初体験。
※pixivにも投稿してます。
シャワーを浴び終えた成幸は、バスローブを羽織ってベッドに腰掛けているうるかの隣に腰を下ろす。ベッドのスプリングが乾いた音を立て、それを聞いたうるかは体を強張らせた。そばにいるだけでうるかの緊張が伝わってくる。成幸は少しでもリラックスさせたいと思ってうるかの手に自らの手を重ねて指を絡ませた。うるかは一瞬腕を震わせると、握り返してそれに応えた。
成幸は改めてうるかを見る。シャワーを浴びて少し上気した肌は、うるかの生来の活発さを覆い隠して色気を漂わせている。身に纏うのは薄手のバスローブとその緩い隙間から覗く白い上下の下着だけ。成幸はその下着が以前自分が選んだものであることに気づいて思わず生唾を飲み込んだ。
沈黙に支配されていた空間ではその程度の音すらはっきりと聞こえて、それを合図にどちらともなく見つめ合う。緊張からかお互いに呼吸が速い。成幸が絡ませた指に力を入れるとうるかはわずかに体を震わせて成幸の顔を見つめた。アメジスト色の濡れた瞳に見つめられた成幸が吸い寄せられるように顔を近づけると、うるかは目を閉じて成幸からの口づけを迎え入れた。いつもより強張った唇の感触が成幸の唇に伝わる。
成幸はその感触にうるかの緊張のほどを感じて、繋いでいない方の手をゆっくりとうるかの背に回して抱き寄せた。隙間がないように力強く、お互いの鼓動すらも聞こえてしまうほどに密着する。水泳に打ち込んでいるのに驚くほど華奢で柔らかな感触が成幸に伝わる。目の前のうなじからは柔らかな匂いが漂ってきて、愛する女性が自らの腕の内に収まっていることを五感で感じて心臓が高鳴っていく。
「緊張してるよな」
出来る限り落ち着いているように聞こえることを意識して、成幸がうるかの耳元で囁く。うるかは驚いたように一瞬体をすくませて、やがてゆっくりとうなずいた。
「俺も死ぬほど緊張してる。……ほんとは俺に任せてれば大丈夫とか言えたらかっこいいと思うんだけど」
「……」
「初めてだけどうるかにとって嫌な思い出にならないように、できるだけ優しくしたいと思ってる。だから嫌なこととかあったら遠慮しないで言ってくれ」
「……うん、わかった」
背中を撫でながら成幸が言うと、うるかも成幸の背中に手を回して返事をした。そのまま頬を触れ合わせたり頭を撫でたりしながらお互いの鼓動が鎮まるのを待ち、それからうるかは口を開いた。
「……その、恥ずかしいから先に成幸から脱いでもらってもいい?」
「わかった」
「あ、待った。あたしにやらせて?」
成幸がバスローブを脱ごうとすると、うるかがその手を掴んで止める。成幸は自分でやるからと言い返そうとしたが、その間もなくうるかに脱がされ始めていたのでされるがままに受け入れた。
「わぁ……」
上半身があらわになった成幸の体に手を添えてうるかが感嘆の息を漏らす。少し筋張った腕と、薄く割れた腹筋。それらを探るように体を撫でると、うるかは何かが気になるように小首を傾げた。
「……あれ? 成幸、こんな鍛えてたっけ?」
「も、元からこんなもんじゃないか?」
「いやいや、成幸運動ダメダメだったしこんなにいい体してなかったじゃん。一緒にプール入ってるんだから覚えてんよ」
顔を赤らめながらも遠慮のない言葉を投げつけるうるか。運動がダメなのは事実であってもやっぱりそう見られてたんだなと成幸は少しへこんだ。
「……トップアスリートの恋人なんだしちょっとは鍛えておかないとカッコつかないかと思って、卒業式のあとから少し筋トレしてみたんだよ」
「そっか……あたしは全然気にしないのに。というかなんで隠したん?」
