【シャニマス】中年プロデューサーの華麗なる暗躍 作:黒胡椒サラミ
もともと、アンティーカが現在のようなゴシック調のイメージで売り出す事を決めたのは、プロデューサーの伊庭による発案ではなく、アイドルが自分たちで考えたのだと聞いている。特に、幽谷霧子がゴシック趣味を持っていたから、というのが着想の理由として大きかったらしい。
だから、陰平が恋鐘のための新しいデュオ曲を書いてもらった時に、そのパートナーとして、頭の中には霧子があった。彼女には独特の世界観と言語センスがある。それをもってすれば、アイドル本人たちによる作詞というのも可能かもしれない。――彼女たちの今後の活動の幅を広げるためにも。陰平が用意したのが曲だけだったのは、そういう訳だ。
「陰平さんは、今日は来れない」
伊庭はそう言った。プロダクションの会議室には、今日は恋鐘と霧子、そして伊庭の姿しかない。
「イルミネ案件じゃなくって、社長に頼まれたどうしても外せない用事だって。だから、今日の打ち合わせは俺たちだけで進めよう」
しかし、この週一の情報交換会は、そもそも伊庭が恋鐘のプロデュースを陰平に一時委託したことから始まっている。陰平抜きでそれを行うという事は、かたち上、元に戻ったというに過ぎない。
「あ~、じゃあ、どうしようか……」
伊庭は迷ったが、このメンバーで差し当たってやることと言うと、恋鐘と霧子のデュオ曲の作詞しかない。その進捗について、彼は尋ねた。
「うちも霧子も、曲はしっかり聞き込んできたと思うけん――」
そのイメージや解釈について話し合って、歌詞の方向性を決めていこう。やけに気合の乗った真剣な表情で、恋鐘は言った。
「うん……分かったよ恋鐘ちゃん」
「作詞は初めてばってん、うちらならきっとできるから、霧子」
「うん」
「俺も手伝うよ」
伊庭がそう言うと、霧子は柔らかく微笑んだ。しかし、恋鐘の方は――
「……うちと霧子の曲やけん、伊庭さんは……今回は見よーだけにして」
きっぱりと、彼の参加を断った。
―――――――――
伊庭には伊庭で、社長に頼まれた重要な案件が有ったらしい。恋鐘に助力を断られると、彼は恋鐘と霧子の二人にその場を任せ、外回りに出て行った。恋鐘たちは会議室からボーカルレッスン室に移動し、そこで曲について意見交換を行う事にした。
「霧子はここんとこ、どー思う?」
「…………光が……ゆらゆらして、朝が来る……感じかな」
「う~ん、霧子ん言う事は、相変わらず難しーばい。ここは?」
「そこは――」
詩については自由にやってくれて構わないと、事前に陰平から言われているが、それでも初めての少女たちにとって、作詞は難しかった。
「こがん事なら、現代文の勉強ば、もっとしておけばよかった~」
恋鐘は煮詰まって、頭を抱えてうんうんと唸り始めた。霧子はシャーペンを手に原稿用紙に向かう恋鐘の顔を、じっと見つめている。
「だめばい……上手ういかん……ううん!」
弱音を吐きそうになると、首を振って表情を引き締め直す。必勝の鉢巻きを締めた受験生のように、恋鐘は原稿用紙に食い入るようにしていた。
しかし、作詞はそれでも思うように進まない。それっぽい言葉を並べてみても、薄っぺらい単語の羅列にしか見えない。方向性すら見いだせない中で、数時間が過ぎた。時計を見て、恋鐘が悔しそうに眉をひそめる。
「もう、こがん時間……。うち、次のお仕事に行かんと」
「えっ……恋鐘ちゃん、昨日も動物園でお仕事だったって」
「うん、今日は植物園でイベントばい。前は水族館やったけん、これで全制覇やね」
