無知ならではの性癖を存分に詰め込んでいく
「クラヴィス、さん…………」
「………リズ」
目覚めて以来、初めての射精。
それを引き起こしたのが彼女であるという事実に、気だるさを帯びた体が自然と熱くなっ
てくる。
彼女の口周りには、私の射出を受け止めた名残として白く濁ったものがべとべととまとわりついていて、更に黒色の縮れ毛まで………って、あれはもしかして私の陰毛が抜けたのか?!
「リ、リズ、っそれ…………」
「…………え、あ…………こう……でしょうか…………?」
手に吐き出したはずの多量の精液。水を掬う手で受け止めているそれを持ち上げて……。
「こくっ……ん……んく……ん、ふぅ……はぁんっ………」
少量ずつながらも一定のペースで、それが手から消えてなくなるまで嚥下していた。
栗の花のようなきつい匂いが漂っているというのに、うっすらと目を糸にしてまるで気にする気配がない。
「ん……こく、んんっ……………変、な……匂い、なのに……んぐ……体、疼いて………美味しい………」
「_____っ」
あり得ない。
そんな、刺激臭とも取れない異質な匂いを、あんなに気持ちよさそうに飲み下すなんて。
自分が出した体液を、自分の体毛を付けながら大切な人が摂取する。それも、深窓の令嬢のような雰囲気を醸し出していた清楚な人が。
「____なんて、インモラル……………?!」
「………クラヴィスさん………」
いつの間にか全てを飲み干していた彼女がこちらを見ている。自分が何をしたかついぞ気が付いていない。
動く気配もない私の手を取り、そっと引き寄せられた。
同時に彼女が膝立ちになって、胡坐で座っている私の丁度真上に。
いつの間にか彼女の足元には衣服が脱ぎっぱなしになっていた。
何も隠されていない純粋無垢な彼女の艶やかな肢体に目が釘付けになってしまう。
「ぉ、っ………」
「……んひぅ………もっと、ここに……触れて、ください…………っ」
そして連れてこられたのはウォーターサーバー。
何もしていないのに勝手にあふれ出している、壊れかけのサーバーだ。
「はんっ、ぅあ……ん…………んやっ!」
しかし壊れてはいない。
何故なら、少し
機械の中を弄るのはやったことないし苦手だ。しかし今、彼女のヴァギナは直感で何となくどこをどう弄ればいいのかが手に取るように分かる。
「……ほら、ここなんかどうだろう…………?」
「んひあっ?!あっ、くうぅぅ…………!」
彼女は掴んでいた手を放し、代わりに私の首へと両手を回している。
私を支えにしているのだ。そうでなければ立てないほどに、彼女は性感で腰が砕けそうになっているのだから。
濡れに濡れた性器を指でなぞるだけでは物足りなさを感じ、更に深く気持ちよくなってもらうべく次なる場所へと狙いを定める。
「ひゃぅ?!あ、あ、ああぁっ…………」
最初はあんなに乾いていて、何者の侵入をも拒んでいた狭い膣口。
それが今やこんなにもいやらしくなってしまっている。
「んぐ、お、おおっ……クラ、ヴィス……さ…………ひぃっ……」
指を挿し入れる直前に穴の縁を触ってみれば、貞操の権化のようだった固く閉ざされた穴は、涎を垂らしてだらしなく開いていた。
故にすんなりと中指が入り込んでいく。掌に生え散らかした陰毛の感触。その金色の不揃いな毛も、今は過剰分泌された愛液でべっとりと張り付いている。
「…………は、はは」
思わず口角があがってひくついた。きっと気持ち悪い笑みだ。
しかしそうならざるを得ないほどに興奮しているのもまた事実。先ほど精を吐き出したというのに、いつの間にかまた勃起している陰茎が何より物語っていた。
「………リズ……かわいいよ、リズ…………かわいくて、どうしようもなくいやらしい……」
「っふ、くぅぅ………い、今、そのようなこと…………んにぃっ……!」
彼女の熱い膣壁に締め付けられている中指を軽く曲げる。
ぞりぞりしている無数の細かなヒダを刺激して性感を促せば、呼応するようにリズが腰を……性器を前にやらしく突き出す。
蜜の発生源を指一本でかき混ぜれば、ちゅぽちゅぽと聞き慣れない水音が聞こえてくる。
度に掌で感じるは尿道から断続的に吹き出す透明な液体。
と、そこであることに気が付く。
「……リズ」
「はぁ、ぅ…………は、い……………?」
「………もう一本、入れるぞ」
「…………は、ぇ………は、んひっ?!」
_____思ったよりもはるかに容易く、人差し指が飲み込まれた。
にゅるりと割って入る指は愛液でよく滑る。熱を含んだ膣壁はシリコンのように柔らかく、自在に形を変化させ私のそれを迎え入れた。
「あ゛っ、やぁっ………これ、刺激が………くひぃんっ?!」
単純に中を責め立てるモノが倍になったことのせいか、彼女がおとがいを上げていっそう敏感に反応する。
