【シャニマス】中年プロデューサーの華麗なる暗躍 作:黒胡椒サラミ
ライブが終わったオフの前日、恋鐘は久しぶりに、心に何の憂いもなく熟睡する事ができた。
今日詰まっているスケジュールを思い出しながら、何かに追われるように起きるのではなくて、心行くまで眠った結果、眠り疲れて目覚めるような感覚。それを味わいながら、恋鐘は覚醒し始めた意識の中で寝返りを打った。
「………ん」
恋鐘の手が空を切り、シーツを掴む。彼女は隣に眠っている人の胸にその手を添えようとしたのに、伝わってきたのは肌の温もりではなく、薄い布の冷ややかさだった。
(……プロ、デューサー……?)
この一晩で、彼女にとってのプロデューサーという単語が意味するものは、伊庭から陰平に完全に掏り替わってしまった。陰平の大柄な身体は、一晩中恋鐘の横にあったはずなのに、どうしてか今は彼の姿が無い。
まだぼんやりとした表情で、恋鐘は首を動かし、半身を起こして、彼の行方を探した。
室内には、引きちぎられた恋鐘のブラウスをはじめとして、陰平に脱がされ、陰平が脱ぎ捨てた衣服が乱雑に散らかっている。昨晩ここで、自分が陰平に何をされてしまったのかを、恋鐘はハッキリと思い出した。
「…………」
恋鐘が何を考えているのかは、その表情からは読み取りにくい。見慣れない室内を見渡した彼女は、部屋の扉にわずかな隙間が空いているのに気付いた。
あそこから、陰平はどこかに行ってしまったのだろうか。
「あ……」
立ち上がろうとしたが、恋鐘は全裸だった。肌には陰平の手に抱きしめられた痕が、ほんのりと残っている。そしてそれ以上に、お腹の中が、まだ暖かい。初めて味わう情事の後の感覚に、恋鐘の頬がぱっと染まる。
しかしとりあえず、何時までもこうしている訳には行かないだろう。恋鐘はしばし考えてから、服の代わりに、シーツを身体に巻き付けた。
秋の朝の弱い日差しが、貸しコテージの窓から差し込んでいる。素足で歩く恋鐘の足裏には、少しひんやりとしたフローリングの感触が伝わってくる。
しゅうしゅうと何かが焼ける音と、美味しそうな香り。ダイニングに、恋鐘が姿を探している人がいた。
陰平が、コンロに向かって何かを調理している。彼は裸で、腰に一応タオルを巻き付けているだけだ。シャワーを浴びたのか、その髪が少し濡れて光っている。背中の傷は、恋鐘が昨晩つけた爪痕だ。
恋鐘はまだ少し血が滲むその痕を、自分の胸と下腹部に感じる暖かさを感じながら、しばらくの間眺めていた。
「……んっ? …………恋鐘……」
フライパンでベーコンと目玉焼きを焼いていた陰平は、不器用な慣れない手付きで完成品を皿に移した。そして、その皿を手に持ち振り向くと、ダイニングの入り口に恋鐘がいた。朝の光の中、巻き付けたシーツを床に引きずる恋鐘は、それこそ女神の立像のようだった。
陰平は、寝室に持って行くつもりだった皿を、ダイニングテーブルに置いた。少し焦げてしまったトーストと、カリカリに焼けたベーコン、そして潰れた目玉焼き。恋鐘は昨日のライブ終わりから、夕食も食べていないはずだ。――実際、そこで恋鐘の腹から、くぅという可愛らしい腹の虫が鳴り。二人は気まずそうな表情をした。
「……食え」
恋鐘は陰平の言葉にコクリと頷くと、椅子の一つに座った。無理やり処女を奪った事について、泣き喚くか怒り狂うと思っていたのだが、陰平にとっては意外な反応だ。
だからだろうか、恋鐘のシーツ一枚まとった官能的な姿を目の前にしているにも関わらず、陰平の肉棒はいつもの凶暴さをひそめている。そして恋鐘がナイフとフォークを手に取り、その小さな口でもぐもぐと朝食を食べ始めたのを確認すると、陰平も彼女の向かい側の椅子についた。
