学食でほうれん草のおひたしの真ん中に温泉卵を落としたのが好物でしたが冗長になったので断念
大家さんにミュナのことが知られてから数日が経過し、俺とミュナの生活にはかなりの変化が訪れた。勿論俺とミュナの関係性はしっかり隠し通しているのでそこは大丈夫ではあるのだが。
昼休み、学食で定食を食べていたらスマホが着信を告げた。
『きようおじやましてもいいですか?』
大家さんからだった。大家さんはミュナのことを知ってからスマホを契約して俺とミュナとすぐに連絡が取れるようにメッセージ機能を頑張って覚えた。変換や小文字がまだまだではあるが。
『ミュナは大丈夫だよー』
早速ミュナの返信とスタンプが追加される。タブレットを買ってからも簡単に使いこなしていたし、やはり親戚に預けられたというミュナの元になった双子、みゆさんとゆなさんの学習状況がミュナにも反映されているのだろうか。
『俺も大丈夫です。五限まであるので十八時ちょい過ぎまでは帰れないと思います』
『わかりました』
ミュナは階段を下りられず鍵を開けられないので大家さんが合鍵を使って上がってくる形になる。当然俺にもプライバシーがあるので大家さんが何か用事があってうちに来る時はこうして三人で協議して俺とミュナが両方承認したら大家さんは合鍵で入るということに決まった。ミュナ曰く「ノーパンでごろごろしているところに上がられると困る」からだそうで。そこは常日頃から履いていてくれとも思う。
「ただいまー……と、ありゃ」
講義を終えて帰ってきたものの、玄関にあった靴は俺のだけだった。
「おかえりー」
「ミュナ、大家さんは?」
「だんなさん?の夕飯作るから帰るってー」
階上のミュナと遣り取りをしながら階段を上がり───
「じゃーん!」
「お、おおう!?」
家を出る時とは全く違う格好をしたミュナに出迎えられ、間の抜けた声が出てしまった。
「どうどう?可愛い?」
「印象違って見えるなあ」
普段のミュナは全裸か俺のシャツか俺が買ったワンピースの三択だったのだが、今のミュナは羽根の部分が出るように背中がしっかりと開いたトップスにゆったりとしたオーバーオールという服装で、俺のチョイスよりも間違いなくお洒落に見えていた。
「で、可愛い?」
「可愛いってば」
「えっへへー」
ミュナは相好を崩し俺に抱きついてきて、くるりと回って背中を預けた。
「このトップス可愛いでしょー。そーれーにー」
「お、おい」
おもむろに手を取られてすっと服の中に突っ込まれる。ふにょりと柔らかい感触に声が上がってしまった。
「シャツよりも手を入れやすいんだよー、ほらほらー」
「こら、や、やめろ」
指先に僅かながらの引っかかりを感じる。乳首を指で弾かれたミュナはくすぐったそうな嬌声を上げた。
「本当に止めちゃっていいの……?」
ミュナの手が俺の手を押さえつけ、無理にでも胸を揉ませようとしてくる。
「やめろ。伸びるっつの。今後も大家さん来たら着て見せなきゃいかんだろうが」
「……それもそうだね」
流石に大家さんの名前を出すと素直にミュナは引き下がった。
「いいから夕飯にすんぞー」
「あ、そうだ。おばあちゃんがおかず持ってきたから冷蔵庫に入れてるって」
「そういうのは先に言え」
慌てて冷蔵庫を開けると確かに見慣れぬタッパーがいくつか入っていた。
「煮物にこれは……おひたしかな?」
「そーなの?何かは聞いてないよ」
夕飯は冷凍していた白米とレトルトカレーで質素に済ませようと思っていたが、いかにも和風なおかずが並んでいたので急遽カレーはお休みにすることにして準備に取り掛かった。
「お兄ちゃん、ミュナも食べるからお箸出してー」
「お?珍しいな。ほい」
見るからにミュナの好みを外していそうなもので意外ではあったが、言われるままにミュナの分の取り皿と箸を用意する。
「普段はこんなん見向きもせんのに珍しいな」
「おばあちゃんに感想聞かれたら困るでしょー。お寿司だけ食べてこっちは食べないとか」
「なるほど、良い心がけだ」
煮物は人参に筍、椎茸といったいかにもなラインナップで普段買わない分新鮮に感じた。
「お、高野豆腐。いつ振りに食べたっけなこれ」
「味付けちょっと濃いねー」
言いながらもミュナは割と箸の進みが早い。
「ミュナこういうの好きなのか?」
「んー、好きってのじゃないなぁ。食べたことがない味だから珍しい感じ?」
「あー……」
確かにミュナの過去を考えるとまず食卓に上がりそうにないだろう。そもそも手作りの料理をしていたのかすら怪しいものだ。そう考えると一見地味ではあるがこういった料理は目新しく感じるのだろうか。
「おひたしも美味しいね。でもミュナ的にはお兄ちゃんが作ったやつの方が好きー」
「サンキュ」
野菜は高いのでだいたい野菜ジュースで誤魔化しているが、たまに罪悪感が募るので手間が少ないおひたしを作ったり学食で小鉢のおひたしを取ることがある。ほうれん草はなんとなくこれさえ食べておけば大丈夫という印象がある。そんなわけもないのだろうが。
「ごちそうさまー。美味しかったー」
「今度大家さんにお礼言っとかんとなあ」
