※この作品はR-18です。

【シャニマス】中年プロデューサーの華麗なる暗躍   作:黒胡椒サラミ

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【特別短編①】黒セーラー灯織と廃校で

「『先輩』…………ようやく、二人きりですね……」

 

 黒檀のような艶のある黒髪が、わずかに波打って背中まで伸びている。青白い肌は美しいが生気がなく、本当に血が通っているのか不安を掻き立てられてしまう。そんな青白い肌とは対照的な、血に濡れたような赤い唇。黒いセーラー服の少女が言葉を紡ぐたびに、口元の黒子と共に、その唇が艶めかしく動く。恐ろしい――だが同時に、淫らな妄想を掻き立てられる。

 この少女は、現世のものではない。

 逃げなければならない。逃げなければ、もう帰れなくなる。だが、帰る場所など忘れて、このまま彼女の差し出す腕を掴み、強引に床に押し倒してしまいたい。内側から湧き起こる獣欲に身を任せ、少女のセーラー服を引きちぎり、未発達の膨らみを乱暴に揉みしだき、秘裂を無理やりかき分け、少女の身体の内外を欲望の塊で穢し続けたい。

 そうして、悪夢の中で永遠に、この恐ろしくも愛おしい少女と、永遠に一つになり続けるのだ。

 

 灯織

 

 彼が少女の名を呼ぶと、少女の唇が廃墟の三日月のように歪む。これはヒトではない。かつてヒトであったのかもしれないが、今は違う。

 

 ああ、何と恐ろしいのだろう。

 だが、何と美しいのだろう。

 

 このまま少女の腕を掴もう。そして永遠に、永遠に、永遠に交わり続けよう。

 

 灯織

 

 彼は荒々しい呼吸で、少女を教室の床に押し倒す。少女は小さく悲鳴を上げたが、その口元には淫靡な微笑みが浮かんでいる。セーラー服がはだけ、シャツのボタンがちぎれ飛び、少女の胸が露わになる。性急にはち切れそうな怒張をズボンから取り出し、少女の秘裂にあてがう。

 少女の肌は冷たいのに、そこだけが熱い。

 

「来てください……先輩……」

 

 耳元で囁く声。少女の吐息は彼の残った理性を麻痺させ、最後の一歩を踏み外させる。暗い崖の底では、この世にいられなかったモノたちが大勢で手招きしているというのに。

 

「先輩……」

 

 挿入の瞬間、少女は彼を呼び、その背中を細い腕で抱きしめた。

 現世と幽世の境目。永久に明けない夜に囚われ、ただひたすらに互いだけを感じて、終わりのない法悦の中で。

 

 

 これは「演技」のはずなのに、そんなことも彼らは忘れて、永い時を交わり続けた。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

「では、プロデューサーが『先輩』役で、私が幽霊の女の子役ということで」

「ああ、分かった灯織。……でも、本当に俺が練習相手でいいのか? 俺は演技なんかしたこと……」

「いいんです」

 

 283プロのアイドル、風野灯織が断言すると、彼女のプロデューサーである陰平は苦笑した。今日は撮影も休みだというのに、灯織は本当に仕事熱心だ。

 

「台詞の前に、もう一度シーンの背景を確認しますね」

「ああ」

「この廃校に取りついた女の子の霊は、ここに迷い込んだ人たちを様々な方法で祟り殺します。その殺害方法は、彼女が生前に受けた父親からの虐待がもとになっているそうです。最初、登場人物たちは女の子を普通の人間だと思うのですが、段々と違和感を覚え、そうしているうちにこの世とあの世の境目が曖昧になって、この校舎から抜け出せなくなってしまうそうです」

「う~ん、まさにジャパニーズホラーって感じだな。で、ラストはどうなるんだったっけか」

「バッドエンドです。登場人物は、偶然校舎から抜け出した小さな女の子以外は全員帰れません。呪いは続きます」

「それもジャパニーズホラーって感じだな」

 

 呪いが終わらないのは、ホラーらしいスッキリとしない余韻を見た者に残すためと、いつでも次回作を作れるようにするためだろう。陰平は、納得したように頷きながら周囲のセットを見回した。山奥の廃校になった高校の校舎を利用しているだけあって、なかなか雰囲気がある。

