幼馴染に貰ったオナホでオナニーしてたら幼馴染が妊娠してた話 作:タナん
全身の力が抜ける。視界が霞み灼熱の戦場が酷く寒い。
1秒過ぎるごとに死が迫ってくるのがはっきりとわかる。
だけど剣を持つ腕にだけは意識を切らさない。
この剣を落としていいのは死ぬ時だけ。
死ぬのは
黒騎士か
俺か
まずは落ち着こう。
横目で転がった俺の腕の位置を確認する。護りの魔法が込められていたペンダントは、腕ごと切断された小手に握られたままだが、宝石部分が砕けてしまっていて何の魔力も感じられない。
黒騎士は片手で剣を持ち上げてまっすぐに立つ。
折れた右足には体重をかけず、左足を軸足にして頭まで真っすぐに芯を通った待ちの構え。
剣のリーチはほぼ同じ。
お互いに血がこうしている間にも失われていてもう数分もすれば行動不能になるが、それが早いのは俺の方か。
よくわかった。あとは戦うだけだ。
剣を下げ、体を前傾させて少し腰を落とす。
狙うは一点。
この地獄に流れる熱く濡れた空気を肺一杯に吸い込み息を止める。
「フッ!」
地面を踏みぬく。硬く踏み固められた地面が砕ける程の踏み込みは、俺の体を真っすぐと黒騎士の方へと動かし、同時に剣の切っ先を黒騎士の心臓へと向ける。
剣の切っ先は黒騎士へとただ真っすぐに。ただ速く。ただ全力で。
この一撃は俺の全てを乗せた限界最速の一撃。
これ以上の攻撃は無く。二度目もない。
さあ黒騎士よお前の剣は俺より速いか?
俺の左耳が切り裂かれた。
世界が止まった。いや、思考が更に加速しただけだ。ゆっくりとだが動いている。
未だ俺の剣は黒騎士の胸へと到達せず、黒騎士の剣は俺の耳を削いで肩を砕かんと向かってきている。
ここはまだ黒騎士の間合いの外のはずだが黒騎士の剣は既に俺に届いている。
どうやった?魔法を使えたのか?
ゆっくりと動く世界で少し考えるが、黒騎士の手元を見ればすぐにその答えはわかった。
黒騎士の剣の柄頭は丸く膨らんでいるのだが、黒騎士はその柄頭を人差し指と中指の間に挟んで、拳一個分だけ剣を長く持っていたのだ。
その特異な握りで指と剣の間を一つの新たな関節とし、増えた関節は彼の剣速を俺の知らないもう一段上のものへと昇華している。
確かに構えているときは普通の持ち方だった。
となると持ち替えたとしたら俺が攻撃へ移った一瞬の間ということか。
どうする? 魔法は使えない。
肩の肉に剣が食い込む。
避けるか? もう無理だ。
肉を割いた剣は衰えることなく鎖骨をミシミシと軋ませる。
どうやらあの持ち方でも十分な威力を持っているようだ。
鎖骨に剣が食い込み始めた。
左腕があれば腕を突き出して威力を弱められたかもしれない。
俺が金属鎧を着ていれば弾けたかもしれない。
転移魔法を封じた時点で仲間と共に戦えば倒せたかもしれない。
かもしれない
かもしれない!
かもしれない!!
決してあきらめたわけではない。加速された思考で今も必死に最適解を探している。だが……打つ手がない。思いつくのは全てかもしれない
このあり得ない程引き伸ばされた思考は死ぬ間際の走馬灯というものなんだろうか。
それはつまり俺の体は死は避けえぬものとしているという事なんだろうか。
鎖骨と共に心が折れる音がした。
それでも俺の思考はなお加速していき、さらには視界も遠くなっていく。
剣を振り下ろす黒騎士の姿が目の前にいるはずなのにそこにいない感覚。
これが死か?
黒騎士の姿がどんどん遠くなり、代わりの自分の中に意識が落ちていく。
己の中へ落ちていく。
そして視界が黒く塗りつぶされた。
『あれ?ここは?』
黒く塗りつぶされていく視界が、いつの間にか全く別の物を映していた。
見覚えがある。まだ一年たっていないが既に懐かしさを覚える光景。ここは学園の廊下だ。
廊下にはあちこちで生徒たちが談笑している。生徒達の中には顔の知っている人物もいて、俺は今の状況を確認するために声をかけようとしたが、体が全くいう事を聞かず勝手に廊下を歩いている。
視線すら俺の意思を無視して勝手に動き回り、学園の視覚情報を勝手に俺に伝えてくる。
俺は何を見せられているんだろうか? 俺は幽霊にでもなってしまったのかとも思ったが、すれ違う生徒達が何やら俺の方をジロジロと見てくるため、確かに肉体は存在するらしい。
俺は体の成すがままに廊下をしばらく歩いていると、ある女生徒達がひそひそとだが、はっきりわかる声で話しているのが耳に入ってきた。
「シャロ様のお腹見ましたか? 一体どなたとの子なんでしょうか」
「私はシーダ王子と関係を持ったと聞きましたわ」
「やっぱり戦争で学園が閉鎖していた間かしら?」
(シャロのお腹?)
