※この作品はR-18です。

インテグラル・ノア サイドストーリーユリ物語   作:やす、

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逮捕されたユリ その3

「みんなの知恵を貸して欲しい」そう言いながら扉を開けると同時に部屋に居るみんなに声をかけたツカサ。その声を聞きみんながツカサの方を見た。

 

俺の知恵が必要みたいだな、良いぜ貸してやるよ

 

ヴァングは少し黙っててくれないか?話がややこしくなりそうだ

 

なんだとこらっ!

 

静かに、聞かせて、答えが出たんでしょ?

 

うん、僕もユリを助けたいんだ、だからみんなの知恵と勇気を僕に分けて欲しい

 

 

そう言うと頭を下げたツカサ、それを二人が頭を上げるように諭した。

 

 

頭を上げて下さい、力を貸して欲しいのは私達の方です、どうかよろしくお願いします

 

私からもお願いするわ、私達の仲間を見殺しになんてできないわ

 

 

深々と頭を下げるティルフィングとラグナロク。それを見てツカサがさらに頭を下げた。それを見て二人がさらに頭を……

 

 

…すまぬがそのままだと話が進まぬ、それぐらいにしておけ

 

 

そうですね、もう一度西の事を教えて下さい、それとツカサさんの意思もです

 

そう、だね、先程も言ったけど西の者がこの中心街で一番権力を持っているんだ、それに明日の裁判はただの見せしめだよ、俺の陣地に手を出す者はこうなるって

 

…それは明日の裁判の結幕はもう決まっているって事ね

 

そうだ、僕達がいくら証拠を集めたとしても裁判の結果は変わらない。ユリは確実に処刑されるだろう

 

それって権力を振りかざしているだけじゃない!そんな奴が街を治めていて良いわけ!?

 

アルマス、これが社会なんだよ、僕だってこんな話をしているのがバレたらただでは済まないんだから

 

ちっ、なら策があるって言うのよね?

 

それは、、、だから今みんなの知恵を借りようとしているんだ、あの者を許せないのは君達だけじゃ無いんだ

 

アルマス、少し頭を冷やしなさい、冷静になれないのならただの獣当然ですよ

 

うぐっ、そうね、ごめんツカサ

 

良いんだ、今僕が考えているプランが二つあるのだが聞いて欲しい、良いかな?

 

はい、聞かせて下さい

 

うん、西の者に裁判をやめてもらう、その代わりの案を出すんだ、それを西が飲めばこの話はこれで終わりだ、西の顔を潰す事もないだろう

 

次は上の作戦が上手く行かなかった時、明日の裁判を僕等が妨害し裁判を中止させるんだ、ただこれはかなりのリスクを伴う。

 

一体どのようなリスクでしょうか

 

これは西の顔に泥を塗る事になる、プライドの高い西の者がそんな事をされて黙っているはずはない。確実に君達、僕にも何かのペナルティが下るだろう

 

それで、そのにしの者は神よりつよいのか?

 

神よりは強くないはずだよ、それがどうしたんだ?

 

みな、にしの者はかみよりよわいみたいだぞ!ならば神にかったあたしたちが力を合わせればかならず勝てるあいてなはずだ!

 

そうなのだけど、神より弱いのに神より強いか、、、アハハっ

 

どうしたのですか?マスター?

 

いや、世界の脅威を退けた人達が次は守った人と戦おうとしていると思うと面白くて

 

神様がなんで私達を洗脳したか分かっちゃう気がするよ

 

 

フライクーゲルがため息を吐きながらそう言った。それに納得しているような気がした。

 

 

その、西の人ってそんなに恨みを買っているのですか?

 

そうだね、彼は権力を振りかざし僕達、南、北、東の領地を侵食しているし彼の怒りに触れた為に犠牲となった人も数多く居るよ

 

ますます許しておけないわね!正面から一発殴ってやれば良いのよ!

 

それこそ彼の思う壺だよ、慎重に、巧妙に罠を張り巡らせ彼を捕らえないと

 

何か尻尾を掴めれば良いのですが、、、

 

うーん、、、情報が少なすぎるわね、もっと分かる事は無いの?

 

それが僕もあまり彼の事は知らないんだ、中心街の会議が合っても代わりにキル姫が出席するだけで彼自身は公の場にほとんど姿を見せないんだ

 

何か姿を見せられない理由があるのですね

 

きっとそうだと思う、それにしてもあの二人の帰りが遅いね、何かあったのだろうか?

 

ケラウノスのキラーズは感じるのである。方角的に西の街にまだ居るようなのである

 

そうですね、ユウのバイブスも西から感じます、何かに手間取っているのでしょうか?