 

「この机の感じも懐かしいなぁ……俺の高校もこんな机だった」

「私の高校は、もう少し新しいデザインの学習机ですね」

「そりゃあ、俺と灯織じゃ時代が違うからな。……久しぶりに見ると、こんな小さかったかって気がするな。俺の身体が小さかったのかな?」

 

 学生時代にあまり良い思い出はないが、それでもしみじみとした懐かしさというのは有るものだ。だが、あまりいつまでも思い出に浸っているような顔をしていると、灯織に老人扱いされかねない。

 

(初の主演映画だし、灯織もいい感じに気合が乗ってる。俺もちゃんとサポートしてやらないとな)

 

 そう考えて気を引き締める。

 ドラマで何度か演技はこなしたことはあるが、灯織はそもそも、あまり自分の演技力に自信を持っていないようだった。この映画のロケ中も、なんとなく納得がいっていない表情をしている。それを灯織に指摘すると、オフに自主練をしたいから付き合ってもらえないかと、彼女から提案があった。それで今日、陰平が車を出して、この廃校にやってきたというわけだ。

 

「こほん!」

 

 灯織は台本を片手に咳払いすると、腹式呼吸で発声練習を始めた。この廃校は本番のロケでも使用しているセットだし、灯織自身も本番と同じ衣装を着ている念の入れようだ。丈の長いスカートの、黒いセーラー服。タイツの色も黒で、灯織の髪も綺麗な黒だから、黒ずくめというわけだ。そこにリボンタイの赤がよく映えている。

 灯織はまだ高校生ながら、釣り目がちの、黙っていると少し冷ややかな印象を与える美人である。彼女をホラー映画の主演に据えたいという監督のオファーは慧眼だった。例えばめぐるが主演だと、ホッケーマスクの怪物が乱入してきそうな雰囲気になるだろうが、灯織ならば、まさに日本の「幽霊」を演じるにふさわしい。きっと観客の肝をいい感じに冷やしてくれる作品が出来上がるに違いない。

 

(あの監督はホラー専門だったよな……。交渉したら、霧子や凛世も使ってくれないかな……?)

 

 283プロに在籍していて、他にホラー映えしそうなアイドルを陰平が思い浮かべていると、準備できましたと灯織が言った。

 

「それでは『先輩』、よろしくお願いします」

 

 灯織は丁寧に頭を下げた。

 その「先輩」というのは、今回の映画に登場する重要な役の一つだった。灯織演じる少女の霊は、廃校に迷い込んだ人間の中でも、ある男に特別な執着を寄せる。少女はその男に、生前の己の知り合いの面影を重ねる。少女の生前にかなわなかった恋の相手が、その先輩というわけだ。

 死してもなお強く思いを寄せ、自分を現世に縛り付ける相手。それがどんな人なのか実感を得たいのだと、灯織は言った。共演の売れっ子若手俳優が相手では、それが分からないのだと。

 

 ――でも、プロデューサーが相手なら……。分かる気がするんです……。

 

 そうまで言われて、引き下がるわけにはいかないだろう。

 

「――先輩、来てくださったんですね。私に遭いに」

 

 気付くと、灯織はすでに役に入り込んでいた。

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩……先輩……先輩……先輩……――ん、んんっ」

 

 灯織は陰平の頭を両手でつかむと、うわごとのように繰り返し、唇を合わせて舌を口内に侵入させてくる。

 

「んっ――んぅっ――――」

 

 鼻にかかった息が漏れる。押し倒したのは陰平だったのに、今は灯織が彼の上に乗り、騎乗位で彼を貪っている。繋がった下半身は絶え間なく動いて、ぐちぐち、ぐちぐちと淫靡な水音を鳴らしていた。

 始めはただの演技だった。灯織のような美少女がセーラー服を着て、「先輩」と呼び慕ってくれるのだ。学生時代に女子との良い思い出が無かっただけに、演技と分かっていても悪くない思いだった。

