涼しい部屋でミュナに看病されたおかげか熱中症はあっさり次の日には完治して、バイトのシフトに穴を空けずに済んだ。これでまた平和な日常に戻れると思いきや、そういうわけにもいかなかった。
「おーい、ミュナー、ちょっと手ぇ貸してくれー」
「ミュナはオートモード周回を見守るのに忙しいのでいませーん」
「オートモードだから放置できるだろ。良いから来いって」
不承不承キッチンに来たミュナは食卓の上に置かれた夏みかんの山を見るやくるりと踵を返した。
「今日はキッチンが大凶の方角だから駄目って朝の占いで言ってたから帰るね」
「帰るな」
これこそが平和な日常を阻害する難物だった。実家から帰って来る時の大荷物の大半を占め、持って帰るのも一苦労だった大量の夏みかんは実家の畑で穫れた代物なのだが、俺が生まれる前から畑に植わっていた割に、誰一人として世話をすることなく勝手に実をつけていて半ば野生化している。皮も薄皮も分厚くて剥くのに手間がかかる上に味も苦みと酸味がきつくて、家族の大半が敬遠している。
何故かおふくろはこの味が好みらしく、そのままうまいうまいと食べる上に俺たち男衆が食べたがらないのを理解していない節があり、今年は豊作だったからお土産にと無理矢理持たされたのだ。
サークルやバイト先や大家さんに配ったりはしたものの、誰一人として「まだまだあるから追加が欲しいなら遠慮なくどうぞ」と言ってもスルーされて家に残りが転がっている状況だ。もちろんミュナも俺が買ってきた地元の銘菓はすぐに完食したくせにこっちは完全に見なかったことにしようとしている。
「やーだー。そのおみかん苦いからやーだー」
「まあまあ」
もっと苦いものでもうまいうまいと啜るくせに、と言いたくなるのをぐっと飲みこんで俺の正面に座ったミュナにタッパーを差し出す。
「ネットでレシピ調べてみて、簡単にできそうな砂糖漬けにでもしようと思うんだけど、量が量なんで手伝ってくれ」
「むう、しょうがないにゃあ」
「後はこれ」
「ほへ?」
夏みかんを手に取るミュナの目の前に粉の入った皿を二枚と空の皿を滑らせる。
「剥くだけってのに飽きたらその場で食べても良いからな。こっちは砂糖で」
「おー、甘ーい」
説明の最中にミュナは砂糖をつまんで舐める。
「で、こっちが重曹なんだが」
「にが、にがーーーーい!何これ何これ!わけわかんないよー!!」
止める間もなく卑しい真似をしたミュナは口を押さえてじたばたとのたうち回る。だからいつも俺からもっと苦いものを搾りだすくせにと言いたくなるのはやまやまだが、今ここで口に出してしまったが最後口直しにと口に出させられかねないのでやはり黙っておく。
「ったく、口ゆすいで来い。それは単体で口に入れるもんじゃないんだよ」
「もー、酷い目に遭ったよー……」
涙目で戻ってくるミュナの前に薄皮まで剥いた夏みかんをひと房出してほんの少し重曹をかけてやる。
「ほい、これで食べてみ?」
「苦くない?」
「少なくともそのまま重曹舐めるよりは苦くないって」
「嘘だったらミュナちゃん保護法違反で出なくなるまで搾るからね」
恐ろしいことを言いながらミュナは恐る恐る夏みかんを口に入れ、そのまま目を丸くした。
「何これ、シュワシュワするー!」
「重曹かけたらこうなるんだ。酸味はマシになるけど本体の苦みはそこまで減らないからまあ気分転換ってとこだな」
「へー、お兄ちゃん物知りー」
「俺が夏みかん嫌いだーって言ってたら婆ちゃんがこのやり方を教えてくれたんだ」
「おばあちゃんの知恵袋ってやつだね」
機嫌を直したミュナとともに地道にひと房ずつ薄皮を剥いてタッパーに詰めていく。薄皮も市販のものより厚ぼったいので時間がかかる。
「ぎゃー、割れちゃった!」
「でっかいのだけタッパーに入れて欠片は食っちゃいな」
「はーい」
相変わらずミュナは不器用で、無事な房はほとんどない。その分欠片を食べることになるわけで
「お兄ちゃん、お砂糖切れちゃった」
「もうかよ。ちょっと待っててくれ」
「ねえねえお兄ちゃん、見て見て」
「ん?どうした?」
調味料置き場から砂糖を袋ごと取り出して振り向くと、控えめだったミュナの胸が露骨に膨らんでいた。
「えへへ、どう?せくちー?」