 

あの二人が手間どうなんてよっぽどね

 

何もなければ良いのですが、、、

 

 

 

………………………………………………………

 

 

 

二人に連れられてロビーを抜け地下へと続く階段を降りていた。そして長い廊下を歩いてゆくと大きな扉の前で二人が立ち止まった。

 

 

マスターはこの部屋に居ます、くれぐれも失礼の無い様にお願いしますね

 

はいはーい♪

 

失礼します

 

 

ミトゥムがドアをノックし返事を受けてからドアを開けた。後ろからシタに押されるようにその室内へ、部屋を見渡すと大きなシャンデリアがあり地下だから部屋に窓は無かった。

 

 

二人が部屋に入ったのを確認するとドアが閉められシタとミトゥムがドアを塞ぐようにドアの前に立った。どうやら逃す気は無さそうだ。

 

 

蠅が飛び回っていると思ったら若造に天上のキル姫か

 

ちわーっす

 

こんちゃ♪

 

 

いかにもな大きな長机に柔らかそうなソファーに腰掛けている年配の男。ただの人なのだろうけど雰囲気が違った。こいつは悪人だ。直感でそう思えた。

 

 

それで、何を嗅ぎ回っていたんだ?事の次第では生かしてはおけん

 

あーっと、明日のユリの裁判をやめてもらいたいんだよね

 

そうそう、あの子は私達の友達だからさ、あの子の代わりに謝るからさ、ごめんちゃい

 

 

そう言うと肩を震わせながら部屋に笑い声を響かせた、そして笑い声が止むと二人に命じた。

 

 

殺せ

 

はい

 

はい

 

 

その命令通りに斧を振るう二人のキル姫、それを回避し二人で背中合わせとなった。

 

 

交渉は決裂みたいだね

 

そうみたいだね、じゃあやっちゃおっか♪

 

 

魔銃に魔力を注ぎ込むケラウノス、その横で七元を構えた。

 

 

じゃあこの二人に勝てたら話を聞いてもらうよ

 

良いだろう、勝つ事ができたらな

 

ケラウノス聞いた?

 

にしししし♪しっかり聞かせてもらったよっ♪

 

何をごちゃごちゃ言ってるんだよ!お前らの相手はこのミトゥムだぜ!

 

ミトゥムちゃん、油断したらいけませんよ

 

ケラウノス、サポートよろしく!

 

おっけー♪任せてよ!

 

 

走り出したユウ、その背後でケラウノスが魔銃を構えた。

 

 

このミトゥムが迷える者の為に導きの歌を歌ってやるぜ!

 

 

歌を口ずさみながら斧を振り回すミトゥム。その軌道をしっかりと見極め回避し反撃の隙を伺ってゆく。

 

 

アッハハハハハッ!!

 

あぶねっ!

 

 

ミトゥムに気を取られればシタが斧を振るう。シタに集中すればミトゥムが襲いかかる。姉妹な事もありその連携はかなりのものだ。油断すれば命は無いだろう。

 

 

ユウくんいっくよぉ!!

 

おけ!

 

 

返事をの後に飛び退き伏せると頭の上を魔弾が通り抜けてゆき二人へと襲いかかった。

 

 

効きません

 

こんな物ぜんぜん効かないぜ!

 

あっちゃぁ、、、もっと魔力を込めないとダメか

 

 

魔弾は当たっているのだがどうやら効果は無さそうだ。二人共何事も無かったようにこっちへ向かって来ている。

 

 

ケラウノス!もっと火力出ないの!?

 

でも今のが私の最大パワーだよっ♪じゃあユウくん後は任せたからね♪

 

 

楽しそうなケラウノスの声を聞きながら剣を構え直した。

 

 

役に立たんキル姫など連れているからだ、この男はなるべく苦しませてから潰せ

 

はい

 

はい

 

 

物騒な命令が聞こえ身震いを起こした。さっきまでは急所を狙っていたがその命令の後からは手や足に狙いを変えたようだ、一撃当たった時の事を考えると冷や汗が吹き出てくる。

 

 

なら僕も本気でやらせてもらうよ、もう手加減はしない

 

 

深呼吸をして神経を尖らせ反撃の体制を取った。そこにミトゥムの斧が迫る。

 

 

さぁ、深く祈りを捧げなさい!

 

残念だけど祈る神は死んだよ

 

 

迫る斧を払い除けお腹を蹴り込んだ。それを喰らいミトゥムが後ろへ下がった、その隙を見逃さない狙撃手が居た。

 

 

私の雷霆、受け止め切れる?

 

 

パキリと咥えたチョコレートを噛み砕く音と共に打ち出された魔弾はユウを掠めミトゥムへと直撃した。

 

 

そんなっ!!