おそるおそる、成幸の腕や胸、腹筋がどれほど変わったか確かめるように触りながらうるかが問いかける。
「……は、恥ずかしかったからだよ」
恋人の手が体を這い回るこそばゆさと気持ちよさに成幸は声を上げそうになるが、なんとか耐えて答える。目標のため純粋に体を鍛えているうるかに比べると自身の目的はいかにも不純で、胸を張って言うことができなかった。
「ミエ張んなくっていいのに。成幸可愛い」
愛でるような顔をして、成幸を見つめながらうるかが言う。成幸が恥ずかしさで目を逸らすとうるかは改めて恋人の腹筋に手を添えた。
「……でも、あたしのためにってこんなに頑張ってくれてたのはすっごい嬉しい。カッコいいよ、成幸」
えへへ、と笑ってうるかが言う。恥じ入っていた努力をまっすぐに賞賛されて、感情の落差に成幸は頭がクラクラするのを感じた。
うるかがそのまま腹筋をなぞるように触っていると、勢い余って下着に覆われた成幸の怒張したモノに手が当たってしまった。成幸が思わず息を漏らすと、うるかは弾かれたように手を引いて、自らの手と成幸のそれを息を呑んで見つめる。ごくりと生唾を飲み込んで、もう一度ゆっくりと、けれど今度は自らの意志で成幸の陰茎に手を触れさせ、撫でるように上下に動かした。
「……おっきい。こんなになるんだ」
独り言のようにうるかが呟く。成幸は性器に走るもどかしい感覚と、うるかがこんなことをしてくれているという衝撃に小さく声を漏らすが、うるかはそれに気づかず手の上下運動に集中していた。焦らすように柔らかな刺激を続けられてジリジリと高まっていく性感に成幸は我慢の限界を迎えて、自身の下腹部を見つめているうるかに声をかけた。
「……うるか、そろそろ俺からも触っていいか?」
「う、うんっ」
ハッとしたようにうるかは返事をすると、名残惜しそうに手を離す。それから緊張した面持ちになると、どこから触れられてもいいように軽く身構えた。成幸は再びうるかの背中に手を回すと自らのそばに抱き寄せて、唇を重ねた。
突然のキスと緊張とで固く閉じられていた唇に解錠を催促するように、成幸はその唇に舌先を這わせる。唇から伝わる甘い感覚にうるかは体を震わせると、ゆっくりと口を開いて成幸を受け入れた。成幸は隙間が開いたことを感じて、うるかの口内に舌を潜り込ませる。前歯の裏側に舌を当てて、犬歯から臼歯へ。口蓋を伝って今度は反対へと口内を探るように舌を這わせる。恋人の舌が口蓋を擽る感覚に耐えかねたのか、うるかが自身の舌を成幸の舌に当てるとそれを待ちかまえていたかのように成幸はそちらに狙いを定めて舌を絡ませた。舌から伝わる未知の感覚は2人の脳髄を蕩けさせる。2人は初めての深い口付けによる痺れるような感覚と甘い蜜の味に酔いしれて、息をするのも惜しいと貪るように互いを求めあっていた。
「……んっ」
呼吸の限界を迎えて名残惜しそうに唇を離す。酸素を求める荒い呼吸の音が2人だけの室内に響く。深いキスの余韻でうるかの瞳は遠くを見るように蕩けていて、成幸にはそれが誘うように映っていた。
「うるか」
成幸が名前を読んでバスローブに手をかけると、うるかは察したように頷いた。それを合図に成幸はうるかの纏うバスローブを脱がせる。
布地で隠されていた、水泳で磨き上げられたしなやかさと女性らしい丸みの同居した艶やかな肢体が成幸の目に飛び込む。美しく均整の取れた体は芸術品のよう。健康的な小麦色に焼けた肌と白く透き通るような地肌のコントラストが目に眩しく、緊張と興奮で白い肌には薄い赤みがさしていた。