「食い物で遊ぶな」
「うわー、ばっさり一刀両断」
ミュナは唇を尖らせて不満げな表情を見せる。
「なによー。お兄ちゃん、おっぱい嫌いなのー?」
「そういう問題じゃないだろ今のは」
ミュナをスルーしつつ座って薄皮剥きを再開する。
「で、実際どうなのさ?」
「は?」
いきなり妙なことを聞かれたせいで手元が狂って夏みかんをひと房真っ二つにしてしまった。
「お兄ちゃんおっぱいに興味ないの?」
「昼日中にいきなりなんだよ。まあそりゃ人並み程度には、あるが」
「やっぱり揉んだり吸ったり挟んだり飛び込んだりしてみたいものなの?」
「そりゃ……でかいの見たらどんな感触かなあとかは思うが」
汁が出た房に重曹をかけて食べつつミュナがいきなり振ってきた猥談を捌く。
「じゃあさじゃあさ、大学で触って良いよって言われたらどうする?」
「引くわそんなんいきなり言われたら」
「そりゃそっか」
お互いが失敗作を咀嚼する音だけが暫くの間キッチンに響く。
「ミュナは、胸でかくなりたいのか?」
「んー、やっぱほら、マンネリは敵ですから?バリエーションを増やすためにおっきくなったらって思ってるんだけど、どうにもこうにも」
「尻尾は脱皮してでかくなったのにな」
「そうだよねー。なんでだろ。おっぱいも脱皮してでっかくなったりしないのかなあ」
「そこは脱皮したら怖いわ」
猥談のようなそうでないような取り留めもない話をしながらひたすら薄皮を剥いてはタッパーに入れ続ける。
「やった!初めて綺麗に剥けたよ!」
「おう、頑張ったな」
「はい、お兄ちゃん、どーぞ」
ミュナは綺麗に剥けたひと房を指で摘まんで俺に差し出した。
「いや、砂糖漬けにしたいんだが……」
「えー、他のと混ざったら勿体ないじゃない。ミュナのハ・ジ・メ・テ、なんだから」
「お、おう」
色っぽく言われて少しどきりとする。ミュナの今までの奮戦と失敗の産物を見ていると確かにこのひと房はミュナにとって特別なものなのだろう。おとなしくミュナの差し出した房を口に入れる。
「どうどう、美味しい?」
「……甘酸っぱいな」
勿論雰囲気というのもあったが、実際に夏みかんは甘酸っぱかった。砂糖の後味が舌に残る。だが、ミュナは何もつけずに俺に差し出してきた。となると考えられるのは―――
「ミュナ、指見せてみ」
「えー、いきなりミュナの綺麗な指を見て、その、下品だけど……」
「しません」
アホなことを言いだすミュナを無視して手首を掴んで引っ張って指をまじまじと見る。細い指にびっしりときらきら光る結晶がこびりついていた。皮剥きに失敗して果汁塗れになったところに砂糖をかけて手づかみで食べてこうなったのだろう。
「どうやったらここまで汚くできるんだよ」
「だってこのおみかん苦いし酸っぱいんだもん」
「それはそうだが限度ってもんがあるだろ……ちょっと待ってろ」
適当なお椀に水を張ってミュナの前に置いてやる。
「フィンガーボウル代わりな」
「お兄ちゃん、本物使ったことあるの?」
「ねーよ」
ミュナはちゃぷちゃぷと指をお椀で洗って薄皮剥きを再開する。俺も目線をミュナから夏みかんに戻した。
「あっ」
長時間の作業で飽きが来ていたのか手が滑って房の一部を潰してしまう。仕方なく汁が出ていない部分を慎重に切り離して潰れた部分に重曹を少しかけて食べる。久々に味わう発泡感が懐かしい。
「あちゃー」
またミュナが失敗して房を真っ二つにしてしまう。ミュナはそのまま破片を拾って―――
「はい、お兄ちゃん、あーん」
「自分で食えよ」
「えー、いいじゃーん。失敗して自分で食べるよりもお互い食べさせっこした方が楽しいじゃーん」
「……まあ、そうかな?」
手伝わせているというのもあって、あまり強く拒否するのも何だったのでミュナの言うとおりに差し出された破片を口に入れてもらう。何もつけていない状態だったので酸味と苦みがきつく思わず顔を顰めてしまう。
「あはは、ごめんごめん。指洗っちゃってたね」
ミュナは笑って残った破片に重曹をかけて差し出した。しゅわしゅわした感触を堪能してから嚥下する。
「どうどう?どれが美味しかった?やっぱりさっきの初めてのやつ?」
「……まあ、あれは一番甘かったな」