粘液塗れでねばついた肉壺を指でかき回し、それに彼女が過敏に感じている様は、心なしか彼女を指二本だけで支配しているような征服感すら覚えてしまっていた。
首に回された腕はもう形だけの状態で、体を支えるという役割を果たせていない。完全にこちらにもたれかかり、ただ自身のヴァギナから送られる快楽に耐えんと身を震わせているだけ。
私のむき出しの肩に彼女が頭を預けており、「はーっ、はーっ」という不規則で激しい息が耳元で繰り返されている。くすぐったい。
「…………リズ……今、どんな感覚だ………っ?」
「はぇっ………頭、が、はぁんっ………真っ白で……んおっ、こんな……知らない……ひ、ぃああっ……!」
リズの声は、普段の綺麗なウィスパーボイスの影がもうどこにもない。数段甲高く蕩けた声が耳のそばから聞こえるのは、聞く媚薬と呼べるほど私の脳内に反響して興奮を煽ってくる。
それに影響されて性器を弄るスピードも上がっていく。二本指を曲げ伸ばしして、今度は内側から彼女を指の腹でなぞっている。上下に動かして出し入れするたびにぱちゃぱちゃと粘液が飛び散る。
「あ、あっ、それ、はんっ、駄目、ですっ、クラ、ヴィ、んあっ」
「……またアレが来るのか。いいぞ、そのまま我慢せずに……!」
ビクビクと彼女の腰の跳ねが大きくなった。
もうそこまで来ている絶大な快楽に導かんと更に指の抽挿を加速させる。
絶対に逃げられないように、空いている方の手で彼女の腰に手を回しがっちりと押さえた。
すると指の先が、何か吸盤のようなものにコツンと当たる感触。
その正体に気付いた途端、狙いをその部分へと変え、重点的に指でほじる。
「やぁっ?!は、へぅ、くひぃっ、んおっ!」
明らかに彼女の反応が変わった。
ラストスパートをかけるにはうってつけだと判断をして、一気に責め立てていく。
「____子宮口で、達しろ………!」
「やっ、また、来、ますっ、んく、お゛っ、ん、んぅっ、あ、あああっ______」
「うぅぅぅぅぅぅ~~~~……………っ!」
_____電気ショックを受けたように彼女が痙攣し、無色透明の尿のようなものが勢いよく生殖器から排泄された。
「あ、あぅ、は、んあ………お、っ………」
その排泄液は、ちょうど性器の下で雄々しく聳え立っていたペニスにぶっかかる。その刺激が得も言われずに気持ちいい。
そして何より、下品であるはずのリズの排泄シーンが目を奪われるほど美しく淫らだ。
「や、み、うぁ……恥ずかし……んひ………です………」
完全に力が抜けてしまったのか、ずるずるとこちらに倒れ込むリズ。同じく全身で受け止めると、すべすべした肌の感触の中にむにゅっとした感覚と豆のような固く小さい感触を二つ、直に受け止めた。
そのまま、ありのままの姿で抱き合う。彼女の生きている証拠である人肌の温もりが何よりも安らかで安心感を齎してくれる。性臭が充満していたために、彼女自身のミルクめいた甘やかな匂いも直接感じられていることに今気が付いた。
「は……うぁ……ふーっ…………」
彼女は私の肩に顔を伏せ、精いっぱい息を整える。両腕を背中に回されてぎゅっと抱き着かれていたのだ。
どんな表情をしているのかは分からないが、それでもひどく愛らしく思える。ゆっくりと手を挙げて、しばらく後頭部を撫でていた。
……………のだが。
「うぐ……リ、リズ………そんなに上に乗られると、擦れて………っ」
そう、彼女の座る場所があまり宜しくなく、実に硬くなった陰茎と下腹部の間に跨るような形でぺたんと座り込んでいたのだ。
そのおかげで、粘液塗れになった彼女の陰部とペニスが接着している状況になっている。いわゆる“素股”の状態。
「うっ………リズ、大丈夫か……?」
何とか我慢して様子を窺う。
「………はぁ、ふぅ……………はい、何とか落ち着きました………ん、んぅ……」
顔だけを動かして彼女が私に視線を向ける。
一見すれば風邪でも引いているのかと勘違いするような真っ赤な顔。うっとりとした目元と相まって少し心配してしまうが、それ以上に未だに匂ってくる
現に彼女も腿を擦り合わせている。きめ細かい腿の肌と淫肉によってすりすりと圧迫されて何とも言えない絶妙な刺激に、危うく射精しそうになるがなんとか堪える。
「…………クラヴィス、さん………はんっ……」
「………どう、した?」
上目遣いの彼女が可愛すぎる。
何か訴えかける顔をしたリズの様子を見て続きの言葉を待った。
「…………下腹部の疼きが、もう、耐えられなくて…………ん……我慢、出来そうにありません……………」
「…………………っ、それ……は」
顔を伏せた彼女の視線の先には、絶賛挟まれ中のペニス。
これはつまり…………彼女も、受け入れる準備が出来たということに他ならない。
ごくり、と大きめに生唾を飲み込む。
「…………」
「………リズ?」
しかし彼女は何処か躊躇っているような雰囲気を醸し出していた。
どうして?
