※この作品はR-18です。

インテグラル・ノア サイドストーリーユリ物語   作:やす、

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逮捕されたユリその2

私が牢屋に入れられて一夜が過ぎた、眠れるはずもなくベッドに座っていた私を小窓からの日差しが照らしてくれている。

 

 

食べないなら下げるぞ

 

そう

 

 

一晩置かれてすっかり冷めてしまった夕ご飯を看守が運んで行った。こんな所で出されるご飯を食べるぐらいなら死んだ方がマシだった。今日もこの窮屈な部屋で退屈な日が始まるのだろう、そう考えただけで反吐が出そうだった。

 

 

身体を伸ばすと小窓の方からガサっと音がした、その方を見ると見覚えのある梟が何かを咥えているのが見えた。看守の動きを見ながらそれを背伸びをしてそれを受け取ると紙とペンのようだ。

 

 

通路に背を向けてそれを開封するとミネルヴァからの手紙だった。そこには明日裁判が始まる事と今みんなでユリの無罪を証明する為に動いていると書いてあった。みんなの優しさに涙が出そうだ。

 

 

目を擦り返事を書く事とする。なんで書こう?こう言う時に自分の文章力の無さが嫌になる。私は元気、みんなありがとね。だけ書いて再び小窓に。それをニケが咥えて運んでくれた。

 

 

……………………………………………………………

 

 

ありがとうございますニケ、えっと、ユリは大丈夫そうですね

 

 

相棒のニケの頭を撫でてやりそれから手紙を広げた、ユリは大丈夫そうだ、手紙を受け取り返事ができると言う事はそこまで監視は厳しくないのだろう。できれば刑務所の中も把握しておきたいけど脱獄させる訳じゃないから良いだろう。そう考え次の策を考え始めていた。

 

ニケ、また頼んでも良いですか?

 

 

そう問うと軽く羽ばたいた、次の任務を与えて頭を一撫で、心地良さそうに目を細めた後に羽ばたいて行った。それを見送り辺りを見渡すと見慣れた人が二人、それに手を振ると気がついたようだ、こっちに向かって来た。

 

 

お疲れ様です、そっちは上手くいきましたか?

 

もちろんだよ♪ちょっと手こずったけど名義を変える事ができたよ♪

 

それは良かったです、こちらの状況もお話しますね

 

はいっ、ユリは大丈夫なのでしょうか…っ?

 

今ラグナロク達が中心街で情報を集めています、それとユリの罪状なのですが……

 

ユリくんは何で捕まっているの?

 

お二人は地上世界の中心街を知っていますか?

 

知ってるよ、あの大きな街だよね

 

それがどうしたのですかっ?

 

ユリは魔獣との戦いの中で置いてあったガソリンに火をつけたんです、それが燃え広がり中心街を焼き尽くしてしまったようです

 

それってかなり罪が重いやつだよね?

 

そうですね、放火は重罪ですから

 

あのっ、それってどれぐらい罪が重いのですかっ?

 

死刑もあり得るよ、良くて終身刑だね

 

死刑っ!!そんな…

 

アスカロン、落ち着いて下さい、今あの刑務所でニケに情報を集めて貰っています、もう少ししたら戻ってくると思いますけど

 

ごめんなさい、少し座りますねっ、、、

 

はい、ゆっくりしていて下さい

 

 

ぺたんと座り込んだアスカロン、その頭をモニカが優しく撫でていた。

 

 

大丈夫だよアスカロンくん、ユリくんならいざとなったら脱獄すると思うからさ♪

 

そうですねっユリがそう簡単に罪を受け入れるはずはありませんもんね

 

むしろ脱獄するのが遅すぎるぐらいだよ♪

 

(ユリは普段どんな行いをしているのだろう?)

 

あっおかえりなさいニケ

 

 

ニケがミネルヴァの肩へと舞い降りた、忙しそうにクチバシを動かし何かを伝えていた。

 

 

はい……ありがとうございます、、、、

 

 

その報告を聞いてミネルヴァの顔が青ざめてゆき険しい表情を浮かべた。

 

 

どうしたのミネルヴァくん?