なんとかその場を誤魔化して作業を再開するが、また手を滑らせて房を欠けさせてしまう。
「お兄ちゃん、ちょーだいちょーだい。お砂糖でね。あーん」
ミュナは餌を待つ雛鳥のように大口を開けて俺にせがむ。
「はいはい、これぐらいでいいか?」
「もうちょっとー」
請われるままに砂糖をまぶした房を摘まんでミュナの口元に近づける。ミュナの唇が近づいてきて―――
「はむっ……」
「こ、こらっ」
ミュナが夏みかん諸共俺の指を口に含む。夏みかんそっちのけで指に舌を絡めてしゃぶり上げられ、股間がぴくりと反応してしまう。
「んん……ちゅ……」
「やめろって!」
「あは、あんまり味しなかったね」
ちゅぽんとミュナの口から指を引き抜くとミュナは淫靡な目つきでぺろりと唇を舐めた。その表情に背筋がぞわりとする。
「遊んでないでちゃっちゃと終わらせるぞ」
「そうだね、お楽しみは終わらせてから、だね」
ミュナが不穏なことを言ってはいるが、いちいち反応していたらいつまでたっても作業が終わらないので指に残る舌の感触を振り払って夏みかんに向き直る。ミュナも追い打ちはかけてこずに拙いながらも頑張ってくれている。
「お兄ちゃん、また一個失敗したから食べて」
「はいよ。こっちもちょっと欠けたとこ食っちゃってくれ」
「はーい」
なんやかんやでミュナも慣れてきたのか派手な失敗はしなくなり、いつしか最後の一個の夏みかんを剥き終わった。タッパーの方もちょうどいい具合にぴったり満タンになってくれてなんとなく嬉しい。
「終わった終わった。砂糖入れて冷蔵庫で保管だな」
「ねえお兄ちゃん……言いにくいんだけど」
もじもじとミュナが胸元に手をやる。
「……あ」
「あと二つ、だね」
ごろりごろりとまろび出る夏みかんにため息が出てしまった。ちらりと夏みかんの陰に一瞬見えた別の果実に目に行ってしまったのが少し悔しい。
「どうする?今日はもうおしまいにしちゃう?」
「いや……明日ごみの日だしもう綺麗さっぱり食っちゃおう。ミュナ、一個いけるか」
「んー、頑張る」
お互いの前に一個ずつ夏みかんを置いてラスト一個に取り掛かる。掴み上げると夏みかんはほんのりと温かく……
「……あ」
「あははー、やっちゃいましたなー」
ミュナの体温が残る夏みかんの感触に意識を乱され盛大に指を突っ込んでしまった。果汁が溢れて指を汚す。
「ほらほらお兄ちゃん、指出して。綺麗にしたげるから」
ミュナは強引に俺の手を取って有無を言わせず指に舌を這わせ―――
「酸っぱ苦ーーい!」
「そりゃそうだ」
慌てて舌が引っ込んだのでお椀を引き寄せて手をゆすごうとしたが、ミュナが手を掴んで妨害してきた。
「おいこら何すんだよ」
「まだまだ、ミュナは諦めないよ!」
ミュナは右手で俺の手を引きながら左手で砂糖の入った皿を引っ張る。相変わらずろくでもないことばかり考えつく。
「何がしたいかはわかったけどやめれ」
「いーいーかーらー」
ぐいぐいと引っ張るミュナに根負けして果汁塗れの指を委ねる。ミュナはぺろりと舌なめずりをしてスプーン一杯に砂糖を取り……おもむろに自分の口の中に流し込んだ。
「お、おおう!?」
「じゃ、いただきまーす♡」
ミュナの舌が俺の指に絡みつき、丹念に舐り上げる。じゃりじゃりと砂糖の感触がぬるぬるの舌に混じって指を前後する。
「あまーい」
「指に砂糖かけて来るのかと思ったわ」
「えへへ、どっか外国の紅茶の飲み方をアレンジしたんだよ」
まずは舌で砂糖を指に塗り籠めてから、ミュナの唇が俺の指を根元まで咥えて指先まで一気に啜り上げる。そのまま指を離すかと思えば頭を前後させ下品にじゅぽじゅぽと音を立てる。親指が終わったら人差し指も同じように。そのまま中指へと。
「ちょ、ちょい待て。夏みかんに突っ込んだ指は全部終わったぞ!」
「えー?お兄ちゃん、やめて欲しくなさそうだけどなぁー」
ミュナはにやにやと俺の膝に乗っかっていやらしい笑みを浮かべる。すっかり勃起している俺のモノを膝で軽く刺激するのも忘れない。絶対にこれは意図してやっている。
「とりあえず、夏みかん片付けるぞ!」
「そうだね。終わってから、ゆっくり、ね?」
ミュナはぺろりと舌なめずりを一つして素直に俺の対面に戻る。ズボンの中ではち切れそうになっている俺のモノはもうどうしようもないので繕わずにそのまま改めて最後の一個に取り掛かる。