 だが、途中から少しずつ様子が変わってきた。より深く役に入り込んでいったせいか、灯織の声には、いつしか切迫した色が籠りはじめた。まるで本当に妄執に囚われた亡霊のような感じがした。陰平も、最初はそれに感心していただけだったが、やがて灯織の演技に釣られるようになった。演技などしたことも無かったのに、灯織という少女が、本当に自分を慕う後輩なのではないかという錯覚に、頭が時折混乱した。

 生真面目な灯織は、演技を完璧なものとするために、何度も何度もやり直しを要求した。最初は休憩や雑談を挟んでいたが、それも段々と少なくなり、たまの休憩時間にも二人はほとんど言葉を発さなくなった。

 日が傾いてきたころには、灯織と陰平は、「少女の霊」と「先輩」としてしか話さなくなっていた。台本に無い台詞が、考えもしないのに勝手に口から出てくる。灯織という少女は、陰平の中に初恋の先輩の面影を見て強く執着し、陰平という男は、迷い込んだ廃校の中で美しい少女の霊に怯え、同時にその魅力に引き込まれていった。

 

「先輩……もっと……もっと奥まで、灯織を愛してください……」

 

 その声に応えて、陰平は一心に腰を振りたくる。

 こんなシーンなど、台本には無かった。少し肌を見せるシーンはあっても、高校生の灯織が本番行為を含む濡れ場など演じるわけがない。

 

「先輩……先輩……先輩……。灯織の中に、先輩を感じます……。先輩の暖かさを……先輩の愛を……先輩の命を感じます……」

 

 既に日は沈んだ。真っ暗闇の廃校の中で、台本に外れた演技を続けるなど馬鹿げている。だが、止められない。暗闇の中でも、灯織の瞳が淫らに濡れて輝いているのが見える。肉棒は少女の狭い膣に強く強く握りしめられ、今にも破裂しそうだ。視界に映るのは灯織だけで、鼻に感じるのは灯織の黒髪から漂う香りだけだ。灯織の中がとても心地よく、握りしめた灯織の胸が、蕩けるように柔らかい。感覚のすべてが灯織で染まり、灯織のことを考える以外の力を、脳から失わせていく。

 

「先輩……このまま、灯織とずっと繋がっていましょう……? ずっと……ずぅっと……」

 

 なんという魅力的な提案だろう。なんという蠱惑的な誘いだろう。

 ずっと繋がりたい。このまま灯織を穢し続けることだけを考えたい。

 肉棒がさらに硬さを増し、それに反応して、灯織が艶めいた嬌声を上げる。この後輩は、普段は学校であれほど清楚な顔をしていたくせに、こんな淫らな声を出すことができたのか。校則通りに整えられたセーラー服の下に、これほど発情した肢体を隠していたのか。怒りにも似た感情が、陰平の中に湧き起こった。

 

「んっ……! これ、深い……! 激しいです、先輩っ……!」

 

 気付くと体位が変わっている。灯織の上半身を学習机に押し付け、彼女の片脚を持ち上げて、広げられた股の間に陰平は怒張を差し込み、乱暴に腰を前後させた。

 

「あっ……! ……うふふ。んっ……そんなに、激しくして……私を、壊したいんですね……?」

 

 灯織の発する嬌声は、さっきよりもさらに艶めいている。ガシガシと腰を振られ、膣肉を悦びに痙攣させながらも、灯織は挑発的な笑みを浮かべた。

 

「ふふふっ…………あんっ。イイですよ、先輩……。壊してください……あっ、あっ、あっ」

 

 でも、その代わりにと灯織は言う。

 

「先輩も壊れましょう……? 灯織と一緒に壊れてしまって、いつまでも、いつまでも……」

 

 その誘いに抗う心など、陰平はとうに失ってしまった。言葉で答える代わりに、彼の腰遣いはさらに勢いを増す。水音と、肉と肉を打ち付け合う音。そして壊れたオスとメスの鳴き声が、夜の校舎に響いていく。

 

「ああ……出るんですね、先輩っ……! 私のナカに、灯織のナカに……!」

 

 灯織の背中を黒板に押し付け、立位で交わっているときに、いよいよ衝動は抑えきれなくなった。

 

「ください先輩……! 先輩のぜんぶ、灯織にください……! ――んぅうっ!!」

 

