クッパから軍事用のダンジョン構築を依頼され、古き魂達が集まって構築されたカロンと会談した後で改めてマリオについて考えてみた。
まず、RPG系列のマリオであればHPがゼロになった時点でセーブポイントで復帰するし、残機として表示されるゲームならスタート地点で復帰する。
これらは、マリオ自身に記憶の有る無しとは別にプレイヤーが操作した結果、Aという結果を回避するためにBという結果へ向かって行動する結果改変だと見る事もできる。
プレイヤーからすれば、やり直しだと思ってもその世界の人物からすれば罠や攻撃がうまく決まった、と思っても次の瞬間には何もなかったか様に現れるマリオは恐怖の対象でしかない。
それを端的に表しているのは、世界的にも有名な忍者漫画である「NARUTO」に出てくるイザナギという技だ。
その技は、発動条件や使用後の反動がシビアであるが使ってしまえば自分に都合の悪い結果は夢の出来事だ、という事にして都合の良い結果を求める事ができるチートじみた能力だ。
無論、使う際はチャクラと呼ばれる魔力に匹敵するモノをかなり消費するし、使用後は確実に片目を失明するリスクもあるのだがそれが発動中はいくら致命的なダメージを与えて死なせてもなかった事にされる。
しかも、セーブポイントはそれらの反動やリスクをスルーして何度でも発動する事ができるのでマリオ達と戦えば戦う程、こちらが消耗して負ける事が確定していくのだから恐ろしい存在でもある。
だからと言って、諦める訳にもいかないので頭を悩ませたのだが冷静に考えれば簡単に対処できるじゃないか。
何しろ、クッパ側には空間魔法を扱える奴がいて発動さえ行えれば対象を亜空間にぶち込む事ができるし、スタート地点だって上書きすれば初手で何もない空間に飛ばされるから脱出は不可能に近い。
まぁ、それすらも突破してくる様な奴だったらこちら側がやっている事は全て茶番に成り下がるから無意味になるのだが。
その為、何もない空間を作り出すために準備をしながら軍事用のダンジョンに必要なモノを用意しているとカメックがやってきた。
「ワタル、新しいのが完成したから行くぞ」
「アイサー」
彼女の言葉に、短く答えて現場に行くとこちらも洞窟の中に巨大な水晶があるという構造に変化はないが、最初のダンジョンコアに比べて水晶らしく六角柱の形をしている。
そして、ダンジョンコアについて見て回っているとスキルを取得した時なんかに発生する言葉が響いた。
『ダンジョン「山奥の洞窟」を制圧しました』
どうやら、無意識のうちに魔力が体の外に出ていた様でかなり近づいた為、自動的にダンジョンコアが吸収して俺をマスターだと認識させてしまったらしい。
「………どうやら、制圧してしまったらしいです」
「そうか。では、ワタルよ」
「はっ」
その事をカメックに伝えると、彼女は改めてクッパから言われた任務を俺に伝えてきた。
「このダンジョンでお主にしか作り出せない兵器を開発せよ。これはクッパ様から直々の命令である」
「わかりました。全力を持って生産してみせます」
「よろしく頼むぞ。今はクッパ様あっての帝国なのだからな」
「はっ」
そう言い残して、カメックはクッパ城に戻っていったが俺としては領地と臣民あっての帝国、ひいては国家だと思っている。
国という概念は、一定の人数で構築された集団において自分達は〇〇国の人だ、という共通の認識がないと成り立たない存在なので個人が自分が王様だと言っても頭がおかしい人だと思われる。
つまり、最初から1人でどうにかしようとするなら様々な苦労をして成り上がらないと裸の王様でしかないし、クッパもゲーム的にそうなると決められても色んな苦労をしながら王様になったと思っている。
そんな事を考えながら、どういう風にダンジョンを構築して兵器を生産していくかで頭を悩ませる事になった。
☆☆☆☆☆
「では、ここをこうして………」
「となるとこの可動部分が………」
悩んだ末、出た結論はカロンと相談しながらダンジョンを構築して兵器を生産するという形に落ち着いた。
何しろ、異世界転生モノのラノベを多少は読んでいたが実際に体験するとは思ってもいなかったし、ゲームなんかもあんまりやって来なかったからダンジョン構築はあまり得意ではない。
食料生産用のダンジョンは、大規模な生産工場みたいな感じなので規模の割には一般的なダンジョンよりも遥かに攻略がしやすく、防御策は如何に侵入させず、侵入されても迅速に追い出す事を主眼に置いている。
一方、兵器工廠的な役割であるダンジョンの方では侵入されたら敵に利用される事も考慮して、シンプルながら防御しやすい形でダンジョンらしくしてみた。
と言っても、防御用のトラップ等はファンタジーとしては場違いな物を利用していて機関銃など、高火力な兵器の射線を防げる場所がない空間に大概の物を溶かせる酸の池や猛毒ガスが噴出する空間、金属を容易に溶かせる溶岩の落とし穴と普通に考えたら難易度が高いダンジョンである。
しかし、それらを掻い潜った猛者には入ったら即死レベルの放射線を浴びる空間が最後に待ち受けているから、大抵の奴は最後まで突破する事は無理だ。
正直、これ以上にない程の鬼畜仕様ではあるのだがそれだけ、兵器工廠用のダンジョンを敵に渡らせたくはないのだ。
何しろ、マリオシリーズにおいて軍事大国であるクッパ軍団ですら存在しない筈の兵器を生産しているので、その情報が敵に渡ってしまえばクッパ軍団であろうとも苦戦するのは目に見えている。
となれば、兵器関連の情報を詳細に知っているのは俺やカロンといった限られたメンバーだけで、クッパですらも大まかな情報を知っているに留まっている。
そして今、カロンと話し合いながら作っているのはガトリング砲を搭載したゴーレムの製作であり、大枠は決まったから詳細を詰めている所だ。
ガトリング砲の歴史は古く、前の世界では160年以上前から存在していて一時期は機関銃にとって変わられたが、高い連射速度が脚光を受けた為にミサイルなどが発達した現代と呼ばれる時代においても、普通に活躍している兵器である。
その結果、いくつかの種類に分けられていて歩兵が持つ小火器並の弾丸を使う物から、数センチの金属板を貫ける程の弾丸を使う物まである。
その中で使うのは、弾丸の太さが12.7ミリで銃身が3本のガトリング砲であり、それをゴーレムの両腕に取り付ける一方で足は八脚にして安定性を確保しつつ、周囲360度とある程度の仰角や俯角でも撃てるように調整している。
正直、コスパはドッスンやキラーよりも遥かに悪いし、殺意が強くて一般人だった頃の自分なら想像はしても作りたくもないゴーレムなのだが、対マリオ戦略を考えるとこのぐらいは作っておいても損はないと思いたい。
何しろ、マリオは致命的なダメージを受けると何かしらの方法で転移した上に何事もなかったかの様に回復しているので、改めて考えてみれば化け物以外の何にでない。
その為、準備できる時に準備しておかないと安心できないと考えながらゴーレムの調整を行なっていった。