「……あまり、自分で作った事が無いからな」
陰平は言い訳を口にした。ベーコンはまあ食えるが、トーストと目玉焼きの焼け具合は、あまり良くなかった。トーストは焼けすぎているし、目玉焼きは中身がグズグズだ。
「味は、どうだ」
「…………ばり、不味いばい。……うちが作ったほうが、もっと上手に出来ると」
「……まあ、そうだよな」
恋鐘の声は、いつもの恋鐘だった。
それから、二人は食べ終わるまで無言だった。酷評したというのに、恋鐘はその不格好な朝食を綺麗に平らげた。先に食べ終わって、彼女が食事するのを眺めていた陰平が、空になった二人の皿を下げて流し台に置く。そして、陰平は再び恋鐘の向かいに座った。
「…………野良犬に噛まれたと思うて、忘れるばい」
「…………」
「うちがあんまり魅力的やから、プロデューサーも、魔が差したんやと思うし」
さばさばとした感じで、恋鐘はそう言った。だが、彼女がそんな割り切った大人の女性であるはずがない。陰平から少し目を逸らしながら、恋鐘は続ける。
「――うちはやっぱり、伊庭さんの事を……やっぱり好いとーけん、プロデューサーとはそーいう関係になれんし」
ガタリと椅子を揺らし、陰平は立ち上がる。そしてテーブルを回り、喋り続ける恋鐘の横に向かって歩く。
「――そもそもうちはアイドルやけん。誰かとそーいう関係になったらダメやし。……だから――」
昨日の事は無かった事にしよう。恋鐘はそうとでも言うつもりだったのだろう。しかしその前に、陰平は恋鐘を力強く抱き寄せ、彼女の顎を手で持ち上げ、強引に唇を奪った。
「んぅ――」
言葉を奪われた恋鐘は、目をつぶり、その感触を確かめるように陰平の唇をはむ。そうして数分間口づけを続けるうちに、恋鐘の手は陰平の頬を挟んで、キスはさらに情熱的になっていく。胸元で留められていたシーツも、抱き合っている間にほどけて床に落ちた。陰平の腰に巻かれていたタオルも、いつの間にか取り去られている。
陰平は、恋鐘の上半身をダイニングテーブルに押し倒した。
「うち……、うち、こがん事、ダメやけん……。うち、好いとー人がおるとに」
自分に言い聞かせるようにつぶやきながらも、恋鐘の股は緩やかに開かれている。既に濡れそぼっているそこを、愛撫する必要などない。忘れたくとも忘れられなくなるように、陰平は己の怒張を、恋鐘の秘裂に突き刺していく。
「あぅっ……、うち……、うち…………、プロデューサー……っ。…………はぁっ」
朝のダイニングで、昨晩の続きが始まった。
恋鐘の膣は、昨日よりもすんなりと陰平の肉棒を飲み込んだ。相変わらず彼女の中は湿り気が多く、じゅくじゅくと蜜が滴っている。それが全体でむちゅうと吸い付いてきて、チンポを優しく出迎える。恋鐘本人はともかく、彼女の膣は、しっかりと陰平という初めての人を覚えているのだ。その肉棒が初めての快楽を与えてくれたことを覚えていて、さらにそれにフィットした形になろうと、懸命に頑張っているのだ。
「うち……っ、ダメっ……、はぁん……っ! やぁ……ンっ……!」
恋鐘は昨日よりも感じやすくなっている。その声は、すぐに熱を帯び始める。昨日よりも速めのリズム、浅いストロークで、陰平は恋鐘の膣肉を耕した。少しだけこなれた彼女の膣は、熱烈に陰平のチンポに媚びてくる。射精しようと思えば、いつでも射精できるほどの極上の穴だった。
ダイニングテーブルで、陰平は恋鐘を味わい続ける。この身体は最高のデザートだ。突きに合わせてブルブルと震える爆乳は、目にも美味しい。