うるかの腕は恋人が望むものを見せてあげたい気持ちと羞恥とがせめぎあった結果中途半端な位置に置かれていて、その様子は成幸により一層愛しさを募らせた。この美しくも可愛らしい恋人が自分の選んだ下着をつけて目の前にいるということに、成幸はどこか非現実的なことをしているかのような心持ちになっていた。
この体のどこから触れればいいのか迷った成幸は、先頃うるかの耳元で囁いたときにうるかが体を震わせていたことを思い出した。試しに耳に触れてみると、うるかは体を小さく震わせて甘い声を漏らす。二度、三度と優しく触れても嫌がる素振りは見られなかった。
手はそのまま触れるか触れないか程度の接触を保ちながらうなじから肩を通って背中へと撫で下ろし、耳へは歯を唇で覆って軽く甘噛みをした。
「あ、んっ……」
耳を挟まれる感覚と耳に吹きかかる吐息に刺激され、うるかが漏れ出すように声を発する。恋人が快感を感じていることを確信した成幸は耳への愛撫を続ける。甘噛みをしながら反対の耳を撫で、あるいは耳の輪郭から中心へと舌先でなぞるように。刺激を受けるたびうるかの声の漏れ出る間隔が狭く、声量も大きくなっていく。中毒性を持ったその可愛らしい音がもっと聞こえるように成幸は休まず愛撫を続けた。
「んっ、あっ、んぅ、はあぁぁっあん……!」
しばらくそのまま続けられ、自身も知らない性感帯へと刺激を受け続けたうるかは艶めかしい声を上げていた。耳元で恋人の喘ぎ声を聞き続けていた成幸はそろそろ理性の限界を迎えていて、愛撫の手を一度止めるとうるかの背中に手を回してブラのホックを外した。
「うるか、手」
受け続けた快感で蕩けた思考のうるかは成幸の言葉に素直に従い、そのままブラを脱がされた。下着から解放されより迫力を増した胸に成幸が息を呑んだところで、ようやく自身の姿に気づいたうるかは露わになった胸を両手で隠した。
「成幸のエッチ」
「……否定はしないけどさ」
「…………見たい?」
「……」
数瞬の逡巡のあと、無言で頷いて成幸は答える。うるかは顔を赤くして「しょーがないな」と一言呟くと、焦らすようにゆっくりと両手を下ろした。手による支えを無くしてなお形を保っている豊かな双丘。薄桃色の先端は愛撫の余韻でぷっくりと膨らんでいて、成幸の目を釘付けにした。
上半身を隠すものが無くなって、うるかは恥ずかしそうに身を捩る。それによって圧迫された胸は谷間がより強調されて、成幸の興奮をさらに煽った。
「ど、どう、かな?」
「……綺麗だ」
期待と不安で声を震わせてうるかが尋ねる。成幸には言葉を飾り立てる余裕もなく、頭に浮かんだ言葉をそのまま答えた。成幸らしい等身大の言葉が、うるかにお世辞でなく本心から言っていることを強く感じさせ、成幸の顔をまともに見られなくなったうるかは「ありがと」と消え入りそうな言葉を残して顔をそむけた。
「触っていいか?」
懇願するような成幸の言葉にうるかは少し躊躇ってから頷く。成幸はゆっくりと手を伸ばすと、豊満な胸を持ち上げるようにして優しく触れた。
「うわ」
信じられないほどに柔らかな感触が手に伝わる。滑らかで瑞々しい肌触り。少し力を入れただけで沈むように指が吸い込まれていき、力を抜くと押し返される。張りと柔らかさを両立させた触感に理性が溶かされそうになる。そのまま本能に負けて思いのままに揉みしだきそうになったが、胸の白い肌に透けた青い血管が成幸の目に入って、これはうるかの体の一部なのだと踏みとどまらせた。
「んっ、ああっ……なりゆきぃ……」
天上の感触を堪能しながら、けれど痛くはないように、周辺部から中心へと時間を掛けて揉み進めた。うるかの上げる嬌声もどんどん大きく艶めいていく。
