「……言われた通り、上の下着、だけ……脱ぎました」
そう言って、リズは自分の手の中で握っている脱ぎたての白色のブラジャーに目を落としては顔を背けた。実に対比になっている、真っ赤な顔である。
「……リズ、頼みがあるんだが」
これはかつてのような暴走ではなく、ちゃんと彼女に合意を取ろうという意志表示をしているので何の問題もない。
そうやってコンマ何秒で言い訳をして、彼女の顔を見すえた。
「……それ、嗅がせてほしい」
「……っ?!」
「前に君の下の方の下着を無許可で……ということがあったろう?その時に君は言えばいつでもと言ってくれた。だから、こうして今度はお願い事として……駄目だろうか?」
我ながらトチ狂った気持ちの悪いことを言っているとは思う。しかしやはり「リズの脱ぎたての下着」というものに、何故か抗いがたいような誘引力を感じるのだ。私は悪くな……いや私が悪い。
「……え、ええと、確かに言いましたが………いえ、私は、確かに言いました…………これを、お受け取り下さい……っ」
伸ばされた手の下に両手の掌を上に広げ、震えるそれによって置かれたもの。脱ぎたて故に人肌のような温かさが残っており、その生々しさに思わずごくりと生唾を飲んだ。
「……リズ、先に謝っておく。すまん………!」
「あ____っ……」
「すんすん、すううぅぅ……これが、っ、リズの……はぁーー……」
一心不乱。
今の私を表すとするなら、まさにそんな状態。
自分の鼻にもらったばかりのブラジャーを押し当て夢中で感触を堪能する。長らく感じられていなかった彼女の甘い香りを直に摂取しながら柔らかな温もりが残った布を味わう。
シルクのような素材だろうか、チープさが感じられない滑らかな質感と何よりも好きな匂いである彼女のそれが合わさって、私に「たった今リズが脱いだばかりのものである」という端的な事実を突きつけて来て、更に興奮が増した。
我慢できずに、思わず右手を放し自身のいきり立った股間に持っていく。
「……クラヴィス、さん。それは、私の役目です……」
「……え、っ……は、役目………何を、って……?!」
その手は制止された。
代わりに同じくらい血が通ってなさそうな細っこい手が伸びてきた。
「リズ、うあ……!」
「……久しぶりですが……やはり、大きいです……はぁっ………」
覚束ない手付きでスラックス越しにゆったり撫でられる。まるで数週間前の関係値に戻ったときのような初々しい愛撫が、却ってぞくぞくと私のツボをついてきている。
彼女も私も既にこの行為に溺れてしまっているが、彼女の眼がそれを正しく表わしている____私の股間を、半分意識が朦朧としているのかと疑いたくなるように凝視する彼女の双眸が。
「……あ、う………ふーっ……」
「すぅー………はぁ……」
それに応じて、最低限の会話すらも霧散してしまった。場を支配するのは、徐々に高まる淫靡な空気と互いの呼吸に交じる熱のみ。
鼻腔から脳内までを甘やかさで満たされている間に、いつの間にか下の方でしゅるしゅる、かちゃかちゃと衣擦れや留め具の外れる音が聞こえた。
「……ぁ、っ……」
ごくり、と大きく息を呑む……いや、
「……クラヴィスさん……申し訳、ありません………あぐっ」
「うっ……」
「ちゅ、ぢゅる、んふぅぅ……ふん、すぅ、じゅるぅ……!」
_____搾り取られる____!
あの日行ったきり、通算2回目のリズの口淫。その勢いは初弾からこちらにむしゃぶりつくような激しくねちっこいもの。
最初に大口を開けて唾液でどろどろになった口内に迎えられたと思ったら、そのまま間髪入れずに舌が雁首を割り開いて舌先でなぞってくる。それも一回じゃない、何度も何度も味わうように。或いはそこに溜まるという
「ん、ぐ、ちゅぱぁっ……ちゅ、ちゅる……すん、すん…………あんっ………」
「うぐぁ……っ」
ひとしきりエラをほじ回された後、一度生暖かい感触から解放される。と思えば、間髪入れずに亀頭の先にほんの時間のキスを貰う。鼻を鳴らす音も聞こえてきたため、彼女が今行っていることは火を見るよりも明らかだ。
「すう……すん、はぁぅ……ふぁぁ……ひんっ………!」
ねちっこくぬめったフェラや瑞々しい唇とはまた違う感触を肉棒全体で感じたためそちらを見てみると、何を思ったのか、リズは自分の小さな鼻をこれでもかと言うほど隆起したペニスに擦りつけていた。自身の唾液で濡れていようがお構いなしに、生肉を目の前にした肉食獣のように。
「うあぁっ、リズ……そんなところまで……」
「すぅぅ……はむ、れろぉ……んふぅ………じゅる……」
それだけじゃあない。
彼女の
続いてリズはそこから舌先をちょろっと出して、勢いよく裏筋に沿って舐め上げ、最後にちょうど亀頭だけを口に咥え舌で嘗め回してきた。
完全にこちらを達させようとする動き。
「____うぁぁっ、リズ、出る……!」
「……!ちゅこ、ちゅく、れる、んぶぅ………」