「お兄ちゃん、綺麗に一個剥けたよー。重曹とお砂糖どっちが良い?」
「サンキュ、もう砂糖漬け分は終わってるし全部終わってから纏めて食べようや」
「はーい」
すっかり慣れたのかミュナの手つきがさっきまでよりも明らかに早い。対して俺は指に纏わりつくさっきの舌技の余韻に邪魔されて何度も房を取り落としたり真っ二つにしてしまったりと精彩を欠いている。
「おっしまーい!」
「げ、まじか」
頑固な筋と格闘しているうちにミュナが一個丸々剥き終えてしまった。ミュナは皿を手に俺の隣に移動してきた。
「ほーら、がんばれ♡がんばれ♡」
「煽るな、耳に息を吹きかけるな……っ!」
手元が狂ってまた手を果汁塗れにしてしまう。
「あはは、後で綺麗にしたげるからね」
「くっそ……」
震える指先と痛いほどいきり立つ股間に散々邪魔されながらミュナに煽られる。口だけで手や足が出てこないのは幸いだった。ここで物理的に後押しされたらもう耐えきれなかったかもしれない。
「こっちも……終わりだ……!」
「お疲れ様ー。お兄ちゃん、まあまずお一つどーぞ。お砂糖と重曹どっちが良い?」
「……じゃあ重曹で」
「はーい♡」
「おい、どこにかけて……むぐっ!?」
ミュナは房を摘まんで摘まんだ指に重曹をかけて俺の口に突っ込む。苦くて酸っぱいまま食べるか指をしゃぶって食べるかの二択の強要。ミュナの指に舌を這わせると重曹の苦みが真っ先に襲い掛かってくる。慌てて指を離して房を咀嚼する。少し後に発泡感が口内に満ちてくる。
「美味しい?」
「……重曹だとクッソ苦いわ。普通にやろう、普通に」
「うーん、駄目だったかー。じゃ、普通に重曹かけてミュナにもちょーだい」
「へいへい」
お互い奇を衒わずに普通に夏みかんを交互に食べさせあう。ただ、ミュナは行き掛けの駄賃とばかりに指を舌でなぞっていくのでその度に股間に血が集まって布に擦れて困ったことになる。ひと房、またひと房と夏みかんは減っていき、いつしかひと房ずつを残すだけとなった。
「じゃあ、ラストは……はい」
「お、おう」
ミュナは最後のひと房を咥えて俺に唇を寄せる。そのまま先端を咥えて受け取ろうとしたが、ミュナはそれを咎めるように強引に俺の唇を奪ってくる。夏みかんの苦みと酸味を追うようにミュナの舌が俺の口内を這い回り、甘い味が広がる。事前に砂糖を口の中に入れていたのだろう。舌で夏みかんが軽く潰れて果汁が迸る。砂糖をどれだけ口に含んでいたのか、甘さに頭がくらくらと痺れる。
「ぷあっ……!美味しかった?」
「おう……」
「じゃ、お兄ちゃんもお願いね?」
ミュナに請われるままに俺の剥いた最後のひと房を咥えてミュナへと差し出す。ミュナの口がぱくりと房を咥えた途端、房は真っ二つに割れてしまう。震える手で剥いたせいでボロボロになってしまっていたのか。半分が俺の口に転がり込む。
「んふふ」
「―――」
ミュナは目を細めて俺の口内に伸びる舌を侵入させて、割れ落ちた欠片を一つ残さず舐め取ろうとする。舌が口内を暴れ回り、俺の歯列や舌にも絡む。ぴったりと密着されてミュナの感触をめいっぱい味合わされてそれだけで股間が跳ねそうになる。
「えへへ、ご馳走様でした」
果汁一滴も残すまいと口内を舌で舐り尽くす魔性のキスからようやっと解放された。股間の方はもうとっくに限界を超えており、いつ暴発してもおかしくはない。
「はい、お兄ちゃん。デザートだよ?」
「お、おう……」
ミュナは肩をすくめてワンピースの紐から腕を抜いた。ぺろりとミュナの控えめな胸が露になる。
「さっき釘付けだったもんね。はい、どうぞ」
つんと上を向いた乳首に誘われるように俺はミュナの胸にむしゃぶりついた。
「あは、美味しい?美味しいよね?」
ミュナの胸はさっきまで入っていた夏みかんの香りがほんのりと感じられた。爽やかな香りとミュナ特有の甘い癖になりそうな香りが混じって嗅覚と味覚を侵す。
「じゃ、今日はこうしちゃおっか」
ミュナの指がチャックに手をかけ一気に引き下ろす。勢いよく飛び出してきた俺のモノをミュナはぎゅっと掴んだ。
「もう限界って感じだね……。ほーら、しーこ、しーこ」
どぷどぷどぷどぷどぷっ!