しばらくそうして、成幸は会話をすることもなく無言で目の前の乳房に集中してしまっている自分に気がついた。どれほどこうしていたか自分ではわからないが、うるかに幻滅されても仕方がない。このまま手に感じる柔らかさに自分の意識を支配されないように、成幸は何か言おうと声を出した。
「胸、大きくなってないか?」
触感に負けないように会話で意識をそらそうとして、何も考えずに言葉を発した。理性の欠片も感じさせない本能のままに溢れた言葉だった。発したあとで我ながらなにを聞いているのかと後悔したが後の祭りだ。
「……ふつーおっぱい揉んで最初にそーゆーこと言う?」
「ごめんなさい……」
うるかの視線が成幸に突き刺さる。成幸は謝ることしかできなかった。
「……まあおっきくなったけどさ。向こうの食事のせいなんかな。カップもDからEになったし」
胸を寄せるように腕を組むうるか。成幸はその様子につい目を奪われ、そんな成幸をうるかはからかうように愛でるように見つめる。
「成幸目ざといよね。おっきいおっぱい好きだから気づいたん?」
「い、いや好きというか」
「好きというか?」
「……好きだけど。でもうるかのだから好きなんだよ!」
うるかに追い詰められて成幸が暴発した。胸の前面を包み込むように手を添えて、痛くないくらいの力加減でけれど荒々しく揉みしだく。
「やっ、あっ、もう、意味分かんな、あぁんっ!」
長い愛撫で敏感にされていたうるかの体は先ほどまでとは全く違う刺激に耐えられず、揉まれるたびに高い声を上げていた。手のひらが乳首を擦る度に特に大きい反応が帰ってくることに気づいた成幸は、右手を離してその先端を口に含んだ。乳輪をなぞるように舐め回して、乳頭を舌先で転がして、口に含んだ乳首を吸って。どれが気持ちよくなるのかもわからずただ夢中でそうしていた。
「や、吸うのダメぇ……はぁあ……んぅ、ああぁ!」
うるかの喘ぎ声からどんどん余裕が失われていく。成幸は空いた右手をうるかの下腹部へと伸ばしていき、下着の上からうるかの秘部を指でなぞった。
「ひゃうっ!」
突然の下半身への刺激にたまらずうるかは甲高い声を上げる。うるかのそこは下着の上からでもよくわかるほどぐしょぐしょに濡れていて、触れた成幸の指には粘液が糸を引いていた。
「うるかのここ、すごいことになってるな」
「やぁ……言わないでぇ」
成幸が秘部に触れていた手を見せつけるようにうるかの目の前に差し出すと、うるかは羞恥で目を背けるように首を振る。その様子を満足そうに見届けた成幸はうるかの下着に手を掛けた。
「このままじゃもっと汚れそうだから下げるぞ」
成幸はうるかの返事を待たずに下着を下ろしていく。うるかは一瞬体を固くしたが、抵抗はせずされるがままに身を任せる。うるかの体を隠していた最後の布がそのまま成幸の手によって剥がされて、うるかの生まれたままの姿が露わになった。
日焼けと地肌の境がはっきりとした陰部が成幸の目に飛び込む。普段どこまでが水着に覆われているのかが手にとるようにわかって、そのことが成幸に妙な興奮を与えた。薄桃色の濡れそぼった秘裂からは甘酸っぱい女の匂いが漂っていて、成幸の頭をクラクラさせる。割れ目に指をなぞらせて、見つけた入り口に試しに指を差し入れようとしてみると、さしたる抵抗もなく指先が穴の中へとぬるりと滑り込んでいった。
「んぅっ……! な、成幸。中はちょっと」
「ごめん。やりすぎた」
うるかの咎める声を聞いてすぐに指を抜く。指先に暖かく柔らかいものに締め付けられた感触が残っていた。やったことはないけれど、これくらい滑りがよくなっているのであればきっとこのまま本番に移っても問題ないのではないかと成幸は感じた。
「……もうちょっとしたほうがよさそうかな」