そろそろ限界だということを伝えれば、彼女はいっそう重点的に私を責めてくる。口をすぼめ、エネルギー飲料を最後まで飲みきるときのように吸い立てる。
当然、彼女との交わりが久しぶりな私はそれだけでも否応なしに快感を受けて、すぐに強烈な射精感が尿道を駆け上がってきた。
「リズ、っ、出る、出すぞ_____うぐああああ………!」
びゅるるる、どぷどぷ……。
「んんんん……っ!んぼっ、ん、く、ごく、ごきゅ……んんふうう………!」
先日と変わらないどころかそれ以上の量の精液が射出され、その全てを彼女の口内に叩きつける。すると彼女は、先日と違ってペニスを口に含んだまま受け止め、更にそれらを下品に嚥下する音を遠慮なく響かせた。
「……ぷはぁ……は、ぁぁっ………クラヴィスさん……たくさん、出しましたね……」
「……久方ぶりの快楽に、憑かれたように責め立ててくる君がいやらしすぎるのが悪い………あ、っ?!」
「?……どうかされましたか?」
会話の最中にふと、ある物が視界に入った。それが何なのか見当がついた瞬間、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
よく分かっていないのか、リズは首を傾げるばかり。
そんな彼女の____ちょうど座っている部分のシーツに、恐る恐る指で示した。
「……小さくない、染みが………」
「え………っ!」
ばっ!と慌てて細い腕が彼女の股下にあてがわれた。瞬間、シーツは“ぺちゃっ”という湿っぽい音を無情にも発する。
続いて彼女は、正座した状態で自身のニットワンピースの裾の中に手を入れ確認している。
やがて、刹那の間に端正な顔が真っ赤に染まった。
「………え、と……あの」
「……あ、ああ」
「………実は、貴方と繋がったあの日以来、時々、体の昂りが抑えられないときがあって………それが何十日も続いたものですから、その…………」
リズはもじもじと足をこすり合わせつつも、それ以上に肩が震えているようにも見える。どちらかというと恐怖とかではなく、疼きを押さえているような。
「……申し訳ございません____っ」
「?!」
一瞬だけ思考がそれている虚を突かれ、気が付けば私の身体いっぱいに柔らかさと熱さが広がっていた。リズが機敏な身動きで、私に彼女のそれを全面的に押し当てていたのである。
「ぁ……」
「っふぅー……っ、あ……はぁん、ぅぅ………クラヴィスさん……クラヴィスさぁん………」
~~~~~っ。
飼い主に存分に甘えるペットが如くその肉の少ない肢体を私に擦りつけてくる。それはもう、擬音で表すには密着度が高すぎるほどには。
加えて、今彼女の胴体はニットワンピース一枚である。つまるところ、平時や先ほどよりも遥かに彼女という存在と触れ合っていることに他ならない。
「あ、う……あぅぅ………はーっ……はーっ…………ひぅ……」
「……リ、リズ……っ!」
ついさっき射精したばかりだというのに、彼女とこうしてゼロ距離で触れ合えていることに対して下半身は素直に歓喜していた。ぐぐぐ……と精を吐き出したばかりのペニスが節操無く硬度を取り戻すのを感知。
ピト。すりすり。
「ひあぁっ……あ、うぅぅ……下着越しに、擦るだけでも………気持ちいいです……っ」
「ぅあ……これまず……?!」
まずい、まずいまずい。
てっきりもう挿入まで秒読みだと思っていた私をよそに、彼女は私にしなだれかかるように体重をかけてきた……だけなら良いのだが、興奮が身を焦がして仕方ないのか、びしょ濡れになっているパンツとストッキングを履いたまま私のペニスを挟んできたのだ。
じくじくと密接する局部で感じるは溢れ出る蜜液。にゅこ、にゅこと卑猥な音を立てて擦れ合う。ぶっちゃけこれだけでもかなり気持ちのいいもので、またすぐに射精してしまいそうだ。
ちなみに私は一切動いていない。彼女がひとりでに腰を前後に動かしているだけ。
「ぅ、ひ、っ、あ、あぅぅ………」
すると突然リズがその体を止めてしまった。顔をお互いの肩に乗せているためどんな表情をしているかは分からない。
「……リ、リズ?」
「……クラヴィス、さん………私は今、絶頂を迎える寸前です」
「っ」
突然の爆弾じみた発言。
ややあって、生まれたての小鹿のような不安定さで彼女が私の上から退いた。
膝立ちになった彼女が徐にストッキングのウエストに手をかけ、震えた手つきで下に降ろす。瞬間に視界に映ったのは、少なくない量の糸を引いた蜜まみれの女陰。
すべて脱ぎ終えたリズは後ろ向きに倒れ、こちらに見せつけるように自身の股間に手をやった。
くぱぁ、と細く綺麗な指で拡げられる。にちゃぁ、とまとわりついた粘液が声を上げた。
「………お願い、します…………貴方のを、入れて、ください…………っ」
「________っ」
瞬間、私の理性は弾け飛んだ。
リズってさ、基本的に自分が思っていることは口に出すタイプだと思ってるんですよ。
つまりどういうことかって、自分が今何で感じているかとか逐一言ってくれるんですよね。
えっちだぁ……。