私の目の前でだらりと足を拡げているのは、私の最愛にして大切な女性。普段その透明で上品な立ち振る舞いをしているために、彼女がこんなに大股になっていることはまずない。
しかもそれに加えて、今はその開かれた足の間にある粘液まみれのヴァギナが「早く挿れて」と言わんばかりにダラダラ粘液を垂れ流しながら、膣口をクパクパと開け閉めを繰り返しているのだ。
「……凄いことになってるな、此処」
「い……言わないで、ください………失禁しているみたいで……恥ずかしいです……っ」
緩慢な動作で自身の目元を両手で覆ってしまったリズ。
その様子はひどく恥ずかしそうで、やっぱり感情を直に見て取れてしまう。
「……良いじゃないか、大変卑猥で」
挿れるべき穴を見据えていると、もう痛いくらいに勃起したペニスがまだびくりと反応する。ギリギリのラインで理性を保っているが、すぐに瓦解しそうだ。
仰向けでベッドに体を預けている彼女に、少しだけ覆いかぶさる。
手をついた部分からギシリとスプリングの軋む音がいやにはっきり聞こえた。
私の身体の分だけ彼女の四肢に影が差す。
暗い視界の中で、彼女の朱に塗れた顔と空色の瞳が朧げに私の顔を捉えた____切なくて、泣きそうな彼女の表情を見て取る。
「……あの」
「……なんだい?」
マットレスに突いた手を、彼女の小さな掌がきゅっと掴んでくる。
視線が感情で揺れている。吸い込まれそうな深い双眸。
「………本当は少し、不安でした……あの日感じた痛みは鋭くて……何より、貴方の指を拒まざるを得なかったことが……」
ポツリポツリと、玉響のウィスパーボイスで溢される言葉がひどく心許ない。
或いは既に涙が滲んでさえいるようにも聞こえる。
私の不健康な手首を掴んでいるのは、あまりにもか弱く、
何も返さずにその先を黙って促す。
「………ですが、ワルファリンさんやケルシー先生……そして、貴方のお陰で、私の生殖器は徐々に行為に適応するように機能を回復して……今、貴方と本懐を果たそうとしています……」
にへら、と力なくも確かに彼女は笑った。
そんな彼女が愛おしくなって、空いている方の手をそっと緩んだ頬に添える。
「……初めは、ただの生殖行為だと思っていて。私では、それは無意味なものだと考えていました。しかし……今なら、理解し得ます」
そこに、彼女も上から手を重ねてきた。
両手で彼女と触れ合っているこの状態が、何となく心地が良い。
真っすぐにぶつかり合った視線が空気中で絡み合い一つにまとまっていく。
一呼吸おいて、彼女が口を開いた。
「……他でもない貴方と触れ合うことが、とても安らぐのです……」
「……そうだな。私も、そう実感している」
つられて私の顔にも笑みが浮かぶ。
「____……あ、そうだ」
「……?」
とそこで、とあることを思いついた。
なんてことない予防策だが。
「……念のため、何かあったときは
そう言って手でつかみ寄せたのは、その辺に放ってあった例の薬。
もしあの日の再来が来てしまったらと考えると未だに背筋が冷える。だから、いざとなればこれを塗布して更に活性を促すことも考えておく。
「……お気遣いありがとうございます……ですが、なんとなく………大丈夫のような気がします」
「……そうか?」
「……はい。本当に、なんとなくですが」
まあ、それでも備えておくことに越したことがない。念のため瓶を体の近くに置いておく。
そして改めて彼女に向き直した。
「……では、今度こそ」
「………はい」
ゆっくり彼女の腰に左手を当てる。反対に右手で、自らのペニスをつまみ目的の場所に合うように下半身の位置を微調整した。
粘液塗れの亀頭と膣口の間に見えない導線のようなものが生まれるのを幻視する。何処に何を入れるのか、嫌でも意識を向けてしまい一気に興奮度が跳ね上がった。
「はーっ……はーっ………」
「……ふーっ……ふー………っ」
彼女もそうなっているのか、互いの息遣いが途端に乱れていく。心臓の鼓動も痛いくらいに鳴り響き、体全体が熱暴走寸前だ______これから濃厚接触する部位は、猶のこと。
彼女がオーバーヒートで体に不調を起こさないか、と一瞬心配になったが……ここまで無事なことを思い出して、その考えはすぐに霧散した。
視線が膣口に向く。
その先では、未だにコポリと愛液を垂れ流しながら自ら拡がっている淫らな穴が見えていて、迷わずに挿すことが出来そうだ。
そっとペニスの先を近づけさせて_____クチュリ、と鈴と膣の触れ合う水音が聞こえた。
「んあっ……」
「……っ、ふ」
それだけで両名とも声が漏れてしまう。ほんの序の口だというのに、ほんのわずか触れ合っただけなのに、甘い電流が一瞬背筋を駆け抜けた。
期待で口角が不自然に吊り上がる。
「……痛かったら、すぐに言ってくれ」
「……分かりました」
「……後、体の力も抜いて……気楽に行こう」
そこまで言い切って、ふぅと一呼吸整えた。
緊張の糸が最大限に張り詰めている。此処まで来て両の腕が情けなく震えているし、目に見えているものだって靄がかってさえいるように見える。
そんな一過性の不調を全て彼女への気遣いと感情で押さえこんで、しっかりと彼女の顔を見据えた。
いつの間にか左手は彼女と繋がれている。
視線の交錯を合図とし、腰をゆっくりゆっくり前に押し進める。
「……っく、やはり、きついな………リズ、楽にして……っ」
「あ、く、ぅぅ………は、い……っ」
私が言葉をかけても中々ペニスはうまく挿入らない。予想外の狭さもそうだが、それ以上に一つの確信を得ていた。
……恐らく、私のペニスも大きいのだ。
彼女の前に初めて晒した時、彼女の顔の大きさと比較してほとんど同じサイズだった。種族特徴でもない限り普通は13~16㎝、長くても20㎝らしいから、少なくとも同等かそれ以上なのだろう。
「……ぅ、あ……」
「………っく……!」
少し苦しそうに眉を顰める彼女を見てどうしようもない焦燥に駆られる。思わず歯噛みをしてしまうほど。
何か、何か彼女の苦痛を和らげるようなことは出来ないのか?また見ているだけなのか……?!