「え? も、もう多分大丈夫だとひゃぁんっ!?」
成幸がうるかの秘部に顔を寄せる。湿り気を帯びた熱気が直接的に伝わって頭が蕩けそうになる。熱に浮かされたまま割れ目に沿って舌で舐め上げると、うるかは電撃が走ったかのように体を震わせて叫ぶような声を上げた。
「な、成幸そんなとこ汚いからっ!」
激しい快感と猛烈な羞恥に襲われて成幸に顔を上げるように懇願するが、成幸は聞こえていないかのように舐め続ける。うるかの体はすでに成幸を受け入れる準備を整えていることに成幸は気づいていたが、それ以上にうるかの乱れた姿をもっと見たいという欲求が勝っていた。
成幸はうるかが腰を引くことができないように手で抑え、そのまま淫靡な香りを漂わせている目の前の蜜壺に一心不乱に吸い付いていく。吸い付くたびにあふれてくる液体をこぼさぬように舐め取りながら、少しずつ場所を変えてうるかの反応を確かめる。敏感な反応を示した部分には集中的に愛撫を続けた。そうしている内に逃れようとしていたうるかの抵抗が弱まっていく。
刺激するたび体を震わせる様子をしばらく楽しんでいると、やがてうるかの成幸を制そうとする声は聞こえなくなり、ただ喘ぎ声だけが聞こえてくるようになっていた。成幸はこれなら痛くないかと判断して、秘裂の上部で充血しているうるかの体で最も敏感な場所へと吸い付いた。
「ああああぁぁぁっぁぁぁ!!」
突然陰核に激しい刺激を与えられたうるかは背中を弓なりに反らせ、半ば悲鳴のような嬌声を上げる。ドロリとした愛液がうるかの奥からあふれる。絶頂が近づいているのを感じた成幸が陰核を何度も下から上へ舐めあげると、その度にうるかは大きく体を震わせる。
「ダメダメダメそこダメぇ!! ほん、とにもう、んっく、うぅっぅぅんんん!!!」
うるかの声からは一切の余裕が失われ、言葉にならない声で叫ぶ。経験したことのない快感から逃れようと必死に体をよじるが、成幸は達するまで許さないと刺激を与え続ける。
「あっ、やだムリ、あっダメ、ダメ、い、くぅううぅぅぅんんんんん!!」
度重なる刺激で大きく露出した陰核にもう一度吸い付くと、うるかは必死に口を抑えてくぐもった声を上げながら、腰を大きくガクガクと震わせて絶頂に達した。成幸の頭があるのも構わず太股を閉じて、初めて感じる強烈な快感に堪える。頭の天辺から足の先まで身を貫かれるような快楽を受け止めてようやくその波が過ぎ去ると、全身を脱力させてそのままベッドに横たわった。
うるかの太股から解放された成幸は、顔を上げてうるかを見下ろす。涙で濡れた瞳、蕩けたような顔、乱れた髪に上気したように赤くなった肌。今も絶頂の余韻に浸りながら息も絶え絶えに胸を上下させている。普段の活発で爽やかな様子とは正反対の淫靡な姿。
成幸の興奮は頂点に達して、挿入の準備をするため自身の荷物から避妊具を取り出した。下着を脱いで封を破ろうとしたところに。
「あ……それはだいじょうぶ」
うるかからそれを静止する声がかかった。
「それって……これのことか?」
訝しげな顔をして避妊具を見せながら成幸が聞くと、うるかは頭を縦に振って肯定する。成幸は複雑そうな顔をしたあとに、しっかりとうるかの方を向き直ってうるかを諭す。
「……もし出来ちゃったらちゃんと責任は取るけど、ただ今の俺じゃ胸張って子供を育てられるって言えないのと、うるかにとっても大事な時期だから」
「あーえっとその……そうじゃなくって」
成幸の言葉をうるかが遮る。うるかが何を言おうとしているのか成幸にはわからず、口を閉じてうるかの言葉の続きを待った。うるかは言いづらそうに目を泳がせて、たどたどしく語り始めた。
