/業務日誌_セラピストNo.0021-L_25040515_fix.hyp2(2)
ハッチが開くなり、鎖を解かれた犬よろしく、くゆりが
「ほぁあっ、やっとおそと――わわ、ゎほ」
白いスーツの短躯は、そのまま勢いあまって浮きあがり、ドッグに飛び出そうになっていた。
「もう。ここはまだ
伸ばしたわたしの手に、くゆりがすがりついた。
先ほどまでは狭い船内だったし、
心底嬉しげな笑みを浮かべて、くゆりが指を絡ませてくる。
余熱が、ほんのりとうずく。
「えへへ」
「……どうしてにやついているのよ」
「えー? だって、ないちゃん、くゆみたいに……あ、じゃなくって、えへへっ、なんでもないわ、だよっ」
「……?」
含みを持たせたくちぶりだったけれど、なんのことかは杳としてわからなかった。
いろいろと――、それどころではなかったから。
カプセルドッグを出ると、
「うぅ、や、やっぱり、目がまわっちゃいそう……」
そしてせわしなく首をめぐらせては、ふらついてみせた。
「きょろきょろしながら歩いていれば、地球でだってそうなるわよ」
まぶしい――無邪気な笑顔が、まぶしくてまぶしくて、たまらなかった。恒星プラントなんかよりも、ずっと。ずっと。
期待どおりの、いえ、期待以上の反応に、ここを選んでよかったと切に思う。これをなんと表現すべきかはわからないけど、さっきまでの余韻がまだ残っているような、そんなふわふわとした充実感――温かさ。
……だめだ。
繋いだ手が、汗ばむような気がした。
……これはほんとうに、だめだ。
「……くゆり、少し休憩しましょうか。あの姉妹の部屋があるの。ここのひとたちが、どんな暮らしをしていたのか、見てみたくはない?」
「えっ、ほんとっ!? みたいみたいっ!」
煮えたぎっていた。ぐつぐつと。衝動が。おなかのなかで。
休憩とは言ったものの、姉妹の住居は
「わぁっ、広いねっ」
部屋はワンルームだったけど、家族向けのゆったりしたつくりをしていた。アクアルーム機能付きのカプセルベッドや、応急治療槽などのオプション設備も整っていて、高収入が約束された人魚の棲み処であることがひと目でわかって――けど、そんなこと、もうどうでもよかった。
「ねぇ、ないちゃんっ、あのおっきな箱みたいなの、なに?」
「くゆり」
「なぁに? ないちゃ――んぐっ」
名を呼ばれ、振り向いたくゆりを抱き寄せると、わたしは熱い唇を押しつけた。薄い口唇を舌で断ち割って、柔らかな口内粘膜をまさぐった。
「んっ、んんっ……、ん……ふ……」
はじめは驚いたように身をすくませたものの、くゆりもすぐにくちづけに応じるようになった。
もっとも敏感にして自在に動く互いの筋肉を、唾液をまとわせ、にゅるにゅると絡みあわせ、すすっては、甘噛みし、あるいはされて、無重力のなか、ふわふわと宙をさまよいながら自分たちの体勢なんて気にかけることなく、性交そのもののような淫靡なキスに没頭していく。
それは、くゆりが首を振って強引に中断するまで、つづいた。
「ぷはぁっ……、な、ないちゃん、キス、長いよう……」
とろんとまなじりが下がり、あめ色の虹彩を潤ませたくゆりは、頬を上気させていた。何十分にも渡る接吻は、わたしにひどい酩酊のようなぐらつきをもたらし、そして焦らし――、衝動的にさせていた。
「――すき、なのよ」
「くゆも、キスは好きだけど――」
「……違うわよ、もう」
磁力で視線を退けられているかのように、直視するのは難しかった。
「くゆりの、ことよ」
「え――」
心臓は息を詰まらせんばかりに、強烈に悸っていたし、首や顔、耳は熾火のように熱を発していた。
「……セラピーとか、抜きにして……あなたのことが、好きなのよ……ホンモノの、香取ないとして」
それでも、きちんと偽りなく、そう告げた。
くゆりは金毛を逆立て、みるみるうちに目を見開いていき、やがてこれ以上は開かないだろうというところまで真ん丸にすると、やおら抱き着いて噛みつくように幾度もキスしてきた。
「ないちゃっ、んっ! ないちゃんっ、んむっ、ないちゃんっ! ほんとっ!?」
