幼馴染に貰ったオナホでオナニーしてたら幼馴染が妊娠してた話 作:タナん
王国軍に名乗りを上げた瞬間、マナが僕の周りに集まるのを察知した。
咄嗟に膝を曲げ、体を倒して姿勢を低くすると頭上に死の気配がする。
まだ終わりではない、姿勢を低くした僕の顔の目と鼻の先にマナが集まると、鋭い銀色の棘が空中から突如現れた。
僕の体は、未だにマナの収束を回避した時の慣性に従って下に向かおうとしている。
慣性に逆らい、無理やり左肩を後ろにそらし、頭を右方向に限界までのけぞらせる。
腹斜筋、脊柱起立筋、腹直筋、大殿筋、その他多数の筋肉を切れる寸前まで動員してようやくの回避。
銀色の棘は僕の頭を頬をバックリと割って通り過ぎていく。
僕は右手を地面について右方向に飛びのいて態勢を立て直した。
攻撃された方を見ると、僕の後ろにあった荷車が真っ二つになっており、銀色の棘が何もない空間に戻っていく。
これは空間魔法による攻撃だ、となると相手は一人。
「今のを避けるか」
僕は真っすぐに立ち上がり、後ろを振り向く。
そこにはやはり例の黒い騎兵。
そいつは一切素肌を見せない全身鎧を真っ黒に塗装し、その乗っている巨大な馬までもが黒い。違うのは手に持った馬上で扱うための鈍い銀色を赤く染めた長大なランスのみだ。
目の前にして改めてわかる。
こいつは強いと。
遠くからでもプレッシャーを感じる程なのだ、いざ相対してみるとその凄まじいプレッシャーで、黒い騎兵の体が実際の何倍も大きく感じる。
僕は震えそうになる体を押さえ、虚勢を張る。
「この騎馬隊の指揮官とお見受けする。貴方の名は?」
僕の口から出るのは、まるで吟遊詩人が歌う物語のような語り口。
こんな話し方、実際にするわけがないと思っていた。
だが今ならこの語り口の意味が分かる。
この仰々しい語り口は己を強く見せるのだ。
強く見せる相手は勿論敵に対してだろう。
だがそれだけではない、自分自身で、自分を騙し虚勢を張るため。
そして、僕を縋るような目で見る味方の兵を鼓舞するためだ。
僕は平民で、この部隊での身分は最も低くて期待などされていなかった。
だけど今は違う。
圧倒的な蹂躙者である王国騎馬隊を一人で15人殺した僕は、この状況を打破できる唯一の希望なのだ。
誰かがそう言ったわけではない、だけど皇国魔法兵の縋る目が、王国騎馬兵の怯える目が、僕に虚勢を張れと言っているのだ。
「いかにも、私の名はジェイル=アブサロン、お前たちが黒騎士と呼ぶものにして、アステリア王国軍を率いる将軍。
お前はレイ=スコットと言ったか。私の魔法を避けたのはお前が初めてだ。
その名、しっかりと私の胸に刻んでおこう。」
将軍だと?
この恐ろしい男が?
確かにそれだけの才覚があるのはわかるが、将軍がこんな前線まで出てくるのだろうか。
そんな疑問が浮かぶが、抑えていた恐怖で震えそうな体は、いつの間にか武者震いとなって体を揺らし始める。
「ジェイル=アブサロン、貴方に決闘を申し込む」
同じ戦士として何となくわかる。
こいつは今の名乗りに誇りを持ち、誇りをかけた以上嘘をついていない。
これはチャンスだ。
今こいつを討てばこの戦争を終わらせることができるのだ。
格上だろうが関係ない、こいつをここで逃がすわけにはいかない。
そもそも英雄となろうとしていたのだ、戦う予定が少し早まっただけの事。
「受けて立つ」
「感謝する」
いつの間にか王国重装騎馬隊の蹂躙は止っていた。
皇国魔法兵も王国重装騎馬隊も僕たち二人を見ている。
ここにいる全員が理解しているのだ、この戦争の行方がこの決闘によって決まることを。
僕は剣を横に、黒騎士はランスを正面に構え、全身のマナを活性化させる。
僕の活性化した体内のマナに反応して、大気中に漂うマナが僕のマナの色である水色に変質する。
対して黒騎士の周りに漂うマナの光の色は黒だ。
お互い、武器のリーチは未知数。
その上、命中すれば金属鎧など簡単に切り裂ける魔法を持っている。
故に勝負は一瞬だろう。
僕は覚悟を決め、ジャリッと地面を踏みしめ、黒騎士とにらみ合う。
僕と黒騎士の水色と黒のマナが反発しあい、バチバチと音を立てて弾けた。
黒騎士の殺気が高まっていく、勝負の時が近い。
だが、フッと黒騎士の圧力が消える。
「水入りだ。この勝負は預ける。」
「なっ?!」
黒騎士が馬を反転させて走り出す。
「撤退だ!」
「待て!」
僕は撤退の命令を出しながら背を向けて逃げようとしている黒騎士に、水の剣を伸ばして斬りつける。
だがあらゆるものを両断する僕の魔法は、空中で見えない壁に阻まれ、黒騎士には届かなかった。
「レイ=スコット、再び戦場で相まみえる時を楽しみにしているぞ」
黒騎士は王国重装騎馬隊を率いてバリケードの外側へ抜け出した。
馬に乗っていない僕にはもう追いつけないだろう。
黒騎士達の後姿を見つめていると程なくして味方の援軍が到着した。
それはつまり、僕との決闘が始まっても、バリケードの外から接近する皇国軍の存在に注意を払っていたという事。
僕は黒騎士以外の存在を認識から外して黒騎士の身に集中していた。
そうでもしないと一瞬で殺されると感じたからだ。
だが、奴はそうではなかった。
もしあのまま続けていれば僕はどうなっていたのだろうか。
今更になって僕の心を乗り越えたはずの恐怖が襲った。