「その……海外だと女子のスポーツ選手でピル飲んでる人、結構多いって知ってる?」
「聞いたことはあるような……」
「ホルモン管理とかで普通に使われてて、あたしと同年代の子も結構飲んでてさ。あたしは副作用とかちょっと怖くて飲んでなかったんだけど、でも大会前とか使ったほうがいいかもしれないから持っておいたほうがいいって友達から言われてて……」
ここまで聞けば成幸にも察しが付いて、うるかに続きを促した。
「それってつまり……」
「……うん。ピル飲んで来てるから。だからゴムつけなくても、そのままでいいよ」
恥ずかしそうに、けれどはっきりとうるかが言った。成幸はうるかの言ったことを受け止めきれずに戸惑っていて、余計なことをしたのかと不安になったうるかはおそるおそる成幸に尋ねた。
「……もしかしてゴムつけたほうがよかった?」
「い、いや。そんなことない。……でもなんで?」
「…………成幸が誘ってくれたら嬉しいと思ってたって言ったっしょ。日本に帰ったら成幸とデートできるかもとか、もしかしたら誘ってくれるかもとか色々妄想したっていうか、もしそうなったとき準備してないととかってああもう何言ってんのあたし!」
「……」
確かにうるかはそう言っていた。自己嫌悪に押しつぶされそうになっていたところを救った言葉は成幸の心に深く深く刻み込まれている。ただ成幸はそのうるかの言葉を方便だと思っていた。自分のへこみようを見て元気を出させるために、慈しみを込めて言ってくれたのだと思っていたし、それで十分感謝していた。
けれどうるかも自分とのことを想像してくれていて、最初から自分のことを受け入れてくれていた。自分と同じ気持ちだった。例えようもない感慨が成幸の胸にあふれて、とっくに役目を放棄していた理性の最後の部分のタガが外れた。
成幸は慌てているうるかの肩を押すと優しくベッドに横たわらせて、うるかの上に覆いかぶさった。
「うるか。入れていいか?」
突然の展開に理解が追いついていなかったうるかも、成幸が呼びかける声と自身の秘部に当たる硬い感触で今置かれている状況を理解した。
「ご、ごめん。ちょっと待って」
先ほどまでの会話のどこに成幸をこうさせた要素があるのかわからず、心の準備ができていないうるかは成幸を止める。覚悟を決めようと一つ二つ深呼吸をしてみるが余計に緊張が煽られて中々成幸に許しを出せない。
成幸は壊れた理性を総動員して必死にブレーキを掛けていたが、うるかの焦らすような行動に我慢の限界を迎えて懇願するように声を絞り出した。
「……うるか、ごめん。もう限界。なるべく優しくしたかったけど、うるかが可愛くて、我慢できない」
「うぇっ!?」
普段あまり人を頼らない成幸の、どうしようもなく切実な懇願。こんな姿を自分に見せてくれていることが、うるかにはたまらなく嬉しかった。
「……ヘーキでそーいうこと言う……。もう、大好き」
胸にあふれる愛しさを言葉にして成幸に伝える。
「ごめんね。我慢させちゃって。いいよ。来て、成幸」
それを合図に成幸はうるかの中へ肉槍を突き入れた。初めて男性を受け入れるがゆえの抵抗と鍛え上げられた肉体が膣肉の締め付けを強烈なものにさせていて、ゆっくりと押し込むように侵入していく。奥へ奥へと進むうち、抵抗を感じて成幸が止まる。成幸が止まった理由を察したうるかは「いいよ」ともう一度だけ呟いて、成幸の背中に手を回す。
成幸はうるかの言葉を聞いて一つ頷くと、うるかの奥まで思いきり腰を突き出した。
「いっ、たぁっ……!」
声を出さずに耐えようとしていたうるかだったが、予想以上の痛みに声を漏らす。
