※この作品はR-18です。

【シャニマス】中年プロデューサーの華麗なる暗躍   作:黒胡椒サラミ

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14.マッサージと飲み会

「甜花は、ダンスとかは、苦手で……」

「……ふぅむ……それはどうしてだい? 大崎さん」

「つ、疲れちゃうから……。甜花、お昼寝のほうが、好きです……」

「ふぅむ……」

 

 視線をきょどきょどさせながら、もじもじと指をいじくり自己主張する新人アイドルの前で、陰平は眉間にシワを寄せて唸っていた。

 

「あぅ……」

 

 陰平が唸るのを見て、大崎甜花はますます縮こまる。

 

(おっと、いかんな……怯えさせてどうする)

 

 ただでさえ自分は不細工なのだ。警戒されるような真似は慎まなければ。陰平はニチャリと気味悪い愛想笑いを浮かべ、甜花を優しく諭そうとする。

 

「だが、大崎さんはアイドルになるんだろう? 妹さんと一緒に」

「う、うん……はい……! なーちゃんと、一緒に……!」

「だったら、ちゃんとレッスンしなきゃな」

「は、はい……! が、頑張りましゅ! …………うぅ」

「……まあ、これから頑張ろう」

 

 やる気は一応あるようだ。だが、それを見せようとして噛んでしまい、再びうつむく。これで本当に高校二年生かと、陰平は内心で呆れていた。ひょっとしたら貧乏くじを引かされたかもしれない。

 

 なんやかんやで陰平と伊庭が共同プロデュースすることになった、桑山千雪、大崎甜花、大崎甘奈の三人組ユニットは、ユニット名がアルストロメリアということに決まった。

 だが、これから彼女たちをデビューさせ、実際の現場に連れていく前に、一応のレッスンは行わなければならない。彼女たちに与える仕事だってそうホイホイ用意できる訳がないから、その間に陰平と伊庭が駆け回って見つけてこなければならない。業界各方面に彼女たちを宣伝したりデビュー曲を用意したりと、やることは山ほどある。

 それはそれでいつものユニット立ち上げ風景なのだが、いざレッスンとなったとき、千雪はともかく大崎姉妹については、陰平と伊庭がそれぞれ一人ずつ面倒を受け持つという事になった。本当は全員を自分のものにしたいと思う陰平だったが、彼とて分業の大切さが理解できないわけではない。どっちも寄越せという本音を口に出すのをぐっと堪えて、姉の甜花の面倒を見る事を選んだ。

 

(ちょっと大変なほうを選んじまったなぁ……)

 

 素質は有ると見た。だが、この大崎甜花というアイドル候補生がレッスン初日に発した言葉は、「お休みはいつもらえますか?」と来たものだ。アンティーカの田中摩美々のような天邪鬼、天才ゆえに無気力という訳ではなく、ただ純粋に怠惰。あまりに曇りの無いその瞳に、陰平のほうが圧倒されてしまった。

 

「うう……、甜花、もう疲れた……。限界……」

「いや、まだ準備運動だからな……。ほら、頑張るんだ」

「う~……!」

「ほら、あとちょっとだ、頑張れ」

 

 ストレッチをさせてみてはいるが、身体も硬い。長座体前屈の姿勢で、少しも手がつま先に届きそうにないのに、プルプルと震えている。なんとなく老人介護か幼稚園児の面倒を見ている気分になって、陰平も丁寧語を忘れている。本人はこれでも必死に努力している様子だから、アイドルを舐めてるのかと怒鳴りつける事もためらわれた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 軽いストレッチを終えただけで、甜花はレッスン室の床に仰向けになり、酸欠になったように喘いでいる。

 

「本当にモヤシだな……」

 

 ジャージの隙間からチラ見えするキュートなヘソをちゃっかり凝視しながら、これならまだ俺のほうが体力があるぞと陰平は思った。

 

「こ、こんなの続けたら、甜花、死んじゃう……」

「そう言ってもな……」

 

 今日の甜花のレッスンを、千雪や甘奈と別メニューにしたのは正解だった。あっちの二人は、今日ははづきが面倒を見ている。歳が近いことも有り、はづきは既に千雪のほうとはかなり仲良くなったようだ。

 この甜花という娘がこれほど虚弱なのは、これまでほとんど家に引きこもって、ゲームばかりしていたからだそうだ。妹の甘奈は甜花をかわいがり放題かつ甘やかし放題で、その結果、甜花は甘奈に介助されなければ一人で着替える事すら危ういダメ人間へと成長してしまった。

 

(う~ん……ラジオ体操くらいから始めてみるか……?)