「……………ですが………私は今、ある感情を抱いてしまっています………」
「…………ある、感情」
「はい………………不安と、恐怖です………ん、ちゅ」
会話の流れで軽く口づけをされる。
舌を絡めない、そっと触れ合うだけのもの。しかしいつもとは色合いが違う……彼女の感情が乗っているのだろう。
「………ちゅ。どうしてだ……?」
気になる。
何が彼女をそれほどまでに脅かすのか……どうしてそんなにも怯えているのか?
しばらく目を左右に動かしたり俯いたりで躊躇っていたが、やがて意を決したように口を開いた。
「………私は、どうなってしまうのでしょう………?」
「……………どう、とは……」
右手で首筋をなぞられる。
案外そういうのに弱いのか少しくすぐったい。
「……先ほど、貴方の手で私は「絶頂」というものを体験いたしました………」
「………ああ」
「………未知の快楽は、私に大きな変革を齎しています。こんなに、性器全体が熱を持っていてもどかしいなんて……本当は、すぐにでも貴方に沈めていただきたい……………ですが……ですが」
ほう、と切なげな息を吐くリズ。
肩が震えているのは如何な理由か……想像に難くない。
「………ですが………きっと、ここからの行為は……先ほどよりも強い快楽を、得るのでしょう………?」
「…………恐らくは」
性感帯同士をぎゅうと密着させ刺激を与えあうのだ。
想像すらつかない。
「………実は、あの気持ちよさを感じている最中………少し、怖かったのです。
「………………」
____変質、異質。
分からなくはない。あの快感は、脳を焼き切り視界を奪うほどの熱量を私に沸き上がらせた。
一瞬だけ夢か現実かも分からなくなるほどに。
彼女の空色の虹彩が揺れているのが見える。
「………………私……私は、今の自分が好きです。貴方と出会い、貴方と共に変わり、作り上げられた今の人格と記憶。少なくない人を大事に想い、そして何よりも貴方のお傍におりたいというこの感情を………私は、本当に大切にしたいのです……」
「______っ」
「それが……変わってしまうのではないかと、漠然とした悪感情が……………私は、この先に踏み出すのを恐れているのです………っ」
澄んだ声は涙で滲んでいる。
私の感情は既に定まっていた。
彼女にこんな声は出させない、こんな感情は抱かせたくない。
「…………それでも、良いんじゃないか」
「え………っ?」
一瞬だけ彼女の表情が歪んだ。構わずに言葉を続ける。
「……前にサベージが言っていたろう、私たちに何かあれば彼女がどうにかする、と」
「…………はい」
「それは、『何も私たちの変質が私たちには全く解決できない』ということではないと思うんだ。むしろ、彼女はあくまで私たちをサポートしてくれると言ったんじゃないか?」
「……………サポート?」
「ああ………私たちは周りの人に恵まれている。私は彼女のことを信用している。そんな彼女が、私たちを手取り足取り守ろうとするとは思えない。それが不利益だということは、流石に私でも分かる………だからきっと、彼女は私たちにとって正しい言葉を投げかけたはずなんだ」
「……………そ、れは」
「……まあ、多少人が良すぎるかもしれないがな。まあ、それに」
ふわふわした金髪を優しい手付きで撫でる。ひと撫でする度にふわり、ふわりと彼女の匂いが拡散した。
「……例え私たちが、君が変わってしまったとしても構わない」
手櫛で梳くは金色の絹糸。
見やるは彼女のくすぐったそうな顔。自然と頬が緩む。
「君がまた変わっていくのなら、その度に私は君を大切にする。私も君に多大な感謝を抱いているのだ、どんな君でも変わらずに接してみよう____」
彼女の目を見て、そっと微笑んだ。
「私は、君と繋がりたい。だから………共に、頑張ろう」
「……………はい……っ」
私たちは、これから性行為を行う。
心と身体で、繋がり合うんだ。
さあいよいよ大詰め。
彼女が感じ取った“変質”とは、セックス前後のドクターに向ける感情の違いです。関係性の変化とも言えます。
けどドクターならどんなリズでも大事にするはず。するでしょ。
気付いていますか?ここまで彼らがあの言葉を一言も口にしていないことに。