偽蟲 ニセノムシ 作:淫徳
第二一蟲
少女、幼い未熟な女を総称する言葉、薄暗く不気味に静かな森の奥で、一人たたずむ子は、果たして少女なのか。
薄汚れた汚らしいワンピースに、リボンのついた破けや解れが目立つ麦わら帽子を被る人影は、もう人間ですらないのかもしれない。
青々とした雲一つ無い晴天、木々の密集した森にうっすらと光が差し込む様子を、その生物は何を考えているのかわからない空虚な眼で眺めていた。
当然だが、空が綺麗だとか、晴れている等という人間的な感情は彼女には浮かんでいなかった。
彼女以外に何もいない、動くモノは木と風の身の場所で、そっとのばされた手はまるで太陽を掴んだかのように、天の光を遮った。
「ああ…まだかなぁ」
鳥も、動物も動く生物が全て姿を消してしまったかの如く、沈黙し続ける森を少しも怖がらず、彼女は種息をついた。
そっと片手をワンピースの上から、腹に添え、何かを探るように二、三度揉んだり引っ張ったりを繰り返す。
衣服の汚れを治しているのではない、彼女の言葉から、何かを待っているという事はわかるが…
腹を触り、虚ろな顔で、幼い子供が待つものと良えば、即ち食事である。
彼女は、彼女が彼女として再び誕生したその日から、何もこれといった食料を口にしていなかった。
約1日半分の栄養不足状態に陥っている、とても幼い少女が耐えきれるモノではない。
まあ、この生物を人間の少女とするならの話だが。
「何にもいないなぁ、雪のとこ帰ろうかな」
彼女はどうやら、自分ともう一人…雪の食べる分の食料を探していたらしい。
だが、収穫ゼロと言ったところか、彼女の手には何も握られておらず、かと言って肩に何かを担いでいる風でもない。
食べ物を探しに来たが、何も見つけられなかったが、今の状況にもっとも適した言葉だろう。
残念そうに辺りを再度見渡した彼女は、諦めたのか肩を落として、また来た方向へと帰って行った。
・
「舞ちゃん、どこまで行っちゃったんだろう」
打って変わって、同じく森の中の別の場所、岩が地面から突き出るように盛り上がった場所の隙間に、色白の少女は体育座りでうずくまっていた。
かれこれ一時間ほど、麦わら帽子が特徴的な元気な舞の姿が見えなくなっていた。
きっかけは、些細なことだった。
再開を期した二人は感動のご対面の末、お互いに力尽きて寝てしまった。
そして数時間がたった後に、二人がもそりと起き出してみると、雪のお腹がぐぅと鳴ってしまったのだ。
恥ずかしさで顔を赤らめ、またこれで舞にイジられるのかと身構えた雪は、しかし返ってきた反応に吃驚してしまう。
「じゃあ、私がご飯見つけてくる!」の、かけ声のもと舞は、雪が止める暇もなく飛び出していったのだった。
真夏の日差しを避けて、近くの影になる場所に移動した雪は、涼しげな風を受けてまた眠気がぶり返して来つつ、舞の帰りを心配の面持ちで待っていた。
「やっぱり、何時もの舞ちゃん…だよね?」
冷たい岩に背を預け、雪は朝に見た舞と、今の舞を頭で比べてみる。
食べ物を探して、颯爽と走り出していった舞の姿は、いつも雪がストッパー役をしていた頃の舞そのものだった。
だが、朝…雪の身体を求め息を荒げた舞は自分のことを、「舞」と呼んでくれるのかと言っていたのだ。
「…どっちも舞ちゃん…なのかな」
森に入った後に再開した舞と、前日の舞では確かに違う部分も多々あった。
例えば、しゃべり方だ元気一杯だった喋り方が、どこか寂しげな大人のようなモノに変わっている。
時折見せる笑顔はまんま舞の物だが、矢張り長いつきあいだった雪には、違和感を感じてしまった。
だが、だからといって、舞に化けた偽物…と言うわけでもない。
雪に向ける愛情、多少過激にはなったがそういう部分は全く変わっていないのだ。
偽物というよりも、変わってしまったという言い方の方が、しっくりくる気がした。
「…舞ちゃん、はぁ…もっと、したいよ」
そしてまた、舞の過剰な愛情表現によって変わってしまった、雪がいた。
デニムの短パンの上から、指で股間を擦りながら、芽生え始めた快感を味わっていた。
あの時感じた、舞に与えられた性的快感は、雪の中に眠っていた性感を少なからず目覚めさせてしまっていたのだ。
まだ、舞のような直接的な行為は、刺激が強いのかしてはいないが、それでも幼い少女には過剰と言わざるを得ない。
舞に与えられた快感は、中途半端に終わってしまったため、目を覚ました雪は意識が覚醒していくに従って、快感を求め始めた。
覚えたての快感をむさぼろうとする雪は、あまりに儚く、哀れにも見える。
「舞…ちゃん、欲しい…欲しいよ」
舞が去っていった方の森を見つめ、切なそうに呼びかける雪。
結局、この日舞が帰ってくるまで、雪は延々と自慰を続けることになったのだった。
此処まで続けて読んで貰ってありがとう御座いました。
舞と雪、そして風香と琴美、一体どうなっていくのでしょう。
これからもご愛読、よろしくお願いします。
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