 

 ダメ人間という点では、陰平とも共通するものがある。特にこの業界に拾われる前の陰平は、完全に無気力なフリーターだった。その時の事を思い出すと、陰平は妙にこの娘に親近感を覚えてしまう。

 この娘に素質があるのは事実なのだ。まずはこの娘の得意のゲームなどを活かすことができて疲れない仕事を探し与えつつ、レッスンで最低限の体力を付けさせるか――と首をひねってから、陰平は手を叩いた。

 

「よし、じゃあ休憩終わりだ。次は簡単なステップを覚えてもらうぞ」

「ひぃん……!」

 

 そして午前中いっぱいレッスンすると、甜花は文字通り死にそうになった。

 

「まずはこんなもんだな……、大崎さん、お疲れ様」

「ぜぇ……、ぜぇ……、ぜぇ……」

「聞こえてないな……やれやれ」

 

 汗みずくになった甜花は床にうつ伏せになり、さっきよりも激しく喘いでいる。ジャージのはだけかたもさっきより大きくなり、そこから甜花の染み一つない肌と背骨のラインがのぞいていた。

 

「…………」

 

 その姿に下衆心を刺激された陰平は、甜花の背後にそっと忍び寄り、彼女の背中をぽんぽんと叩く。

 

「大崎さん、もう一回ストレッチするぞ」

「も、もう一回……? や、やだ……」

「そう言わずに。怪我したらいけないからな。レッスン終わりのストレッチは大切だ。それに、明日筋肉痛にならないように、マッサージしておかないと」

 

 陰平は、ジャージの上から甜花の背中を手で擦る。その手の動きが、どこかセクハラじみている。

 レッスン中に気付いたのだが、この娘は男に身体を触らせることに、あまり抵抗感を抱いていない。陰平の手が身体に偶然触れてもキョトンとするばかりで、嫌悪感を見せないのだ。自分が「女」であることを自覚していない娘には有りがちだ。性に対する自覚という意味では、甜花は放クラの小宮果穂とどっこいどっこいであると陰平は睨んだ。

 しかも今は、レッスンで疲労困憊していて警戒心が余計に緩んでいる。セクハラには絶好の機会だった。

 

「甜花、もう動けない……、動きたくない……」

「仕方ないな……、じゃあ、背中のマッサージだけでもしておくぞ?」

「うん……」

 

 背後で下卑た中年男がべろりと舌なめずりをしたのに、甜花は気付いていない。それをいいことに、陰平は甜花の肩甲骨のあたりに手を添えた。そして少女の背中に、ぐぐっと親指を沈みこませる。

 

「んぅ……」

 

 ほんの少し痛みを感じているのか、眉をひそめた甜花が声を漏らす。

 

「痛いか?」

「ううん……びっくりした、だけ」

「そうか。背中からほぐしていくから、痛かったら言えよ」

「う、んっ……」

 

 甜花の骨格を確かめるように、陰平は彼女の身体をもみほぐしていく。その手つきはいやらしい中年親父のものだが、彼がやっているのは完全にセクハラ目的のおさわりという訳でもない。なぜなら陰平の住む寮監室の本棚には、整体に関する本も何冊か置いてある。アイドルの怪我のリスクを軽減する事は、彼女たちを存分に輝かせるためにはやはり必要だからだ。

 めぐるや灯織も、彼のマッサージを非常に好む。前戯がわりのマッサージで身体の内部をポカポカに温めてから生ハメ交尾に挑むと、彼女たちは簡単にイキ狂った。そうやって、身体と心の両面に溜まったストレスを排出するのだ。

 

「あ……っ」

「痛かったか?」

「う、ううん……」

 

 既に何人ものアイドルを鳴かせてきた陰平の手が腰に触れると、甜花の身体がわずかに震えた。双子でありながら、プロフィール上では甜花のスリーサイズは甘奈のものより少し勝る。胸にも、腰にも、尻にも、一回りだけ余計な肉がついている。だが、それが陰平の指にむっちりとした感触を伝えてきて、触っていて非常に楽しい。