よく分からない事を言いながら、恋鐘は立ち上がる。恋鐘のスケジュールは、霧子が知っていた時よりもずっと過密になっている。高校生の霧子と違って、恋鐘はアイドル専業だからというのもあるが、それにしても忙しい。
「プロデューサーが、次から次へとお仕事を持ってくるけん、うち、ばり忙しーんよ。中にはよー分からんお仕事もあるし」
恋鐘自身はそう言ったが、彼女の笑顔はとても充実していた。
霧子はそれを、目を見開いて眺める。先日のラジオ局で恋鐘と仕事した時、霧子は恋鐘が、陰平に無理やり働かされているのかもしれないと考えた。大きな声で怒鳴りつけ、無理やり言う事を聞かせているのかと。だが、嫌な相手に強制的に労働させられている者が、このような笑顔を見せるだろうか。
「そんなんでも、プロデューサーが見つけてきてくれた仕事やけん――」
目をつぶり、服の胸のあたりを握り締め、己の意志を確認するように恋鐘はつぶやく。目を開けた時、恋鐘はさっきよりも一層輝く笑顔だった。
「うち、行ってくるばい」
「…………!」
今日は陰平が居ないから、一人で現場まで行くように指示されている。前の仕事が終わって間に合えばきっと行くという、陰平からのメールも入っている。恋鐘の力強い微笑みは、霧子を圧倒させ、見惚れさせた。
だが、やはり作詞の方向性くらいは見出したかったと、恋鐘は残念そうでもあった。
「……やっぱり、歌には」
そこで口を開いたのは、霧子だった。
「歌には……、伝えたい事が無いと、いけないと思う」
「…………伝えたい事……?」
「うん。歌は……誰かに何かを伝えるためのものだから。……恋鐘ちゃんには……誰かに伝えたい事はある?」
自分が伝えたい事を言わず、霧子が恋鐘にそう尋ねたのは、恋鐘ならばきっと、何かを誰かに伝えたいと思っているに違いないと感じたからだ。それは例えば、伊庭に対する想いとか。アンティーカとして活動していた時、恋鐘が伊庭に対する仕事仲間以上の感情を抱いているという事は、近くで見ていればよく分かった。もしくは、自分を支えてくれるファンへの感謝とか。
「伝えたい事……。うん、あるよ」
恋鐘はしばらく胸に手を置いて、自分の内側を確認すると、ハッキリと言った。
「……うちね、今、よしよしって、言ってあげたか人がおると」
「…………」
「よしよしって……。そん人、うちんために、無理ばっかしとーけん。隠れて、我慢ばっかしとーけん。だから、うちが」
それはやはり伊庭の事なのだろうかと、霧子は思った。伊庭は、自分たちアンティーカの活動が軌道に乗り切らない事を、ずっと気に病んでいた。
「自分勝手で……、ばり、ば~り酷か人なんやけどね」
えへへと、恋鐘は照れ臭そうに笑った。
しかし、それで詩の方向性は決まったようなものだ。
ゴシック調の曲の中に癒しを求める。それはそれで難しい作業のようだが、今伝えたい事がそれならば、そうするしかない。そうしようとお互いに決めると、恋鐘は霧子をレッスン室に残し、胸を張って仕事へと出かけていった。
―――――――――――――
癒したい人がいる。
ラジオ局でのあの事が有った夜。他のアイドル全員が寝静まった頃合いを見て、恋鐘は足音を潜めて、そろそろと寮の一階へと降りて行った。彼女は秋にしては薄手の夏物のパジャマ姿で、手には枕を抱えている。下着は上下でちゃんと揃えていたし、わざわざタンスから薄手のパジャマを引っ張り出して来たのは、そのほうが幾分かセクシーに見えるかもしれないと、頭のどこかで思ったからだ。
この寮には自動灯は無いから、恋鐘が歩いても、暗い廊下は暗いままだ。壁に片手を突き、一歩一歩確かめるように階段を降り、一階に立った恋鐘は、ほとんど逡巡する事も無く寮監室の扉の前に立った。そして髪を手櫛で整えると、コンコン、と小さくノックをした。