 

 

魔弾を受け悲鳴を上げながら壁に叩きつけられていた、起きあがろうとしていたが気を失ったようだ。ケラウノスを見ると銃を掲げ嬉しそうな顔をしていた。

 

 

ふふーん♪油断してくれて助かったよ♪

 

助かったよケラウノス

 

ミトゥムちゃんをよくも、、、もう許しませんからね

 

 

妹がやられたその怒りに身を任せたシタがケラウノスへと向かって行く。その鬼の様な形相に流石のケラウノスも顔を硬らせた。

 

 

にしししし♪その顔も良いねぇ♪鬼さんこっちだよー♪

 

潰す。

 

 

それでも軽口を叩く余裕はある様だ。部屋を逃げ回りながらシタを挑発している。何か策があるのだろう。ならば合図を逃すな。

 

 

ケラウノスに目線を送りながら隣を並走すると何度も何度も目線を天井へと送っている事に気がついた。その目線の意図を理解し荒れ狂うシタの前に立ちはだかった。

 

 

君の相手は僕だよ、おねぇちゃん

 

砕いてあげますね

 

 

風切り音と共に振り下ろされる斧をステップを刻み回避してゆく。床を砕く程の一撃は剣で応戦する事は不可能だろう。だが歩みを止めるわけにはいかない、しっかりと軌道を見極めギリギリで躱し反撃を打ち込んでゆく。

 

 

お待たせ♪いくよぉ!!

 

 

その声の後に銃声が響き部屋の明かりが消えた。どうやらシャンデリアを撃ち抜いたようだ。一気に部屋が暗闇に包まれた。

 

 

(目は開けないでね♪)耳元でそう囁かれ瞼をギュッと閉じると瞼を閉じていても感じる程の閃光が輝いた。

 

 

うっすらと目を開けると目を手で覆うシタの姿が、その瞬間を逃さない。

 

 

 

黒式、、、一紅閃っ!!!

 

 

踏み出しながらの一閃がシタを捉えた。シャンデリアを撃ち抜いた為姿は見えないが気配を感じる限り起き上がってはいないようだ。

 

 

君は感が良くて助かるよ♪

 

もっと分かりやすいサインだと嬉しいんだけどね。僕達の勝ちだ、話を聞いてもらうよ

 

 

そう言うと笑い声が聞こえその後に部屋に明かりが灯った。どうやら他にもライトがあったようだ。

 

 

これで勝ったつもりなのか?君達がこの部屋に入った時点で私の勝ちは決まっていたのだよ

 

強がりはカッコ悪いよ♪早く負けを認めちゃいなよ

 

君達は明日あの娘と一緒に処刑するとしよう、それまで寝ていなさい

 

 

そう言うと何かのスイッチを押す音が部屋に響きそいつがガスマスクを被った。

 

 

やばっ、逃げるよ!

 

そうだね!

 

 

入ってきたドアに駆け寄りドアノブを回すもそのドアが開く事は無かった。

 

 

私の魔弾で撃ち抜いてあ

 

 

魔銃に魔力を注ぎながらそう言いかけ力無く床に倒れ込んだ。それを心配する前に意識がグラリと揺れその場に倒れ込んでしまった。朦朧とする意識で最後に聞いたのは部屋に響くそいつの笑い声だった。

 

 

 

…………………………………………………………………

 

 

 

ひとまずミネルヴァ達、ユウ、ケラウノスが帰ってくるまで待ちましょう。もう帰って来ても良い時間よ

 

そうですね、あれから随分と時間が経っています

 

 

壁にかけられている時計を見ると現在17時、もうすぐ太陽が沈み始めるだろう。

 

 

何もなければ良いのだけど、、、

 

あの二人なら大丈夫ですよ、信じて待ちましょう

 

そう、だね

 

 

ため息を吐こうとした時に扉が開き部屋に誰かが入ってきた。その方を見ると見慣れた3人の姿が。

 

 

ただいま戻りました、ユウさんから置き手紙を預かっています

 

 

そう言うと煙草の箱から手紙を取り出し机に広げた。それを読んでゆくとティルフィングから歯軋りが聞こえドアに向かって駆け出そうとした。

 

 

落ち着いてくださいよぉっ!!

 

無理です、今からユウを取り返しに行きます

 

ダメですって!!

 

 

ティルフィングの背にしがみつくアスカロンを引きずりながら歩んで行く。それを見てパラシュが扉の前に立ち塞がり斧を構えた。

 

 

退いて下さい

 

君がここまで取り乱すなんて珍しいね、だけどここで下手を打つような人じゃ無い事は分かっているよ

 

 

そう言われて我に返ったのだろう、ゆっくりと深く呼吸をしてパラシュにお礼を言っていた。

 

 

アスカロンもありがとうございます

 

その行動力羨ましい…いえっ!なんでもありませんよっ!

