私達はマモンを倒してから少し休憩してまた次の悪魔を探して大陸を移動していた。完全に回復した訳じゃ無いけど早くこの世界に平穏を取り戻さなければ。
ユリ、アスカロン、向こうの方から気配を感じます
分かったわ、アスカロンお願い
はいっ!ポチ、ティルフィングさん達の後を追って下さいっ!
上空を舞う2人の後をアスカロンの呼び出した竜の背に乗り追いかけて行く、しばらく進んで行くと街が見えてきた。そこに向かって2人が下降していった、あの街で間違い無さそうだ。2人が待つ場所へと加速して行く。
早く悪魔を倒して店を直すわ、じゃないと住む場所も無いわよ
そうですよね、私のヨーグルト大丈夫かな…?
この街の悪魔にこの怒りを全部ぶつけてやるわよ!
あんまり怒ると周りが見えなくなるよ
そうですよ、落ち着いていきましょう
怒りに燃える私を宥める2人、反論しようとしたら煙草を差し出された、それを咥えて火をつける。
思い出のある店を破壊された気持ちは分かるけど落ち着きなよ
そんな事言われたって怒りは収まらないわよ、そう言うユウは何ともおもわないの?
僕もティルも怒ってるよ、自分の娘の大事な物を壊されて怒らない親なんていないさ
そうですよ、私達も怒っているのですよ?
そう言う声色に凄みを感じた、こんな私でも娘扱いしてくれる事が少し照れ臭かった。
早く平穏を取り戻して建て直しましょうね♪
そうね、そうと決まれば早く行くわよ!
もう少し待っていて下さい、もうじき来ると思うので
来る?誰が来るのよ?
ほら、あそこの方に見えるでしょ?
ユウにそう言われて目を凝らすと空に何かが見えた、こっちに近づいて来ている様だ。
あそこにも誰か居ますね?
アスカロンが言う方を見ると土煙を上げながら何が近づいてくる、強い気配は感じるけど嫌な気配じゃ無かった。
あれば一体なんなのよ?
もうすぐ分かりますよ♪
楽しそうなティルフィング、それにユウが煙草に火をつけた、私も火をつける事に。
お待たせ、遅くなったわね
ラグナロク殿、もう少し優しく運転してはもらえぬか…
大空から舞い降りた竜から降りて来たのはラグナとマサムネだった。
ラグナ!それにし、、マサムネも!
さっきティルフィングに合図を貰ったよの、ユリ達も悪魔を倒したのね
はい、私達が倒したのは強欲のマモンです、ラグナロク達はどうでした?
拙者達は嫉妬のレヴィアタンを討ち取った、他の連中はどうだろうか?
他のみんなとはまだ会ってないよ、大丈夫だとは思うけどね
お互いの戦果を話し合っていた、その時馬の鳴き声が聞こえた、その方を見るとフライシュッツがこっちに向かって走って来ていた。
みんなーーー♪ハグだよーー♪
みんな慣れたもので抱き着こうとするフライシュッツを避けていた、残念ながら?アスカロンがハグされてしまった。
フライシュッツさん…くるしいです…
フライシュッツ、まだ全ての悪魔を討伐していないわ、ハグはそれが終わってからよ
はーーい♪おねーちゃんみんなに会えて嬉しいんだよー♪
とりあえず街に入ろうか、これだけの戦力があるなら負ける事は無いはずだよ
そうね、行きましょうか
先陣をきるラグナの後ろに続いて街へと入って行く、この街も人の気配が無い、悪魔にやられたのだろう。
誰も居ませんねっ
そうだね、だけど気を抜いたらダメだよ
ユリは私の横で大人しくしていて下さいね?
何よ、子供扱いしないで欲しいわ
きっと子供扱いって言うより一人で何処かに行かないか心配しているのよ
ユリは無鉄砲だからね
何よ!私だって考えて動いて居るわよ!
何回私の前から勝手に居なくなりましたっけ?
唇を尖らせながらアスカロンにそう言われた、思い出してみるけど数えきれなかった。
答えられぬ所を見ると余程心当たりがある様だな
そうね、、、反省してるわよ
ユリちゃんは良い子だねー♪
もぅ!子供扱いしないで欲しいわよ
ならちゃんと大人しくしているのよ
そう言ってラグナに頭を撫でられた、誤魔化されている。って思って思ったけどその心地良さに思わずニヤけてしまった。
止まって、誰か倒れているよ
ユウが何かを見つけた様だ、その方を見ると男の人が倒れているのが見えた。辺りを警戒しながらその男に近づいて行く。
まだ息があるわ、しっかりしなさい
ラグナがその男の介抱をしていた、抱き起すと意識が戻った様だ。
あぁ…ラグナロク様…
しっかりして、この街で何が合ったの?