 

少し落ち着く時間を下さい、それと心の準備をお願いします

 

 

そう落ち着かない声色で告げた、それを察して二人も顔を強張らせた。

 

 

 

その頃ラグナロク達は中心街にたどり着いていた。ヴァングの案内の元ツカサが治めている中心街の南側へと足を進めていた。

 

 

確かこの辺りだったはずだが、、、あぁあれだ

 

凄い所に住んでいるのね

 

 

ヴァングが指差すのは空高くそびえ立つ高層ビルだった、それに戸惑うみんなと違い平然と建物の中へと入って行った、その後を追い中へと入ってゆく。

 

 

おぉ、ここに居たか

 

どうしたんだヴァング、それに背後の人達は、、、

 

ユリの事を聞きに来たよ、分かる事でいいから教えて欲しい

 

…………分かった、包み隠さずに話すよ

 

ありがと、それでユリはどうなるのかな?

 

ユリは間違い無く死刑になるだろう、明日行われるのは裁判なんかじゃない、公開処刑だよ

 

っっ!それはもう止められないの?

 

ユリが火をつけた場所が悪かったんだ、あの場所は中心街の4大奏官でも一番力を持つ西の管轄なんだ、余程の事が無い限りもう止まらないよ

 

ユリは魔獣に追われて火を付けただけよ、自分の身を守る為だったわ

 

そうかも知れないけどあの映像には魔獣は映っていなかった、あれを見ただけならただ悪戯に火を付けたとしか見れないよ

 

分かりました、それならば、戦争をしましょう

 

 

静かにそう告げたティルフィング。その方を見るのも躊躇う程の闘気がピリピリと部屋の空気を揺らしていた。

 

 

例え屍の山を築いたとしても私は娘を護ります、ここに居る皆を敵に回したとしてもです

 

うふふふふっ、家族を思う愛の深さ、痺れますわ♪

 

待ってくれ、ユリの過去の功績が有れば死刑は免れるかも知れない、幸い死者は出ていないんだ

 

ユリの功績ですか?それなら命を掛けて犠牲者を蘇らせた事があります

 

地上世界から来た科学者の悪行を止めたのもあるのである

 

それとあの映像が魔獣に追われていると証明できる事ができるならかなり罪は軽くなると思う

 

過去の証明ね、なら一刻も早くマーベル博士を探しましょう!

 

そうだ、クレイを見ていないか?

 

クレイなら奥の部屋で寝ているよ、起こして来ようか?

 

頼んだぜ

 

 

しばらくすると眠そうなクレイを連れて部屋に入ってきた。

 

 

やぁ、みんなどうしたんだい?

 

マーベル博士の居場所を知らないかな?探しているんだ

 

先輩なら中心街の西の都に居ると思うよ、一体どうしたの?

 

その人の娘に用があるのよ

 

それなら連絡してみるよ

 

うん、ありがとね、連絡が取れ次第行ってくるよ

 

 

そう言って奥の部屋に入って行った、耳を澄ませると話し声が聞こえてきた。

 

 

後一つ、西の都に行くのは良いのだけど大人数で行くのは避けて欲しい、今はその事で西が荒れているようだから刺激しないで欲しいんだ

 

なら少数で行きましょう、戦力があって地上世界に顔馴染みが無い人方が良いわね

 

なら僕が行ってくるよ、他の人を危険に晒す訳にはいかないからね

 

一人で大丈夫ですか?

 

なんとかなるでしょ、それに西に話を聞きに行くだけだし

 

はいはーい♪なら私も付いて行くよ♪

 

 

そう言って手を挙げたのはケラウノスだった、その方を見ると爛々と目を輝かせていた。

 

 

交渉なら任せてよ♪それにこの世界の可愛い子ちゃんも気になるし♪

 

 

妄想を膨らませイシシと笑っているケラウノスを不安そうな顔で見ていた。

 

 

大丈夫なの…?

 

ケラウノスなら問題無いのである、実力は余が保証するのである

 

できれば戦闘は避けたいけどね、よろしく頼むよケラウノス

 

うん♪私に任せといとよ♪

 

 

ケラウノスと握手を交わしていた、その様子をギロリと睨む姫が一人。

 

 

ふんっ

 

(目が怖い…)

 

 

みんなお待たせ、先輩は西の都の領主の居るビルに居るよ、場所は分かるかな?

 

場所は分からないよ、何か特徴とかあるかな?

 

前の火災でビルの前の道路に焦げ跡が残っているよ、それが目印になると思う

 

ありがと、じゃあケラウノス、行こっか

 

うん、良い情報を掴んでくるからね♪

 

 

二人を見送りため息を一つついたツカサ、その表情を隠すようにフードを深く被った。

 

 

どうしたのですかマスター?

