実はキャラ崩壊タグをつけた一番の理由が、前話の「パーティー②」の存在でした。ナイチンゲールの信頼3台詞を真っ向から否定する形になってしまったので。
ですがもうやっちゃったものは仕方ないし、何だったら現実逃避は最初から決めていたので、このままGOします。
「………愛撫が、足りなかったのかもしれない」
「……いきなりどうされたのですか?クラヴィスさん」
現実逃避をすることを決めた、翌日。
私は1つの推論にたどり着いていた。あるいは、断言できるかもしれない結論とも呼べるが。
私の独り言を聞きつけたリズが訊ねてくる。今は仕事中で、リズはソファに座っているため彼我の距離は意外とある。それなのに聞こえていたということは、存外に声高だったのだろう。
「私は考えたんだ。前回リズと事に及ぼうとしたときに失敗したのは、確かに君の体が常人のそれではないことが原因だった。しかし、本当にそれだけなのか?私たちが初心者故、何か手順に不備があったのではないか?と」
そう。
大抵の物事の失敗というのは、ただ一つの要因だけが理由になるということは少ない。いくつか穴が存在していたと穿っても何も問題はない。
そうして私は今日、仕事の合間にちょこちょこと調査を再開し、少し幅を広げ、新たな見地を得た。そうして、とある結論をはじき出した。
「______そう。女性の性的快楽とは、精神快楽と愛撫の場所・時間が多大に左右されるらしいんだ。じっくりと丹念にすれば、全身すら性感帯になり得るそうだ」
「………それは、初耳です」
「私もだ。前回も、確かに顔やお腹など様々な所に触れたが、次回はそれ以上に入念に行うのがいいだろう。それに、予定ではもうじき____」
「邪魔するぞドクター」
と、その時、執務室の扉の開く音と、少女じみた声が聞こえた。最近聞く頻度の高い声である。そして、私が丁度話題に挙げようとしていた人物のものでもあった。
「いらっしゃい、ワルファリン。用件は?」
「ああ、
そう言って、肩にかけた鞄からガラス瓶のようなものを取り出す。乳白色の物質が収められており、私たちに今最も必要な物質であることを察して、少し期待感。
「それが」
「ああ、“生殖器活性塗布剤”だ」
トン、と机に置かれた件のガラス瓶。改めて見ると、結構な大きさであることが窺える。350mlのペットボトルより少し大きいか。
「服用は簡単。1日1回患部に塗布するだけだ。出来れば、毎日決められた時間にな。効果については、モルモットでは正しく効果が表れた。ただヒトに用いるのはこれが初めてだから適宜こちらに効果を報告してくれ。あるいは調整などもあるやもしれんが、ナイチンゲールの体を害することはないだろう」
さて、とワルファリンが仕切り直す。その瞬間、纏う雰囲気が変わったのを感じ取った。
「正直な話、どのような形で人体に影響するか、具体的に何日で効能が浸透するかは明確な数字は出せない。リスクも全くないわけではない。それでも______それでも、これを望むか?」
いつにない真剣な雰囲気。医者としての彼女を垣間見つつ、視線はいつの間にかワルファリンの傍まで寄って来ていたリズに向ける。
当然、その顔は決意に満ちていて。
私も同じ気持ちだから、数秒のアイコンタクトだけを経て口を開いた。
「私たちに、新世界への鍵を」
「…………よい。それでこそ妾たちのドクターだ」
ぎゅっ、と塗布剤を両手に握らされた。
「ドクター、しっかりやるのだぞ…………ちゃんと、ドクターが手づから塗ってやるのだぞ」
「……ん?」
耳元に口を寄せられ告げられた言葉。つまり「お前がリズの膣に直接塗ってやれよ」ってことか?
……私が塗るのか!?