陰平が寝ているならそれでいい。そのまま眠らせてあげたい。だが、起きているなら――
がちゃりと戸が開き、中から漏れた光が、恋鐘の顔を照らした。
「……恋鐘…………」
「……こんばんは、プロデューサー」
えへへ、と恋鐘は少し笑った。
「どうして……」
「……優しいうちが、プロデューサーに、いーもんを届けに来たばい」
「届けに……? 何を……」
「…………あ、あんね。…………う、うちを」
「――!!」
「うちん部屋で恋人同士なら、別にプロデューサーん部屋でもいーかと思――――んぅ!」
抱きしめられて、唇を塞がれる。こんな急な口づけにも、もう慣れてきた。陰平の鼻息が、少しくすぐったい。彼が興奮しているのだと、それだけでも分かる。ひとりでに口と舌が動き、陰平の唇の感触を確かめ、舌で交わろうとする。
「んぅ、ちゅ、はぁ、ちゅ、ちゅぅ」
鼻息と水音。それだけが暗い廊下に響く。舌の付け根を舐められるのが気持ちいい気がするから、彼にもそれをしてあげる。お互いの舌が競い合うように絡み合う。こういうキスは、恋鐘が憧れていたキスではない。恋鐘が伊庭とすることを思い描いていたのは、もっと柔らかな、唇だけで互いを労わるようなキスだ。
舌が離れていく時に、いやらしく光る橋がかかる。陰平の、恋鐘を求めて燃え滾るような目が見えた。
「……廊下、寒いばい」
そう言うと、荒々しい力で寮監室に引っ張り込まれる。初めてちゃんと入った男の部屋は、むせるような陰平の匂いで満ちていた。少し散らかっている。書きかけていたらしい机にあるノートは、恋鐘のプロデュースに関するもののようだ。それが目に入ると、またキスをしたくなる。
「はむ……、プロデューサー……♡ ちゅ」
恋鐘はここに、今日のラジオ局での顛末について陰平に何かを言うつもりだったのだが、そんな事はもう忘れた。それを蒸し返しても、彼の癒しになることはない。ただ恋人のように振舞って、彼の心と体に溜まった澱を抜き出してあげたい。そう、ここでは自分と彼は恋人なのだ。あのコテージと、恋鐘の部屋と、ここだけでは。――いつの間にか場所が増えている気がするが、多分これ以上は増えない。
「プロデューサー……しよっ? うちとしよっ? うちと……えっちしよっ?」
彼の恋人として振舞う恋鐘は、自分から陰平を誘ってしまった。そして、自分から服を脱ぎ、自分から彼の服を脱がし始めてしまう。
「恋鐘……俺は、今日お前に……」
「言わんで。なーんも言わんでいーよ。分かっとーから。うち、プロデューサーんこつ、知っとーから……うちん中に、悪いもんぜーんぶ吐き出して」
お互い裸になると、陰平が恋鐘の大きな胸を食い入るように見つめてくる。ずっとこの胸がコンプレックスだったが、何かの役に立つこともあるのだと分かった。その胸を陰平の胸に押し付けて、恋鐘はゆっくりとしゃがんでいく。あるところで、鳩尾に熱い物体が当たった。
「プロデューサーの……もうおっきくなっとーよ? うちで興奮したん?」
恋鐘は上目遣いになりながら、陰平の逞しく屹立した肉棒を胸で挟む。あのコテージで、陰平に教えられたことの復習だ。次は胸で肉棒を上下に扱くと、彼は喜ぶ。
「んー……♡」
舌から唾液を垂らし、扱きやすくする。今だけは彼と恋人だから、こんな事も出来るのだ。
「んしょっ、んしょっ、――これっ、重たくって、結構大変なんよ、んしょっ、プロデューサー、うちの、きもちいーい?」
「ああ……すぐに出そうだ……!」
「えへへ……、んしょっ、んしょっ!」
「恋鐘……」
「うん、いま咥えるけん、まっとーて♡ ……あー」