 

いや、何でもない、気にしないでくれ

 

ならその美しい瞳を私に見せてください

 

ごめん、今はそんな気になれないんだ

 

あらぁ、マスターは意地悪ですね

 

別に、少し横になるからみんなは好きにしていて構わないよ

 

お供いたしますわ

 

 

そう言って奥の部屋に入って行ったツカサとアフロディーテ、その姿を見てみんなが好きな所に座った。

 

 

その頃二人は中心街の西側へと足を進めていた。辺りを警戒する様子も見せずにマーベル博士が居るビルを目指していた。

 

 

広い街だね♪これなら可愛い子も沢山居そうだよ

 

でもあんまり人っ気は無いね、みんな何処に居るんだろ?

 

それでも私の目は誤魔化せないよ、ねぇねぇそこのおねーさーん♪

 

 

そう言って近くに居た女の人に声をかけていたケラウノス、本当に大丈夫なのだろうか?それを横目に見ながら目的のビルを目指し進んで行く。

 

 

ってここは何処なんだ?

 

 

初めて来た地上世界に土地勘などあるはずもなくいつの間にか迷子になっていた、周りを見渡しても同じような建物が方向感覚を狂わせていた。

 

 

目的のビルはあそこにあるよ、本当に勢いだけで動くなぁ

 

ありがと、どうして場所がわかったの?

 

さっきのおねーさんに聞いたんだよ♪もしかしてただナンパしてるだけって思っちゃった?

 

うん、ごめんね

 

自信があるから名乗り出たんだよ、しっかりサポートしてあげるからね♪

 

助かるよ、今度お礼をするね

 

にししししっ♪ならどうして貰おっかなー?

 

 

楽しそうに先を歩くケラウノス、一見何も考えていなさそうだがかなり頭が回るのだろう。

 

 

ここがそのビルだね

 

じゃあ入ろっか

 

はい、ストーップ

 

どうしたの?

 

部外者の私達が簡単に入れると思ってるの?それこそ私達も捕まっちゃうよ

 

それもそうだね、何かいい策はないかな?

 

うーん、王道は裏口から侵入だけど変装して正面からも捨てがたいなー

 

マーベル博士に会えれば良いんだけどね

 

それならクレイにマーベル博士に渡す物があるって事で正面から行こうかな?その方が問題も無さそうだし

 

じゃあその程で行こうか

 

おっけおけー♪

 

 

西のビルの正面から入ってゆく事に、その二人を睨むキル姫が二人。

 

 

 

………………………………………………………

 

 

ただいま戻りました、あれ、あなた達は、、、

 

邪魔してるぞ、ツカサなら奥の部屋で休んでるよ

 

分かりました

 

 

そう言って奥の部屋へと入って行ったシェキナー、扉を開けて部屋を見るとフードを深く被りベッドに座って居るツカサを見つけた。

 

 

ここに居ましたか、あの者達の相手をしなくて宜しいのですか?

 

大丈夫だよ、それより少し静かにしていて欲しい

 

 

そう言ってギュッとフードを引っ張った。もう表情を見る事は難しい程に。

 

………何を悩んでいるのですか?

 

無駄ですわシェキナー、マスターは私にも口を聞いてくれませんの

 

マスター一人で抱え込まないで下さい、それとも私達に相談できない程の悩みなのですか?

 

そんな事は無いよ、ただ言い出す勇気が無いだけさ

 

なら勇気を少しだけ持って頂ければ良いですわ

 

そうだね、はぁ、二人共聞いて欲しい

 

 

そう言い被ったフードを脱ぎ二人の瞳を見つめた。

 

 

僕はあの子を助けたいんだ、この世界を守ってくれたユリをこのまま見殺しなんかにはできない、でも、行動を起こせばこの街に居られなくなるだろう

 

あらぁ?それだけですの?私もっと深刻な話かと思ってましたわ

 

アフロディーテ!口を慎んで下さい!

 

随分と軽く言うね、僕だって地位を失う事が怖いんじゃない、両親、いや、先祖から引き継いだこの場所を失いなくないんだ、4大奏官の中で一番若い僕が隙を見せればあっという間にこの土地は奪われるだろう

 

 

そう言って俯いてしまった、そんなツカサを二人が抱きしめていた。

 

 

それなら逆らう事ができない程の恐怖を相手に与えて差し上げますわ、あの西の者の恐怖に歪んだ顔を想像するだけであぁ、昂ってしまいますっ

 

何が合っても私はマスターのお側を離れません、それに向こうの方々も手を貸して頂けるでしょう

 

そうだよね、命を捨ててまで世界を守ろうとした仲間を見捨てる事なんてできないね

 

 

拳を握りしめた時に扉が開きクレイが部屋へと入ってきた。

 

 

ツカサ、ユリちゃんが逮捕されたって本当なのか?