「え、いや、あの」
「くふふ、焦っておる焦っておる。当然だ、それには
「……クラヴィスさん、どうかされたましたか?」
「あ、ああいや。何でもないさ。それで_______」
その後、一回の服用量の目安を聞いたり、最近の医療班の最近の調子を聞いたりと世間話を交わし、しばらくしてワルファリンは帰っていった。
相も変わらず自由だが、ちゃんとワルファリンも医者としての考えを持っているんだな、ということがここ数日で分かり、少しホッとしたな。
「……はぁ……それで、私たちはさっきまで何の話をしていたんだっけか………ああ、そうだ。私たちの次回についての再案だったか」
言いながら、先ほどまで切っていた端末を再起動させる。
すると、すぐ右で一糸の金色が視界に入った。
「………先ほど、ワルファリンさんに耳元でどのようなことを言われたのですか?」
「……っ?」
ぐいっ、と顔を近づけられたのを感じる。いつもの
けれど、その匂いに反して若干言葉に感情が乗っている気がする。
「……もしかしてリズ、拗ねているのか?」
心当たりがあった。
いつの日か、私たちの巣である執務室にスペクターとクオーラが入ってきたことがある。クオーラはお話をしに、スペクターは私に悦楽を求めに。
そのとき、「私自身の手による悦楽」として彼女の頭を撫でていると、リズがちょうど今と似たような声____少しだけ棘があって、かつ甘えを含んだ声。
「……この塗布剤は、私が塗った方がいいそうだ」
この声に、私はどうにも弱いらしい。
少し躊躇われるような内容でも簡単に口から漏れ出てしまう。
「………それって……」
「ああ、これからしばらく毎日、君の膣にある程度触れる必要がある」
「……………っ」
一瞬で、リズの顔が朱に染まった。きっとあの時の得も言われぬ高揚を、刹那のうちに思い出したのだろう。
かく言う私も一瞬だけ記憶から引っ張り出てしまったが。
「……わかりました。貴方の手で、塗ってください」
「………了解」
ひどく恥ずかしそうにしながらも、やはり覚悟は決まっているらしい。それならば、私は彼女の意思を無視しない。蔑ろにすることだけはしたくない。
しばらく、毎晩にリズと触れ合うことが決まった。
仕事の疲れは取れるだろうが、精神疲労が取れなさそうだった。
*************
数日後。
何時ものように執務室に籠って仕事をしていた私は、1つの奇妙な記事を発見した。ちなみに、リズは医療班の方に足を運んでおりモチベーションが下がっていることは無視するものとする。
「………“道具を使った膣拡張”……?」
全く意味が分からず、サイトを覗いてみる。
瞬間目に飛び込んだ、ピンク色の細長い物体。
他にも同じピンク色の紡錘形の物体や明らかに“アレ”を模して造られているであろう物体などなど……。
「“ローター”、“バイブ”……“電気マッサージ器”?これはただのマッサージ器ではないのか?………なるほど、振動を与えることを逆手に取るということか」
「大きさの小さい順に慣らしていく……?なるほど、ドレッシングと同じように最初は小さいものからということか。そうなると、塗布剤がどこまで膣活動を活性してくれるかによって変わってくるな……それに合わせて必要なものを決める、というのも面倒だ………」
「………なるほど、マッサージ……大陰唇を中心に揉んでいく……??なるほどな?」
「_________」
「_____」
_____
___
_
あれからしばらく調べ物をした後、私は執務をほっぽって廊下を歩いていた。
目的の場所はそれなりに遠い。普段からあまり歩かない私だから、実際はもっと近いのかもしれないが。
誰がいるだろうか。クロージャならまだいいが、一般男性オペレーターであった場合は少し面倒くさい。あらぬ邪推をそこらの誰とも知らぬ人にされるのは、なんとなく気分が悪いからだ。
その点クロージャは
「______邪魔をする」
「お、いらっしゃいドクター!今日はどんな要件かな?FPか、購買資格証の方か、それとも……」
ウィーン、と自動ドアが空いて
よかった、今日はクロージャがいたようだ。
「やあ、クロージャ。元気そうでなによりだが、今日はそのどれでもない」
「じゃあ、砂虫とかオリジムシとか?」
「でもない。実は、
そう言って、持ってきた情報端末を起こし、私が先ほどまで閲覧していた画面を見せる。
しばしの沈黙がこの場を支配し。
「______ぷ」
「……ぷ?」
「あははははははははっ!!!ちょ、ドクター!あははは、それ、まさか、アダルトっ、くく、ははははははっ、最高だよドクター!!!」
盛大に笑われた。
「………それほど可笑しかったか?私の手元にはなく、かつ有用そうだったから仕入れてもらおうと思ったのだが」
「くくっ……いいや、すごくイイよ!最高に面白い!わかった、どれにする?」
「ええと……」
とりあえず欲しいと思う道具を、1つずつ挙げていく。
「____こんなに!?一通りなんて、やることやってるんだね!」
「……それは分からないが、まあ私たちにはきっと必要なものだからな。しかしどれがいいか分からないから、とりあえず代表的なものは全部持っておくことにしたんだ」
備えすぎて困ることはない。特にリズは疾患を抱えているから、全部試していけそうなやつを選別していく必要性が極めて高い。
塗布剤との併用を考えたとき、結構なシナジーを生みそうだという結論を出した上での行動だった。
「とりあえずこれで。どうだ、仕入れられそうか?」
「当然、あたしは天才エンジニアのクロージャ兼、購買部のトップだよ?顧客の求めるものを揃えるなんて朝飯前だよ」
「……そうか、では完了したら連絡をくれ。すぐに取りに行く」
「くれぐれも、
「……?ああ、それじゃあよろしく頼むよ」
「しっぽり」の意味は分からなかったが、釘を刺されたということだけは分かった。だが心当たりがないので適当に誤魔化しておいた。
とりあえず目処は立ちそうだ。これは、私たちの状況が一気に好転するかもしれない。
軽くなった足取り任せに、執務室への帰路を歩いていった。
「それにしても、ドクターとナイチンゲールがそこまで進んでるだなんて……これは面白くなってきたね!」
ロドス愉悦部
クロージャ
ワルファリン