 

「ん……、んん……」

 

 腰を執拗に揉んでいると、陰平のごつい指から逃れようとするかのように、甜花は身をよじり始めた。精神的自覚が無くとも、立派な女性である彼女の身体は、男の指の動きに立派に反応しているのだ。こういう「スキンシップ」を続けて行けば、いつかこの少女の「メス」を目覚めさせる時に役立つことは間違いない。鼻を近づけ、レッスン後の少女の汗の香りを堪能しながら、陰平はそんな事を考えていた。

 

「身体、すごく軽くなった……かも。にへへ……ありがとうございます、陰平さん」

「どういたしまして」

 

 マッサージが終わると、散々自分の身体をまさぐったスケベ中年に、甜花は笑顔で礼を言った。今日はほとんど「ただの」マッサージだが、初回としてはこんなものかと陰平は思った。

 レッスン以外にもアイドルがやるべき事は多い。事務所に戻った陰平と甜花が、今後のスケジュール等について話し合っていると、別の部屋でレッスンしていた甘奈と千雪が、はづきと伊庭を伴って入ってきた。

 

「甜花ちゃん! 寂しかったよ~! 大丈夫だった? 疲れてない?」

「うん、大丈夫だよなーちゃん。甜花、ちゃんとレッスンした」

「すっごーい! さっすが甜花ちゃん!」

「にへへ……」

 

 大崎妹が姉に抱き着いて、ドヤ顔をする甜花を褒め散らかす。プロダクション入りしてから、こんなふうに甘奈は甜花を甘やかしまくる。最初は甜花が甘奈に頼り切りなのだと思ったが、どうやらそうとも言い切れなさそうだ。

 

(むしろ甘奈のほうが、甜花に依存してるのかもしれないな……)

 

 姉妹を調教していくために、陰平は愛想笑いの奥で彼女たちを観察してきた。その彼が判断するところでは、甜花のほうが虚弱に見えて、むしろ甘奈のほうが、精神的に弱いものがある。彼女が甜花を甘やかすのは、姉好きが高じての上だと本人も自称しているが、甜花を甘やかす事をアイデンティティにしている彼女が、もしも甜花を誰かに盗られてしまった場合、どういう反応を示すだろうか。

 一方の千雪は、タオルで汗を拭きながら伊庭に話しかけている。伊庭は最初は居なかったが、後から彼女たちのレッスンに合流したようだ。

 

「伊庭さんは、今日はこれからどうされるんですか?」

「事務所で書類仕事をしてから、他のアイドルの現場に行ってきます」

「まあ……忙しそう。やっぱりプロデューサーのお仕事って大変なんですね」

 

 高身長の伊庭を見上げて彼に話しかける千雪は、既に明らかなメス顔、メス声になっている。他の人間が居るという事も、あまり気にしていない様子だ。

 イケメンの伊庭と嬉々として会話する千雪を、陰平は内心で腹を立てながら見守っていた。熟れた身体を疼かせて、そんなに繁殖相手を探し求めていたのだろうか。心配せずとも、伊庭のフニャチンに抱かれる前に、自分のチンポでその子宮に中年遺伝子を注ぎ込んでやると、どす黒い情念を燃やした。

 

―――――――――――――

 

「陰平さん、俺たちも久しぶりに飲みに行きませんか」

 

 夜、書類仕事が一段落すると、陰平の向かいのデスクに座る伊庭が話しかけてきた。何かと思えば、伊庭の口から出てきたのは、しばらくぶりの唐突な飲み会の誘いだ。

 

「そうだな……」

 

 陰平は事務所の中を見た。仕事が長引いて、既に午後九時を回っている。今はここにいるのは、陰平と伊庭だけだ。はづきも帰ってしまった。――というより、はづきは千雪と夕食に行ってしまった。あちらはあちらで、二人で飲むつもりだったようだ。

 そちらに混ざるのならばともかく、男二人で飲んでも何も面白くない。しかし、この業界では飲むのも仕事という側面がある。それに、前に伊庭と飲んだ時には、恋鐘のプロデュース権をこの男から移譲させることに成功した。ならば今回も――。以上を素早く考えて、敢えて断る事は無いと陰平は判断した。