 

本当だよ、明日裁判が行われるよ

 

西の都に火をつけた人が居るのは知っていたけどまさかあの子だったとは、、、

 

魔獣に追われて火をつけたみたいだね。映像には何故か魔獣は映っておらずただユリが悪物になっている

 

西の者はなんて言っているのかな?いくら自分の街が燃やされたからって公の場で裁判をやるなんて話が大袈裟すぎないか?

 

おそらく見せしめだろう、自分の領地に危害を加えた者はこうなると

 

なら早く止めなくては、このままだと本当に処刑されてしまう

 

今その方法を考えている、メンツを大事にしている西の者の顔を潰さずにこの話を穏便に済ませる方法を

 

それならみんなに相談しないかい?彼等ならきっと良い知恵を貸してくれるよ

 

うん、そうしようか

 

 

ベッドからゆっくりと立ち上がり扉のノブを握った。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

ちわーっす、マーベル博士のお届け物を届けに来ました

 

ご苦労様です、そこに置いておいて下さい

 

結構重要な物だから私達で届けたいんだけどいいかなー?それに何かの材料って言ってたから下手に扱うと爆発しちゃうかもよー♪

 

 

ケラウノスが笑顔でそう言うと受付の人が顔を見合わせた。

 

 

分かりました、マーベル博士は当ビルの最上階に居ます

 

はいはーい♪

 

 

受付の人に案内をしてもらいエレベーターへと乗り込んで行く、目指すは最上階だ。

 

 

ちょっと強引だったんじゃない?

 

そーだったね、でも行けたんだから良いでしょ♪

 

そう言う事にしておくよ

 

 

エレベーターから降りて少し廊下を歩き教えて貰った部屋の扉をノックして返事を待っていた。

 

 

はい。

 

クレイさんに連絡してもらった者ですけど

 

入りなさい

 

 

そう返事を貰い二人で顔を見合わせゆっくりとドアノブを回し扉を開け正面が硝子貼りの部屋を見渡した。

 

 

良い景色だとは思わないか?

 

 

こちらに背を向けて景色を眺める男が一人、適当に返事をしてマーベル博士の娘を探す為に部屋を見渡していた。

 

 

それで、私に用とは何かね?

 

博士に用は無いよー娘さんは何処に居るのかな?

 

クリスならあそこのソファーで寝ているよ

 

ちょっと起こして貰えるかな?話を聞きたいんだ

 

待っていなさい

 

 

そう言って部屋の角にあるソファーの元へ、優しく頭を撫で娘を起こしていた。

 

 

クリスちゃん、起きて

 

んっ、、うっさいなぁクソ親父、、こっちは寝てんだよ

 

クリスちゃんにお客さんが来てるよ

 

お客?居ないって言っといて

 

もう部屋に居るから早く起きてあげて

 

えっ?ひゃっっ!?

 

 

起こされ不機嫌だったのはほんの一瞬だった、来客が部屋に居る事を知ると慌てて飛び起き寝癖を直すために手ぐしで髪を解いていた。

 

 

いいねいいねこういう姿♪グッときちゃうよ♪

 

 

イシシと笑いながらその様子をケラウノスが見ていた、しばらくすると立ち上がり服を直しながらこっちを向いた。

 

 

こんにちわ、私に用事なの?

 

うん、ユリの事を聞きに来たんだ

 

ユリの事?って事はユリの友達なんだ

 

僕はユリのお父さんだよ

 

私は友達だよー♪

 

なら聞きたい事はあの放火の事?

 

そうそう、あの映像を見たかな?