 

ぬぅ、ケラウノスを欺く程の者であるか

 

あの子が出し抜かれるなんて考え辛いわね、何かカラクリがあるはずよ

 

……………

 

 

誰しもが頭を悩ませる中、のんびりとした声が聞こえた。

 

 

どうしてあの博士は西の人の所にいたのかなー?

 

どうしてって、、、どうして?

 

 

みんなが一斉にクレイの方を見ると困ったような顔をしながら「それは分からない」と答えた。

 

 

ならクレイさんはメクリスって博士を知っていますか?

 

メクリス、随分と懐かしい名前だね、確か先輩の同期だった筈だよ

 

クレイさん、メクリス博士は地位がある人なの?

 

どうだろう?私も大学を出てからあまり関わりは無かったからそこまでは…

 

ならPOK6.5この薬品を知っているわよね?

 

あぁキラーズを一時的に操る薬だね、でもそれはまだ新しい薬だよ、それがどうしたんだい?

 

その薬品を使いメクリス博士は天上世界のキル姫を操っていたわ、私が調べた所その薬品は劇物に指定されているから普通の人なら持ち出せないはずよ、ならメクリス博士は地位のある人、それか地位のある人の指示で動いていた、そう考えられるわよね?

 

 

力説した為か少しズレた眼鏡を直しながらアクスレピオスがクレイに問いかけていた。

 

 

確かに、ツカサとヴァング君はメクリス博士を知っているかな?

 

僕は知らない

 

俺も知らねーぞ

 

ヴァング君はともかくツカサが知らないって所を見ると地位は無いようだね、なら誰かの命令を受けていた、そう考えるべきだろう

 

俺の扱い酷くないか!?

 

メクリス博士は西の命令で天上世界のキル姫を操った、いや、POK6.5の効力を確かめる実験っていったところね

 

はい、それで今回のマーベル博士の死者を蘇らせる実験、何か繋がりがあるのかも知れませんね

 

その実験の本当の目的は過去のキル姫を蘇らせる事かも知れないわ

 

過去のキル姫、、、まさか…

 

 

何かに気が付いたティルフィングの顔がみるみる青ざめていった。

 

 

 

…アスカロンは千年王国が何故崩壊したのかを知っていますよね?

 

 

……はいっ、ケイオスリオン、トレイセーマ、ハルモニア、その三カ国を治めるキル姫に霊装支配された三幻獣の暴走、それを止める為の戦いにより崩壊、、、っぅう、、、

 

 

そこまで言いかけて顔を覆い蹲った、しばらくして涙を浮かべながらフラフラと立ち上がった。

 

 

無理をしないで下さい、その先は私が話しますよ

 

いえ、落ち着いたので大丈夫ですっ、その暴走を止める為に立ち上がったのがラグナロクさん、ミネルヴァさん、グラーシーザさん、ダモクレスさん、ネスさん、フライシュッツさん、エルキュールさん、スイハさん、リルティルさん、アルマスです、私達は四カ国の人々を避難させていたのですが、、、

 

 

ゴクリと唾を飲み込み話を続けた。

 

 

私達が加勢しようとした時には千年王国は跡形も無くなっていました、それにみんなの姿も、、、

 

相討ちになったのね…

 

多分そうだと思います、もしかして!?

 

そうね、彼女達を復活させてその薬で操る、それが西の真意なのかも知れない

 

そんなっ

 

ねぇ、そのラグナロク達ってなんなのよ?ラグナロク達ならここに居るわよ?

 

 

ラグナロク達を見ながら困った顔をするアルマスにラグナロクが説明をしてゆく。

 

 

人類に絶望し人々を排除しようとした私達ね、別次元の話になるのだけど

 

ならそれって

 

悪魔達よりも強い力を秘めているかも知れないわ

 

なら早く西を止めないととんでもないことになるわよ!

 

落ち着いてアルマス、これは私達の推測よ、まだそうと決まった訳じゃないの、その証拠が無い以上私達は動けないわ

 

それはそうだけど、、、

 

明日の裁判で決着をつけるしか無いわね、真実が分かれば強引に裁判を止める事ができるわ、ただ

 

 

真っ直ぐな眼差しをツカサに向けたラグナロク

 

 

うん、覚悟はできているよ、かけがえのない仲間が救えるのならどんな罰でも受けてやるさ

 

なら決まりですね、明日の裁判で全てを終わらせましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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