※この作品はR-18です。

パペットプリンセス   作:伊駒辰葉

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修正してません!!><

読んでる方には意味が判らないエピタイだと思います。
自分用のエピタイです!(汗)


諸悪の根源

 星が輝いている。優一郎はそっと息を吐いて足を止めた。静かに星空を眺めてみる。街の明かりを受けた空は鈍く光っている。強い光を放つ星だけが、その空に瞬いているのだ。

 

 絵美佳の剣幕に負け、優一郎はコンビニエンスストアに買物に出かけた。あたしの好きなマロンタルトを買ってくるのよ! いいから、さっさと行きなさい! 絵美佳の怒鳴り声がまだ耳の中でこだましている気がする。優一郎は苦笑して再び歩き出した。

 

 遠くで犬がないている。優一郎は暗い夜空にそびえる巨大なビルの群れを眺めていた。住宅街から少し離れた街の様子は、どこか現実離れして見える。優一郎は何気なく近くの公園に足を踏み入れた。ベンチに座ると街がよく見える。優一郎はぼんやりと街を見つめ、脳裏に斎姫の姿を思い描いた。

 

 puppet princess 僕の人形。そう内心で呟いてみる。淫らな斎姫の姿を思いながら、優一郎はふわりと微笑んだ。斎姫は自分だけのものになった。他の誰にも渡さない。

 

 しばらく街の様子を眺めてから、優一郎は腰を上げた。さすがにあんまりのんびりしていると絵美佳が怒るだろう。そう思いながら歩き出す。

 

 公園の入り口に差し掛かった時、ふと優一郎は振り返った。小さな公園だ。そこには砂場と滑り台しかない。だがその隅に動くものがある。優一郎は怪訝に思いながら引き返した。大きな木が公園を取り巻くように生えている。その木々の間で、確かに何かが動いているのだ。

 

 それは人影だった。動いた影が見覚えのある人間のものだと判った時、優一郎は目を見開いた。多輝が誰かに首をつかまれている。そして木に押し付けられているのだ。驚愕に息を飲んだ優一郎は、次に声を上げようとした。

 

「そこでストップ。ついでに座ってろ」

 

 誰かが静かにそう告げる。その瞬間、優一郎の身体は硬直した。足だけが脱力してへたり込んでしまう。優一郎は目を見開いて多輝の首をつかんでいる誰かを見上げた。

 

 見知らぬ青年だ。その青年はのんびりと煙草を咥え、易々と多輝の動きを封じている。多輝はもがいているのだが、一向に拘束から逃れられないらしい。優一郎は青年と多輝を交互に見やった。

 

「あー……お前が例のお気に入りかあ。道理で入って来れたと思ったぜ」

 

 青年はそう言いながら優一郎を見つめる。ふうん、と呟きながら眺め回されて、優一郎は居心地が悪くなった。知らない相手に知られているというのも気持ちが悪いが、何より青年の目つきが危険な気がする。

 

「……あなたは?」

 

 眉を寄せて優一郎は訊ねた。だが青年は嗤いを浮かべるだけだ。さあね、と流して多輝に向き直る。とにかく関わりにならない方がいい。優一郎はため息をついて立ち上がろうとした。

 

 だが立ち上がることはおろか、腰を上げることが出来ない。優一郎はそのことに愕然と目を見開いた。自分は腰を抜かしている訳ではない。立ち去ろうと思えば出来る筈だ。身体のどこも悪くないことを確認し、優一郎は慌てて目を上げた。いつの間にか青年がにやにやと笑いながら優一郎を見下ろしている。

 

「どうせおれはすぐに消えるさ。大人しくしてろ」

 

 青年は笑いながら多輝に向き直った。首を押さえていた手を離す。多輝はその間に身を屈め、地面を蹴って青年に殴りかかった。だが青年はあっさりと多輝の顔面に肘をぶち込む。素早い動きに優一郎は目を丸くした。

 

「ひとーつ。力のほども弁えず、無闇やたらに突っ込むのはただのばかー」

 

 青年は笑いながらそう告げた。優一郎は驚きに声もなかった。多輝は公園を囲むフェンスに背中から突っ込んでいる。青年が近づくと慌てて身体を起こすが、間に合わない。

 

「ふたーつ。今、おれに歯向かうとろくなことがないぞー」

 

 起きかけた多輝を無造作に蹴飛ばし、青年が笑う。優一郎は蹴られる痛みを想像し、反射的に目を閉じた。フェンスが派手な音を立てる。

 

「てめ、いいかげんに!」

「みーっつ」

 

 喚いた多輝を制し、青年が告げる。優一郎は恐る恐る目を開いた。何故か多輝と目が合ってしまう。多輝は怒りの形相でそんな優一郎を睨みつける。

 

「くそがきの分際で調子こいてんじゃねえよ」

 

 急に青年の声音が変わる。多輝が息を飲み、優一郎は目を見張った。青年は鋭い視線で多輝を見下ろし、素早く手を伸ばす。倒れていた多輝を引きずり起こし、右手で殴り飛ばす。

 

 そして青年は軽く手を払った。多輝は再びフェンスに突っ込んで動かなくなっている。優一郎は恐怖に身体を震わせていた。一体、この青年は何者だろう。そう考えていた優一郎をふと青年が見た。

 

「お前、こいつの知り合いか?」

 

 青年が問い掛ける。優一郎は乾ききった喉を湿らせてから頷いた。

 

「一応」

「なら注意することだな。近いうちにこいつは」

 

 狂うぞ。青年の唇が音もなくそう言葉を刻む。優一郎は息を飲んで転がっている多輝を見た。そして青年を見上げる。青年はだが、言っている内容に反して楽しそうに笑っている。短くなった煙草を吐き捨て、新しいのを咥える。ライターの火が青年の顔に近づくと、端正な横顔が薄暗い周囲から切り離れて見えた。

 

「ま、挨拶も済んだし。おれは退散するかな」

 

 そう言って青年は指を鳴らした。途端に優一郎の身体が自由になる。優一郎は驚いて青年を見た。青年はにやにやと嗤いながら優一郎を見つめている。

 

「立城からの伝言だ。人形の姫を覗き見した奴がいる。……だそーだ」

 

 唐突にもたらされた言葉に優一郎は愕然となった。どうしてそのことを知っているのだろう。だが青年は嗤いながら煙を一筋、吐き出した。

 

「あなたは、あの方のお知り合いなんですか!」

 

 まだ震えている喉を押え、優一郎は何とか声を絞り出した。すると青年がくすくすと笑い出す。手を上げ、優一郎の頭を軽くぽんと叩く。

 

「その手に知り合いが多いんだな、お前は。あんまり穏やかな人生じゃないかも知れないぞ」

 

 そう言いながら青年は優一郎の頭を撫ぜた。そして手を上げて去って行く。優一郎は呆然と青年の後姿を見送った。




諸悪……っていうか…………
まあ、これが出たので話がものすげえ長いものになったというかー……

あ、この『パペットプリンセス』だけならそこまで長くないです。
未だに続いてるんですよね、このはなし……
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