「んぐ、ほん、と、よ」
「ないちゃんっ……! ないちゃんっ、うそ、じゃ、んっ、ない、よねっ……?」
「うそ、じゃ、む、ない、ったら――」
くゆりは数えきれないぐらいキスを繰り返し、そして名前を呼びながら、執拗に確かめてきた。緊張で張りつめていたこころには、その攻撃はよく効いた。
くらくらして、どきどきして――重力があれば、その場にへたり込んでいたわね、きっと……。
「はぁ……♥ すきっ♥ すき……♥ ないちゃんっ♥」
きつく抱きつき、首筋に鼻面を擦りつけ、尾を絡めて、犬のように甘く猫のようにも甘く、甘く、甘えて、べたべたと甘え倒してくる、くゆり。
「ねっ、ね、ね、ね、ないちゃん……♥」
「な、なに、よ……」
それだけで、わたしはもう、どうにかなってしまいそうだった。
「今度は、くゆのほうから、していい……?♥」
茹った頭で、答える。
「っ……、あ、あなたが、そうしたいなら……かまわない、わ……」
今までわたしの受容体集合に触りたがった患者はたくさんいたけど、ていよくあしらってきた。それがたとえ夢だったとしても、触れられるのが、怖かったから――自分に主導権がないことが、おそろしくてたまらなかったから。
けどわたしは、くゆりならいいかと――受容体集合ではなく、わたしのことを見つめているくゆりになら、されてみたいと、本当に本当に、安易にそう考えてしまったのだった。
「ぁっく……♥ んぅ……♥」
熱い息がこぼれる。尖りきった先端の片方を熱い舌で転がされ、もう片方を指で柔らかく摘ままれて、乳房全体に疼きが灯る。
ふわりと皮膚を撫でるだけのような愛撫だったけど、重力から解放された乳房は、たやすく変形した。
くゆりの手が指が、唇が舌が、ガラス細工でも扱うように、わたしを愛でていく。
「んっ……、はっ……♥ はぅ……♥」
わたしが、くゆりにしていたように。
ときどき、悪戯するかのように、ほんのわずか、刺激を強めたりして。
「あぅんっ♥ んっ……♥ ん♥ ん♥」
たまらなくびりびりと痺れて、からだを折る。
……どうして、こんなに……。
乳首を吸いつつ、くゆりが問うてきた。
「ないひゃん、ひもひいひ……?」
「っ……♥」
わたしはこくこくと頷いた。そうすることしかできなかった。
気持ち、よかった。あまりにも。
ここが弱かったとか、あそこが感じやすかったとか、そういう問題ではない。ただくゆりに触れられているところすべてが、思考もまとまらないほどにとんでもなく、気持ちよかった。
……どうしてっ、……こんなにっ……。
またアークが――VIVIが、なにか細工したのかとも勘ぐったけど、モデルや各種設定に手を加えられた痕跡はなかった。
ならば残るは、わたしの認識の問題。
「はっ♥ あっ♥ ん♥ ふぅっ……♥」
にゅるっと内腿の間に、手が滑りこんでくる。薄い茂みが掻きわけられ、くゆりの指を濡らしたのがわかる。
「ないちゃんのここ……あついね……♥」
「~~っ♥」
わたしは今まで、そう愛撫されれば的確に快楽を味わうはずだという知識のもとで、患者のモデルを刺激してきていた。おそらくその認識と結果がわたしのなかで先行して、わたしの体験に対する受容体集合が構築されてしまったから、こんなにも、感じている。
つまりわたしが自信をもって責めていた部位、あるいは責め方は、自然とわたし自身を開発する事態を引き起こしてしまっていた――。
そして――。
「あっ♥ あ♥ んーっ♥ まっ♥ まってっ♥ それっ♥ それっ♥」
入口を二本の指で交互にねっとりと掻きまわされ、喉を反らす。
「こうされるの、やだ?」
「いっ、いやじゃっ♥ ないけど……♥ 感じ、すぎてっ……んみゅ♥ んっ……♥ ん♥ ん♥ ん♥」
黙らせるように舌を絡めとられ、下腹部がますます熱を持つ。
――そして、わたしの手練手管を忠実に再現してくる、くゆりのせいでもあった。
くゆりは、このセラピーまで性知識も経験も皆無だったのだから、わたしが教え込んだ方法しか知らないのは当然だったのだけど――。
それでもここまで、覚えがいいなんて――、聞いてないわよっ……!
