「え……ぁ………」
「ひぃ、ぁっ……?!」
______温かい。
リズの膣内は想像以上に狭く、第一関節が埋まっているだけでも、そのシリコンのようなぐにぐにとした感触に押し返されそうなほどだ。
しかし前回とは違い、膣口からは
「……痛くは、ないか?」
恐る恐る訊ねる。
あの日のような痛みはもう御免だから、傷つけないようにいちいち聞いてしまう。
「……はんっ、んあ…大丈夫、です………むしろ……」
「…………むしろ?」
「………触れる箇所から、腰が震えて……変な感覚が………っ」
その言葉の通り、後ろに背をもたれて座っているはずのリズは腰から足にかけて微弱に痙攣している。
「………指、もう少し大丈夫そうか」
とっくに脳の機能は興奮で低下していて言葉足らずになる。伝わるかどうか微妙なラインだったがどうやらリズにはしっかり真意が通ったようで、彼女は湯だった顔で目を瞑りながらただ微かに首肯した。
それを確認したのち、右手の人差し指をずぶりとより差し込んでいく。思った以上に愛液が分泌されているのか、狭さのわりに中へ入れるのは容易だった。
が。
「うわ……うわ、うわ……」
「あ……は、あああああぁっ……」
その膣の絶妙さに、驚きの声を上げずにはいられなかった。
先ほども感じた通りの、生温かいシリコンじみた感触。それだけにはとどまらず周りには細かなヒダのようなものが無数に存在していて、人差し指一本をも微弱に刺激してくる。件の粘液はこの中から分泌されているらしく、絶えずぬるぬるとしていて、まるでこの中に咥え込まれているかのような錯覚さえ覚えた。
___ただ指を突っ込んでいるだけなのに、変に背中がぞくぞくする。
………じゃあ。
………たったの指一本____なんてことない器官でさえ、こんな風に得も言われぬ快楽を感じてしまうのなら。
「…………う、おぉ……」
とうとう、人差し指が私の手から見えなくなった。深々とリズの膣内に刺さっている。少しでも動かせばぬるんと粘液がひっかかり、うかつに動かせない。
「はう、はぁっ……」
今度こそ正常な快楽を得ているのか、先ほどからリズは時折体を震わせながらずっと荒い呼吸を繰り返しているだけ。
足には力が入っているのか、彼女は足を閉じてなんとか耐えようとしている。丁度彼女の両腿の間にいるから、その力み具合はよくわかる。
「リズ、今日はここまでにしよう」
「ああぁっ………く、クラヴィス……さ…ん……っ?」
「……リズ、大丈夫か?指抜くぞ……」
「え__……ひゃぅっ?!」
力を込めて彼女の性器から人差し指を引っこ抜く。それに合わせてひと際甲高い声が彼女の口から発せられた。
抜いた指を見れば、私のものではない無色透明の液体がまとわりついている。親指にこすりつければ、その分ニチャ…と粘性の高い音がした。
………非常にいかがわしい。
「……はーっ……はーっ………」
「……………だ、大丈夫か……?!」
まさに息も絶え絶え、会話すらままならないリズの様子に言いようのない不安を感じ、うわずった声が出てしまった。
私が抱いたのは、病弱なわりに激しい呼吸をしている故の身体への不安ではなかった。
“会話も少なく、まともに言葉も交わせないまま一方的にしてしまった”という、親しい人なら当然するべきコミュニケーションが断絶したような感覚。
いや、もしかしたらこれこそが正しい“前戯”の一種なのかもしれないが____それでも、この心が抉られたような喪失感は中々に堪えるものだった。
「………ふー、っ……今でこれなら……ちゃんと機能するようになった暁には、私は一体どのようになってしまうのでしょう………?」
気力と体力が戻ったのか、先ほどまでベッドに投げ出していた体を起こしたリズ。長く綺麗な髪は乱れに乱れ、まだ呼吸は戻っていない。
「…………リズ、すまない。君の様子を気にかけもしないままで」
「気に病むことはありません、クラヴィスさん。あのようにされるがまま、というのは………」
「………というのは?」
「………その、新しい何かが得られそうで……もっと、体験してみたいかもしれません………」
………。
「………リズ」
本当に、本当に気恥ずかしそうにしながらもきちんとこちらの目を見て伝えてくるリズ。そんな彼女のことがどうしようもなく愛しくなって、すぐさま彼女を懐に迎え入れた。
「……君はやはり、非常に可愛らしいな」