悪魔が…来て、この街で一番強い奴を出せと言って……その後の事は思い出せません…
そう言うとその男はまた意識を失った、戦いに巻き込まれない様に物陰に寝かせてあげる事に。
一番強い奴を出せか、何処かで聞いた事があるわね
そうですねっ
なんとなくマサムネに視線を向けるとみんなもマサムネを見ていた、顔を背けたマサムネに「過去の詮索はよさぬか」と言われた。
その悪魔は強い奴と戦いたかったのね、ティルフィング、そんな悪魔に心当たりは無いの?
それなら憤怒のサタンだと思います、彼は戦闘狂だったはずなので
強そうな名前だね
遥か昔の事なので使う武器とかまでは思い出せませんけど…
立ち止まっていても何も始まらない、私達は街の捜索を続けていた、すると小山の様な物が見えてきた。
あの山は何かしら?
何かが積み上げられているみたいですね
私が見に行くわ
そう言ってラグナがその山に近づいて行きその歩みを止めた。
どうしたの?ラグナロク
あまり見ない方が良いわ
そう言われると見たくなるのよ
ラグナの忠告を聞かずにその山を見て言葉を失った、積み上げられた物は「人」だった。
これは…余りにも酷すぎますっ…
罪の無い人にこんな事をするなんて、、、
おねーちゃん悲しいよ…
この街の住民だったのだろう、何人居るか数えるのを躊躇う程の数だった。
後で簡単な埋葬をしましょう、このままだと浮かばれないわ
そうだね、早く悪魔を殺そうか
普段はおっとりしているユウが強い言葉を口にした、それ程に怒ってるのだろう。その時その山に何かが投げ込まれた。
今のって…
さっきの人のようだが、、、
間違いないわ、さっきの人ね
全員がその方に振り返ると居た、短髪の白髪に羊の様なツノ、それに赤と青のオッドアイ、紺色の軍服を着た人、こいつがこの街の人を殺した悪魔だろう。
やぁ、ようやく来たね、ボクはサタン、憤怒のサタンだよ
お前がこの街の人達を殺したのね、容赦はしない!
ラグナが銃口を向けた、それを合図に全員が武器を構えた。
なに?怒ってるの?あんな虫ケラを殺しただけのボクに怒りを向けるのかい?
腕を組みクフフフフと私達を嘲笑った、それに二人が怒りを爆発させた。
ティル!
はい!
その声の後に目にも止まらない速さで接近し剣を振り下ろした。その剣はサタンを捉えた。ように見えた。
良いよ、良いよ、もっとその怒りをボクにぶつけてくれ、そうすればボクはもっと強くなるんだ
二人の一閃を両手の指で挟んで止めていた、理解ができなかった、あの二人の一閃を指だけで止めたと言う事実を。
ほら、君達もあの山に捨ててあげるよ
そう言うとその体制のまま蹴りを放った、それを受けた二人が吹き飛び家に叩きつけられた。
ゲホッ、、、
クゥゥッ、、、
苦しそうに咳き込む二人、それを心配する余裕は私達には無かった。
このままだと退屈だからボクの使う武器を教えてあげるよ、ボクはこの手と足、しか使わないよ
余裕そうな表情のサタン、それにプチンと何かが切れた。
このっ!!
一気に加速してソイツに斬り込んでゆく、一瞬の反撃の隙を与えない私の全力の乱舞を叩き込む。
なに?蝿でも飛んでいるのかな?
そう言いながら軽いステップで避けて行く、それに怒りの炎が燃え上がる。
絶対に殺してやるわよ!!
あっそ
そう聞こえた瞬間にデコピンを食らった、ただそれだけなのに私の身体は宙に浮き吹き飛ばされた。
ユリっ!もう許しませんっ!
アスカロンが剣に冷気を纏わせ斬り込んだ、氷弾を放ち牽制しながら接近して行く。
私の一撃で終わらせますっ!!
じゃあその一撃がどんな物なのか受けてあげるよ
っつ!!