「んぁっ♥ もぉっ♥ もうっ♥ くるぅ……♥ くるっ♥ くるっ♥ きちゃっ……♥ っ――♥ ぅ、くっ――♥ っ……♥♥」
じっくり高められていた分、長く、深く、穏やかで愛おしいまでのエクスタシー。至福の時間。雫が溢れて、宙に漂う。
くゆりも感じ入ったような声を出した。
「ん……♥ ないちゃんっ……♥ きれいっ……♥ かわいいっ……♥」
「えぅ……」
口元を隠して、顔をそむけてなるべくくゆりを見ないようにした。
無性に恥ずかしくて、しょうがなかった。余韻でひどく火照った媚肉が、脈打つようにひくついて、くゆりの指を味わうごとく何度も食んでいた。
「えへ……♥ ないちゃんのここ、すごいきゅんきゅんゆってる……♥ まだ、したりない……?♥」
「ぅ、く、くゆりが……し、したいなら……、しても、かまわない、わよ……」
「くゆは……、したいな……♥」
「あぅ♥ あ♥ ん♥ ちょっ♥ んん♥♥」
「ないちゃんに、もっといっぱいさわって――」
「んあっ♥ あ、く――♥ ぅううっ……♥」
「ないちゃんのこと、もっときれいにして――」
「あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あ♥ っ――♥♥」
「もっとかわいくして、あげたいな……♥」
「うーっ……♥ ぅぐぅ……♥ んうぅっ……♥ う゛う゛う゛っ……♥♥」
「ないちゃんは……、したくない……?♥」
どろどろに甘えながらも容赦なく入りこんで、突き落として、引きずり込む、焦がれるような、はちみつの沼のような、誘惑。
こんなの、逃れられる、わけがない……。
「ぅうう……っ♥ し、したい、わよぉっ……♥ くゆりにっ、もっといっぱい……っ♥ してほしぃっ……♥」
「えへへ……♥ じゃあ、いっぱいいっぱい、しようねっ♥ ふたりで、ぐずぐずの、どろどろになっちゃうぐらい……♥」
そこから先は、くゆりの言ったとおりになった。
ぐずぐずのどろどろで、かわいくてきれいで、すごくてすてきな感じに。
ふわふわとくるくると、上下左右に螺旋を描いて室内を漂いつつ、華奢な指で、柔らかな唇で、生ぬるい舌で、全身を弄ばれた。
女性器はとくに、重点的に。わたしが初々しく嬌声をあげるのが、愉快らしい。わたしは不服極まりなかったのだけど――異議申し立てる余裕は、なかった。
わたしの陰唇を使って単調な水音を奏でるくゆりに、必死にしがみつく。
「うっぐぅぅううっ♥♥ くゆりっ♥ くゆりぃっ♥ そこっ♥ なかのとこぉっ♥ じぃすぽっとぉっ♥ つるつる、擦っちゃっ♥ だめだったらぁっ♥♥」
「えー♥ どうしてだめなのぉ……?♥」
「しびれっ、ちゃうからぁっ♥ ふかくっ、イキすぎちゃうからぁっ……♥」
「でも、ないちゃん……♥ 今までくゆがやめてって言っても、やめてくれなかったよね……?♥」
「そっ、それはっ……♥ あっ♥ んんぅっ……♥ セ、セラピーだったからっ、しかたなかったのよっ……♥」
「えー……?♥ ほんとかなぁ……?♥ ないちゃん、すっごく楽しそうだったけどなぁ……♥」
「そ、そんなこと――んんーっ!♥♥ まっ♥ まちなさっ♥ ほんとに、イッ♥ っく♥ いくっ♥ だめっ♥ だめっ♥♥ だめっ……♥♥♥ っ……♥ っ――♥♥ っ――♥♥ あっ♥ った♥ いったっ♥ いったからぁっ♥ とめ、って……!♥」
「じゃあ、正直に、教えてくれる……?♥ くゆのこといじめて、楽しかったのか、どうか……♥」
「んんっんぅぅっ……♥ たのしかったっ♥ たのしかったっ、からぁあっ♥♥」