「プロデュ……、うちの乳首、吸わんでぇ……!」
恋鐘は何か言っているが、乳首は吸うためにあるのだ。ちゅうちゅうと吸い、舌先でコロコロ転がし、桜色の乳輪も刺激していく。吸えないもう片方の乳首は手で愛撫する。軽くカリっと歯と爪を立ててやると、恋鐘はチンポを食い締めながら、可愛らしい声を出してのけぞった。
「きゃぅ――っ! おっぱい、揉まんでぇ……! ――はぅっ!」
ライブの時とはまた違った甘美な歌声だ。何時までも聞いていたいから、何時までも愛撫を続ける。恋鐘の乳首はピンと勃って、より敏感になっていく。そうして赤ん坊のように乳首を吸いながら、恋人のように種付けしたい。せり上がってきた射精感を特に堪えずに、陰平は恋鐘の中に出した。
――ドク、ドク、ドク、ドク、ドク……。
「いやぁっ―――!!」
陰平ばかり食べていては不公平だから、彼は恋鐘に精液を御馳走した。恋鐘が嫌がっているのが口だけであるという事は、ごくごくとザーメンを飲み干す膣の様子からもわかる。
射精が終わると、しばらくの間全身を弛緩させてから、陰平は恋鐘に尋ねた。
「俺の精液が、お前の中に入ったのが分かるか?」
「…………うん。うちのお腹ん中、いっぱいに……」
「どんなふうに感じる」
「……昨日ん夜に出されたのが、まだ残っとーけん……それと混ざって、泳いどる……」
「もっと出したい」
「…………うん」
恋鐘は、自身の胸の谷間に顔を埋める陰平の後頭部を、優しく撫でた。チンポがマンコから引き抜かれないまま、二回戦がすぐに始まる。傍から見れば、彼らは一糸まとわぬまま食卓で愛ある子作りに励む、年の離れた新婚夫婦にしか見えなかったはずだ。
「恋鐘、お前は俺の何だ?」
「んっ……、うちは、プロデューサーの、アイドルばい」
「じゃあ俺は何だ? お前にとっての俺は」
「プロデューサーは……、プロデューサーばい」
「伊庭がプロデューサーじゃなくていいのか? お前が好きなのは、伊庭なんだろう? 俺から逃げなくていいのか? 俺とセックスして、俺に中出しさせてていいのか?」
「んぅ……っ、また出とーよ……。また、こがんに沢山……」
「俺と伊庭、お前にとって、どっちが特別だ?」
「言わせんとーて……んあぅっ!」
恋鐘がまだ伊庭への執着を捨てられないでいると、陰平の腰の動きが叩きつけるように変化する。
――バチュッバチュッバチュッバチュッ!!
「んっ、んっ、んっ、んっ、ああっ!」
「恋鐘、どう感じるか言え!」
「さ、刺さっとー! うちの奥まで、刺さっとーよ、んぅっ!?」
「これはどうだ? これはどう感じる!」
「んっ……、上のとこ、ぐりぐりされて、じんじんしとー……。ああっ、うち、これ好きぃっ」
「俺のチンポが好きか! 言え!」
「んぅ――――っ!」
「言え!!」
「――好きっ! 好きぃっ! うち、プロデューサーのオチンチンの事、ばり好きぃっ! プロデューサーの事も好きぃっ!」
「俺もお前の事を愛してるぞ! 出すぞ恋鐘!!」
「プロデューサーっ!!」
もしかしたら伊庭の事は、もはや彼らのセックスを盛り上げるためのスパイスにしか過ぎないのかも知れない。ダイニングテーブルで三発目の中出し精液が吐き出されると、二人は再びキスをし、舌を交わらせて唾液を交換した。
そして、柔らかくなったチンポをちゅぽんと引き抜くと、汚れた身体を清めに風呂に行くため、陰平はぐったりとする恋鐘の身体をお姫様抱っこで持ち上げた。
「はむ、ちゅ、ちゅぅ、ちゅぱ」
「恋鐘、もっと舌を絡めろ。腰も上下に振るだけじゃない。たまにリズムを変えるんだ」