口を一杯に開けても、恋鐘が陰平の亀頭を飲み込むのは難しい。彼女はどうにか亀頭の三分の二ほどを咥え込むと、歯を立てないようにしながら、舌でそこを舐め始めた。
「うぃもひぃーい?」
陰平の目を上目遣いに見つめ、気持ちいいかと問うてみる。
陰平は少し上を向き、耐えるようにしている。気持ちいいのだ。胸を上下させる速度を上げて、亀頭をちゅうっと吸い上げる。肉棒全体が、ビクビクと震えはじめた。
「きゃぅ!」
凄い勢いで粘っこい白い液体が飛び出てきたので、思わず口を離す。脈動する先端部から噴水のように射出されるそれに、恋鐘は胸を動かす手を止めて見惚れてしまった。いつもこんなものが、こんな勢いで自分の中に出されているのだと感心してしまったのだ。
液体はボタボタと恋鐘の顔にかかって、彼女に白い化粧を施す。
「んぅ……、また、顔にかかったばい……」
「す、すまん」
「いーよ、謝らんで」
ウェットティッシュの箱を探して持ってくる陰平が、慌てているので少しおかしい。それを見ながら、恋鐘は白いぷるぷるを指で少しすくい、口の中に入れてみた。
「……んぇ……っ……けほっ……にがぁ…………」
「おいおい……」
「にがいばい……うち、この味、あんまし好きやなか……」
しょんぼりとする恋鐘の顔を、陰平がウェットティッシュで拭いていく。その手つきは、時には恋鐘たちのメイクをその手でしなければならないプロデューサーのものだ。そう言えば、この部屋の本棚には、陰平の顔にはお世辞にも似合うとは言えない、ファッションやメイク雑誌もある。顔を拭かれながらそれを見ていると、今度はお腹の中が寂しくなった気がした。
「プロデューサー……うちん中、入りたかよね?」
寮監室の床に正座したまま、恋鐘はそう言った。
彼の恋人を演じているうち、何が自分の本心か分からなくなってくる。例えば、いま感じている、彼の心と体の疲れを癒すためにこの身体を使わせてあげたいという切迫した思いは、演技ゆえのものなのだろうか。
分からない。でも、口が勝手に言葉を紡ぐ。
「いつもみたいに、うちん中に、嫌なもん、ぜーんぶ吐き出そ?」
「恋鐘……いや、だが、今日はお前……」
陰平はどうしてか、壁のカレンダーを見やる。それからしばしうーんと唸ると、小さな箱を持ってきた。
「これを付けてするぞ」
陰平が見せたそれは、コンドームというものだ。それくらい、恋鐘だって知っている。つまり今日は、中に出したら危ない日……という事だ。恋鐘はうっかり、そういう事を忘れていた。
「そっか……精液、中で出されたら、妊娠するかもしれんもんね。……うち、うっかりしとった」
「おいおい……」
「えっちしたら、プロデューサーの赤ちゃん……、妊娠してしまうかもしれんもんね? そっか……うちたち今まで、赤ちゃん作っとったんやね……。……そっか…………」
改めて自分がこの中年としてきた行為の意味を思い出すと、恋鐘は何かを考える表情で、己の腹部を撫で回した。
「……やめるか?」
どこか不安な顔で、陰平が尋ねてくる。あんなに強引に恋鐘の処女を奪って、その後も中に出しまくったくせに、今さらそんな表情をするのは卑怯ではないか。恋鐘はぷるぷると首を横に振った。それに、陰平のモノは一回射精した後もビクビクと反り返っていて、恋鐘に入りたいと切実に訴えている。「仕方ないばい」とつぶやいてから、恋鐘は少し呆れたように微笑んだ。
「よかよ」
恋鐘は陰平の手からコンドームを受け取った。ピリッと袋を破ると、どっちが裏でどっちが表なのかを眺めまわして、陰平のペニスへの装着を試みる。
「えと……こう?」