背中から伝わる爪の痛みと目の前の恋人の苦悶の表情が、半ば本能に支配されていた成幸に冷静さを取り戻させた。
「ちょっとこのまま休もうか」
女性の痛みがどれほどのものか成幸には想像しかできなかったが、それでも痛みに耐える恋人の表情を見ながら続けられるほど鈍くはなかった。
「だ、大丈夫。気にしないで動いていいよ」
「出来るわけないだろ」
「ほんとに大丈夫だから。さっき我慢させちゃったし」
「嫌な思い出にさせないようにするって言っただろ。お前がそんな顔してるのに続けられるわけない」
「……ありがと。じゃあお言葉に甘えて、ちょっとだけ休ませてね」
成幸はうるかの上に覆いかぶさるような体勢のまま、うるかの姿をじっと見つめていた。痛みが残っているのか落ち着かなそうな様子をしている。
成幸に見つめられていることにうるかが気づくと、うるかも成幸を見つめ返して口を開いた。
「……成幸って、そういう顔もするんだね」
「そういう顔?」
「男の子っていうより、男って感じの顔。6年間ずっと見てたけど、初めて見た」
成幸の頬に手を添えながら、思い耽るような声色でうるかが言う。成幸にはどこか焚き付けられているようにも感じられて、うるかのしたように相手の頬に手を添え言い返した。
「……気づいてないかもしれないけど、うるかだって初めて見る顔してるからな」
「どういう顔?」
「不安そうで、でも期待してそうで、襲いたくなる顔。……正直興奮する」
「……興奮して女の子襲っちゃうんだ。成幸のけだもの」
「うるかだから襲いたくなるんだよ」
成幸は意地の悪い微笑みを浮かべ、うるかは挑発するように成幸の目を見返す。見つめ合ったままどちらともなく目を閉じて、深い口付けを交わした。
「んっ、はぁ……っ。成幸、もう動いていいよ」
「本当に大丈夫か?」
「うん。ジューブン休んだから。それに成幸も我慢してるでしょ?」
「……じゃあ少しずつ動くから、痛かったら言ってくれ」
「んっ」
もう一度口付けを交わして成幸は抽送を再開した。一度のピストンにたっぷり五秒ほど掛けてゆっくりと前後させる。十分に休みをとったおかげか膣内の強張りもほぐれて抵抗は弱まっていたが、その分適度な締めつけと肉棒に絡みつく膣ひだの感触がはっきりと感じられる。先ほどの挿入をはるかに超える快感。成幸は快楽を貪ろうと暴走しようとする体を理性をフル回転させて全力で押し止めた。うるかに約束をしているし、前言を翻すにしても早すぎる。
「んくっ。……はぁ。あっ、あっ」
先走ろうとする肉体を崩壊しそうな自制心で抑えながら前後運動を続ける。再開した直後は痛みに耐える鈍い声を上げていたうるかが、徐々に甘い声を上げ始める。うるかの吐息に交じる色が成幸を狂わせて、控えめな喘ぎ声が聞こえるたびに成幸の理性が崩れていく。理性の楔が外れるたびに、ピストンの速度が上がっていく。
「うるか、痛くないか?」
「ひぐっ、あっ、いたくな、やっ、あぁぁんっ!」
加速する抽送に合わせるように、いつしかうるかの上げるか細い喘ぎ声は叫ぶような甘い嬌声に変わっていた。振り乱した前髪が汗で顔に張り付いていて、女の色香を匂わせる。
成幸の理性も役目を終えて、本能のままひとりでに動く腰を打ち付ける。膣奥まで肉棒を突き入れる度にうるかの締め付けがキツくなり、成幸を搾り取ろうと蠕動する。同時にうるかの中から愛液があふれ出てきて水音を響かせた。
「うるか、うるかっ……!」
「なりゆき。なりゆき、なりゆき、なりゆきぃ……!」
お互いに名前だけを叫びあってただただ相手を求め合う。両手を繋いで指を絡ませ全身で繋がりを求める。荒い息を吐き出しながら、獣のように激しく体を打ちつけた。