「ふぁい、プロデューサー……、んっ、あぅ、んんんっ、ちゅ」
「上手だぞ、いい子だ恋鐘。あと二十回腰を振ったら、出してやる」
「ありがとう、ばい……、んぅっ」
風呂場でも、結局イチャラブセックスが始まった。
狭い空の浴槽の中に、陰平は恋鐘と二人で入り、対面座位で深くつながる。カランから出るお湯が浴槽一杯に溜まるまで、生ハメを続けた。お湯が溜まったら溜まったで、その湯加減を楽しみながら、恋鐘の胸を使って男を喜ばせるためのレクチャーが始まる。
「俺のモノを挟んでみろ、恋鐘」
陰平は湯舟の中で立ち上がり、その肉棒を恋鐘の目の前に突き付ける。そして彼女の爆乳でそれを挟むように指示すると、恋鐘は素直に従った。
「ん……こう、ばい? ばり、かちかち……。……あ、プロデューサー、気持ちいいって顔しとーよ? うちのおっぱい、そがんに好きなん?」
「当然だ。お前の胸は最高だ……うっ」
「……えへへ、男の人の考えとーことは、よう分からんねー。こがんもん、邪魔なだけなんに」
そう言いながらも、恋鐘はやけに嬉しそうに、膝立ちになって懸命にパイズリ奉仕する。陰平の規格外の肉棒すら飲み込むほどの、圧倒的質量の巨乳。こんなものを持つ恋鐘は母性の塊であり、己の胸で陰平が感じるのを、よしよしと慈しむような顔で眺めていた。
「プロデューサー……? うちにどうして欲しいと? うち、プロデューサーんために何したらよかと?」
「なら……、咥えてくれ、恋鐘……」
「咥える……? 口で……? こう?」
「ううっ!」
恋鐘は胸の谷間から出た陰平の亀頭に、よく分からない様子でキスをする。そうしながら上目遣いで見つめられると、さしもの陰平も情けない声を出してザーメンを噴き出した。
「きゃっ! ――んぇぇ……、顔にかかったばい……」
「す、スマン……」
「……ん~ん、よかばい。プロデューサー、気持ち良かった?」
白濁を顔にかけたまま、恋鐘が微笑む。そんなことをされると、陰平のチンポはすぐに硬度を取り戻し、よりガチガチになる。半ば襲い掛かるようにして、陰平は再び恋鐘の膣に己を挿入した。
――――――――――
「恋鐘……、俺の事を恨んでるか?」
「……どーして?」
「だって、そりゃあ……」
陰平は言いよどんだ。
風呂場での愛あるセックスと洗いっこが終わると、彼らはリビングのソファに並んで座り、なんとなく休憩していた。風邪を引いてはいけないから、二人は一つの毛布を共有して身体にかけている。その下は、未だに生まれたままの姿だ。ソファはテレビの前に置かれているが、それに電源は入っていない。二人はただ並んで、取り留めのない話をしていただけだ。
さっきの陰平の質問は、その中で出てきた。恋鐘が今日の行為の途中から、あまりに陰平を受け入れる姿勢を示すので、逆に罪悪感に駆られてしまったのだろうか。この男にしては珍しい事である。
「さっきも言うたやろ」
毛布の下で、恋鐘が陰平の手を握る。そして彼女は、中年男の肩に、こてんと頭を預けてきた。
「野良犬に噛まれたと思うて、忘れるって。ここから帰ったら、全部忘れるって。……だから、今はプロデューサーが、うちん好きな人で……よかばい。だからここにおる間だけ、恋人の振りして――」
「恋鐘……」
「今だけ特別やよ? プロデューサーは、うちをアイドルにしてくれたけん、特別」
彼らは一時間ほどもそうやって並んで座り続け、やがてどちらからともなく、再びお互いを求め始めた。
「恋鐘……! 恋鐘……! 恋鐘……っ!」
「プロデューサー、ばり好きっ! うち、プロデューサーのことばり好いとーよ……! 愛しとーよ……!」