 

「いいですね、伊庭君」

「あ、じゃあ陰平さんの準備ができたら出発しましょう。店には俺が予約を入れておきます。いいお店を見つけたんですよ!」

 

 伊庭は爽やかな笑顔でそう言う。なんとも気配りのできるマメな男である。これでイケメンなのだから、アイドルにすらモテてしまうのも当然という訳か。

 仕事に使ったファイルを保存し、二、三通のメールを送って、椅子に掛けておいたスーツを羽織ると、陰平の用意はできた。その時には伊庭による店の予約も済んでいて、男二人は事務所を施錠して、徒歩で駅裏へと向かった。

 伊庭が予約したのは、最近できたという串焼き屋だった。店内は余り広くなく薄暗い。カウンターでの一人客でも気兼ね無く飲めそうで、こういう店が陰平は好きだった。

 

「明日は休みですし、飲んでください陰平さん」

 

 わざわざ飲みに誘うのだから、恋鐘の時と同じように何か相談でもあるのかと思ったら、伊庭はそう言った。笑顔にも屈託が無く、出てくる話も雑談ばかりだ。恋鐘のプロデュースを陰平が引き受けて以来、伊庭の担当するアイドルたちのほうは、そこそこ上手く仕事ができている。伊庭は無能ではないから、恋鐘のプロデュースを成功させられなかったのは、ちょっとしたボタンの掛け違いという事なのかもしれないが、それにしても、陰平は伊庭の笑顔が気に入らなかった。

 こいつを想って、恋鐘はあれほど苦しんだのだ。いや、今も忘れられず苦しみ続けている。やはりこいつから恋鐘を無理やり奪い取ったのは正解だった。陰平はそう思ったが、何故か酒に苦いものが混じる。

 

「最近、放クラのほうはどうです」

 

 伊庭から仕事の話が出て来ないので、むしろ陰平のほうから話を振った。伊庭はやはり爽やかに微笑む。前に合格したオーディションをきっかけにテレビのバラエティ番組にも出演し、今度単独ライブもやるのだという。樹里に聞いていた事より新しい話はなかったが、こちらはやはり順調そうだ。

 

「前の陰平さんのライブみたいに、良い演出ができるように頑張ります!」

 

 つまりこいつは、恋鐘が他の男のプロデュースで輝いた事に、何の嫉妬も感じなかったのか。あの時俺が言いたかった事を、こいつは何も分からなかったのか。陰平は持っていた猪口を呷った。

 

(――ん?)

 

 そこで陰平は首を傾げた。どうも今夜は思考が妙なほうに流れてしまう。この男が恋鐘に幻滅される分には、陰平にとって好都合な事しかないのに。

 しかしそうだ、恋鐘と言えば、陰平はこの男に聞きたい事が有った。

 

「伊庭君は、幽谷さんから何か聞いてないかな」

「霧子から……? 何です?」

「ああ、いや」

 

 陰平は誤魔化した。陰平がこの男から聞き出したかったのは、恋鐘と霧子に渡したデュオ曲の作詞の進捗状況だ。それについて、完成まで陰平には見せないと、恋鐘は頑なに言い張り続けている。もしかしたら陰平に隠れて伊庭に助言を仰いでいるのかとも勘ぐったが、この男は何も知らないようだ。

 

(やっぱり、霧子のほうに聞いてみるか……?)

 

 あれは恋鐘たちに任せた件だとは言え、さすがに陰平も不安になってきた。恋鐘が教えてくれないのなら、霧子はどうだろうか。恋鐘たちは作詞に関する作業を、ほとんど霧子の病院でやっているようだ。事務所で霧子を捕まえるか、あるいはその病院に訪ねて行けば、完成途中でもいいから、その詩を見る事が出来るかもしれない。

 そうだ、そうしようと思って、陰平は内心で頷いた。ちょうど明日はオフなのだ。

 

 そこからも、陰平と伊庭の男二人だけの飲み会は続いた。陰平は放クラの様子の他にも、アンティーカの他メンバーや今日の千雪と甘奈のレッスンの様子について伊庭から聞き出そうとした。対する伊庭は、しきりに陰平のプロデュース論などを聞きたがったが、陰平は笑って誤魔化した。

 

