耳元で甘い声がする。優一郎は眉を寄せて目を細めた。間近でハードディスクが低い音を立てる。だが優一郎にはその音が聞こえていなかった。ヘッドホンから流れてくる音声に集中しているためだ。
優一郎の自室は二階にある。部屋の中はきちんと片付けられ、不要なものは余りない。ベッド、机、本棚がそれぞれ壁際に置かれている。優一郎は机に向かい、無言でディスプレイを見つめていた。
斎姫が小さく鳴いている。優一郎は興奮した目で斎姫を見つめた。薄暗い画面の中で斎姫が自慰をしているのだ。斎姫が懸命に陰部を擦るのを見ながら、優一郎は微かに嗤った。自然と股間に手が伸びる。
倉庫で斎姫が何かをしていることを優一郎が知ってからもう一ヶ月が経っている。今、あの倉庫の中にはいたる所に小型カメラが仕込んであるのだ。あらゆる角度からソファが映せるようにカメラはセットされている。そして斎姫は優一郎がカメラを仕掛けたことを知らないのだ。
優一郎は膨らんだ股間を服越しに弄り始めた。刺激を受けたペニスがさらに勃起する。優一郎は斎姫の甘い声を聞きながら勃起したペニスを握った。カメラは斎姫の股間の様子を捉えている。感度のいいマイクは斎姫の下着の中の音も拾っていた。愛液の音を聞きながら、優一郎は再びペニスを弄り始めた。
場面が変わる。今度は斎姫の顔がアップになった。斎姫は苦しそうな顔でよがっている。その唇がはっきりと名前を刻んだ時、優一郎は目を細めて笑った。
「僕の名前、躊躇わずに呼んでくれるようになったんだ」
優一郎はジーンズのジッパーを下げ、勃起したペニスを引っ張り出した。場面が変わり、斎姫の姿が遠写しになる。机の傍に置いてあるティッシュを抜きながら、優一郎の目は画面に釘付けになっていた。斎姫は顔を歪めて陰部を擦っている。それを見つめながら優一郎はペニスを手で扱き始めた。
斎姫の声が激しさを増す。画面の中の斎姫は下着の脇から手を入れ、膣をこねまわし始めた。それを見ながら優一郎も手の動きを速くする。優一郎の呼吸は徐々に荒くなった。
吉良くん! あうんっ……うふっ! 吉良くん!!
優一郎はそれを聞きながら激しくペニスを扱いた。斎姫は優一郎に突かれていることを思いながら、自慰をしているのだ。それを知ると、斎姫の姿が余計に淫猥に見える。優一郎は熱い吐息をつきながら強くペニスを握り締めた。張り詰めたペニスの先は濡れている。
斎姫は男子生徒たちの憧れの的だ。その端麗な姿に怖気づく者もある。だから大抵の男子生徒は斎姫に好意を寄せていても、告白はしない。近づきがたい気高い雰囲気があるからだ。
だがそんな斎姫が自分の名を呼び、足を開いて自慰をしているのだ。優一郎は興奮に赤く染まった顔を歪め、斎姫を見つめながらペニスを強く扱いた。
いく! いっちゃう!! 吉良くん! 好き! 好きなの!!
「あっ!」
斎姫が切ない声で鳴いた瞬間、優一郎は小さな声を上げて射精した。あてがっていたテッシュに温かい精液が染み込んでいく。優一郎は肩を震わせて最後まで精液を扱ききった。画面の中では斎姫がとろんとした顔をして脱力している。それを横目に、優一郎は乱れた呼吸を整えた。
時折、思うことがある。斎姫がもしもヒューマノイドだったらどんなにいいだろう。機械仕掛けで欲情する、人形だったらどんなに楽しいだろう。作り物の愛液を機械仕掛けの陰部から漏らす。強制的に欲情させられた斎姫が、優一郎の名を呼びながら喘ぐ。その姿を想像するだけで射精してしまいそうな気分になる。
それとも斎姫を人形に改造できたら。曖昧に欲情する生身の性器から、優一郎の意志のままに欲情させられる性器に付け替えられたら。そうしたら斎姫はもっと乱れるだろうか。優一郎は自分の想像にそっと息をついた。脱力していたペニスがそそり立つ。
それは甘い誘惑だ。だが実現しない夢に過ぎない。優一郎は疲れたため息をついて自嘲気味に笑った。
「やっぱり、僕って変態かもね。こんなこと彼女には」
言える筈もない。優一郎は声にならない声でそう呟き、ジーンズの中にペニスを押し戻した。ぷつん、と音を立てて画面が暗くなる。優一郎は微かな嗤いを浮かべてヘッドホンを外した。