幼馴染に貰ったオナホでオナニーしてたら幼馴染が妊娠してた話 作:タナん
戦場は現在、敵味方入り乱れた激しい乱戦となっていた。
恐らくこの戦場では、隣にいるのが敵なのか味方なのか、殆どの者がわかっていないだろう。
陣形も何もない、この戦争始まって以来の泥沼の戦いはまさに総力戦だ。
盛り返したとはいえ、一時は大きく領土を削られた皇国軍の疲労の色は濃く、徐々に我々王国側に戦況は傾き始めていた。
だがここにきて皇国軍がこの無茶な特攻を仕掛けてきた。もう物資も兵力も後がないと悟った皇国軍が一か八かの賭けに出たのだろう。
「ジェイル将軍、例の部隊は中央に現れたようです」
「そうか……」
例の部隊……皇国軍に少し前に現れた一騎当千の猛者たちだけの精鋭部隊。身内からは英雄部隊などと大層な名前で呼ばれているらしい。
その数は分かっているだけで10人と少ないが、その誰もが国に一人居るか居ないかという天災レベルの猛者達だ。
彼らは私たち王国軍の前線をなんでもないかのように食い破り、陣形を崩されて大きな被害が出している。彼らを止めようと戦略を練り、なんとか孤立させてもたった一人で包囲網を突破してしまい、とどめを刺すことができない。
ならば私自らが英雄部隊を迎え撃とうと出撃しようとしたのだが、副官に
「指揮官が戦場にでていいわけがないでしょう。ましてや相手はだれも稀代の英傑ばかり、流石の黒騎士殿といえども命の保証はありませんから」
と言って止められてしまった。
数か月前、皇国をもう少しで落とせるという時に、士気を挙げるため無理やり出撃したのだが、その日以来、副官に出撃は止められてしまい前線にでられずにいる。
私は黒騎士と言われ、この軍を預かる最高指揮官だが、長い間共に戦場を駆けたこの副官は一切私に遠慮することはない。
だからこそ副官としているのだが。
「私が直接出る」
「駄目です」
案の定今日も出撃を止められてしまうが、今日ばかりは彼の進言を聞くわけにはいかない。
「では英雄部隊を止められる奴がいるのか?」
「……所詮10人です。重装騎馬隊の働きで奴ら以上に皇国に被害を与えられています」
私直属の重装騎馬隊はその機動力を生かし、英雄部隊との交戦を徹底的に避けて奴らがいないところを攻撃している。
要は英雄部隊から与えられる損害より、こちらがそれ以上の損害を与えればいいということだ。
だが、切り札であったレッドドラゴンが奴らにやられてしまった以上、これ以上奴らを野放しにするわけにはいかなくなった。
この乱戦で英雄部隊は密な連携を取りづらくなっているはず、この機会を逃すわけにはいかない。
私は副官の静止を無視することを決め、前線へ向かう。
「将軍!」
「心配するな。そろそろ私の子どもが生まれてる頃だ。無茶はせんよ」
槍兵が刹那の間に3人の王国兵の喉を貫いた。
勇気ある兵達が、何とか彼の槍の間合いに踏込もうと数人がかりで一斉に襲いかかったが誰一人、間合いのうちに入ることができない。
あの腕前、英雄部隊の一人に間違いないだろう。
槍兵の周りを王国兵が槍を構えて囲む。
前も後ろも針の筵状態で逃げ場がないにもかかわらず、槍兵は焦った様子は見せずどこまでも冷たい目で、王国兵の位置と得物を確認している。
槍兵の持つ槍は2.153メートル、王国兵の持つ槍は3メートル±10ミリで周りを囲む槍兵の方が武器の間合いは遥かに長い。
普通に考えれば圧倒的に有利な状況ではあるが、その視線に晒された王国兵は蛇に睨まれたカエルのように「ひっ」という情けない声を上げて体を硬直させてしまう。
それも仕方がないだろう。奴に何百という仲間が殺されたのを見てきたのだ。
そんな化け物の次の獲物になったと思えば逃げ出さないだけ立派だ。
槍兵はその隙を見逃さず悲鳴を上げた王国兵の方に踏み込んだ。
悲鳴を上げた王国兵が咄嗟に反応して槍を突き出すが、槍兵は顔色ひとつ変えず頭を傾けて槍を避ける。
突き出された槍、その内側に入った槍兵、どうなるかは明らかだ。
王国兵の喉を狙い、槍兵の精確無比な突きが繰り出される。
だが、私の見ている前で、槍が王国兵の喉に到達することはなかった。
「え?」
その声は狙われた王国兵からなのか、英雄部隊の槍兵からか、あるいは両方か。
だがそれはどうでもいい。
重要なのは槍兵の両腕が切断され、王国兵が無事だという事だ。
「いっ……今だ!あの化け物を殺せ!」
槍兵が両腕から急に血が吹き出し、それを見た王国兵は訳が分からないといった様子だが、それでも巡ってきた絶好のチャンスに王国兵が槍兵に殺到する。
(まずは一人)
私はいつもの黒いフルプレートアーマーではなく、一般的な歩兵が着る皮鎧に身を包んでいる。
この乱戦の中、雑兵の格好をした私に気付く者はいない。敵にも味方にも。
(次は……)
対して英雄部隊の場所は乱戦の中でもよくわかる。