「………いきなり、そのようなお言葉は…………でも。貴方との抱擁は、とても心地が良いです………」
軽く、けどしっかりした二本の感触がゆるりと背中に回される。小さく頼りない彼女の膂力だから、代わりにその分こちらの力を強めるべく更にきつく抱きしめた………私にも、膂力と呼べるものはほとんど備わっていないが。
「……興奮しすぎて、理性の箍が外れそうになったよ。恐ろしいな………」
右手を背中から腰に、左手を頭に回してリズの頭を撫でる。
柔らかくふわふわとした薄金色の絹糸は触っているだけでも___見ているだけでも愛でたくなってくる。さながら毛並みのいいペットへの愛玩欲とも表現できるだろうか。
無論彼女のことをペットだと思ったことは一度もない。
「……クラヴィスさんに、頭をこうされるのは……非常に、心が安らぎます………ん、ふ……」
「……私も、嫌なことなんてすぐに消えていく……リズとこうして触れ合っていると、今にも寝てしまいそうになるな………いっそのこと、寝る前にこうでも出来ればぐっすりと眠れるだろうに…………」
「……それなら、明日からでもして差し上げましょうか?」
「……はは、もし本当にそれをするなら、私とリズが同じ床に入るでもしないと厳しいだろう………流石にそれは君も身構えてしまうのではないか………?」
「私は……以前から、貴方と共に眠りたいと思っていましたが……」
「…………え?」
「……?」
「え………そ、そうなのか?」
「…………ええ。私は……実は、あまり睡眠で休息が取れているとは言い難いのですが、以前……行為がうまくいかなかったとき、貴方の側で眠ったときは、とてもいい寝覚めだったのを覚えています」
「……あ、ああ…………そう言えば、あの時は疲れ果てて倒れ込むように寝てしまったのだったか」
「はい……貴方の匂いと、温もり………それらに溶け込んで、暗闇の中へと微睡んでいく感覚。まるで揺り籠のような安心感………ええ、あれは、ひどく心地がよいのです………」
「……そんなに言うなら、大丈夫か………わかった。明日からは試しに同衾してみようか」
「………少し、動悸が起きますね」
「……起きたら君が隣にいるなんて、朝から気力が吸い取られてしまいそうだ………」
_____そんなこんなで、いつの間にかリズと
あれ?
*************
「______ああ、ドクターか。定期報告か?」
翌日。
私はワルファリンの研究室を単身で訪れていた。リズは今日は医療チームの方に顔を出しているが、何故かワルファリンは彼女のテリトリーにいた。何故だろう。
「ああ、昨日の結果だ」
ひょいとまとめたレポートを手渡す。今朝起きて朝一で仕上げたものだ。
内容は、昨日のリズの性器の変化。指が一本入り、愛液が分泌されるようになったことを事務的に書き記している。
それを受け取ったワルファリンはしばらくそれに目を通していたが………。
「っぷ、くく……報告結構。効果については問題なさそうだな……くっ」
「……そうだとは思うが、どうして笑っているんだ?どこかおかしかったか?」
「いいや、大丈夫だ………事前の予想を上回る反応が出ている……これはもしや……くふふ、ナイチンゲールも中々面白いではないか」
「……ワルファリン?」
どうしてか笑われていた。
記述ミスやタイプミスがあったのかと思ったが彼女はそんな細かなミスで人を笑うような性格ではない。では何がそんなに面白かったのかと言われれば、私には皆目見当もつかないのだ。
「まあ、しっかりと薬が効いているようで良かった。これからも励むといい」
「……?ああ、そうする。それじゃあ、早々に私は帰るよ」
元々そのレポートしか手に持って来なかったため、帰りは完全に手ぶらだ。一応財布は持ってきているから、なにか飲み物でも買って帰ろうかな。
「あ、ああ……健闘を祈る……っくく」
そして足早にワルファリンの研究室を出た。
ちなみに初めて入った彼女の研究室は、至る所に何かしらの骸骨があったり道具が散乱していたりで非常に退廃した雰囲気に見えた。
「……ああ、そういえば。指が入るようになったのなら、
帰路に着いた私の頭は、つい数日前にクロージャから取り寄せた数々の道具を思い返しつつ、これからどうしていくか考え始めていた______。
ひたすらドクターに童貞っぽい振る舞いをさせたいし、リズは快楽に震えさせたい
描写力を新作の方に割いているのでこっちの表現力の低下がいちじく