※この作品はR-18です。

インテグラル・ノア サイドストーリーユリ物語   作:やす、

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嫉妬のレヴィアタン

冬の太陽が照らす草原を大きな竜と真っ黒な馬が駆けてゆく、竜の上には銀髪の女性と黒髪の女性が2人乗っている、馬には薄紫色の長髪の女性が1人。先程教会でチームを組んだラグナロク、マサムネ、フライシュッツの3人だ。

 

 

ラグナロク殿、その悪魔は何処で暴れておるのだ?

 

そうね、上空から見渡して見ましょう

 

「なっ!」

 

 

マサムネが返事をする前に手綱を引き急上昇する、マサムネが慌ててラグナロクにしがみつきなんとかバランスを保った。

 

 

あの街へ行きましょう、胸騒ぎがするわ

 

 

何かを見つけたのだろう、そう言うと高度を下げてフライシュッツの隣へ、大声で行先を伝えていた。それに笑顔で頷くフライシュッツ。どうやら伝わった様だ。

 

 

一気に加速して目的の街に向かう。その街に近づくにつれてだんだんと気温が下がってゆくのを感じた。住民とキル姫の安否が気になる。急がなくては。

 

 

一体この街はどうなっているの!?

 

すっごーい、全部凍っちゃってるねー

 

 

たどり着いた街は全てが凍りついていた、明らかに不自然な凍結、悪魔の仕業だろう。

 

 

マサムネは寒くない?

 

マサムネちゃん薄着だから寒そうだもんねー

 

拙者は問題ない、いつでも行ける、それとマサムネちゃんと呼ぶのは、その、やめて頂きたい

 

えぇー?なんでー?マサムネちゃんはマサムネちゃんだよー?

 

あぁ、うん、好きに呼ぶが良い

 

 

フライシュッツに言っても無駄だと気づいたのだろう、マサムネは抗議をする事を諦めた。そんな2人のやりとりを聞きがらラグナロクが街の入り口から中を覗いていた。

 

 

今のところ悪魔の姿は見られないわね、だけど気を抜いたらダメよ

 

わかってるよー

 

戦に出る前にお互いの特技を披露せぬか?お主達は「いみていと」しておるからいまいち把握しておらぬのだ

 

それもそうね、私はガンナー、強力な魔弾を放てるけど魔力を貯めるのに少し時間がかかるわね

 

 

そう言って赤く焼けた鉄の様な銃を構えるラグナロク、見た目は猟銃の様だ。

 

 

おねーちゃんは見ての通りこの槍を操るんだよー

 

 

笑顔で槍を振り回すフライシュッツ、どっしりとした力強い槍捌きだ。

 

 

そう言うマサムネちゃんは刀だよねー?

 

うむ、拙者はこの幻刀マサムネだ

 

 

腰に携えた鞘から刀身を見せるマサムネ、その姿も相まって侍の様だ。

 

 

ひとまず作戦を練りましょう、でも武器の特性的にマサムネが最前線になるわね、、、

 

拙者は構わぬ、切先は任せてもらおう

 

ならおねーちゃんがマサムネちゃんの援護だねー♪

 

隙を見て私が魔弾を撃ち込むわ、厳しい戦いになると思うけど必ず悪魔を倒しましょう

 

うむ

 

頑張ろうねー♪

 

 

3人が街の入り口に並んだ、そしてゆっくりと歩みを進めて行く。

 

 

それにしても酷い有様ね

 

 

そうだねー、、、地面も凍ってるから滑らない様に気をつけてねー、うわっ!

 

 

言ったそばから足を滑らせ転ぶフライシュッツ、それをマサムネが手を引き起こそうとしていた。

 

 

フライシュッツ

 

えへへ、ありがとうのハグだよー♪

 

何をする!離せ!

 

 

抱き寄せられたマサムネの顔がフライシュッツの胸に包まれていた。その光景を見て頭を悩ませるラグナロク。

 

 

二人共気を引き締めなさい

 

拙者は何もしておらぬ!

