「童貞捨てたいなあ」「えっ」「ちょっ」「おいおいおい、死ぬわアイツ」 作:TENSEI2
モンスターboxの廊下を、ある少女が歩いていた。
「…………♪」
幼さの残る顔に、無言ながらも顔を綻ばせ、手にはお手製の和菓子を入れた包みを持って廊下を歩いているのは、天下五剣の名を冠するモンスター、数珠丸恒次である。
(…今日はマスターと二人切りでお茶会……♪ 楽しみ……♪)
そう、彼女はここのboxのマスター、歹屋 主の事を愛している。
いや、彼女と言えば語弊があるだろう。ここの女性モンスターは、歹屋 主の事を愛している。
もちろん、おりょうの様な結婚をしているモンスターに限ってはそうではないが、彼女達のような結婚をしているモンスターからも、彼は好意的に思われている。
(…今日で他の皆さんをリードして、そのまま引き離す…! 大典田ちゃんや三日月さんには絶対負けたくない…!)
そう、彼女達は戦友であり、恋のライバルでもある。
数珠丸も、このマスターと二人切りになれるタイミングを今か今かと伺っていたのだ。
無論、恋慕の情を抱かれているとはマスターは夢にも思っていないのだが。
そうして、とうとうマスターの部屋の前にたどり着いた数珠丸。
(お菓子を一緒に食べて……♪ 頭を撫でてもらって……♪ お菓子よりお前が食べたいって……♪♪ きゃーっ♪♪♪)
ウキウキ気分のままドアを開けようとしたその時。
「……あれ、この声……鬼丸さんと童子切さん?」
マスターの部屋の中から、鬼丸と童子切の声が聞こえてきた。
数珠丸は、いけないこととは思いつつも聞き耳を立てることにした。
「しっかし、童貞を捨てたいねぇ……マスターもソウイウコトに興味がちゃんと興味があったことは何よりだよ。」
(…………え?)
数珠丸の思考がぐらぐらと揺れていく。
見た目がいかに若く見えようと、そういう知識のちゃんとある数珠丸にその一言は突き刺さった。
「しかし童貞を捨てたいとはな……絶対に彼女達に知らせてはならないぞ…」
「ああ……もしルシファーやガブリエル達に知られたら……考えたくもない、この事は絶対に秘密だ。」
(…嘘だ)
(嘘だ嘘だ嘘だ)
(嘘だ嘘だ嘘だマスターが童貞を捨てにいったなんてマスターは私と付き合って私とイチャイチャして私とたくさんセックスしてたくさん子供を作ってずっとずっとずっと一緒にいるんだマスターは渡さない渡さない渡さない渡さない渡さない私からマスターを奪おうとするなんて絶対に許さない許さない許さない許さない他の男にも売った体でマスターを抱くだなんて憎い憎い憎い憎いマスターは私の物マスターは私の物マスターは私の物私はマスターの物私はマスターの物私はマスターの物マスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスター)
数珠丸の腕からするりと、和菓子を入れた袋が落ちた。
袋が落ちた途端、数珠丸はマスターの部屋を蹴破った。
震えながら話していたストライクや童子切は、数珠丸が放つ圧倒的な負のオーラに気圧されていたが、なんとか挨拶をした。
「や、やあ数珠丸。ど、どうかしたのか…?」
いつも明るく賑やかだった童子切の顔は、歯をガチガチとならし、ひくひくと頬が震えていた。
「……マスターはどこにいるの。教えて」
その一時間後、マスターの部屋に遊びにいったカエサルは、こう語ったという。
「いや、まじであの空間はやばかったわ。鬼丸達はガクガク震えてたし、俺もチビるかと思ったわ。なんてゆーの? 部屋全体が瘴気に包まれてるって感じ? とにかく俺はもうあんな体験したくねえよ。」
数珠丸恒次
ヤンヤン第一号
マスターからは[物好きな子供]として見られている
だが、数珠丸本人は[マスターと私は結ばれる運命にあり、マスターは私の物であり、私はマスターの物である]と考えている独占型ヤンデレ
童子切、鬼丸、アルキメデス、ストライク、カエサル
女性の恐ろしさを思い知った。
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