「そうだねー。それはそうと、今ミュナとお兄ちゃん、同じこと考えてる気がするんだけど」
ミュナがいたずらっぽく笑う。ミュナも同意見だったようだ。
「「肉が欲しい!!!」」
声が重なり、ミュナが笑い転げる。やはり男子としては煮物とおひたしだけでは物足りない。
「冷凍の唐揚げまだあったよな。チンしよ」
「あれ味濃いやつじゃーん。ミュナは二個でいいからね」
「やっぱ肉だよな、肉」
「肉欲だねー」
「違います」
カレーで済ませようと思っていた夕飯はこうしてバランスの取れた食事になったのだった。
「ねえねえお兄ちゃんお兄ちゃん」
「あん?」
夕飯を済ませておかずの入っていたタッパーを洗っていると後ろからミュナが纏わりついてきた。
「こーら、引っ付くんじゃない。水撥ねるぞ」
「終わったらこっち見てねー」
また何か企んでいるらしい。ともあれ手早くタッパーの泡を流して乾燥棚に立てかける。明日の朝に早めに出て大家さんに返してから大学に行きたいところだ。ミュナ次第でそれどころではなくなるかもしれないが。
「お待たせ。で、いったい何を───」
「お兄ちゃん、これどうかなっ?」
「なっ……!」
ミュナはいつの間にやらトップスを脱いでおり、素肌にオーバーオール一枚という恰好になっていた。肩紐の部分で乳首が隠れてはいるのだが、ミュナが動く度にちらりちらりと見え隠れして目のやり場に困る。
「あ、お兄ちゃん目ぇ逸らしたでしょー。こういうの好きなの?」
「や、そ、そういうんじゃ」
「隙ありー」
戸惑ったところにミュナは背中からぽふりと俺に飛び込み、先ほどと同じように俺の手を取った。
「これならさっきと同じことしても伸びないから良いよねー?」
ミュナの手に引きこまれ、強引にミュナの胸に触れさせられる。まるで待ちかねていたようにぴたりと掌に肌が吸い付いた。
「あは、お兄ちゃんびくってした。そんなきもちいい?」
言いながらもミュナの頬は紅潮し、息も荒くなってきている。
「ほら……左手も寂しそうにしてるから、どうぞ……っ!」
空いていた手もずぼりとミュナの服に引き込まれる。少し熱を帯びた肌に触れてしまうともう手が離れそうにない。柔らかな感触が両手に広がりじんわりと快感をもたらす。無意識のうちに手が動き慎ましい胸をむぎゅむぎゅと愛撫する。小さいとは言え俺の手の中でミュナの胸はしっかりと存在を主張していて、掌につんと尖った感触が触れた。
「やぁ、おにいちゃ、も、立ってられ……っ」
「……わかった。じっとしてろ」
ミュナの胸を持ったままゆっくりと腰を下ろすとミュナはそのままぽふりと俺の膝の上に落ち着いた。密着する体勢になり、ミュナの体温が更に強く感じられさらさらの髪が俺の顔をくすぐり快感をもたらしてくる。
「えへへ、お兄ちゃんあったかーい」
「ぐっ……」
ミュナは素知らぬ顔で尻をぐりぐりと俺のモノに押し付けてくる。ミュナの胸の感触で既に硬くなりつつあった俺のモノにはこの刺激はかなり危険だ。デニム地の向こうからミュナのヒップの程よい重さと温かさが伝わってきて声が漏れてしまう。
「あんっ、おにいちゃんの手つきっ、やらしぃ」
「わ、わざとやってんだろ……」
ミュナは俺の手に胸を押し当て腰をくねらせ嬌声を上げる。当然、そのまま俺のモノはミュナの尻の追撃を受け、どんどん硬さを増していく。
「ちょ、ミュナ、いっぺん止め……」
「やぁ……止めちゃ駄目ぇ……」
危機感を覚えて手を引き抜こうとするもミュナは巧みに身体をくねらせて阻止してくる。強引にいくとオーバーオールの肩紐に手を引っかけてしまいかねず、思い切れない。ミュナが身体をくねらせたせいで更に刺激が与えられ、下半身に射精の予兆がこみ上げ始めてきた。
「んっ、あっ……もっと、ぎゅっとして……っ!」
「だからそれどころじゃ……っ」
ミュナをどうにか膝の上からどかそうと腕に力を籠めるが、そうすればするほどミュナのささやかな膨らみの感触がくっきりと感じられてしまう。
「あんっ、駄目ぇ、そんな強くしたら……」
「わ、悪い!」
ミュナの声に思わず力を抜いた途端、ミュナの身体が一際強く痙攣した。
「んぅっ……イっちゃ……」
ミュナの髪がふわりと舞い、甘い香りを立ち昇らせる。ミュナの胸と尻の感触に加えて嗅覚までもがミュナに侵され───
「マジでやばいからどいてくれミュナ!」
「やぁん♡」
ミュナを膝の上から転がすように強引にどかし、慌ててズボンのチャックに手をかける。流石にパンツの中に暴発するのは洒落にならない。だが、まだ掌に残るミュナの感触が邪魔してチャックを引く手が覚束ない。限界が近づく焦りの中、ミュナが俺の手をそっと取った。
「お兄ちゃん、ミュナが受け止めたげるね」
「す、すまん」
ミュナの手が呆れるぐらいあっさりとジッパーを下ろし、はち切れそうになっているパンツのボタンを器用に外すと下からはち切れそうになっているペニスが勢いよく外に向かってそそり立つ。
「えへへ、じゃあいただきま───」
「あっ……ああっ……」
「きゃあ!」
びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるっ!!