「どうして……?♥」
「ひゃぁあぁんっ♥ あーっ♥ あ♥ あ♥ ううぅ……♥ く、くゆりがっ♥ かわいかったっ♥ からぁっ♥」
「あは……♥ 気持ちよくなっちゃってるないちゃんも、かわい♥」
「っ――♥ っ――♥♥ っ――♥♥♥」
普段の小動物然としたくゆりの雰囲気からは到底想像もつかない、なじるようなくちぶりに、屈折した被虐性がお腹の底で渦を巻く。
「えへ……♥ ないちゃん、きもちい……?♥ くゆ、ないちゃんをきもちよくできてる?」
「はー……♥ はー……♥ は……♥ きもち、いいわよ……、じゅうぶん、すぎる、ほどに……」
「えへへ♥ よかった……♥ でも――」
「ひゃうんっ!?♥」
とん、と突き立てるように、くゆりの人差し指が下腹部を衝く。衝撃がずくんと子宮を刺し貫いて、肉の部屋のなかを反響する。
ぐちゃり、と熟成しきった肉が潰れる。
「くゆの指は短いから……ここまで届かないね……?♥」
「ぁう……♥」
一瞬にして、かたちを取戻しつつあった理性が、熔解する。なにも、考えられなくなる――。
「べろでも、絶対届かないし……なにか細長いものがあったらいいんだけど――、あ、そうだ」
ぎらりと輝く、琥珀の虹彩。
「細長くって、つるつるしたもの……ここに、あったね……♥」
「んゃっ……♥」
たおやかに、しなやかに指が這わされたのは――わたしの、尻尾。
「これなら……、奥まで、届いちゃうかな……♥」
「んくっ……♥」
先端から、ぞわぞわと勿体つけるように這いあがってくる、指の群れ。尾の付け根に近づくごとに、熾火のような余韻に、燃料が注ぎ込まれ、より一層、熱く燃えあがる。
根本を、そっと撫で上げられる。歯の根もあわないほどの、痺れる期待感。
「どうしよっか……♥」
「っ……♥♥ け、けどっ……♥」
甘い甘い、煮え立つ泥沼にいざなうように、くゆりが赤い舌と白い犬歯をちらりと覗かせる。たとえ幼くても未熟でも、相手が鋭利な牙と爪をもつ肉食獣だと悟ったかのような、薄ら寒さを覚える。
怖い――ほんとうに、怖い。
これは――たぶん――戻れなく――なる――。
くゆりの手が、尻尾を捕らえ、正中線に沿ってこれ見よがしに下腹部にあてがった。その意図は安易すぎて、だからこそ――。
「ね、ねね……♥ ほら、ないちゃん、おへその上のとこまで入っちゃうよ……♥
「っ……♥」
「すごいね……♥ こんなところまで入れちゃったら……どうなっちゃうんだろうね……♥ ためして、みたくない……?♥」
「ぅふっ……♥」
「くゆは、ためして、みたいなぁ……?♥」
「っ~~♥♥」
怯懦の動揺を、破滅的なときめきに、変えてしまった。
太ももを擦り合わせる。子宮が不自然なまでに脈打ち、陰部が粘稠度の高い液体を次から次へと溢れさせ、腰が引ける。
「ね……♥ ないちゃん……♥ どうしちゃおっか……♥」
その悪魔のようなささめきに――拒否権はなかった。
「――て……」
「うん?」
「……い……、いれ、て……」
「えへへ……♥ ね、ないちゃん……?♥」
「な……、に」
「すき」
「ぁ――んむっ」
唐突な告白からのくちづけに、意識が奪われかけ――。
「……んんんんっ♥♥」
そしてすかさず、ひと息に最奥まで尾をねじ込まれ、わけがわからないままに、登りつめる。
「――っ♥♥ ――っ♥♥ ――っ♥♥」
幼い手指で耕され、焦らされ続け、膨れ上がった子宮は、いとも簡単に凄絶なエクスタシーを吐き出す。視界の裏でばちばちと火花が散るような絶頂体験は、わたしに、自分の体内に挿し込まれた尾を強烈に締め上げることしか許さなかった。