箱に説明書が入っていたので、それを睨みながらの挑戦だ。手順はそれほど難しくないが、陰平のモノが大きすぎるうえ、恋鐘が触れる度にきかん坊のように暴れまわるので着け辛い。
「もう……大人しゅうしとって」
恋鐘は眉をひそめて陰平のペニスを叱りつけ、するするとコンドームをかぶせていった。一応は完成したが、丈の合わない服を着せられた子供のようにパツパツだ。それでも恋鐘は妙な達成感を覚えて、「んふふ」と笑った。
「座って、プロデューサー」
今夜の営みは、終始恋鐘主導で行われていた。恋鐘は陰平のベッドのマットレスをぽんぽんと叩いた。陰平はそれに従い、いそいそとベッドに上がる。あぐらをかいた陰平の前に立って、恋鐘は膝を折り曲げ、己の秘裂を彼の亀頭に近づけていく。蜜壺からあふれ出す愛液がとろりと落ちて、さすがに恥ずかしくなった恋鐘は、挿入の瞬間に目をつぶった。
「はぁっ……ンっ」
いつもの喋りよりも一オクターブ高い声が、止めようもなく口から洩れる。指で割れ目を開いているのに、それでもなお感じる挿入感と圧迫感。ずりずりと入り込む陰平の太いアレが、恋鐘の内部を征服していく。
「うう……」
陰平も苦しそうに呻く。恋鐘は満足を覚えて、少しずつ彼自身を飲み込んでいった。そして、それが根元まで収まらない内に、先端が恋鐘の奥にこつんと当たる。
「んぅっ――!」
腰と脚が、勝手にガクガクと震える。秘部のあたりから、何かが漏れる感覚。これだけでも、自慰で感じてきた快感の数十倍はある。しかしまだ先があるのだ。陰平が恋鐘に教えてくれた快楽には、まだまだ先がある。それを得たい。
「入っ……たぁ……」
そして、恋鐘はお腹いっぱいに陰平のモノを受け入れた。恋鐘の中に陰平のペニスが、文字通りミッチリと詰まっている。内臓が押されて息苦しいほどだ。
これは、赤ん坊を作る行為である。それを改めて認識し、その相手が自分よりずっと年上の、冴えない中年男である事に、恋鐘が家族に対する申し訳なさを感じなかったとは言わない。母に対して、それにもまして恋鐘がアイドルになることを反対した父に対して、心の中で詫びなかったとは言わない。
(お母ちゃん……お父ちゃん……ごめん……)
もしかしたら父親のほうと年が近い人のペニスを受け入れている。東京には色々恐ろしい事が待っているんだぞ、男はみんなお前を狙う狼なんだぞと、父が警告した通りだった。
その申し訳なさが、腹部に感じる圧迫感と相まって、恋鐘の目の端に流れる涙となる。
「恋鐘……」
だが、その涙に向けて、陰平がこの男にしては優しいキスをする。泣きながら、恋鐘は「んふふ」とまた笑った。
「動くっ……ねっ」
彼が好む腰の動かしかたも、大分心得てきた。恋鐘は陰平の首の後ろに手を回してバランスを取りながら、対面座位で腰を振り始める。
「はぁっ、んっ、んっ、んぅっ。――プロデューサーの、んっ、おっきすぎるばい、あぅっ」
「むうう……!?」
「んっ、出したくなったら、我慢、せんでいーよ? んっ、うちん中に、全部、全部……! あっ♡ うぅ~~っ!?♡」
恋鐘の腰がガクビクと震え、脚から力が抜ける。陰平をイカせる前に、恋鐘のほうがあっさりとイってしまった。何だか、彼のモノを受け入れる度に、どんどんと絶頂しやすくなっているような気がする。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……。ふぅ……、え、えへへ、うち、ちょっと、イってしもうた……。――あ! プロデューサーは、動かんといて? 今日はうちが――」
今日は自分が彼を癒さなければならないのだと、恋鐘は原因不明の使命感に駆られていた。