剣に纏わせた冷気で巨大な剣を作り上げそれをサタンの頭に向かい振り下ろした。それを腕を組み防ぐ事なく頭で受け止めた。
はぁ、退屈だ
そう言って何事も無かったかの様なサタン、次の瞬間には私の隣にアスカロンが吹き飛んで来た。
もっと怒ってボクを楽しませてよ、まだ3人居るだろ?
そう言ってラグナ達を見ながら笑うサタン、ムカつく、私の全力をあんなに軽々と避けられた事が、自分の弱さが。
ここは拙者が引き受ける、ラグナロク殿、フライシュッツ殿、皆の救助を頼む
そう言ってマサムネが前に出た。その目に怒りを灯しながら。
マサムネ!無謀よ!
そうだよマサムネちゃん!
良いから早く!ここで全滅よりかはマシであろう
ボクは誰でも良いよ、退屈させないのならね
早くするのだ!
マサムネが叫んだ、それに二人が頷き私達を肩に担いだ。
すぐ戻って来るからねー!
そう言って街の外へ走って行く。
クフフフフ、武士道って奴だね、聞いた事があるよ
今のうちにほざいておけ、拙者の刀、見せてくれよう
そう言ってマサムネが全神経を集中させた。
なに?ちっ
そう言ってサタンは何処かに逃げて行った。それに拍子抜けしたのかマサムネが刀を戻し避難した私達の元へ。
マサムネ!
マサムネちゃん無事だったんだねー!
拙者は無事だ、皆の容態は?
なんとか…
私もです…
私も、、、
あんなに強いなんて…羨ましい…
それでサタンはどうしたの?
拙者が刀を抜いた瞬間に舌打ちをして何処かに行ってしまった、何故だかは分からぬが…
そこにあいつを倒すヒントがあるかもしれないわ、マサムネ、もっと詳しく教えて
そうだとは思うのだが何も思いつかぬのだ、拙者が四人と違うのは剣と刀と言う事しか変わらぬ
あの悪魔は刀が嫌いなのかなー?
そんな事聞いた事ないわ、マサムネ他には?
他には…か、武士である事ぐらいか?
そんなに変わらないわよね?
サタンの弱点が分かりそうなのだがどれもピンと来なかった、あの強さを誇る悪魔の弱点、それをマサムネが持っているのだが。
もしかしたらサタンが言っていた言葉にヒントがあるのかも知れませんよ?
なんて言ってたっけ?
怒りがどうのこうのじゃなかった?
確かに私達は怒っていましたね、罪の無い人を殺して怒らないのは無理ですし
マサムネちゃんはサタンと対峙した時何を考えてたのー?
拙者が刀を振るう時は無心だ、邪念が有れば太刀筋が乱れるからな
分かったわ!なぜマサムネから逃げたのかが!
何かを閃いた様にラグナが言った、その話を聞く事に。
私の予想だとあの悪魔は相手の怒りを強さに変えているのよ、みんなあの悪魔に怒りをぶつけようとしたよね?
確かに、僕もティルも怒りをぶつけようとしたね
ユリとアスカロンもだよね?
そうね
私もですっ
だけどマサムネだけは無心で刀を振おうとした、そう判断するには充分ね
なら何も考えずに攻撃すれば良いってことー?
その様だな
でもそれって難しいよね?
そうね、怒りを察知する距離が分かれば良いのだけど…
そう言ってラグナが銃を見つめた、銃ならば接近せずに攻撃する事が可能だ。
とりあえず無心で対峙しようか、上手くやれる自信は無いけど
そうですね、自分の能力を把握しているのなら怒らせる手段は選ばないと思いますし
よし、落ち着く為に煙草吸おっと
煙草に火をつけて煙を吐き出していた、私も煙草を吸う事に。
切先は拙者が、ラグナロク殿は援護をお願いしたい
そうなるよね、また負担をかけさせちゃう事になるけど
拙者なら問題無い、任されよ
マサムネがそう言った時に何かが飛んで来て私達の側に転がった。それを見ると人の頭だった。
あいつが投げたんだわ!
ユリ!堪えて!サタンの作戦です!
許せないわ…!
クフフフフ、お話は終わったかい?もう退屈で死にそうだよ
そのまま死んでくれると助かるんだけどね
人の頭をお手玉のようにしながらサタンが現れた、それを見るだけで怒りで気持ち悪くなってくる。
ほら、早く戦おうよ、ボクを殺しに来たんだろ?