「………リズ……っ!」
そのときある場所に目が付き、思考を飛ばしてそこに顔を近づけさせた。
そしてそのまま夢中で彼女に口づけをする。
「んちゅ、リズ、ちゅる、は、ぅ……」
「んは、はぶ、んじゅ、ふぅぅ……クラ、ヴィス……さん………っ」
苦痛と硬直した体を溶かすように舌を交わらせる。同時にペニスが奥深くまで刺さるように下半身全体をじわりじわりと突き出していく。
もう何回もしたはずの接吻を改めてじっくりと味わい、口同士で彼女を感じていって、やがて握られた手から無駄な力が抜けているのをしっかりと認知した。
彼女に信頼され、体を預けてもらっているということが分かる。そのことが嬉しくて、先ほどよりも自然な笑いがこみあげてくるのだ。
「ん゛っ……あ、ああああっ………」
「ぐ、ああ……っ!」
その甲斐もあってか、ほんの少しづつだが徐々にペニスが柔肉を割り開いて行っている。熱と愛液でどろどろに蕩けた膣内が四方から締め付けて来て、一瞬でも気を抜けば容易に射精してしまう。
歯を食いしばって何とか耐えていた。
「っ、あああ………痛くは、ないか……っ」
「あおおっ……少し、ん゛ぅっ……痛みがありますが……大丈夫、そのまま……奥まで、入る予感がします………っ」
「ぐ……分かった、君がそういうのなら………ちゅっ」
彼女が私に向けるのと同じように、私も彼女に信頼を託す。
ぐぶ、ぐぶと静かに剛直が飲み込まれていくのを直に感じ取りながら、それでもまだ狭さによってギチギチに締め付けてくる膣内。繋がっている所から全身に快楽が行き渡り腰が引けそうになるが、一層尻の穴を引き締めて更に奥地へと。
あらゆる部位になけなしの力を込めて、定まったペースでじわじわと挿し込んでいく。
そうしてやがて______トン、と亀頭が行き止まりを叩いた。
「んはぁっ……!」
リズがおとがいを上げてひと際激しい反応を示す。
その様子を見ながらも、私は別のことに目が吸い寄せられてしまっていた。
サイズオーバーであろう勃起したペニスが、彼女の一番奥をつつきつつも尚その茎が半分ほどしか埋まっていなかったのだ。
全方位から熱く柔らかな膣壁が際限なく侵入物を締め付ける。あるいは、自然の摂理に則ったモノが入ってきたことに喜びさえ覚えているような刺激の強い圧迫。まるでこれから搾乳でも行われるのかというほどに。
「……嘘だろう………く、っ?!」
どれ程彼女の膣が委縮していたのか……どれ程狭苦しかったのかを嫌と言うほど分からされる。
どうやっても拭えない現実をひしひしと感じるが_____それ以上に、とうとう本懐を果たせたことに対する感情が、心の奥底からあふれ出ていた。
「……リズ、入った……ちゃんと入ったぞ………!」
「あ、ふあああぁぁぁ……んおおぉ………は、いぃぃ………っ」
「……あれ、リズ?」
細長い喘ぎを以て返答してきたリズの様子はどこかおかしい。というより、返答にすらなっていなさそうに聞こえる。
薄く細められた目は焦点が微妙に合っていないように見え、ビクン、ビクンと断続的に痙攣する体に応じて膣の締め付けも変化していた。不規則な快楽にいちいち私も我慢をしなければいけない。
しばらくしてそれらが収まってきたところで、ようやく彼女がこちらを見据えた。
「あ、ぅ……はふ………クラ、ヴィス……さん」
「……リズ、大丈夫か?」
「……はい。痛みはありません……貴方の大きな陰茎が、私の中に入り込んで………内側から圧迫していて………それで、ひどく、満たされて、いて……………あ、れ……?」
「………リズ?」
彼女の様子が決定的に変化したのを見て、思わず声をかけてしまう。
すると次の瞬間、衝撃的な光景が展開された。
「どう、して………ぐすっ、私……えぐ、涙、を………っ」
______彼女の、リズの両目から、傍目で分かるほどの大粒の涙がボロボロ零れていた。