「はれ? 動かなくなっちゃった」
黒い尾を握りしめたまま、くゆりが首をかしげた。
「引っかかっちゃったの、かな? 押しても引いても、動かないや」
そこが最奥なのだから押し込んでもそれ以上進みようがないのは当然として、かつてない高みの頂に追いやられた肉襞は強固に尾状デバイスに絡みつき、張りついてしまったらしい。
「ぅっ……♥♥ きゅぅっ……♥ っ……♥♥♥」
尾を押したり引いたりされるたびに、絶頂が引き伸ばされるわたしは、それどころではなかったのだけど。
「あ、そうだっ」
名案が浮かんだと言わんばかりに、くゆりが童顔を輝かせる。
「ね、ないちゃん、魔術、使ってみてよ」
ぞくり、と。未だ熱く迫りくる波濤のなかに、鋭い氷塊が滑りこんできた気分。
「っ……♥ くぅ……♥ は、ぐ……♥ け、けど……、そんなこと、したら――」
「できるよね?」
ぞくぞく、と。有無を言わせぬ、冷たい声音。
「で、できる、けど……♥」
「あは……♥ じゃあ、くゆが合図したら、使ってね……?♥ さーんっ♥」
「え、え――」
「にーいっ♥」
「そんな、本気で――」
「いーちっ♥」
「ま、まって、まだ――」
「ぜーろっ♥」
「っ……!? う、そ……♥ や、だ、これっ……♥ っ――♥♥♥」
理解する間もなく、頭が真っ白になって仰け反る。腹部を貫き揺さぶりせりあがってくる、壮絶なアクメのせいで。
「――っ♥♥♥ ――っ♥♥♥ ――っ♥♥♥」
なにも、わからない。全身が内側から弾け飛んでしまったかのよう。
そんな――魔術が……勝手に……!?
そう推測するので、精一杯。
わたしの意思をも無視し、意識がひとりでに魔術を起動した――たぶんそれは、間違いないのだけど――。
問題は果たして、VCD・サイマトにいるせいなのか、あるいは――。
「あは♥ ないちゃん、すっごいびくびくしてる……♥」
「っ……♥♥ っ……♥♥ っ……♥♥」
くゆりが尾を捻り、わたしの内臓をねじりながら笑った。わたしは息も継げないまま、再度高みに押し上げられる。
「でも、魔術のおかげで、尻尾、ちょっとは動くようになったみたいだね……♥ じゃあ、このまま動かせるようになるまで、続けよっか……♥」
「ま……♥ って……♥ も、むり――」
「さーんっ♥」
「~~っ♥♥♥」
くゆりは――限度というものを、まるで知らなかった。無理もない。唯一、わたしが教えなかったことだったから。
くゆりは、わたしがくたくたになって意識が朦朧としてくるまで、とにかく、求めてきた――。
それはそれで、もちろん悪い気はしなかったのだけど。わたしのほうも、毒されたように応じてしまっていたから。
「……♥ ちゅ……♥ すき……♥ ないちゃん……♥」
「くゆ、り……、すきっ……♥ ん……♥」
もう身動きひとつ取れないほど気力を使い果たしたのに、名残惜しむように唇だけで愛を確かめた。名前を紡いで、想いを告げて、くちづけして。
……求めあうことが、こんなにも――。
知らなかった――こればかりは。いつも求めるだけ、だったから。拒むだけ、だったから。
これは、忘れられそうもない。
「ね……、ないちゃん。次のセラピーは、なにするの?」
温かな陶酔のさなか、くゆりがたずねた。
「ん……、なにか、したいことはあるかしら?」
「なんでもいいの?」
「なんだって、かまわないわ」
「じゃあ――、ないちゃんに会いたい」
「なによ、それ。わたしに会えたら、それでいいということ?」
「んーん、そうじゃなくて――現実で会いたいの」