 膣内が一際強く締まり、竿全体を吸い上げるようにしごく。それに抗えず、陰平は全てを吐き出した。どくどく、どくどく、どくどくと、凄まじい快楽を伴って、とめどなく精が流れ出ていく。まるで精液と共に、魂までも灯織に吸われていくようだ。苦し気に眉を潜める陰平とは対照的に、灯織は恍惚とした表情で、湿りを帯びた吐息を漏らした。

 

「まだです……先輩……もっと……!」

 

 陰平に拒否権は与えられず、すぐに続きが始まる。射精直後の肉棒は敏感になり過ぎて、灯織の膣の刺激が痛いほどに心地よい。ほとんど間を置かず、陰平は二度目の射精を行う羽目になった。

 

「先輩が出てる……先輩が私の中に……!」

 

 まずい、このままではまずい。このままでは、灯織に全てを吸い尽くされてしまう。精液だけでなく、身体も心も全てが灯織の中に吸い込まれて、少女と一つになってしまう。

 

「ああっ……激しいです先輩……!」

 

 それでも腰を振りたくるのを止められない。精液を灯織に吐き出すのをやめられない。また肉棒がビクビクと震える。もう何度目の射精だろう。射精と射精の継ぎ目が無くなっていく。快感がいつまでも続いて止まらない。灯織の膣内がざわめくのが心地よすぎる。灯織の肌をまさぐる手からも、精気が無尽に吸いとられていくようだ。

 

 灯織

 

「はい、先輩。灯織はここにいます」

 

 灯織

 

「灯織は先輩が大好きです……! 先輩の事を愛しています……! ああ……やっと伝えられた……! やっと先輩と一つに……! もう離しません先輩! 私たちはこれから、ずっと一つ……!!」

 

 射精が止まらない。灯織の身体をいつまでも抱いていたい。射精が止まらない。灯織に愛を囁き、灯織に愛を囁かれる。射精が止まらない。まるで悪夢のようだ。射精が止まらない。暗闇でも、灯織の腰が艶かしく動くのがはっきりと見える。射精が止まらない。灯織、灯織、灯織、灯織、灯織。

 

 射精が止まらない。

 

「先輩……。このまま私と、ここで永遠に」

 

 快感の泥に、意識が引き込まれていく。

 灯織と共に、ここで永遠に躍り続けよう。

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

「ちょっと、やり過ぎましたね……」

「……ああ、ちょっとトリップしてた…………」

 

 正気を取り戻したのは朝だった。

 灯織の言った通り、やり過ぎた感がある。ほぼ徹夜でセックスした上、意識が別の世界に飛んでいた。

 

「すみません、反省します……」

 

 明るくなった廃校の教室の床で、二人は寝転んでいる。陰平が大の字になって、灯織は彼に腕枕されていた。陰平の胸を手でさわさわと撫でながらも、灯織はしゅんと眉を潜めた。

 

「役と雰囲気に飲まれました……もうしません……だから忘れてください」

「ははは。まあ、これが演技力のアップに繋がるなら良いじゃないか」

「うう……」

「それにしても、昨日の灯織は凄かったな」

「だから、そういうことを言われたくないんです……!」

 

 恥ずかしさに耐えられなくなり、灯織は陰平の胸に頬擦りするように赤面した顔を隠した。その仕草は血の通った人間そのものであり、昨夜の灯織が役にはまり込んだ上での幻のようなものだったのだと分かる。

 ただ、昨夜はとても気持ち良かったのは間違いないが。

 

「それに、久しぶりに二人きりだったので、抑えきれなかったんです……」

「ん?」

「何でもありません」

 

 灯織はそう言うと、ごまかすように陰平の頬にキスをした。陰平は灯織の黒髪を撫で、それで結局、練習の手ごたえはどうなのかと尋ねた。

 

「そうですね……」

 

 少し考えてから、灯織は答えた。

 

「この映画の女の子の霊が……たとえ死んでもその人の傍に留まりたいと思う気持ちは、ちゃんと理解できたと思います」

 

 灯織はそう言うと、今度は陰平の唇を、甘やかな口づけでそっとふさいだ。

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