 

えへへー♪

 

 

満足そうなフライシュッツに自分の胸を見下ろすマサムネ、誰にも聞こえないようにため息をついていた。

 

 

どうしたの?

 

あぁ、なんでもない、気にするな

 

なら良いけど?

 

 

その後足元に、屋根から生える氷柱に気をつけながら進んで行くと街の中央に大きな屋敷が見えてきた、きっとこの街の地主の物なのであろう、2階建ての立派な屋敷だ。それに近づいて行くとさらに気温が下がった。

 

 

この屋敷に居るわね

 

そのようだな、この怪しげな雰囲気、間違い無いだろう

 

二人共なんでわかるのー?おねーちゃん何も分からないよ?

 

 

困った顔のフライシュッツを置いて2人で屋敷の周りを調べる事に、気配を探りながらラグナロクとマサムネが左右から屋敷の壁伝いに歩いて行く。

 

 

ラグナロク殿、何か変化は

 

何も無かったわ、マサムネはどうだった?

 

拙者も何も、正面から攻め入るか

 

そうね、あまり得策では無いけどこのままだと何も分からないままね

 

 

二人で屋敷の玄関に戻るとフライシュッツに抱きつかれた。

 

 

もぉーおねーちゃん寂しかったんだからねー

 

フライシュッツ、苦しい…

 

よさぬか…

 

えへへ♪それで何か分かったかなー?

 

何も分からなかったわ、正面突破しか無いみたいね

 

分かったよー♪じゃあ行こっか♪

 

 

そう言って玄関のドアノブを回すフライシュッツ、その扉は開かなかった。

 

 

あれー?凍っちゃって開かないよー?

 

フライシュッツ、屋敷の持ち主には悪いけどお願い

 

任せてー!えぇーい!!

 

 

フライシュッツの一撃が扉を捉えた、だけど少し傷がついただけだった

 

 

あれー?おかしいなぁ

 

フライシュッツ殿、ここは拙者が

 

 

扉の前にマサムネが立ち刀の柄に手をかけた、そして一閃を繰り出す。

 

 

っつ!この扉に纏う氷、只者では無いな

 

マサムネちゃんでもダメだったの?

 

そのようだ、ラグナロク殿、頼めるか?

 

分かったわ、離れていてね

 

 

そう言って扉の前に立ち銃を構えるラグナロク、元から赤かった銃身が魔力を帯びてさらに紅く輝き燃え盛る魔弾を放った、その魔弾は扉を破り部屋の中へと飛んでいった。

 

 

流石だねラグナロクちゃん♪

 

 

抱き着こうとするフライシュッツを制し入り口から部屋を覗く、室内も氷で包まれているのが見える。

 

 

行こうか

 

うむ

 

はーい♪

 

 

警戒しながら屋敷を進んで行く、魔弾の通った所は熱で氷が溶けており歩くのに苦労はなさそうだ。

 

 

ねぇ、あれって…

 

 

フライシュッツが何かを見つけたようだ、その指差す方を見ると朝食を食べて居る姿のまま凍り付いた家主が居た。

 

 

酷いわね…どうか安らかに

 

 

祈りを捧げ屋敷を進んで行くと大きな部屋に出た、その中央に置かれた椅子に座る者が一人。私達に気が付いた様だ、椅子から立ち上がった。

 

 

お前達か、我が計画を妨げる者は

 

あなたがこの街を襲った悪魔ね、容赦はしない!

 

混ざり者の分際で我に戦いを挑むとは、、、愚か者め、良いだろう、すぐにその命凍り付かせてやろう

 

 

サーベルを抜きながらこっちに歩いて来た、段々と見えてきたその姿は、水色の髪に軍服を纏った男性、よく見ると頭にヒレの様な物が付いていた。

 

 

来るわ!

 

フライシュッツ殿!

 

うん!任せてー!

 

 

マサムネとフライシュッツが悪魔に接近して行くが凍った地面に足を取られ思うように進めないようだ。

 

 

ふん、愚かな、すぐに消してくれよう

 

 

氷の上を滑り攻撃を仕掛ける悪魔、躱せない攻撃では無いが足元が悪くどうしても動きが制限されてしまう。

 

 

ふっ、ならば氷を溶かし進軍するのみ、行くぞ!