「えへへ、瞬殺だったね。でも止めてあーげない」
ミュナは俺の頭を胸へと押し付けながらもしごく手を止めない。潤滑が足されたことにより射精後の敏感なところに新たな刺激がもたらされ、腰が跳ねそうになるがミュナは容赦なく手を上下させ続ける。ミュナの香りに青臭い匂いが混じって不愉快なはずなのだが、ミュナの乳首を舐める舌は止まらない。
「あは、お兄ちゃん上手だよぉ。いっぱい甘えて良いからね……っ」
尿道に残っている精が搾り出され、一度目の射精が終わる。
「もっかいイけるよね。しーこ、しーこ♡」
制止の声を上げようとするもミュナの胸にがっちりと捕縛されてしまっていてかなわない。ミュナの人外の肌が直接精を吸収する感触が先端にもたらされ。いやいやと身もだえすることしかできない。
「んっ……左の乳首も吸ってぇ……っ」
「や、やめ……むぐっ!?」
一瞬頭が浮かされるも制止の暇もなくまた乳首を口に含まされる。
「ん……っ、ミュナも……きもちくなってきたぁ……どっちが先かな……」
肌からの直接の吸精は強引に中身を掴まれて引きずり出されるような感触で、快楽の他に寒気が走るが、それでもミュナの乳首をしゃぶるのがやめられない。
「んん……、お兄ちゃん、イっちゃいそ?ミュナも……」
ミュナのしごく手が早くなり、先走りがぬるぬると漏れ始める。しごかれながらも吸収されていく精の代わりに潤滑を補充しているかのようだ。
「あはっ、おにいちゃ、イっちゃう?ミュナと一緒に……あは、イっちゃえ……っ!」
「うああああああっ!」
びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるっ!
ミュナの身体が痙攣し、その拍子に口が解放されるが、意味のある言葉はとてもではないが紡げない。二度目の精がミュナの手の中に迸るのを感じながら仰向けに倒れ込むことしかできなかった。
「えへへ、美味しいね、お兄ちゃん」
ミュナは見せつけるように手に纏わりついた精を舐め取っていく。指一本一本を丹念に舐り、口に含んだ白濁をごくりと嚥下する。肌から直接吸えるにもかかわらずわざわざ舐めるのは完全に俺へのアピールでしかない。
「……それに砂糖はかけないのか?」
「それとこれとは別腹だもーん」
そういうものなのか、と思いつつも二度続けて搾られた消耗からくる眠気でそれ以上のツッコミはできなかった。
結局、砂糖漬けが完成する前に大家さんがうちの夏みかんを使ったマーマレードをお裾分けしてくれた。皮までふんだんに使っているのに苦みがむしろアクセントになっていて、ミュナと二人であっさりと完食してしまった。いっぽう砂糖漬けはなくなるまでかなりの時間を要し敗北感が半端なく、冬になったら手軽な温州みかんをしこたま食べようという結論に二人で至った。
実家に夏みかんの木が生えてるのは実話でした(過去形)。祖母が畑に出られなくなったので雑草を刈ってもらおうと手配したのですが、何をトチ狂ったのか何の世話をしてなくても(あまり美味しくない)実をつけていた夏みかんの木までばっさり刈られてしまいました。しかも雑草はすぐ復活した模様。
やっぱり田舎の園芸業者はいい加減ですね……
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