「あっ、そこ、そこすきぃ! んぅっ、もっとぉ、もっと強くしてぇ!」
媚びるような声が成幸の耳朶を打つ。快楽が2人に深い繋がりを感じさせ、快楽を貪るためにひたすらに抽送を繰り返す。結合部の愛液が泡立って、いやらしい音を響かせた。
「はぁああぁっぁぁ! 成幸、あたし、も、ダメっ……! イッちゃうっ!」
「俺も、俺ももうすぐだから……!」
絶頂に向け加速して腰を打ち付ける。絡めた指を離して互いに背中へ手を回し、隙間がなくなるほど密着して抱きしめ合う。膣肉を抉る肉棒は硬さと太さを増して吐精の瞬間に近づいていた。成幸は本能に導かれるままそれをうるかの最奥に付き入れ、穿つように押し付けた。
「ああああぁぁぁぁっぁぁぁっぁ!!!? イっくうぅぅぅぅ!!!!」
「ぐぁっ、お、れも出るっ!」
絶頂寸前での奥への新しい刺激はうるかの限界を簡単に超えた。背中に回した腕と腰に絡めた脚で成幸の全身を全力で抱きしめながら絶頂に達する。ガクガクと震える体が成幸を刺激し、絶頂に達したうるかの膣は成幸の陰茎を猛烈に締め付ける。限界寸前の肉棒がそれに耐えきれるはずもなく、ほぼ同時に成幸も達した。うるかの奥に叩きつけるように大量の精液を吐き出して、あふれた精液が結合部から漏れ出す。人生で一番長い射精を終え、快感の余韻に浸るように愛する人の中で何度も腰を震わせた。
◆◆◆◆◆◆
絶頂の余韻が引いて、成幸は陰茎を抜き去る。塞ぐものが無くなった膣口からは白濁が漏れ出して、ところどころに赤い色が混じっていた。
「……痛くなかったか?」
「うーん……最初のほうにちょっとだけ。あとはまあ……見てたとおりっていうか……」
手ぐしで髪を整えるふりをしながら、最中の痴態を思い出して真っ赤な顔になったうるかが答える。痛いばかりではなかったことに安心した成幸はうるかを見ながら微笑んだ。
成幸に他意はなくただ純粋に微笑んだだけだったが、うるかにはからかわれているように感じられて、ちょっとだけ困らせたくて拗ねてみた。
「……成幸のベッドヤクザ」
「な、何だよヤクザって。ちょっとやりすぎたかもしれないけど」
「ちょっとって。成幸結構ドSだよね」
「……うるかも嫌じゃなかったんだろ?」
「……そーゆー言い方ずるい。いじわる」
上目遣いで睨む姿を可愛いな、と成幸は思って頭を撫でる。気持ちよさそうに目を瞑る様子が愛おしくて、留学なんてやめてずっとそばにいてほしいなんて身勝手な思いが頭を過ぎる。頭を振って邪な思いを振り払おうとして、中々頭から消えないことに驚いた。肌を重ねた直後とはいえ自分の中にこれほどの独占欲があったことに愕然とする。
「んふぅ……そろそろ体洗おっか」
「あ、ああ。じゃあ俺は待ってるから」
うるかは頭を撫でられて幸せそうな息を漏らすと、様々な体液でベタつく体を洗おうと成幸に提案する。成幸は不意の提案に動揺したが、自分の中の不純な気持ちが伝わらないよう努めて自然に振る舞った。
そのはずだったがうるかが不安げな顔をして成幸の目を見つめたので成幸は内心慌てていた。
「一緒に入んないの?」
「え?」
「……あたしも裸はまだ恥ずかしいけど、でもせっかくだし最後まで一緒にいたいっていうか……」
「……そうだな。一緒に入るか」
「うんっ」
うるかにいじらしく誘われて、それで見られていたのかと成幸は安堵する。恋人の誘いを無下にするわけにはいかないし、何よりうるかとお風呂に入るという提案には抗いがたい魅力があって、二つ返事で賛成した。こうやってまた恋人への独占欲が高まっていくことを理解していて、それでも今はこうしていたいと成幸は思ってうるかの額にキスをした。