ミュナの口が先端を咥えるよりも早く限界が訪れた。ミュナの顔面にびちゃびちゃと白濁が飛び散り綺麗な顔を汚していく。
「あは、べったべただー」
「……悪い。大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。美味しいよー?」
ぺろり、と口元に垂れた精液を舐め取るミュナの姿は煽情的だったが今はそれどころではない。
「そうじゃなくて服に散ったりは……」
「それは大丈夫かなー。壁とか床もたぶん大丈夫」
「そうか……」
ほっと胸をなでおろす。折角ミュナのためにと買っていただいた服を即日汚してしまっては大家さんに顔向けできない。もっともだいたいはミュナのせいなのだが。
「ちゅ……ん……美味し。あ、こっちも貰っちゃうね」
「うっ……」
尖端からミュナの頬に糸を引いていた精をミュナが掬い取りぱくりと口に入れた光景に再びペニスがむくりと隆起し始めた。
「んー……とりあえず、シャワー浴びよっか」
「そうだな……」
言いつつも、風呂上がりに流れ弾がどこかに飛び散っていないかの確認をすることを考え、大きなため息が出た。
「ふぃー、やっぱりお兄ちゃんのシャツの方がしっくりくるなぁ」
「……さいか」
シャワーを浴びながらもう一回搾られたせいでだるい身体に鞭打って先ほどミュナと戯れたキッチンを中心に飛び散った精がないかを見て回る。原因となったミュナはけろりとして俺のシャツ一枚のラフな格好で布団の準備をしている。本人は寒いとか風邪をひくとかいうのはないようだが、見ているこっちが寒くなりそうなのが問題だ。
「なあミュナ、せめてパジャマを着てくれないか?見てて寒い」
「あとでねー」
寒いこの時期に薄着だと被虐待児に見えてしまうから、という言葉はぐっと飲み込んだ。ミュナの境遇的に洒落にならない。
「やっぱねー、こう気を遣わなくて良い服が楽で良いんだよね。尻尾がフリーになるし」
「そんなもんか」
さっきまでどこかにしまっていた尻尾がシャツの裾から伸びて存在をアピールする。ミュナは布団に転がりながら尻尾を振ってみせた。
「ずーっと仕舞ってると疲れるんだよー。だからミュナはパンツ穿かない、お兄ちゃんもすぐエッチできてうぃんうぃん!」
「やかましい。俺一人の時はいいけど昼間は大家さんがいつ来ても良いぐらいの心構えをしといてくれ」
「はぁーい」
不承不承頷きながらミュナは掛け布団に潜り込み、首だけを出した。
「ほら、お兄ちゃん、これなら見てて寒くないでしょー?」
「まあ、そうかも」
「ほらほら、寒いのは冬のせいなんだから温め合お?」
「もうこれ以上は出ねーよ!」
言いながらも布団に入るとミュナがぴったりと身体を寄せてきた。少し高めの体温が心地良い。
「えへへ、くっつくとあったかくて安心するね」
「そうだなー」
「この二人だけの時間、ミュナ大好きだよー」
ちゅ、と頬にキスされる。
「でもやっぱ半袖で足出てるのが気になるわ。パジャマ着てくれ」
「むー、良いじゃん。ミュナの生足にミワクされてよ」
「ありゃ夏の歌だ」
「しょーがないにゃあ。じゃあ今からパジャマでお兄ちゃんのおふとんにお邪魔しちゃうぞー」
「えらく懐かしいなおい」
ミュナは布団から出て見せつけるように俺の上で色っぽく流し目をくれながらシャツを脱いで裸身を露にする。悔しいことに二度搾られたにもかかわらず目が行ってしまった。
「じゃ、お兄ちゃん、二度あることは三度……」
「ありません!!」
「よよよー……」
アホな茶番をしながらミュナはするりと俺の布団に潜り込む。寒くなってきたこの時期はこの高目の体温がありがたい。本人に言うとまた何かまぜっかえされそうなので口には出さないが。ミュナの尻尾をどうにかできる服がないかと考えながら、いつしか温かい布団の中で意識が溶けていった。
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