子供っぽさを宿しているがその食べ方は優雅で美しかった。色々と負けている、身長も、足の長さも、胸の大きさも。ならば戦ってズィーヴァに勝とう、オムライスを食べながら密かに決心をしていた

 

 

ご馳走様、良い食事ができたわ。

 

戦ってもらえたお礼よ、次こそ本気で行くわよ

 

ふふっ身の程を教えてあげるわ

 

 

教会から少し離れた広場に私達は来ていた、ここなら誰もこないだろうし思いっきり戦う事ができるだろう。食後の煙草に火をつけて少し準備運動をする。相手は強敵だ、それに次にいつ会えるかも分からない、悔いのない様に全力でやってやる。

 

 

準備は終わったかしら?

 

そうね、次こそ地に這いつくばらせてやるわ

 

ふんっ、無様に踊らせてあげるわ

 

 

さっきより強い闘気を放つズィーヴァ、これが彼女の本気なのだろう。数々の修羅場を潜り抜けそして勝ち上がって来た者にしかこの闘気は出せないだろう。咥えていた煙草を吐き捨て大罪のオーラを身に纏う。私の本気、見せてあげるわ

 

 

お互いが双剣を構えアスカロンの合図を待っていた、アスカロンが剣を構え私達の前に振り下ろす。そして

 

 

「試合っ開始っ!」

 

 

その声と共に剣が振り上げられ後方に飛び退くアスカロン、それを合図に二人の双剣がぶつかり合い金属音と共に火花を散らす。優雅に踊る様に双剣を繰り出すズィーヴァに対し力強く乱暴に双剣を振り回す私。決してがむしゃらに振り回しているだけではない、一振り一振りに力を込めてしっかりと相手を見据えている。さっきは守りの戦いをしていたが今は違う、果敢に、一瞬の隙も逃さぬようしっかりとズィーヴァを睨み双剣を振るう。

 

 

お互いの戦闘スタイルは違うけど戦闘力はほぼ互角のようだ、私が剣を振るえば防がれズィーヴァが剣を振るえば私が防ぐ。一歩も譲らない双剣使いのプライドをかけた戦い。勝つのは私だっ!無理矢理斬り込むとズィーヴァが後方へ飛び退いた。その瞬間に双剣を鞘に収め腰を落とし七元に手をかける。その姿を見てズィーヴァが見下す様に笑った。

 

 

…………………………

 

 

一瞬の沈黙の後にズィーヴァが動いた、姿が見えない程のスピードで私に迫るのを感じる。慌てるんじゃない、感じ取れ、一瞬の隙を逃すな。

 

 

目を瞑り全ての感覚を研ぎ澄ませていた、そして空気が揺らめくのを感じた。今だっ!!

 

 

一紅閃っ!!

 

 

揺めきに向かい斬り込んでゆく、が、空を切った。そして背後から迫る気配を感じていた。鋭い剣技が私に向かって迫っていた。

 

 

おらぁぁぁっ!!

 

 

掬い上げる様な剣技を飛び跳ね躱し着地しながら骸斬に手をかける、そして足に力を込め一気にズィーヴァに向かい駆け寄る

 

 

ニ紅閃っ!!

 

 

っ!!

 

 

私の一閃が何かを掠めた、まだ、攻撃の手は緩めない、2本の剣を持ち腕を交差させる、そしてズィーヴァ目掛けて剣撃を放つ。

 

 

双紅閃っ!!

 

 

一気に距離を詰めて放った剣撃はジャンプされて避けられてしまった。背後を取られ首に剣が迫るのを感じ私も振り返り剣を構え首を狙う

 

 

…………………………

 

 

ズィーヴァの剣は私の首を捉えていた、私の剣も首には向けられているのだが腕の長さが足りず届いていなかった。

 

 

私の勝ちのようね

 

そうね、流石よ

 

 

ゴロリと大地に寝転がり煙草に火をつける。負けてしまったけど気分は良かった。

 

 

次に会う時までに私を超えていなさい、まぁ無理だと思うけどね

 

やってやるわよ、次こそ地に這いつくばらせてやるわ

 

楽しみにしているわ、そろそろ時間ね、私行くわ

 

見送りをさせて貰うわよ

 

 

煙草を揉み消し立ち上がる、土を払い三人で教会へ行くと転送装置のある部屋の前に見た事もない9人がいた、私達の元を離れそこに行くズィーヴァ。繋がりはよく分からないけど仲間なのだろう

 

 

あんた達は何者なの?

 

 

そうね、ユリがバベル大陸に来たら教えてあげるわ。また会いましょう

 

 

そう言って装置を操作してその10人は姿を消した、そのバベル大陸には私の知らないもっと強い奴がいるのだろう、もっと、もっと強くなってそこに乗り込んでやろう。

 

 

帰りましょ

 

そうね、充実した一日だったわ

 

私の出番は少なかったですけどねっ

 

そうかしら?

 

 

二人で自宅へと帰って行きのんびりと夕飯を食べてお風呂に入り布団へ潜り込む。

 

 

おやすみ、アスカロン

 

おやすみなさい、ユリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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