「んっ、んっ、んっ、んっ、気持ちーい? プロデューサー、気持ちーい?」
「ああ……、気持ちいいぞ、恋鐘……」
「んふふ……、んしょっ、んしょっ、――あぅっ!?♡」
陰平に両乳首を摘ままれ、恋鐘は甲高い悲鳴を上げる。
「こーら、ちくび、いたずらしたら――んぅッ!!♡ んんッ!!♡ ……はぁっ、はぁっ…………んっ、プロデューサー、ほんとーにうちのおっぱい好きやねぇ。んっ」
腰を前後に揺すりながら、恋鐘は自分の胸を夢中で揉む陰平に呆れ顔を向ける。
「――あ、そうや……!」
そして、良いことを思いついたという風に言った。
「プロデューサー、手、離して? うん、そう。……はい。……どうお?」
恋鐘は対面座位の姿勢のまま、自身の胸の谷間に、陰平の頭を挟み込んだ。そして、その頭をそっと抱きしめる。陰平はしばらくもがもがと何か言っていたが、やがて全身を弛緩させて、恋鐘に全てを委ねてきた。
「……よしよし」
母性に満ちた声で、恋鐘は自分よりはるか年上の中年男をあやす。胸に抱え込んだ彼の後頭部を撫でながら、下腹部に力を入れ、膣をぎゅっと食い締める。
「プロデューサー、よしよし」
陰平にとってみれば、内側に凝り固まっていた何かが、全て溶けて流れ出していくような感じだ。ずっとこうしていたい。己の顔を挟む暖かな胸をさわさわと揉みながら、胸いっぱいに恋鐘の匂いを吸い込んで、額を彼女の胸にさらに押し付ける。
「いい子、いい子」
恋鐘を調教しているのは自分のはずなのに、いつの間にか立場が逆転している。これはマズいと思いながら、この安心感に身体が逆らえない。恋鐘の言う通り、全てを彼女の中に吐き出してしまいたい。
「よかよ? 出してよかよ?」
頭頂から聞こえてくる恋鐘の声に誘われ、射精欲求が抑えきれなくなる。
「んっ……オチンチン、うちん中で暴れとーよ? ……出そ? うちん中で、出そ? ――あっ♡ ……出とるねぇ。ビクビク~って震えて……い~っぱい出とる……」
しかし、どうも感じがいつもと違うと恋鐘は眉をひそめた。プロデューサーの肉棒が、お腹の奥で吐精し続けているのは感じられるのだが、恋鐘の奥に広がってくる暖かさが無い。彼女の奥に吐き出されるべき熱い精は、全て薄いゴムに遮られてしまった。
そもそも付けずにする時よりも、彼と繋がっているという感覚も弱い。
「んしょっ」
それでも、陰平の射精がひと段落すると、恋鐘は腰を浮かせて、彼の肉棒を自分の性器から一度引き抜いた。そして彼女は、感嘆したような声を出す。
「わぁ……凄いばい……。プロデューサー、いつもうちん中に、こがん一杯出しとったん?」
それはさながら巨大な水風船だ。恋鐘はジト目で陰平を見る。道理で彼に中出しされた日には、洗っても洗っても身体の奥から白い液体がこぼれてくるはずだ。
「プロデューサー、もう一回、する?」
するだろうという前提の下で恋鐘は尋ねた。陰平がこの程度で満足できる男ではないという事を、彼女は身をもって知っている。実際、コンドームを外した彼の肉棒は、青筋を立てて反り返ったまま、ビクリビクリと痙攣している。亀頭の周辺には精液の残滓が付着していて、恋鐘はごくりと唾を飲み込んだ。恋鐘の身体は、あれを中に出された時の熱さを、もう完全に覚えてしまっている。
「次は、うちが上に乗るけん。プロデューサーは、ゆっくり寝とって?」
陰平をベッドに寝かせると、恋鐘はさっきよりも手慣れた調子で、彼のペニスにコンドームをはめた。
結局、その夜はコンドームひと箱を使い切るまでセックスし、恋鐘は陰平の横で眠った。
次の早朝、起き出して来た皆に見つからないように、そそくさと寮監室から自分の部屋に戻る恋鐘の姿があった。