「俺もだ、恋鐘……!」
「ありがとう、うちをアイドルにしてくれてありがとう。うち、プロデューサーに感謝しとるんよ」
「入れるぞ……!」
「うん、うん……! 早うちょうだい……! ――ああっ」
このコテージにいる「今だけ」という言い訳を得た事で、恋鐘はむしろ積極的に陰平の愛を求めた。
彼らが交わっているのは廊下の床だ。リビングのソファから手を繋いで寝室に戻る最中、我慢しきれなくなり、ここで始めてしまった。
「ばり好きっ、プロデューサー! ばり、ばり好きっ! プロデューサーも、うちの事愛して? 恋人みたいに、うちの事大切にして?」
「もちろんだ、恋鐘。分かるだろう。俺のチンポが、お前の中で膨らんでるのが」
「うん、分かる。うちの中に精子出したかーって、先っぽが震えとーよ?」
「出していいか? もう我慢できない」
「うん、うん。出して? 早くうちの奥に、プロデューサーの熱いの、ちょうだい。あっ――――」
「ぬううううっ!」
「出て、るぅ……!」
正常位で交わったかと思うと、恋鐘の胸を廊下の壁に押し付け、立ちバックでハメる。恋鐘の愛液が床に水たまりを作り、そこに子宮に入りきらなかった陰平の精液がぼたぼたと落ちる。結局彼らはその場で三回の交尾に及び、再び風呂に入らざるを得ないほどにどろどろに汚れてしまった。
「ふん、ふふーん、ふん、ふーん」
恋鐘が鼻歌を歌いながら、フライパンで食材を炒めている。
セックスに夢中で、昼食は抜いた。夕方になり、陰平が食事の用意をしようと動き出すと、それを恋鐘が引き留めた。
――うちに任せて、プロデューサーは、大人しゅうまっとって。
恋鐘の料理はプロ級だ。陰平もそれは知っている。だがそれは、プロフィール欄で見たとか、伊庭から聞いたという程度の「知っている」に過ぎなかった。陰平のプロデュースで恋鐘がローカルの料理番組に出た時も、彼は収録で作られていく美味そうな料理を、遠くから眺めているだけだった。
「ふふふーん、ふふーん」
それが今、陰平一人のためだけに、恋鐘はその腕を振るっている。例え成り行きだとしても、何か、心に妙な感慨が生まれる。
全裸で油ものを扱うのは危険だという事で、恋鐘はエプロンを身に着けている。都合よく、洗濯室に備え付けのものがあった。いわゆる裸エプロンという奴が完成した。こんな場所で男の夢を一つかなえようとは、陰平も想像していなかった。そのエプロンは恋鐘のサイズには少々合わず、胸の部分が突っ張っているが、それがまた欲情を誘う。
裸エプロンで形のいい尻を揺らして料理する恋鐘を、普段の陰平なら襲いそうなものだが、彼は恋鐘に言われた通り、チンポも勃てず、大人しく座って待っていた。その理由は、ただ恋鐘の手料理が食べたかったからだ。彼女がせっかく料理を作ってくれるというのに、それを途中で台無しにさせるような真似は違うと、陰平は考えた。
「よしっ! 完成ばい」
「お~……!」
陰平は目を見開いて嘆息した。陰平が適当にスーパーで購入した食材で、恋鐘は何種類もの料理を作った。これを言うと灯織あたりがしょぼくれるかもしれないが、レシピ通りにしか作れないにわかとは違う。恋鐘は本当に料理上手なのだ。
「どうぞ、食べて?」
「……ひょっとして、毒でも入ってるのか?」
「そんな事せんよ。……今は、プロデューサーがうちの恋人やけん」
「……悪い」
照れ隠しに、言わなくても良いことを言ってしまったと反省する。
「……美味い」
恋鐘の料理を口に入れた瞬間、陰平は自分がこれまで、食い物の美味さというものを軽視してきたという事を悟った。それ程に美味い。伊庭はいつも、こんな差し入れを食っていたのか。それでよく、あれ程朴念仁でいられたものだ。