 

うん見たよ、でもそれに化け物は映っていなかった

 

明日の裁判で化け物に襲われて火を付けたって証言して欲しいんだ、このままだとユリが死刑になっちゃうから

 

私もそのつもりだったよ、あの映像を見てからずっとユリを探していたの

 

だから昨日も夜遅くに帰ってきたんだね、パパ心配で寝れなかったよ

 

キモッ

 

あはははは……とにかく明日の裁判で証言を頼んだよ

 

うん、任せて

 

じゃあ帰ろっか

 

うん、まったねー♪

 

 

そう言って部屋を出て廊下を少し歩きエレベーターに乗り込みビルを出る事に。

 

 

思ったより何も無かったね

 

そうだね、もっと敵とか出てくるとおもってたのになー

 

物騒な事言わないでよ

 

 

受付に挨拶をしてビルを出た時だった。何かの気配を感じて立ち止まった。

 

 

ケラウノス

 

うん、感じてるよ、中々の気配だね

 

 

警戒しながら振り返るとそこに二人のキル姫が立っていた。

 

 

マスターの住居に何の御用だったのですか?

 

許可を得て居たのですよね?

 

 

シタとミトゥムのようだ、その表情は優しく微笑んでいるがその瞳の奥に確かな敵意が宿っているのを感じる。

 

 

このビルに居る人に用があってね

 

勝手に入った事は謝るよ、ごめんちゃい♪

 

残念ですけど許す事はできないぜ!

 

二人をマスターの元へお連れしますね、もちろん逆らえば叩き潰します

 

 

斧を構えた二人、ここで戦えばまた立場が危うくなるだろう、そう考えて大人しく二人の後をついて行く事に。

 

 

このミトゥ、、私についてきて下さい

 

変な事は考えないで下さいね?

 

 

先頭をミトゥムが、後方をシタに挟まれながら再びビルの中へと入ってゆく。

 

 

ねぇねぇ二人は姉妹だったよね?

 

静かに歩いて下さいね

 

少しぐらい話をしてもいいじゃーん♪

 

 

立ち止まり背後を歩くシタに話しかけていた、それを歩くように促すのだが大袈裟に手を振り気を引いていた。

 

 

ユウくんはどっちが好みかなー?私はシタのお姉さん属性が気になっちゃうけど♪

 

うーん、僕はわんぱくなミトゥムの方が好きかな?

 

 

振り返り話かけると視界の端に見覚えのある三人の姿が、それに気が付いて動きを止めているのか。良くケラウノスの手を見ると指を動かしハンドサインを送っている。

 

 

ごめんシタ、トイレに行きたいんだけど

 

建物の中にあるのでそれまで我慢して下さい

 

もう我慢できそうもないんだよ、あそこの物陰でしてきて良い?逃げないからさ

 

…………分かりました、すぐに戻って来て下さいね

 

ありがと

 

 

シタに汚物を見るような目で見られたけどまぁ良いだろう、煙草を咥え火を付けながら手早く紙に要件を書き込みそれを煙草の箱にしまい込み転がした。

 

 

お待たせ、助かったよ

 

おめぇ煙草臭えんだよ!じゃなかった、煙草の香りがしますわよ

 

ごめんごめん、ビルに入る前に吸っておこうと思ってさ

 

早くしてもらえませんか?マスターを待たせているのです

 

後一口だけ

 

 

そう言って煙を吸い込み吐き出すと携帯灰皿へと押し込んだ。

 

 

お待たせ

 

ミトゥムは二重人格なんだねっ♪そういうのって一粒で二度美味しい思いができそうかも♪

 

 

笑顔でユウの方を見た、それに軽く頷き応えるとウインクで返してくれた。

 

 

早く歩いて下さい

 

はいはーい♪

 

 

二人に連れられてビルの中へ、きっと感のいいミネルヴァなら気が付いてくれるだろう。

 

 

…………………………………………………

 

 

 

二人が連れて行かれるのを見届けてから三人はその場に走って行った。

 

 

ユウさんとケラウノス大丈夫でしょうか?

 

あの二人なら問題無いと思います、きっと直ぐに帰って来ると思いますよ?

 

でもどうして連れて行かれたんだろうね?

 

ケラウノスのサインを見た限りここに何かがあると思うのですが、、、

 

 

ユウがいた場所に行くと煙草の箱が転がっているだけだった、それを手に取り振るとカタカタと音がする、まだ煙草が残っているようだ。

 

 

開けてみますね

 

 

箱を開けると小さく折り畳まれた手紙が、それを開封し読んでみる事に。

 

 

みんなのいる場所、今居る所が西の者の居るビル、ユリが処刑される事、僕達が西のビルに連れて行かれた事をみんなに伝えて欲しいと書き記されていた。

 

 

一度皆の所に行きましょう

 

はいっ

 

そうだね

 

 

みんなが居る所へ走って行く。アスカロンが何度も振り返りながら心配そうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

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