 

 

マサムネが刀に炎を纏わせた、すると刀が熱され赤く輝いてゆく、かなりの高温なのだろう。

 

 

地面を溶かしながらマサムネが接近してゆく、その背後にフライシュッツが続く。

 

 

これだから混ざり者は、目先の事しか考えられぬ知能しかないようだな

 

 

マサムネが斬りかかろうとした瞬間だった天上から巨大な氷柱が落下してきた。

 

 

危ないマサムネ!

 

 

マサムネに当たる直前に氷柱はラグナロクの魔弾により水に変わった。

 

 

礼を言おう、ラグナロク殿

 

お礼より前を見て!

 

死ねぇ!!

 

拙者と斬り合おうなど片腹痛いわ!

 

 

悪魔の剣技を巧に防ぎ斬りつけてゆくマサムネ、流石大陸で一、二を争う刀使いだ。

 

 

ふん、我がただ斬られているとでも思ったか?

 

何っ!拙者の刀がっ!?

 

 

レヴィアタンの体液が付いた刀が氷付いていた、幸い柄の部分までは氷付いていないが刀身は大きな氷に包まれていた。

 

 

マサムネちゃん変わるよー!

 

かたじけない!

 

 

後方に居たフライシュッツと前線を入れ替わる、相手が剣ならば槍使いのフライシュッツの方が有利なはずだ。

 

 

ほぉ、剣には槍と言ったところか、だが、武器種などで実力差が埋められると思うなよ!

 

 

果敢な剣捌きでフライシュッツを責め立てる悪魔、それをのらりくらりと躱すフライシュッツ、ただ避けているだけじゃない何か策がありそうだ。

 

 

えへへ♪おねーちゃんの戦術にハマったねー♪

 

なにっ?

 

お願い♪

 

 

そう言ってしゃがみ込むフライシュッツ、その真上を真っ赤に燃え盛る魔弾が通り抜けてゆく。

 

 

なぁっ!!

 

 

魔弾が悪魔を貫いた、ドサリと残骸が転がり落ちる。

 

 

見事であった、フライシュッツ殿、ラグナロク殿

 

えへへ♪ラグナロクちゃんなら気づいてくれるって信じてたよー♪

 

もぅ、そういう作戦なら早く言ってよね

 

 

唇を尖らせて抗議するラグナロク、この作戦はフライシュッツの即興だったようだ。

 

 

さーて♪次の悪魔もこの調子で行っちゃうよ♪

 

 

勝利を喜ぶフライシュッツ、だが二人の顔は浮かないままだった。

 

 

あの悪魔を倒したはずなのに気温が元に戻ってないわ

 

それより先程より冷気が増している、まだあやつは生きておるな

 

 

マサムネがそう言い刀についた氷を熱で溶かしてゆく。ポタポタと垂れる水滴が逆さ氷柱を作ってゆく。

 

 

マサムネが刀を振り水滴を飛ばした時だった、逆さ氷柱から手が伸びマサムネの足を掴んだ。

 

 

なにっ!!

 

 

君達の事を甘く見ていた様だ、その詫びと言ってはなんだが名を名乗ってやろう、我は嫉妬のレヴィアタン

 

 

何処からか声が響き渡る、だがその姿は見えない。

 

 

くっ!離せ!!

 

 

足を掴む腕に向かい刀を振り下ろすマサムネ、だが氷に阻まれ歯が立たない様だ。だんだんとマサムネの足から氷付いてゆく。

 

 

フライシュッツ!

 

えぇーいー!!

 

 

フライシュッツが槍を振るうもマサムネが完全に凍り付いた。

 

 

そんなー…マサムネちゃんが…

 

くっ、マサムネ…

 

 

ラグナロクがマサムネを見ると目が動いた、そして目線で何かを伝えている、それに頷き銃を構え部屋を見渡す。

 

 

フライシュッツ、悲しむのは後よ、今はレヴィアタンを倒す事に集中しましょう

 

うん…そうだね!おねーちゃんがマサムネちゃんの仇を討つよ!