体はその噂話をしている女生徒達の方へ歩みを進め、彼女達の前で立ち止まると懐かしい声が聞こえてきた。
「何の話をしているの?」
姿は見えない。
でもこの気丈で……生意気そうで……でもとても綺麗な声は……間違いない。俺の最愛の人、シャロの声だ。
視界にはシャロの姿はなく、でも確かに俺の全身に心地よく声が響いてくる。
この体の持ち主は……シャロだ。
「あ……いえ……なんでもありません」
「そう」
シャロの噂をしていた女生徒達は本人の前で気まずそうに黙り込む。
シャロはそのまま女生徒達へ何を言うでもなく通り過ぎ、椅子を引いて席に着くと視界を下へとすっと下げる。
そこには胸のふくらみで少し見えずらいがすこし膨らんだお腹があった。
シャロの授業を受ける態度は何も変わらない。変わったのはシャロを見る周りの目だけだ。
膨れたシャロのお腹を奇異の目で見る生徒達。
でもシャロはそれを見せつけるかのように背筋を伸ばして堂々と座る。
お腹のふくらみが目立ち始めた今、貴族の子女である彼女は適当な理由をつけて休めばいいだけで、わざわざ学園など通う必要はないはずだ。
どういう思いで彼女は学園に通い続けているのだろうか。
彼女の思いは俺にはわからないが、なにがあろうと決して自分の道を曲げず真っすぐ進む彼女はとても彼女らしく美しいと思った。
俺が何度も心が折れそうになっても道を曲げる事を自分に許さなかったのは、彼女の影響なのかもしれない。
場所が変わった。次はシャロの家だ。
シャロのお腹はまた大きくなっていて安楽椅子に座って編み物をしている。
隣にはシャロの母親がいてどうやら編み物をシャロに教えているようだ。
そこに扉を開けてフィリップが部屋に入ってきた。
「何をしている?」
「あ、父さま。ちょっと赤ちゃんの靴下編んでたの」
「わざわざそんなことしなくても用意しているが……」
「こういうのは自分で作ってあげるからいいのよ。ねえ?母さま」
「ええ、本当にあなたは昔から女の事をわかっていないのね」
「むう……」
また場所が変わった。
ベッドの上で足を開いて横たわり、母親や使用人達が周りで心配そうな顔、真剣な顔、十人十色の表情でこちらを見ている。
「ああああああ!」
(シャロ?!)
シャロが叫んでいる!
何が起きたんだ?!
「お嬢様、あと少しですよ!」
あの気の強いシャロが悲鳴をあげている。ただごとではない。
叫び声をあげては歯を食いしばって痛みに耐え、視界が曇っていることから涙を流している。
愛する人が辛いときにそばで支えてあげられないのはなんてつらいんだろうか。
(シャロ!俺はそばにいる!)
俺は無駄と知りながらもシャロへ必死に声をかけようとする。
何とかしてあげたいという思いは届かずシャロは悲鳴をあげ続けている。
でも俺は何度も何度もシャロの名前を呼んだ。
どれほどそうしていたかはわからない。
シャロの叫び声が聞こえる限り、俺はシャロの名前を呼び続けた。
そして大きな泣き声が部屋に響き渡った。
高くて大きな赤子の泣き声だ。
「無事に生まれましたよ。お嬢様」
赤ん坊の顔はよく見えない。でも産まれてくれた。
シャロは俺の子供を産んでくれたんだ。
ただその事実だけでこの世の全ての幸せを独り占めしているかのような気持ちが溢れてきた。
俺にはわかる。この子は俺の子供だ。シャロと俺の子供なんだ。
赤ん坊を取り上げた産婆は笑みを浮かべながら、こちらへと赤ん坊を手渡す。
息も絶え絶えのシャロはそれでも最後の力を振り絞り、赤ん坊をその胸に抱いた。
「かわいい……」
多分は彼女は笑ったんだろう。
その笑顔は俺も知らない慈愛に満ちた優しい微笑み。我が子の誕生を祝福し、この世の全ての悪意から守る決意が込めらた強い微笑み。
今、シャロは母親になった。
そして俺はまた戦場に戻る。
今の光景はなんだったんだろうか。
シャロと俺をつなぐ魔法の力なのか、神様の気まぐれなのか。
どちらにせよ本当にうれしかった。
俺はシャロの夫であり、父親になった。
父親とは子供にとって一番強い存在でなくてはいけない。
少し肩に剣を喰い込まされたくらいで死ぬわけにはいかない。