陰平は最初の一言を発しただけで、後は夢中で貪り食った。夢中なあまりよく見えていなかったが、恋鐘は自分が食べるのもそこそこに、陰平の食べる様子を微笑んで見ていた気がする。皿を舐め回すまでは行かなかったものの、陰平はサラダのレタスの最後の切れ端一枚まで、綺麗に平らげた。
料理の感想を一通り熱っぽく伝え、食後の会話をゆったりと楽しんだ後、さてとと陰平は立ち上がる。
「恋鐘、その流し台のとこに手をついてくれるか?」
それから彼は、裸エプロンの恋鐘を後ろからガツガツと突きまくり、エプロンの横から手を差し入れ、その巨乳を思う存分に揉みまくった。恋鐘の手料理は手料理として、男の夢は、やはり男の夢なのだ。
夜、恋鐘が外の空気を吸いたいと言うので、二人してベランダに出た。寒いから、やはり毛布を羽織ってだ。周囲に人家の無い夜空には、都会とはくらべものにならない数の星が瞬いており、恋鐘はそれがきれいだと喜んだが、それで言うなら、恋鐘のほうが星よりもっときれいだった。
だが、イケメンの伊庭と違ってそういう事を言えない陰平は、ベランダのチェアーに座り、その膝に恋鐘を乗せたまま、適当に話をした。
「長崎の空みたいか?」
「むぅ、バカにせんで。佐世保はここよりも都会ばい。……東京よりは、田舎ばってん。……プロデューサーは、どこの出身の人?」
「俺か? 俺は――」
そのまましばらく、星を眺めた。秋の夜風は冷たいが、二人して毛布にくるまり、肌を合わせていれば暖かい。
「――くしゅんっ!」
しかし流石に冷えたらしく、恋鐘がくしゃみをしたところで、二人は室内に戻った。
「今日は寒いな……。どうせだし、暖房をガンガンにつけて寝るか。ベッドルームにストーブがあったよな?」
「うん……」
陰平が手を握る恋鐘が照れているのは、今日の夜も、また昨日のような激しく優しい交わりが待っていると思い出したからだろうか。今日の昼間もセックス漬けのようなものだったのに、彼女は急にしおらしくなり、言葉少なに陰平に手を引かれている。
陰平が少し古い型の灯油ストーブに火を入れると、コテージの寝室はあっという間に暖かくなった。立ち上がり振り返った陰平の肉棒は、恋鐘と再び一つになるため、むくむくと屹立し始める。恋鐘も、それに合わせて股を濡らす自分を感じていた。
そんな自分の浅ましさに、恋鐘が顔を赤らめていると、やけに真剣な表情で陰平が尋ねた。
「恋鐘、ここから東京に帰ったら、ここでの関係は、全部忘れるんだな?」
「うん……そうばい」
「……お前は、まだ伊庭の事が好きなんだな?」
「………………うん」
時間はかかったが、恋鐘は頷いた。分かったと陰平が言う。
「オフは、まだもう一日ある。それまで、俺たちは恋人だな?」
「うん、プロデューサー」
「よし」
その一日で、忘れるとは言えなくしてやる。
決意を込めた怖い声で、陰平は言った。
恋鐘はごくりと唾をのみ込む。胸の鼓動が、心臓が喉から飛び出そうなほどに早くなる。
「そこに寝て、股を開け。俺が挿入しやすいように」
あごをしゃくって、陰平は恋鐘に命令する。
恋鐘の脚は一人でに動き、ベッドにころんと転がると、両手は勝手に太ももを抱え、口は自動的におねだりの言葉を紡いでいく。
「うちが忘れんよーに、プロデューサーと、プロデューサーのオチンチンを、うちの奥に、しーっかり刻み付けて?」
ああ、もう自分はどこまでもこの人のものなのだと、この時とっくに、恋鐘は自覚していたのかもしれない。