 

 

二人で部屋を見渡すと部屋の中心に冷気が渦巻いた、それが収まるとレヴィアタンが現れた。

 

 

次はどいつから凍らせてやろうか

 

 

サーベルに冷気を纏わせて二人を見下すレヴィアタン。

 

 

そう簡単にはやらせないわ、フライシュッツ、力を貸して!

 

うんー!任せてー!

 

 

フライシュッツが前線に立ちその後ろでラグナロクが銃に魔力を込めてゆく。

 

 

ふっ、先程と同じ手は食わぬぞ

 

 

氷の塊を作り出しそれを滑らせるレヴィアタン、氷の塊に身を隠しながら接近する作戦の様だ。

 

 

それだけじゃ無いぞ!

 

 

滑らせた塊が壁に当たるとその衝撃で氷柱が落下してきた。それに気を取られればレヴィアタンの剣技が迫る。

 

 

先程までの威勢はどうした!この混ざり者共が!

 

うぇぇぇん…全然槍が当たらないよ…

 

フライシュッツ!もう少しだけ堪えて!

 

分かったよーなるべく早くねー!!

 

 

凍り付いたマサムネの横に立ち狙いを定めてゆくが氷の塊が視界を遮り標準が定まらない。ただ銃に魔力を注いで行く。

 

 

死ねっ!

 

うわぁっ!!

 

 

レヴィアタンのサーベルがフライシュッツを捉えた、なんとか槍で防いだ様だがその勢いに足を取られこっちに滑ってきた。

 

 

二人纏めて切り裂いてくれる!

 

させないわ!

 

ふっ、何処を狙っているのだ、この混ざり者が!!

 

 

ラグナロクの放った魔弾を躱し接近するレヴィアタン、もうすぐそこまで迫っている

 

 

ラグナロクちゃん!!

 

大丈夫、さぁ!反撃の旗を掲げましょう!

 

 

レヴィアタンのサーベルが迫った時だった、氷を砕きマサムネがサーベルを弾き飛ばした。そのサーベルはクルクルと宙を舞い氷に突き刺さった。

 

 

ほぉ、我の氷を砕くとはな

 

拙者はただ一振りの刀、そう易々と折られる訳にはいかぬ、参るぞ!

 

おねーちゃんにお任せだよー♪

 

 

殺気立つマサムネの前にフライシュッツが立った。そして槍を振るいレヴィアタンを追い詰めてゆく。

 

 

サーベルがないと戦えぬと思った様だな、その甘い考え、実に温い

 

 

なーんてね♪

 

 

フライシュッツが横に退けた、その瞬間に何かが通り抜けて行く。

 

 

邪魔する者は斬る、行くぞ!

 

 

体制を低くしたまま氷を滑るマサムネ、そのままレヴィアタンに向かって行く。

 

 

小癪なっ!!

 

黒式・一紅閃っ!!

 

 

目にも止まらぬ速さで刀を振るうマサムネ、突き出された氷を躱しレヴィアタンを斬り裂いた。そしてすぐさま横に飛び退く

 

 

その身体、この魔弾で焼き尽くしてあげる

 

 

特大の魔弾がレヴィアタンを燃やし尽くした、もう復活する事は無いだろう。

 

 

今度こそ大丈夫なのかなー?

 

そうであろう、その証拠に少しばかり暖かくなってきた

 

私達の勝利ね

 

やったー♪ほら、ハグだよー♪

 

 

フライシュッツに包まれる二人、しばらくしてから屋敷を出る事に。

 

 

へくちっ!

 

 

マサムネちゃん風邪ひいたのかなー?

 

長い事氷の中に閉じ込められて体温が下がっただけだ、時期に治る

 

少し休んで次の悪魔を倒しに行きましょう、まだ私達は歩みを止める訳にはいかないわ

 

 

街を通り抜ける風を見つめるラグナロク、同じ方を二人で見つめていた。

 

 

 

 

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