「あああああ!」
俺は右腕で剣を突き出した状態で左肩に迫る剣を避けるため、地面を蹴って体を捻って左回りに回転させて剣から肩を抜こうとする。
だが筋肉だけでは駄目だ。たとえ体が万全の状態であってもそれだけでは黒騎士の剣速より速く動くことなど不可能だ。
となればやはり魔法を使うしかない。
血液の中のマナはスカスカで乱れに乱れて全く言うことを全く効かない。
でもマナが乱れるという事はまだ僅かながら存在するという事。制御するしかない。
俺の血だ。俺のマナだ。なぜいう事を聞いてくれない。
俺は何度も血液に残ったマナへ呼びかける。
『レイ』
シャロの声が聞こえた。
乱れたはずの血液中のマナが静まり返った。これなら……できる。
俺は自らの血に命令を下す。
動け。
俺の全身に赤く枝分かれした光のラインが浮かび上がった。
水よりなお俺の濃いマナが含まれた液体である血液が血管の中で指向性をもって筋肉に沿った動きを始める。
この魔法により血液は俺の肉体を内側から物理的に押し、地面を蹴るあらたな筋力となる。その結果、肩を切り裂く剣よりなお速く俺の体は宙で回り始め、黒騎士の剣を置き去りにした。
俺は黒騎士へ踏み込んだ勢いのまま黒騎士とすれ違い、地面へと伏せるように着地する。
俺は振り返ると黒騎士がその指で剣を挟む持ち方の影響か、剣を止める事ができず、地面へと剣が突き刺さっていた。
この戦いで初めて見せた明確な隙、俺は獣のような伏せた態勢から一瞬で黒騎士へと近づき、その腹へと剣を叩き込んだ。
俺の新たな魔法により、黒騎士は反応が追いつかない。
だが、黒騎士の腹には俺の剣は全く歯が立たずに弾かれてしまった。
反動で手が痺れ、剣を落としてしまうが、黒騎士が剣を地面から切り上げてきて剣を拾わずそのまま後ろに跳んで攻撃を避ける。
なんて奴だ。黒騎士も未だに空間魔法による防御が使えるのか。
「ふん!」
黒騎士が折れた右足を踏み込み、俺との距離を詰めてきた。足が折れているにも関わらず、その踏み込みは一切衰えを見せない。
今の俺の血の魔法の速度をもってすれば避けることは可能だが、俺はあえてその場に留まる事を選択する。
俺は丁度足元に落ちていた俺の腕を足で蹴り上げ手に取ると、黒騎士の踏み込みからの斬撃を腕に付いた小手部分で受け止めた。
黒騎士の剣は俺の腕に付いた小手の鉄板を凹ませ、引き裂こうとした時、鼓膜を突き破る轟音と共に爆炎が黒騎士の剣を押し返した。
「な?!」
これが俺の最後の仕掛けだ。
小手の爆発により黒騎士の剣は大きく弾かれ、俺との鍔迫り合いで半ばまで切断されていた黒騎士の剣は真っ二つに折れて凄まじい勢いで飛んでいく。
俺は魔法により強化された赤い腕で回転しながら飛ぶ折れた剣先を空中で捕まえ、そのまま黒騎士の衝撃により伸び切った腕へ叩き込んだ。
攻撃する瞬間ならば空間魔法による防御は動きを阻害するため解除しているはず。
そして爆発による衝撃で混乱から立ち直り、魔法で防御するごく僅かな隙を俺は神速の一撃で捉えた。
この小手の腕の部分は二重構造になっていて、その鉄板の隙間にモジュール状に小分けにした爆薬を詰め込まれている。
この爆薬は衝撃を与えても火をつけても起爆せず、電気魔法によってのみ爆発するという特殊なものだ。
二重構造の外側の裏側には電気魔法の魔法陣が刻まれていて、鉄板が破断するようなダメージを受けた時、ごく微量の電気が爆薬へ流れ起爆するようになっている。
爆発により吹き飛ばされた鉄板が触れた剣を押し返すこの最後の仕掛けは一回きりの奥の手だ。
第3研究室の教授が、丁度シャロにオナニーを報告するよう命令されたくらいに開発したもので、これなら小手に刻んだ魔法陣でファイアボールを撃っても爆発しないため仕込んでおいた。
「見事」
黒騎士はそう言うと両腕失った体で膝をつき首を垂れた。
黒騎士は負けを認め、俺に首を差し出してきているのだ。
俺は黒騎士の首へ折れた剣を当て、返答する。
「和平を」
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