派手に人が死んでいる方向に行けばいいのだから。
私は自分の足元から触れた物の形を認識する空間魔法『認識空間』を広げる。
範囲を広げるため薄く延ばされた認識空間は、人の足の場所しか私に伝わってこないが、次々と『ある足』に近づいた足が地面から離れていく場所がある。
「そこか」
私は次の英雄部隊の位置を見つけるとその方向に雑兵に紛れて進んでいく。
襲い掛かってくる皇国兵を適当にいなしながら、あと少しで目的の場所辿りこうとした時、頭上から人が飛んできた。
私はまっすぐ目的地に向けて走る足に急制動をかけると、人が目の前に鈍い音を立てて墜落した。
地面に横たわった人は、やはり王国兵だった。
胸が大きく陥没していて口から血を吐いて絶命している。
人一人を空中に吹き飛ばすほどの衝撃の前に防具は意味をなさなかったようだ。
王国兵が飛んできた目的地の方を見ると、そこには全身を鎧に身を包んだ巨漢が、その巨体に見合ったハンマーで王国兵を殴りつけている。
王国兵は盾を構えるが、巨漢は全く意に介さず盾ごと王国兵を叩き潰してしまう。
あの怪力、英雄部隊の一人だろう。
そしてもう一人、ここに来るまで気付かなかったが、英雄部隊がいた。
その男は弓兵。この男もまた人間離れした怪力を有しているようで、放たれた矢は盾を貫き、そのまま体に盾を縫い付けてしまう。
一矢一殺。
それを次々と速射しているのだから質が悪い。
二人の英雄におびえて近づけない王国兵に混じった私にも、正確無比で強力な矢が飛んでくる。
(この矢使わさせてもらうぞ)
私に向かって真っすぐ飛んでくる矢の軌道を、自分を包むように展開した認識空間により正確に予測する。
着弾点は丁度私の喉仏、周りに転がっている兵と全く同じ場所だ。
私は喉の前に転移魔法の入り口を開く。
鉄をも貫く威力だろうが、精確だろうが、私には関係ない。
私には死角はないし、わかっていればどんな攻撃でも別の場所へ飛ばしてしまえる。
喉の前に開いた転移魔法の出口は、そこで暴れまわっている巨漢の後頭部だ。
敵のみを貫く必中の矢は、その強大な運動エネルギーを一切衰えさせることはなく味方の死角から襲い掛かる。
「うお!」
だが巨漢は驚いたような声を上げて体を前に折り曲げギリギリのところで矢を避けた。
私の魔法を感知したのか、それともカンのようなものなのか。
流石英雄の一角といったところだ。いまの芸当ができる人間がこの世にどれほどいるだろうか。
彼はまさに、英雄と言われるにふさわしい戦士だった。
「ごふっ……な……にが……」
巨漢の戦士の左胸に矢が突き立った。
私は彼の後頭部にあたるように矢を転移させたが、避けられてしまったので矢をもう一度転移させて、体を前に折り曲げた彼の胸を狙って再び下から転移させたのだ。
彼は金属鎧に身を包んでいたが、英雄部隊の弓兵から放たれた矢の攻撃力は、その鎧の防御力をうわまわっていた。
「フェリオンどうした!」
弓兵が巨漢の戦士が倒れたのを見て、周りを見回して警戒する。
彼の胸を貫いた矢の出所をさがしているのだろう。
弓兵はすぐには走り寄らず、周りを警戒しながらゆっくりと巨漢の戦士へと近づいてくる。
私は今度は適当に頭上を飛び交う矢を転移させて弓兵の周りに配置する。
その矢の数は125本、至近距離でなおかつ、あらゆる方向から急に殺到する矢の前に、弓兵は手持った弓を振るって何本か弾き落としたが、ほとんどの矢が弓兵に突き刺さる。
心臓は金属の胸当てで守られているため、雑兵の矢では貫けなかった様だが、残りの皮鎧には矢が突き刺さって全身から血が噴き出す。
弓兵は弓を持ったまま膝を付き、動かなくなった。
3人の英雄部隊を仕留めた私は次の獲物の姿を確認した。
その男が纏う死の気配に背筋が凍る。
「死神?」
私はその気配に当てられて、ついあり得ない存在を口にしてしまう。
私はその男が誰かを確認すると転移魔法を利用し、今着ている歩兵用の皮鎧と、テントに置いた愛用の黒いフルプレートアーマーを交換する。
顔全体を覆う兜で視界が悪くなるが、認識空間を使えば視界など関係ない。
その男は英雄部隊の中で最も若く、危険とされている竜殺しの剣士。
この鎧に着替えたのは彼に対する礼儀だ。
副官には彼との戦いは避けるように言われているが……
「レイ=スコット久しぶりだな」
「黒騎士……」
私は彼からの決闘を受けておきながら撤退した借りがある。
レイ=スコットは以前に会った時はまだまだ甘さの抜けないように見える少年だった。
恐怖に潰されそうになりながらも必死に泣くのを我慢している子供。
だが今は違う。目が違う。肉体が違う。覇気が違う。
この数か月で彼は一人の男となっていた。
「会いたかったですよ」
「あの時は済まなかったな。続きをしよう」
私は久しく感じていなかった感情を思い出した。
この感情は何だったかな。