「ほんとに割り勘で良いんですか? 俺が誘ったんですし……」

「前も伊庭君に出させたじゃないか。これでも一応、俺が年上だから」

 

 その焼き鳥屋に彼らが居たのは二時間経たないくらいだったろうか。休みとは言え明日に響くといけないからと、彼らは適当な所で切り上げる事にした。割り勘で勘定を済ませると、二人は店を出、駅のほうに歩いた。伊庭がどこに住んでいるのかは知らないが、電車で移動する事は間違いない。陰平はその気になれば歩いてでも寮に戻れるのだが、それでも電車のほうが楽だ。

 

「千雪~、ほら、ちゃんと歩いて~。もう帰るわよ~?」

「やだぁ、まだ帰らない~。もう一軒行くのぉ」

「ん? あれは……」

 

 路地から聞こえてきた声に伊庭が顔を上げ、陰平もその方向を見た。

 

「はづきさんと、桑山さん……」

 

 どこの酔っ払いかと思ったら、あれはうちの事務員と新人アイドルではないか。事務服を脱いだ私服姿のはづきの腕に千雪がもたれかかり、まだ帰りたくないと子供っぽい駄々をこねている。と、そこではづきが陰平たちに気付いた。

 

「あ、陰平さんと伊庭さん~。丁度良かったぁ。手伝って下さい~」

「何やってるんですか、はづきさん」

「いえ……、女二人で親睦会をしてたんですけど……」

「べろべろに酔っ払ってますね、千雪さん」

 

 はづきはまだ正気のようだが、伊庭が言った通り、千雪はもうどうしようもなく酔いつぶれている。はづきの支えがなければ立っていられないだろう。陰平たちがここに居る事に気付いているかどうかも怪しい。

 

「千雪さんはお酒好きだったんですね」

「伊庭さん、そんな事言ってないで手伝って下さいよ。陰平さんも」

「う~ん……タクシーに乗せて寮まで運ぶか。伊庭君」

「はい」

 

 頷いた伊庭は大きな通りに出て行って、タクシーを捕まえようとしている。

 

「これでも最初は大人な飲み会だったんですよ~? ほんとですから」

「その言い訳は、ちょっと信じがたいな……」

 

 陰平は呆れた。千雪に比べればマシというだけで、はづきも十分酔っている。一体何杯飲んだのか、頬が紅く、酒臭い。

 

「タクシー捕まえてきました、陰平さん」

「ありがとう。じゃあ、千雪さんは俺が寮まで送るとして……」

 

 はづきはどうするか。陰平が考えたところで、はづき自身が、少し呂律の回っていない声で言った。

 

「私も千雪の部屋に泊まります~」

「……本人も言ってるし、そうするか。このまま一人で帰すのも危なそうだし。――伊庭君、今日は楽しかったよ」

「あ、はい、陰平さん。俺もです。千雪さんとはづきさんをお願いします」

「ああ」

 

 陰平たちは、酔っ払いの成人女性二人をタクシーの後部座席に詰め込むように乗せた。陰平自身は助手席に座り、タクシーは伊庭一人だけを残し、寮に向けて発車した。

 

――――――――――――

 

「ほら、はづき。水だぞ」

「んう~……」

 

 タクシーから下ろした二人を寮の千雪の部屋に運び込むと、陰平は自分の部屋から持ってきたペットボトルをはづきに与えた。千雪は彼女のベッドに寝かしてあって、既にすぅすぅと可愛らしい寝息を立てている。

 

「んっ、んっ…………は~。ありがとうございました、陰平さん」

 

 ごくごくと喉を鳴らして水を飲むと、はづきはようやく人心地ついたようだった。

 

「随分と羽目を外してたな」

「だって~……」

「今まで事務所で二十歳以上は夏葉だけだったからな。友達ができて嬉しかったのか?」

「何か、いじわるな言い方ですね~。……そうです。でも、それだけじゃないですよ?」

「ん?」

「最近“ご主人様”が、相手をしてくれないからです」

 

 そう言うと、はづきは陰平の首に腕を回し、潤んだ唇を近づけてきた。

 

「ンっ…………。アイドルの子たちのプロデュースが忙しいのは分かりますけどぉ、私の事も、責任もって可愛がってください……」

 

 口づけを終えると、はづきはしおらしい声で囁いた。それからもう一度、自分の唇で陰平の唇をはむ。

 