そう言うと頭を地面に置き踏み潰した、ぐしゃりと何かが地面に広がった。それにゾワゾワと心が怒りに飲まれてゆく。
みんな落ち着いて、取り乱したらダメよ!
ラグナがそう叫ぶ、分かってはいるのだけど心が言う事を聞かなかった。
このっ!!
抑えて下さい、怒ればサタンの思う壺です
ならどうしろって言うのよ!
こうするんだよ!
そう言ってユウがサタンに向かって行き腰を落とした。
ふぅぅぅぅぅ、、、、、
君は人間だね、良く人間の分際でこのボクに楯突く気になれたね
黒式・・・一紅閃っ!!
なに!?
ユウの一閃がサタンを捉えた、だがギリギリで避けられた様だ。
惜しかったよ、次は当てる
ふーん、気が付いた様だね、だけど人間程度ならこの力を使わなくても殺せるよ
それは楽しみだね
目にも止まらぬ速さで剣を振るうユウ、それを巧みなステップで躱しながら拳を振るうサタン、一瞬の隙を探り合う攻防。ただその戦いに見惚れていた。
君は本当に人間かい?キラーメイルでは無いのか?
僕は人間だよ、昔努力しただけさ
その時ユウが爪先で地面を叩いた、それを見たマサムネが動き出した。
マサムネ!頼んだ!
承知!
一閃を放ちそれをサタンが避けた瞬間にマサムネと入れ替わった。
あー疲れた
本当にあんた人間なの?
これでも人間だよ、だからそんなに長く動けないけどね
おねーちゃん感心しちゃったよー♪
そう言ったフライシュッツにハグをされていた、少し戸惑っていたけどまんざらでもなさそうなユウ。それを鬼の様な形相でティルフィングが睨んでいた。
フライシュッツさんってハグしてる時嬉しそうな顔してますねっ
うん♪おねーちゃんハグ好きだからねー♪
それよりなんでユウはあいつと戦えていたのよ?
何にも考えずに戦ってみたんだよ、でもあいつには怒りが伝わるみたいだね
ラグナロクのイミテイトってどう言う力なのですか?
このイミテイトは他者と繋がる力よ、、、これね!
どうしたのですか?
フライシュッツ、そのままユウをハグしてて
おねーちゃんは構わないよー?
僕はなんとも言わないけど、、、どうするつもりなの?
フライシュッツのこの幸せな感情をイミテイトを使ってリンクさせるわ、そうすれば怒りに飲まれる事なく戦う事ができるはずよ!
早速やってみようよ
みんな集まって、いくわよ!
ラグナロクがフライシュッツに手右を当てて差し出された左手を掴む、それを私が握り反対の手をアスカロンが握りその手をティルフィングが握り準備は完了だ。
イミテイト!!
ラグナがそう言うと心に幸せな気持ちが満ちてきた、これならサタンと戦える!
行くわよアスカロン!
はいっ!
2人でサタンへ向かって駆け出して行った。
マサムネさん!代わります!
後は私達に任せなさいよ!
うむ、任せたぞ!
マサムネと交代してサタンと対峙する。私達を見ると拳を構えた。
また君達かい?むっ、、、?
そう言うと震えだした、何やら様子がおかしい。
そ、そんな、、、このは感情っぅうう!!
もがきながら逃げようとするも足が絡れ転びすぐに立ち上がるとまた転んでしまった。その姿を見ているととても攻撃する気にはなれなかった。
くそっ!こんな所で………………
それを見ていると倒れたまま動かなくなった、そしてブクブクと身体が溶けていった。
えっと、私達の勝利で良いのですよね?
納得できないわよ!
流石だね2人共
はい、とってもかっこよかったですよ?
いつの間にか腕を上げたようだな
勝利のハグだよーーー♪
待ちなさいよ!誰か私の納得のいく説明をしなさいよ!
勝利を喜ぶみんな、だけど私は納得ができなかった。
きっとフライシュッツの幸せな感情を読みとって身体が耐えられなくなったのよ
そうだとしても私のこの感情はどこにぶつければ良いのよ!?
とにかく街の人を埋葬して次の悪魔を倒しに行こうか
そうですね、まだ道は長いですよ?
あぁもぅ!分かったわよ!
街の人を埋葬して祈りを捧げ私達はこの街を後にする事に、最後まであの悪魔が復活する事を願っていたけど本当に死んでいたみたいだった、モヤモヤした気持ちのまま次の悪魔を探しに行く事に。