「んっ、はむ……、ちゅ、……陰平さん…………んっ」

 

 すぐ横で千雪が眠っているにも関わらず、はづきは既に発情していた。何としても胎内に子種を恵んでもらわなければ収まらない。そういう目をしている。その健気さに心を打たれた陰平は、はづきに尋ねた。

 

「……新しい友達が横で寝てるのに、ここでハメて欲しいのか?」

「はい……そうです……。おチンポ、ハメてください……」

「千雪にバレたらどうする」

「どうせ陰平さんは、千雪も私みたいに、自分のオンナにするつもりなんですよね……? だったら、問題ないですよ。その時は、三人で楽しみましょう~?」

「はづきはそこまでチンポ狂いだったのか。お前がそんな女だって知ったら、千雪はどう思うかな」

「あっ……」

 

 陰平が服の上から胸を揉むと、漏れかかった声を抑えて、はづきが自分の指を噛んだ。いつも事務服姿のはづきばかり目にしているが、今日の彼女はややドレスな黒っぽい私服を着ている。新鮮な感じだった。そんなはづきのグラビアアイドル顔負けの美乳を揉んでいると、陰平のモノはあっという間に硬くなってくる。

 陰平のズボンの前が持ち上がるのを見て、はづきは期待でごくりと喉を鳴らした。

 

「陰平さんのおチンポでハメられれば、千雪も絶対に幸せになりますから~……。だから、全然問題ありません。だから、はづきのおマンコにおチンポ入れてください……」

「仕方ないな……」

「ああ……っ」

 

 そして、眠る千雪の横での本番が始まった。いくら何でもこの至近距離で獣のような本気交尾を行えば、泥酔した千雪と言えども起きてしまう。なので、極力声と動きを抑えての静かなセックスだ。

 陰平は社会の窓からいきり立ったチンポを取り出し、ショーツだけをずらしたはづきがその上に跨った。

 

「これ……っ、これっ、ほんとに凄いです……。陰平さんのおチンポ、いつでも硬くて、奥まで来る…………あっ」

「はづきのマンコも、俺のザーメンが欲しいって吸い付いてくるぞ。本当に欲張りだな」

「だって、だって欲しいんだもん……。陰平さんの精液で種付けして欲しいんだもん……」

「分かった分かった。すぐに出してやるから、もうちょっと我慢しろ」

「んっ……、ちゅ、ちゅぅ……、んぅっ」

 

 音を立てないようにしているため、激しくは動けない。だが、見られてはいけない相手の隣でセックスしているという事実が、二人の性感をあっという間に高めていく。引っ越し荷物の片づけられた千雪の部屋は、彼女の大人としての側面と子供っぽい部分が同居したような趣味に溢れていた。その部屋の主に断りなく、生でチンポをメスのマンコにハメる。そこにはたまらない背徳感が含まれている。

 

「出るぞはづき……! お前も一緒にイケ……!」

「はいっ……! いっぱいください……!」

「うッ……!」

 

 ――ドビュッ、ドビュルッ、ドビュルルルッ!!

 

 陰平がイク瞬間に、はづきのマンコが強烈に収縮し、ご主人様の気持ちの良い射精を誘った。二人は声が漏れ出ないようディープキスをしながら、ぴったりと息の合った動きで腰をくゆらせる。子宮口が、チンポの尿道に残った最後の一滴までも吸い取ろうと貪欲に吸い付いてくる。これが生ハメ中出しの醍醐味だった。

 隠しようのない中年の濃厚なザーメン臭が、千雪の部屋内に漂い始める。

 

「イッたか? はづき」

「――は、はい、イキました……。ていうか、今も……んぅっ!」

「遠慮するな。一杯イッていいぞ」

「ありがとうございます、陰平さん……」

 

 彼らは秘部で繋がって抱擁したまま、しばらくの間とろとろとした感覚を味わった。

 

 結局、陰平とはづきはそのまま千雪の部屋で三回戦ほど致し、最後はユニットバスでシャワーを浴びながらのバックからの種付けでフィニッシュした。はづきはそのまま千雪の部屋に泊まり、朝を迎えた。

 翌朝、頭痛に耐えながら起きた千雪は、室内に漂う正体不明の生臭い香りに眉をひそめていたという。

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